著者
斉藤 貴明 犬塚 和徳 佐野 真規 片橋 一人 矢田 達朗 嘉山 貴文 露木 肇 山中 裕太 山本 尚人 海野 直樹 竹内 裕也
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.413-417, 2018-12-21 (Released:2018-12-21)
参考文献数
27

症例は45歳女性.糖尿病性腎症のため左上腕内シャントで透析を行っていた.透析導入から6年後にシャント静脈高血圧による左顔面および左上肢の浮腫が出現し,当科紹介となった.造影CT検査でシャント静脈高血圧の原因となる左腕頭静脈の高度狭窄を認めた.最初に左腕頭静脈の経皮経管的バルーン拡張術を行ったが,3週間後には症状が再燃したため14 mm×40 mmステント(SMART, Cordis, Dublin, Ohio, USA)留置術を施行した.以降,顔面および上肢の浮腫は軽減したが,術後1カ月で左胸水が出現した.超音波検査にてシャント血流量が1537 mL/minと高値であったため,シャント血流過多による心不全の診断で,人工血管PTFEグラフト(PROPATEN, GORE, Newark, USA)を使用しシャント静脈バンディング手術を施行した.術中超音波検査を併用しシャント血流量を491 mL/minに減量させた.術後は心不全の改善を認め,顔面および上肢の浮腫も増悪なく経過している.
著者
石田 恵子 山本 征輝 三沢 憲佑 西村 瞳 三澤 幸一 山本 尚基 太田 宣康
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第94回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.1-O-C3-3, 2021 (Released:2021-03-21)

Epidemiological studies have revealed that habitual coffee consumption may reduce the risk of Alzheimer’s disease. Coffee includes many phenolic compounds (coffee polyphenols) such as chlorogenic acids. However, the contribution of chlorogenic acids to the prevention of cognitive dysfunction induced by Alzheimer’s disease remains obscure. In this study, we investigated the effect of chlorogenic acids on cognitive function in APP/PS2 transgenic mouse model of Alzheimer’s disease. Five-week-old APP/PS2 mice were administered a diet supplemented with coffee polyphenols daily for 5 months. The memory and cognitive function of mice was examined using the novel object recognition test, Morris water maze test, and the step-through passive avoidance test. Chronic treatment with coffee polyphenols prevented cognitive dysfunction and significantly reduced the amount of amyloid β (Aβ) plaques in the hippocampus. Moreover, 5-caffeoylquinic acid (5-CQA), one of the primary coffee polyphenols, did not inhibit Aβ fibrillation; however, degraded Aβ fibrils. Computational docking simulation predicted that 5-CQA interacted with specific amino acid residues in Aβ protofilament.  In conclusion, our results demonstrate that coffee polyphenols prevent cognitive dysfunction and reduce Aβ plaque deposition via disaggregation of Aβ in the APP/PS2 mouse.
著者
服部 倫弘 村松 渉 山本 尚
出版者
公益社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.382-390, 2021-05-01 (Released:2021-05-11)
参考文献数
78
被引用文献数
3

Peptides, which are elongated of peptides chain of amino acids linked by amide bonds, are elementary components in living systems and regulate many biological processes. Since the solid-phase peptide synthesis was introduced by Merrifield in 1964, chemical synthesis of peptides using solid-phase system has emerged as a valuable method due to its ease of operation and rapid synthesis of desired peptides. However, despite of the effectiveness of the solid-phase approach, typical reaction requires excess amounts of coupling reagents, bases, and amino acids to achieve maximum conversion. And the ease of operation led to accumulate undesired segments together with target peptide because solid-phase system is generally carried out by coupling amino acids with N-terminal amino acid residue of peptides in a stepwise approach without any isolation and characterization at each step. To solve these issues, we focused on the development of catalytic liquid-phase synthesis, which has advantage of isolating the growing peptide chain from reaction solution after each coupling step. Although several liquid-phase methods have been developed, there is a still considerable room for the improvement of racemization, generality, and ligation reaction. In this view, we have developed a mild, practical, and efficient methods based on substrate-control by using boronic acid, niobium, and tantalum as catalysts. Our methods can be applied for a broad variety of amino acids to furnish the desired peptides in excellent yields without significant loss of stereochemical integrity. The developed straightforward approach overcome a lot of problem associated with peptide synthesis. This article describes our recent achievement based on catalytic substrate-controlled peptide synthesis.
著者
今井 伸也 山本 麻衣 山本 尚美 山本 和明 重松 忠
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】近年,がん患者に対するリハビリテーション(以下,リハ)の重要性が注目されている。当院は,急性期病院であるが,「がん診療連携拠点病院」の基準に準じた,滋賀県独自の「地域がん診療連携支援病院」の指定を受けている。平成25年より,がん患者リハビリテーション(以下,がんリハ)を実施している。終末期を迎えたがん患者が,残された人生を本人らしく,尊厳を保ちQOLの高い生活を送れるように身体的,精神的,社会的にも支援することは,緩和的リハの重要な目的である。今回,入院中の終末期がん患者の外出について調査し,理学療法士の役割について検討したので報告する。【方法】平成25年4月から平成26年3月に,入院中にリハを実施したがん患者294例の中で死亡退院した36例(男性21例,女性15例,平均年齢66.1±13.0歳)を対象とした。外出された患者をA群,外出されなかった患者をB群とした。それぞれ,性別,年齢,入院日数,入院からリハ開始までの日数,リハから死亡退院までの日数,リハ実施日数,外出から死亡退院までの日数,リハ介入時のFIM(運動項目),リハ介入時のFIM(認知項目),外出手段,外出理由と感想,未外出理由を,後方視的にカルテから抽出し調査した。数値は平均値±標準偏差で表記した。【結果】性別はA群が男性1例,女性5例,B群が男性20例,女性10例。平均年齢はA群が59.5±12.5歳,B群が67.4±12.9歳。入院日数はA群56.2±28.6日,B群が38.3±46.7日。入院からリハ開始までの日数はA群14.5±20.5日,B群9.2±15.7日。リハ開始から死亡退院までの日数はA群56.2±28.6日,B群29.3±44.3日。リハ実施日数はA群20.3±12.9日,B群12.0±21.2日。外出から死亡退院までの日数は10.5±6.8日。リハ介入時のFIM(運動項目)はA群53.0±31.8点,B群40.4±28.8点。リハ介入時のFIM(認知項目)はA群28.0±5.6点,B群21.4±13.6点。外出手段は歩行1例,車椅子3例,ストレッチャー2例。外出理由は,「墓参りやお世話になった開業医や近所の人に会いたい」,「家で過ごしたい」などの理由であった。外出した全症例は,本人と家族ともに外出を希望された。外出後の感想は,全症例が「外出してよかった」,「希望をかなえさせてあげられてよかった」と肯定的であった。未外出理由は,全身状態が不安定で主治医の許可が出ない,提案したが「家族に迷惑をかける」・「病院の方が安心できる」・「家でやりたいこともない」,家族が「メリットが分からない」,外出希望が無く提案する機会も無かった,などの理由であった。【考察】今回の調査の中でA群は6例と少数であったが,全例が肯定的な感想を述べていた。A群は入院日数およびリハ開始から死亡退院までの日数,リハ実施日数が長いことから,理学療法士と関わる期間は長く本人・家族との関係が構築されており,身体機能の評価やニーズの把握が容易であった。リハ介入時のFIM(運動項目)を比較してもA群の方が高く,理学療法士の介入により身体機能やADLが維持され,希望に応じた外出の提案につながったと考える。また,年齢をみるとA群の方がやや若年であり,リハ介入時のFIM(認知項目)も高い。外出に対する意欲の維持や思いの表出,家族との話し合いが可能であったため,外出に対する家族側の受け入れも良好であったのではないかと考える。外出方法については歩行,車椅子,ストレッチャーとばらつきはあったが,安楽な手段を提案することでADLの状態に関係なく外出することができた。適切な身体機能評価および指導を行い,疲労や不安を感じることなく外出できるよう援助することが重要と考える。一方,B群について,外出しなかった理由において,家族の負担を考え拒否したり,本人や家族からの希望がなく関わるスタッフからも積極的な提案を行えていないケースを認めた。リハ介入時のFIM(認知項目)が低く,本人の意志が明確でない患者に対しては,本人や家族の思いを確認するような働きかけも重要であると考える。がん終末期患者は状態が変化しやすく,理学療法士は適切な介入が要求される。その中で入院中の外出は患者の残された時間,限られた能力の中でニーズを叶え,多職種の関わりにより多くの患者が実現可能な活動であるといえる。理学療法士として,身体機能やADL評価と合わせ,本人の思いを引きだし家族の十分な理解のもと環境整備を行った上で,最良の時期を見極められるような関わりが重要である。【理学療法学研究としての意義】入院中のがん終末期患者の外出は多職種連携が重要であり,理学療法士もチームの一人として積極的な関わりが必要である。
著者
橋川 健 伊藤 信之 衛藤 正雄 角 光宏 山本 尚幸 岩崎 勝郎
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.314-317, 1995-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8

We report on 57 cases of lateral condylar fractures of the humerus in children which were followed-up. Subjects comprised 40 boys and 17 girls with a mean age at injury of 6 years (range, 2-12 years). The follow-up period ranged from 9 months to 17 years with a mean of 7 years and 11 months. We studied the relationship between the carrying angle (C. A.), the range of motion (R. O. M.) of the elbows and the deformity of the lateral and medial condyles of the humerus after treatment. C. A. correlated with the length of the lateral and medial condyle. Limitation of flexion and extention of the elbow correlated with the length of the medial condyle. Varus or valgus deformities and limitation in the R. O. M. of the elbow after fracture of the lateral condyle of the humerus are relevant not only to the growth of the lateral condyle but also to that of the medial condyle.
著者
山本 尚史 美崎 定也 加藤 敦夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CbPI2279-CbPI2279, 2011

【目的】<BR> 当法人は2008年より高校アメリカンフットボール(アメフト)部のメディカルサポートを行っている。その中で、傷害受傷状況を把握すること、身体特性との関連を明らかにすることを目的に傷害調査アンケートとメディカルチェックを実施している。今回、過去2年の実施結果から得た身体特性と傷害の特異性について報告する。<BR>【方法】<BR> 2009年度秋季公式戦前のA高校2・3年生男子アメフト部員37名(2年生17名、3年生20名)と、2010年度の同2年生19名の計56名(平均年齢±標準偏差:16.7±0.7歳、身長171.9±6.1cm、体重78.6±15.6kg)を対象に調査した。A高校は週5~6回、学校近隣の河川敷グラウンドで練習を行っており、2008年に創部初の関東大会出場を果たしたチームである。アンケートは受傷部位、傷害名、受傷時期、受傷状況について自己記入させ、集計した。メディカルチェックは柔軟性「指床間距離(FFD)、踵殿間距離(HBD)、下肢伸展挙上(SLR)、股関節内旋(HIP IR)、全身関節弛緩性(GJL)」、瞬発力「プロアジリティテスト(PAT)、立ち幅跳び(SBJ)」を実施した。SLRとHIP IRは4段階「SLR:1)50°以下、2)50~70°、3)70~90°、4)90°以上、HIP IR:1)0°以下、2)0~20°、3)20~45°、4)45°以上」で簡易的に測定した。GJLは東大式評価法にて全7項目を点数化した。統計解析は傷害経験有無ならびに受傷部位(上肢、頸部・体幹、下肢)と柔軟性5項目で対応のないt検定またはMann-WhitneyのU検定を行った。また瞬発力2項目と柔軟性5項目における相関係数を算出した。なおHBD、SLR、HIP IRは左右肢を比較し、より可動域の小さい一肢を用いた。有意水準は危険率5%未満とした。<BR>【説明と同意】<BR> 事前に顧問・監督に本調査の趣旨を説明し同意を得た上で、実施当日、選手に同様に説明し同意を得た。怪我や体調不良などの訴えがあった選手は可能な測定項目のみ実施した。<BR>【結果】<BR> アンケートから得た回答より、傷害発生件数は70件であった。受傷部位別では上肢23件(手指12件:17.1%、肩関節8件:11.4%、肘関節3件:4.3%)、頸部・体幹15件(頸部10件:14.3%、腰部3件:4.3%、腹部2件:2.9%)、下肢29件(足関節21件:30.0%、膝関節6件:8.6%、大腿部2件:2.9%)、その他3件:4.3%となった。傷害名別では足関節靭帯損傷19件(27.1%)、バーナー症候群9件(12.9%)、手関節靭帯損傷7件(10.0%)に多かった。受傷時期は1年生時23件、2年生時32件、3年生時12件、不明3件であった。受傷状況は練習中38件、試合中29件、不明3件であった。学年別の傷害経験者は3年生19名(95.0%)、2年生23名(64.9%)であった。メディカルチェックより、傷害経験有無ならびに受傷部位と柔軟性に有意な差はみられなかった。しかし、柔軟性が全て低値(FFD-5cm以下、HBD10cm以上、SLR・HIP IR2)以下、GJL1点以下)の選手3名全員が2箇所以上の、うち2名が同部位で2回以上の傷害発生を認めた。相関分析の結果、PATとFFD(r=-0.35、p<0.01)、HBD(r=0.42、p<0.01)、SLR(r=-0.30、p<0.05)、HIP IR(r=-0.29、p<0.05)が相関を認めた。またSBJとHBD(r=-0.41、p<0.01)、SLR(r=0.30、p<0.05)、GJL(r=0.33、p<0.05)が相関を認めた。<BR>【考察】<BR> それぞれの項目の傷害発生率は先行研究と比較し大きな相違はなかったが、足関節、頸部における傷害発生率が高いこと、練習中の傷害発生が多いことが本研究の特徴として挙げられる。特に足関節靭帯損傷、バーナー症候群の発生率が高く、これらに対する傷害予防に取り組む必要性が考えられる。足関節靭帯損傷が多い原因として、練習・試合環境や選手の予防ならびに再発予防に対する認識不足が推察される。バーナー症候群が多い原因としては、コンタクト時の姿勢を含めた技術的な未熟さが考えられるが、頸部の筋力不足も考えられ、今後調査が必要である。受傷状況として練習中での傷害発生が多いことは、練習からのサポートの必要性が推察される。メディカルチェックでは傷害発生と柔軟性に関連はみられなかった。しかし少数ではあるが、柔軟性全項目が乏しい選手において傷害の箇所と回数が多い傾向があったことから、全身的な柔軟性と傷害発生との関連が推察される。また瞬発力2項目がともにHBDとSLRで相関が認められたことから、大腿四頭筋、ハムストリングスの柔軟性の向上から運動パフォーマンスとしての瞬発力の向上につながる可能性が考えられ、傷害発生との関連を含め、今後も調査を続けていく必要がある。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 関東の高校アメフトにおいて、練習を含めて通年的にメディカルサポートを行っているチームは多くないと思われる。我々が練習から参加し、定期的なメディカルチェックを実施すること、傷害受傷状況を把握し理学療法介入していくことが傷害予防に繋がると考える。
著者
山本 尚史 中村 学 中崎 秀徳 吉田 昂広 杉ノ原 春花 美崎 定也 加藤 敦夫
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.39, 2010

【目的】 当法人は2008年より高校アメリカンフットボール(アメフト)部のメディカルサポートを行っている。高校のアメフト選手は技術、知識、身体機能の未熟さから傷害発生の危険性は高い。今回、高校アメフト選手の身体特性と傷害発生との関連を明らかにすることを目的に、メディカルチェックとアンケートを実施した。【方法】 2009年度秋季公式戦前のA高校2・3年生アメフト部員(平均年齢±標準偏差:16.9±0.7歳、身長172.3±6.3cm、体重78.7±16.2kg)40名を対象に調査した。事前に顧問・監督・選手に本調査の趣旨を十分に説明し同意を得た。メディカルチェックは柔軟性「指床間距離(FFD)、踵殿間距離(HBD)、下肢伸展挙上(SLR)、股関節内旋(HIP IR)、全身関節弛緩性(GJL)」、瞬発力「プロアジリティテスト(PAT)、立ち幅跳び(SBJ)」を実施した。SLRとHIP IRは4段階で簡易的に測定した。アンケートは受傷部位(上肢、下肢、頸部・体幹)について自己記入させた。統計解析は柔軟性と瞬発力の計7項目を変数としてクラスター分析を行い、3群(A群、B群、C群)に分類した後、3群間において7項目で一元配置分散分析またはKruskal-Wallis検定(有意水準5%未満)を行った。さらに3群間の身体部位別受傷人数をまとめた。【結果】 分類された3群はA群11名、B群10名、C群18名となった。FFDはB群が有意に長く、HBDはC群が有意に長かった。SLRはB群がA群およびC群と比較して有意に大きく、HIP IRはC群がA群およびB群と比較して有意に小さかった。GJLは各群間に有意差を認めた。PATはB群がC群より有意に速く、SBJはC群が有意に短かった。身体部位別の受傷者数は上肢:A群5名、B群4名、C群6名、下肢:A群6名、B群3名、C群6名、頸部・体幹:A群1名、B群2名、C群5名であった。【考察】 FFD、SLRが乏しく瞬発力が良好な群(A群)、柔軟性、瞬発力ともに良好な群(B群)、柔軟性、瞬発力ともに乏しい群(C群)に分類された。A群はハムストリングス、背筋群の柔軟性の乏しさが傷害発生と関連していると考えられる。C群では頸部・体幹の傷害発生が多く、柔軟性と瞬発力との関連が強いことが予想される。B群では他群と比較し傷害発生は少ないが、コリジョンスポーツの特性を軽視できない結果となった。しかしA群、C群のような特徴的な身体特性が傷害発生と関連することが明らかとなり、今後の理学療法介入の手がかりになると考えられる。【まとめ】 身体特性をグループ化して理学療法介入を効率よく行うことは傷害予防に繋がると考える。今回の調査の限界は短期間であること、対象者数が少ないことが挙げられ、今後も引き続き調査が必要である。
著者
榊原 淳太 山本 尚人 中村 力也 荒井 学 大木 陽亮 宮崎 勝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.608-612, 2011 (Released:2011-09-25)
参考文献数
18

症例は60歳,女性.2002年右乳癌に対し術前化学療法後,右乳房切除術を施行.2004年骨転移のため化学療法を開始.2005年左鎖骨下静脈より中心静脈ポート(以下CVポート)を留置.その後,同ポートに感染を認め抜去し2008年6月左上腕静脈に再留置.2009年5月左頸部の腫脹,疼痛が出現し精査にて左内頸静脈内に広範な血栓を認めた.CVポートによる血栓形成と考え同日緊急入院.肺塞栓予防目的でヘパリナイゼーション後,CVポートを抜去.その後ワルファリン内服開始し症状は軽快した.当院における2007年1月~2009年6月までのポート留置症例の血栓形成に関する合併症は6/276(2.1%)であった.担癌患者のCVポート留置症例に対しては血栓形成の有無を画像にて定期的に確認することが重要である.
著者
山本 尚司 赤木 家康
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C1000, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】足部のアライメント評価として、下腿と踵の肢位関係をみるLeg-Heel angIe(以下LH-A)と、踵の鉛直垂線からの変位をみるCalcaneus ang1e(以下C-A)がある。これらの後足部の評価は、足底板などによる下肢荷重連鎖へのアプローチに際して重要な指標となる。今回、LH-AとC-Aの関係性について分析し、内外側Heel-Wedge(以下M・L-HW)の後足部アライメントにおよぼす影響について報告する。【方法】後足部アライメントの基礎データは、健常成人17名34肢(男性8名、女性9名、平均年令20.12±11.1才)にて行った。足部評価は、シンワ社製Dial S1ant Ru1esを使い、立位安静位にてC-Aと下腿傾斜角を測定し、LH-Aを算出した。また、膝関節障害患者5名10足(変形性膝関節症4名、膝蓋骨亜脱臼1名)を対象に、HWによる踵骨内外反位の補正効果を調査した。測定はフルインソール上での安静立位から、暑さ2mmのEVAパッドを踵底部の内外側に随時1~2枚挿入し、後足部のアライメント変化を検討した。【結果】LH-Aにおいては1肢を除く33肢が外反位であり、C-Aの打ち分けは20肢が内反位、11肢が外反位、2肢が中間位であった。C-Aの内外反とLH-Aの内外反角度に高い相関がみられ(右足r=0.78、左足r=0.68)、C-Aがより外反位になればLH-Aも外反位になる傾向がみられた。膝関節障害患者5名のうち4名7足のC-Aが内反位であり1名2足が外反位であった。外反位の1名においてはM-HW2mmにて、内反位4足はL-HW、内反位3足はM-HWにて、補正効果がみられた。【考察】後足部アライメント評価であるLH-AとC-Aは、関節肢位と鉛直垂線からの変位という異なった指標からの評価であり、併せて評価していくことで足部アライメントと姿勢制御の関係についての示唆を与えてくれるものと思われる。横江によると、起立時のLH-Aは、歩行時、ランニング時の動きと高い相関があることを報告しており、足底板の作成などにおける評価として有用であると考えられる。また、今回の結果からLH-AはC-Aとの相関が高いことからも、重力線との関係を考えるうえではC-Aを指標としてHWで対処することは有効であろう。しかしながら、同一被験者であっても左右差、およびC-AとLH-Aの関係は画一的ではなく、踵骨内外反を正中化させるためのHWも多様であるため、臨床においては姿勢制御といった観点から個別に対処していかなければいけないものと思われる。【まとめ】1.後足部アライメント評価としてC-AとLH-Aの関係性を検討した。2.C-AとLH-Aの内外反に相関がみられた。3.HWによる後足部アライメントの変化を膝関節障害患者にて検討した。4.踵骨内反位の補正においてL-HW・M-HWともに効果がみられた。
著者
大西 広倫 美崎 定也 川崎 卓也 末永 達也 山本 尚史 木原 由希恵
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1552, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】 人は加齢により著しく平衡機能の低下が見られる。また,外乱刺激に対する反応の低下により高齢者は転倒しやすい傾向にある。臨床で腹腔内圧(腹圧)を高める事で,しばしばバランスの向上が見られる事がある。腹圧の維持・向上は体幹・腰部の安定性のみならず,四肢の運動機能に重要である。今回,高齢者を対象に簡便な方法として,腹圧へのアプローチが身体制御,平衡機能においてどのように影響を及ぼすのか,検討する事を目的とした。【方法】 対象は本研究に同意した当院関連施設デイサービスを利用している高齢者26名(年齢69.7±6.8歳)とした。今回,介護度としては要支援1から要介護2の方々を対象に男性19名,女性7名で脳血管障害20名,下肢整形外科疾患2名,その他4名であった。除外基準としては立位が著しく不安定、また10m以上の歩行が困難な者とした。検討項目としてはFunctional reach test(FRT),Timed up and go test(TUG)を用い,同一対象者で腹部ベルト装着あり・なしの条件下で測定しその差を検討した。腹部ベルト装着あり・なしの条件下で,Functional reach test(FRT),Timed up and go test(TUG)を測定しその差を検討した。FRTは,Duncanらの方法をもとに施行した。またTUGは,Podsiadloらの方法をもとに施行した。ベルトの装着位置においては,関らの方法を一部改定し,Jacob線直上の水平面上で,立位にて測定し,腹囲より5cm短い長さでベルトを装着した。ベルトは市販の4cm幅の物で,1cm間隔で目盛りを付けた。なお,測定はそれぞれ一回づつ,ランダムにて行った。統計解析はWilcoxonの符号付き順位検定を用い,有意水準5%とした。【結果】 両検査の測定値をベルト装着あり・なしの二条件間で比較した結果,FRTにおいては,ベルト装着ありで中央値(四分位範囲)22.1(17.3~30),装着なしで21.5(14~24.8)でありベルト装着の方が有意に大きかった(P<0.05)。TUGにおいては,ベルト装着ありで14.6(12.2~21.4),装着なしで16.3(12.1~25.7)であり,ベルト装着ありの方が,装着なしに比べ,有意に短かった(P<0.05)。【考察とまとめ】 今回,高齢者の腹部にベルトを装着する事で静的・動的バランス機能の向上が認められた。ベルトを使用する事で腹圧を高める,腹圧の上昇が腰椎を安定化させる事,また下部体幹の固定性が増す事が言われている。今回,静的・動的バランス機能の向上においては,腹腔内圧の上昇により,四肢の運動機能が高まった事が考えられる。腹圧を高め,バランス機能の向上を図る事は,ベルトを使う事で簡便にできる有用な手段の一つである。
著者
近藤 勲 河崎 雅人 山本 尚武 河原 美智子 平家 浩子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 24 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.327-328, 2000-07-29 (Released:2018-05-16)
参考文献数
1

視覚並びに聴覚サブリミナル効果の有無について検証するために,情動の変化を皮膚電気活動(EDA:Electrodermal Activity)並びに精神性発汗(Emotional Sweating)に変換して測定し、その結果をもとに検討した.標本には、映像情報としては,中性刺激と見なせる構成のビデオ映像約4.5分,及び7分間に恐怖心を惹起させると期待される画像を1/30秒間ランダムに14,及び26ヵ所に挿入し視聴させた.被験者は男女学生合わせて20名である.音声・音響情報としては,クラシック音楽に人間の声と動物の声を挿入したテープを20名の被験者に聴取させた.この結果,前者の被験者については,何らかの情動の変化が検出されが、後者の被験者については明確な変化は見られなかった.したがって,映像情報については、サブリミナル効果の存在を否定できないが、音声情報については判別できないという結果を得た.
著者
白井 喜代子 中村 隆夫 楠原 俊昌 山本 尚武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.179, pp.1-4, 2004-07-07
参考文献数
4

簡便な装置により無侵襲的な測定ができるという特長を持つインピーダンス法は,生体情報計測に適しており皮膚インピーダンスを用いた多くの応用計測がある.しかしながら,皮膚インピーダンスには個体差や部位差が存在し,これらは目的因子の変動と重なり評価を困難にしている.今回,応用計測を障害する個体差および部位差を較正するために,一般的なデータをもとに構築する皮膚インピーダンスの標準化モデルを提案した.各パラメータにおいて測定値とモデル皮膚インピーダンス値との相関は高かった.また,規格化皮膚インピーダンス値の変動係数は測定値の変動係数の約60%に減少し,本法の妥当性を確認できた.生体情報計測に標準化モデルを活用することは,測定値そのもので評価する方法と比較し診断精度は高く,今後の応用計測に有用と考えられる.