著者
脇島 修 猿田 茂 藤岡 達也 江坂 高志 山本 勝博 永尾 好輝 角谷 知彦 脇島 修 柚木 朋也
出版者
大阪府教育センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

PHS回線を利用した情報通信ネットワークを構築し、大阪府教育センターと研究協力員の小学校において、物理領域(1校)、化学領域(3校)、生物領域(2校)の遠隔実験授業を実践した。通信用のソフトウェアとしてはMicrosoft社のNetMeetingを使用している、画像等はデジタルビデオカメラで、音声はマイクでパソコンに取り込まれ、PHSで学校に配信される。通信速度が最大64kbsであるため、フレーム数は1秒間に1ないし2コマである。電波状態が良好な場合でも、速い現象には追随できない。動画は予め、ファイルで転送しておく。配信された画像やファイルはクラス全員が見やすいようにプロジェクターで拡大した。授業内容については、物理領域においては、「電流のはたらき」による発熱に焦点をあてた。発熱と発光に関連して、液体窒素中で炭素芯に電流を流し、発光させ、電球への仕組みへと発展させた。化学分野については「ものの溶け方」の項目の中で溶液からの巨大結晶づくりに関連するものであった。生物分野ではモンシロチョウの卵から成虫になる過程や昆虫の体のつくりを学習させた。特に、昆虫の食べ物や食べ方に焦点をあて、電子顕微鏡を用いた昆虫の口のつくりの観察を含めて小学校3年で2校実践した。授業実施後の児童へのアンケート調査によれば、今後も今回のような遠隔授業を受けたいと答えたものが96.7%あった。また、授業の内容がよくわかった及びだいたいわかったと答えたものの割合も81.5%あり、今回の授業の内容が発展的であることを考えあわせると、この遠隔授業により、児童の興味関心が引き出され、理解を進めたといえる。
著者
立花 義裕 万田 敦昌 山本 勝 児玉 安正 茂木 耕作 吉岡 真由美 吉田 聡 坪木 和久 中村 知裕 小田巻 実
出版者
三重大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

四方を海に囲まれた日本.その鮮明な四季は極めて特徴的である.日本の気候に対しては,日本を囲む縁辺海の海洋の影響が強くあることを大気と海洋の変動を評価し明らかにした.例えば,梅雨末期に豪雨が集中する理由は東シナ海の水温の季節的上昇が,九州で梅雨期に起こる集中豪雨の発生時期の重要な決定要因であること,日本海の海面水温の高低によって,寒気の気団変質過程に影響を及ぼし,寒波を強化・緩和されることを示した.
著者
山本 勝利
出版者
農業環境技術研究所
雑誌
農業環境技術研究所報告 (ISSN:09119450)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-105, 2001-08
被引用文献数
11

里山,農地,居住域が一体となった里地ランドスケープ構造の変容が二次的自然と結びついた植物相に及ぼす影響を,時間,空間スケールを変えて解析した。国土スケールでは,過去約100年間の変容を日本全国を対象として解析し,地形ならびに歴史的な奥山の存在による地域的差異を明らかにした。地域スケールでは,国土スケールの地域的差異に基づいて岩手県西和賀地域,埼玉県比企地域,茨城県南部地域の3地域を対象地に選定し,集落を単位として,里山の変容が植物相に及ぼす影響を,林床植物の生育状況,林分構造,林分へのアクセス性,過去の林野利用形態により評価した。その結果,今日の里山林管理がアクセス性に規定されているために生じた過去と現在の林野利用の不一致が植物相に影響を及ぼしていることを明らにした。さらに,この不一致の解消には,林野利用の履歴に基づいた管理対象地の選定と,里山とアクセス路の一体的管理が必要なことを提示した。
著者
山本 勝
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

金星や地球を含めた地球型惑星大気力学の理解を深めるために,金星大気大循環モデルの高度化に向けた微細擾乱の数値実験を行った.地表付近と雲層内の3次元マイクロスケール気象シミュレーションによって,対流調節や対流混合が静的安定度の鉛直構造や地表風の構造に与える影響を調査した.微細擾乱の数値実験と並行して,高度化するベースモデル(大気大循環モデルと微物理モデル)の整備を行った.特に,金星大気大循環モデルの妥当性を議論するために,モデルの中の極渦の力学等を明らかにした.
著者
利安 義雄 大辻 永 山本 勝博
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では4本の柱を立て、「総合的な学習」への活用のカリキュラムを開発した。1.伝統的染色技術の教材化「水戸黒染め」の再現と簡便法を確立し、文部科学省のSPP事業の教員研修において実践を行った。一方,茨城の大洗海岸において採集した海藻(アオサ、カジメなど)を用いて海産物による染色法を開発し、地域のこども科学館で実践した。海藻からの色素の抽出について適正なpHを調べて、授業時間内に効果的に抽出できる条件を見つけた。2.茨城県の地震関連教材前年度開発した簡易水平動地震計で新潟中越地震および茨城県周辺の多くの地震を計測できた。今回は、地震が発生すると計測を始める簡易上下動地震計を開発した。作動するセンサーはカラクリ技術で作り、記録ドラム部分はオルゴールを使用し、、振動本体部分は木製にした。さらに、最近の茨城地方に発生した地震の各観測地点でのデータから振動開始時間と震度の分布マップを作った。3.茨城県の塩に関わる教材化。茨城県海岸地方の釜や塩に関連した地名と古代製塩との関係と、昔塩の内陸への輸送路になった「塩の道」の調査を行った。また塩の字名の多い大子町の湧水、鉱泉、温泉水の水質分析(イオン分析)を行った。ジュラ紀の八溝中生層は非常にきれいな水が多く、主要な溶存イオンは、重炭酸カルシウムである。一方、第3紀層に属する北田気・浅川層は、鉱泉・温泉群が多く分布して、溶存イオンは硫酸ナトリウム・塩化ナトリウムが多かった。また、水戸の名産梅干を作るときの梅酢より、正八面体の食塩を析出させる条件を見出した。4.山寺の水道の教材化永田茂衛門・勘衛門親子の江堰に関する文献調査をすすめた。一部の成果を、SPP事業中学校理科教員研修において実践を行い、自然と人間とがかかわった「総合学習的な学習」への地域教材の一例として提示した。
著者
栗山 佳恵 山本 勝
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.737-746, 2008-09-30
参考文献数
15

1988年から2006年の寒候期(11月から3月)において,那覇では「吹き出し開始初期から厚い北風層が卓越し,それが維持されるもの(N型)」と「吹き出し開始から下層の北風層が徐々に発達するもの(S型)」の2つの寒気吹き出し構造が見られた.そこで,その経年変化や特徴的な気圧配置を明らかにし,海面水温(SST)や冬季モンスーンの経年変化と那覇周辺域の寒気吹き出し構造の関係を調べた.寒候期平均のNINO3海域SST平年偏差は1000hPa南北風と相関が高く,00/01年までの降水量とも相関が高い.また,那覇周辺海域のSSTは海面気圧や1000hPa比湿と相関が高く,北極振動指数は900hPaの相対湿度と相関が高い.さらに本研究では,総観規模の気象解析もおこなった.寒気吹き出し初期の500hPaの太平洋高気圧の張り出しがS型とN型の構造を決定づける.また,エルニーニョと関連して東シナ海上空500hPaの南風が強い冬季では,S型が卓越する.
著者
山本 勝
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

Venus-1ike AGCMを用いて,超回転や大気波動の自転傾斜角依存性を調べた(Yamamoto and Takahashi 2007, GRL).金星条件では,自転傾斜角が大きくなるにつれて超回転が弱くなる.自転傾斜角が小さい場合,Gieraschメカニズムにより,効率よく角運動量が上方輸送され,100 m/s程度の高速超回転が形成維持される.また,数万日周期の変動も見られる.自転傾斜角を10度から20度に大きくするにつれて,超回転は小さくなる.さらに,自転傾斜角を増大させると,超回転は小さくなり,20m/s程度の値に漸近する.このパラメーター領域では,加熱域の季節変化に対応して,東西流や子午面循環も大きく季節変化するが,数万日の長周期変動はほとんど見られなくなる.この場合,冬至や夏至で角運動量上方輸送効率が落ちるので,超回転が弱くなる.これまで,自転速度や南北加熱差が金星超回転の重要なパラメーターであると思われていたが,自転傾斜角も非常に重要であることがわかった.惑星スケール波が金星中層大気大循環に及ぼす役割や雲加熱に対する大循環や波動のsensitivityを調べるために,金星中層大気GCMも開発した(Yamamoto and Takahashi 2007, EPS).赤道域のスーパーローテーションは潮汐波によって維持されるが,中層大気全体の角運動量収支に関しては子午面循環による角運動量上方輸送と波による下降輸送によって維持される。つまり,雲層上端赤道域の局所的な角運動量バランスに関しては潮汐波による加速(潮汐説)が重要であるが,中層大気全体では子午面循環による角運動量鉛直輸送(ギーラッシ説)が重要であった.
著者
徳永 幹雄 山中 寛 山本 勝昭 高柳 茂美 橋本 公雄 秦泉寺 尚 岡村 豊太郎 佐々本 稔
出版者
九州大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

13名の共同研究者によって、運動・スポーツの短期的・長期的効果について総合的研究を行い、次のような結果を得た。1.感情に及ぼす効果1)婦人のテニス活動での感情は、激しい運動中に最も高まり、その時の感情は乳酸とはマイナス相関、ACTHやベータ・エンドルフィンではプラス相関がみられた。しかし、運動後はその相関は低くなった。2)快的自己ペース走による気分の高揚は運動後少なくとも30分継続した。3)バドミントンの体育授業での感情は授業内容によって異なった。2.心理的能力に及ぼす効果1)国体選手は経験年数や大会参加経験によって心理的競技能力が高められていることが明らかにされた。2)体育系クラブ経験者は、日常生活の心理的対処能力が優れていた。3.生きがい・健康度に及ぼす効果1)世界ベテランズ陸上競技大会の参加選手は、「生きがい」意識レベルが高く、幸福な老年期を迎えていることが推察された。2)身体的活動量が多い高齢者は、精神的健康度も高かった。3)降圧を目的とした高齢者のテニス教室は「生きがい」にも影響した。4.自己効力感・自己概念に及ぼす効果1)体操の授業で学習者の構えが、自己効力感に影響を与えた。2)児童の水泳プログラムで水泳効力感が高まった。3)体育学部学生の自己概念は4年間で有意に変化した。5.精神の安定・集中に及ぼす効果1)大学生や予備校生のストレス症状は運動歴や態度と相関が高かった。2)寒暑耐性と運動経験年数に相関がみられた。3)身体運動が精神的作業能力に良い影響をもたらすことが示唆された。
著者
稲垣 正博 山本 勝正 片岡 幾久江 赤沢 修
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.97, no.2, pp.151-156, 1977-02-25

DL-O-Acetylpantolactone was found to have two polymorphic forms. A form is the new crystals having a melting point of 20.7° and B form is the previously reported crystals^<3)> having a melting point of 13.5°. Their racemic structure was examined from melting point diagrams, solubility diagrams, and infrared absorption spectra, and it was revealed that A form is a racemic compound and B form is a racemic congromerate. The solubilities of A and B forms in hexane were determined and thermodynamic properties of these forms were experimentally evaluated. The supersaturated solution of DL-O-acetylpantolactone was seeded with these forms and the optical isomers, and the specific rotations of the deposited crystals and the rotation angles of the filtrates were measured at appropriate time intervals. From these results, the relationship between optical resolution and racemic structures was discussed.
著者
楠 繁雄 山本 勝也 初谷 匡長
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.270-282, 2003-03-01
被引用文献数
2

電力増幅器が発生する隣接チャネル漏れ電力(ACP)において,上下非対称な広がりが見られる場合がある.非対称なスペクトルの広がりは,包絡線に対する電源インピーダンスの値に影響を受けることが知られているが,Predistortionを用いたPredistortion PAにおいても観測される場合がある.本論文では.Predistortionとして,特にdual-gate FETを配置したPredistortionにおける非対称ACPの発生について,ボルテラ級数を用いて解析し,その発生の機構を解明するとともに,これを回避できる回路構成について報告する.
著者
楠 繁雄 山本 勝也 初谷 匡長 田上 研之 冨永 尚人 大沢 完至 田辺 顕 桜井 賢 飯田 哲也 飯田 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波
巻号頁・発行日
vol.102, no.558, pp.65-72, 2003-01-09

本報告は、新しい方式によるPre-distortionを用いた歪補償技術と、その技術を一一体化したN-CDMA端末に適応し得るPAモジュールの開発に関するものである。入力包絡線でLook-up-table(LUT)をアクセスする方法を用いることにより、Base-Bandブロックから独立して歪補償を行い得る。適応補償に際しては、AM/PMの適応補償を省略し、入出力包絡線差によりLUTを修正する方式を開発した。これにより、回路規模を大幅に簡単化するとともに、主たる回路をCMOS ICに集積し、モジュールとして一体化することにより、携帯端末に適した歪補償PAモジュールを実現した。試作したPAモジュールは900MHz帯N-CDMA端末用であり、Pout = 27.5dBmで効率=48%と言う極めて高い効率を実現し得た。
著者
楠 繁雄 山本 勝也 初谷 匡長 田上 研之 冨永 尚人 大沢 完至 田辺 顕 桜井 賢 飯田 哲也 飯田 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.556, pp.65-72, 2003-01-09

本報告は、新しい方式によるPre-distortionを用いた歪補償技術と、その技術を一体化したN-CDMA端末に適応し得るPAモジュールの開発に関するものである。入力包絡線でLook-up-table(LUT)をアクセスする方法を用いることにより、Base-Bandブロックから独立して歪補償を行い得る。適応補償に際しては、AM/PMの適応補償を省略し、入出力包絡線差によりLUTを修正する方式を開発した。これにより、回路規模を大幅に簡単化するとともに、主たる回路をCMOS ICに集積し、モジュールとして一体化することにより、携帯端末に適した歪補償PAモジュールを実現した。試作したPAモジュールは900MHz帯N-CDMA端末用であり、Pout=27.5dBmで効率=48%と言う極めて高い効率を実現し得た。