著者
山本 千夏
出版者
富山医科薬科大学
巻号頁・発行日
1997-09-03

心疾患および脳疾患は日本人の死因別死亡率において2位および3位を占めるだけでなく,その死亡率の合計は第1位の悪性新生物を上回り,公衆衛生学上においても重要な問題となっている。この2つの死因の中では心筋梗塞および脳梗塞が大きな比率を占めている。これらは発症部位は異なるがどちらも血管内の血栓形成を伴う疾患で死亡率だけでなく,罷患率の面からも近年注目されている。動脈硬化症および高血圧症は互いに危険因子であり,心筋梗塞および脳梗塞の基礎疾患として重要である。動脈硬化病変は一般的には血管内膜における血管平滑筋細胞の増殖,血管内および血管組織内血液凝固血管内皮傷害などの所見を呈する血管病変である。すなわち,動脈硬化巣内には結合組織に被覆された血管平滑筋細胞,マクロファージ,Tリンパ球の浸潤および壊死像,脂肪蓄積や血栓が一般的に観察される(Moore, 1981 ; Wight, 1989; Srnall, 1988)。Rossらはこのような変化を内皮傷害に対する動脈壁の反応として考え,傷害反応仮説としてまとめている(Ross, 1993)。それによると,血管内皮細胞の機能障害が生じると内皮細胞のターンオーバーの充進や内皮下組織への単球の侵入が起こる。内膜に侵入した単球はマクロファージへと分化し,変性した脂質を取り込んで泡沫化し,血管平滑筋細胞に対する遊走・増殖因子である血小板由来増殖因子(PDGF)(Ross, 1990)などの増殖因子を放出し,平滑筋細胞の内膜への遊走と増殖を促進する。さらに,血管内皮細胞が剥離するような傷害が加わると血管壁の抗血栓性が失われ,血小板の活性化作用を有する内皮下組織が血液と直接接することによって血小板の粘着・凝集が起こり,このとき血小板からPDGFを初めとする平滑筋細胞遊走・増殖因子が大量に放出され,血管平滑筋細胞の内膜への遊走および増殖が加速されて血管内膜の肥厚斑が形成される。従って,動脈硬化病変の発症の理解には,その初期段階としての内皮細胞機能障害の解明が不可欠である。血管は内腔を一層に覆う血管内皮細胞,中膜を構成する血管平滑筋細胞および外膜の線維芽細胞から成り,それぞれが機能を発現している‘生きた組織'である。近年,血管内皮細胞が血液成分と内皮下組織との接触を妨げる障壁として存在しているだけでなく,様々な因子を産生・放出し,血管と血液の恒常性維持に寄与していることが明らかになってきた。血管内皮細胞は,一酸化窒素を本体とする内皮細胞由来弛緩因子(Palmer et al., 1987)および持続的血管収縮因子であるエンドセリン(Yanagisawa et al ., 1988) を産生・放出し,血管のトーヌスの調節に積極的に関与している。また,血管内腔は抗血栓性を維持しており,血液が非常に凝固し易いものであるにもかかわらず通常血管内では凝固しないが,ひとたび血管内皮細胞が傷害を受けたときは速やかに血液凝固によって止血され,血管は修復される。このとき,不必要な血栓は線溶系によって除去される。このような血液の凝固・線溶を通じた血管の恒常性の維持は血管内皮細胞によって巧妙に調節されている。血管内皮細胞による血液凝固の調節は,血小板凝集抑制作用を有するプロスタサイクリン(Moncada and Vane, 1979)およびヘパリン様活性を有するヘパラン硫酸(Shimada et al., 1985 : Marcum et al ., 1986) の産生・放出,ならびにトロンピンの凝固活性を抑制し, 抗凝固活性へ転換するトロンボモジュリン(Esmon and Owen, 1981 ;Maruyama et al., 1984)の保持によって行われるのに対し,線溶系の調節は組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA) (Levin and Loskutoff, 1982)およびその阻害因子であるプラスミノーゲンアクチベーターインヒピタ-1(PAI-1) (Mourik et al ., 1984 ; Gelehrter and Sznycer-Laszuk , 1986)の2つの因子のバランスによって調節されている。PAI-1は液相中に放出されるとそのほとんどがすぐに不活性型PAI-1 となり活性型PAI-1のみがt-PAと結合して不活性型複合体を形成する(Levin, 1986)。t-PAの他に,ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(u-PA)も内皮細胞によって産生・放出されt-PAと同様の活性を示すが,u-PA がフイプリン親和性をほとんど示さないのに対し,t-PA はフイプリンと高い親和性を有し,しかもフイプリンと結合することで活性が増強される(Hoylaerts et al., 1982 ; Ranby, 1982)ことから,t- PAと活性型PAI-1のバランスが血管内の線溶調節に重要であるとされる。血管内皮細胞だけでなく血管平滑筋細胞および線維芽細胞もまたt-PAおよびPAI-1産生能を有しており(Herbert et al. , 1994; Wojta et al., 1993 ; Hola et al., 1983),血管内皮細胞層の傷害時あるいは血管の破綻時に内皮下組織が血液と接したときの線溶調節に関与していると考えられている。ところで重金属と血管病変との関連については,古くから多くの報告があるが一連の報告にはふたつの特徴があった。第一は,動脈硬化を含む血管病変を引き起こすとされる重金属として,カドミウムおよび鉛が特に多く報告されてきたことである。例えば,疫学的にカドミウムの汚染地区に動脈硬化発症率が高く(Houtman, 1993),血管病変と環境カドミウム曝露には関係が見出され,(Carroll, 1966 ; Engvan and Perk, 1985) 鉛についても高血圧症との関係が(Menditto et al., 1994)が報告されている。また,動物実験において,カドミウムおよび鉛は動脈硬化および高血圧を誘発する(Revis et al ., 1981 ; Schroeder and Vinton, 1962 ; Perry et al ., 1983 ; Perry et al ., 1988 ; Chai and Webb, 1988 ; Lal et a1 ., 1991)という。しかしながら第二の特徴は,このように血管病変を引き起こすとされるカドミウムおよび鉛の細胞レベルでの毒性発現機序はまったく不明であったことである。血管内皮細胞の機能障害が血管病変の発症・進展に重要であること,また動脈硬化病変を含む血管病変は一般に凝固促進性あるいは線溶活性の低下の結果と考えられる血栓形成性を伴うことから,内皮細胞が介在する線溶調節に対するカドミウムおよび鉛の毒性発現を明らかにする必要がある。本研究の目的は,カドミウムおよび鉛に曝露した血管内皮細胞からの線溶蛋白の産生・放出の変化およびその結果生じる液相の線溶活性の変化を細胞培養系を用いて検討することによって,内皮細胞が調節する線溶系に対するこれら重金属の毒性発現を明らかにし,これらの重金属による血管病変の誘発機構の理解に寄与することである。さらに,血管内皮細胞の傷害時に線溶調節を行うとされる血管平滑筋細胞および線維芽細胞についても同様の検討を行い,血液線溶調節を行う血管構成細胞に対するカドミウムおよび鉛の毒性発現様式とこれらの重金属に対する各細胞種の応答様式を明らかにすることである。
著者
山本 浩之 岡田 隆 永井 朗 西田 綾子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.10, pp.1771-1773, 1988-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14

Some Trichoptera, so-called net spinning caddis, eject the contents of their silkglands to build a nest for protecting themselves in a rapid stream. The adhesive protein formed by caddis worm Stenopsyche griseipennis McLachlan has been studied to obtain some basic knowledges such as the preparation of fibroin solution, the amino acid analysis, and the bonding strengths on test pieces. The protein was found to have the tensile strengths of the highest 14 kg/cm2 on iron and 7 kg/cm2 on pig bone, and the highest compressive shear strength 12kg/cm2 on iron.A discuss ion is presented that includes results of the bonding strengths of Bombyx mori fibroin.
著者
保坂 茂 山本 碧 斉藤 竜也 大島 新司 大嶋 繁 大島 公恵 久津間 信明 本間 精一 小林 大介
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.64-70, 2013 (Released:2013-09-05)
参考文献数
14

Objective: In this study, we evaluated distinctive types of physical predisposition in patients with common side effects.Method: We selected 500 and 1,200 individuals with and without a previous diagnosis of side effects, respectively, through web-based research.  Then, we conducted a decision tree analysis for investigating the status of 100 types of physical predisposition in these individuals.Results and Conclusion: The individuals who had suffered from hepatic disorder and answered “relevant” for “predisposition to swelling” (likelihood ratio of a positive result [LR+] 2.17; p=0.004) and “very relevant” for “predisposition to skin dryness” (LR+ 3.52; p<0.001) enhanced the probability of extracting individuals who developed side effects.  The individuals who had suffered from skin disorder and answered “relevant” for “predisposition to eczema and inflammation” and “not relevant” for “predisposition to higher temperature” had an LR+ of 2.22 (p<0.001).  The individuals with “predisposition to worsening of physical condition on a rainy or high-humidity day” are more likely to develop side effects with the use of antibiotics and NSAIDs, compared to those without this predisposition (antibiotics: LR+ 2.33; NSAIDs: LR+ 2.51).  The results of this study indicate that we can identify patients with a high risk of side effects through an interview on predisposition.
著者
松井 亮太 稲木 紀幸 能登 恵理 山本 大輔 伴登 宏行
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.131-139, 2018 (Released:2018-08-23)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】周術期歩行数が臨床結果に及ぼす影響を検討した.【方法】対象は当院で大腸手術が行われた97 例とし,術後1 週間までに3,000 歩/ 日が未達成な場合を歩行不良と定義した.短期的アウトカムは術後入院期間,術後合併症,歩行不良にかかわる因子を,長期的アウトカムは術後半年までの筋肉量減少率を検討した.【結果】全97 例中,28 例(28.9%)が歩行不良だった.患者背景では歩行不良群で直腸切除が多く(P=0.084),貧血が有意に多かった(P=0.013).歩行不良群で入院期間が有意に長く(P<0.001),術後合併症が有意に多かった(P=0.003).歩行不良因子についてロジスティック回帰分析を行うと,術後合併症(OR:28.1,95% CI:1.88-419.6),術前歩数3,000 歩/ 日未満(OR:29.9,95% CI:2.28-394.5)で有意差を認めた.術後半年までの筋肉量減少率は有意差を認めなかった(P=0.468).【結語】歩行不良は入院期間を長期化させた.術前歩数3,000 歩/ 日未満,術後合併症は歩行不良にかかわり,リハの早期介入や単位数を増加すべき予測因子と考えられた.
著者
神山 真一 栗川 尚暉 山本 智一 稲垣 成哲
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.175-180, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
参考文献数
15

本研究の目的は,教員志望の大学生対象にアーギュメントを理科授業に導入するための指導能力育成プログラム(神山・山本・稲垣,2019)を,対象学生らのアーギュメント構成能力に着目して評価することである。プログラムは,山本・神山(2017)に基づいて行い,受講前後にアーギュメント構成課題を実施した.その結果,対象学生のアーギュメント構成能力は向上し,本プログラムの有効性が明らかになった。
著者
中川 朋美 山本 圭彦 坂光 徹彦 堀内 賢 林下 智惠 福原 千史 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0352, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】 我々は円背姿勢に対する背筋エクササイズ(以下、Ex)として、腹臥位での上体反らし運動を行ってきた。しかし、この運動が十分に行えない高齢者も多い。本研究の目的は椅座位で行えるExを実施し、円背姿勢が変化するかを検討することで、このような方法が運動療法として有効であるかを確認することである。【方法】 対象は本研究の趣旨に賛同が得られた外来通院中の女性患者26名とし、明らかに座位姿勢で円背が認められる円背群13名と、円背を認めない非円背群13名に分けた。平均年齢は円背群で80.3歳、非円背群で74.3歳、平均身長は円背群で148.1cm、非円背群で148.8cmだった。Exは両上肢を大腿部の上に置き、上肢で支えながら円背をできるだけ修正させた姿勢(修正椅座位)を10分間保持させた。その際、なるべく上肢に頼らないよう指示した。Ex前に安静椅座位と修正椅座位での座高と脊柱の彎曲角度を、Ex後に安静椅座位での座高と脊柱の彎曲の角度を測定した。座高はメジャーで、脊柱彎曲はSpinal Mouse(Idiag AG,Switzerland)を用いて測定し、Th1~S1の各椎体間がなす角度の和を算出した。【結果】 円背群のEx前の座高の平均(±SD)は73.8±2.5cm、非円背群は75.6±1.7cm、円背群の脊柱全体の彎曲角度は66.5±17.5°、非円背群は22.3±12.4°であった。円背群の修正椅座位での座高は79.7±1.3cm、非円背群は77.9±1.6cm、円背群の脊柱全体の彎曲角度は29.5±7.5°、非円背群は14.2±9.7°であった。修正椅座位での円背群の座高は安静座位に比べて平均5.9±2.3cm増加し(p<0.01)、非円背群は2.3±1.5cm増加した(p<0.01)。円背群の脊柱の彎曲角度は-33.8±18.7°(p<0.01)、非円背群は-8.8±10.6°(p<0.01)の減少がみられた。座高の変化と脊柱の彎曲角度の変化量に有意な相関が認められた(r=0.42,p<0.05)。Ex後に、座高は平均1.2±0.8cm増加し、脊柱の彎曲角度は-6.2±0.7°になりEx前とEx後の間に有意差が認められた(p<0.05)。【考察】 円背姿勢は骨自体の変形、靭帯や関節包などの静的支持組織の変化、脊柱起立筋などの動的支持組織の弱化など様々な因子が影響している(金子,2005)。今回Ex後に円背姿勢が改善したことから、静的支持組織を補助するだけの背筋筋力が向上すれば円背姿勢を修正できる可能性があると考え、座位でのExも円背姿勢の改善に対し有効であるとことが推測された。しかし、この効果が持続するかを検証することが必要である。【まとめ】 今回、椅座位にて簡便に行えるEx方法を実施し円背姿勢の改善効果を検討した。Ex後は座高が高くなり、円背姿勢の改善効果があると考えられた。
著者
高林 範子 山本 真代 小野 光貴 渡辺 富夫 石井 裕
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.112-123, 2016-06-20 (Released:2016-07-14)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

表情の中の微笑みや視線などの非言語メッセージは,看護コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしている.これまで,アバタを介した看護コミュニケーション教育支援システムを開発したが,アバタの視線や表情に関する表現性の課題が残された.本論文では,アバタに微笑みと眼球動作モデルを付加した看護コミュニケーション教育支援システムを開発し,システムの活用可能性を検証する目的で,ロールプレイングによるコミュニケーション実験を行った.実験用のシステムモードとして【A:真顔のみ】,【B:微笑み+眼球動作無し】,【C:微笑み+眼球動作有り】の3つのモードを用意した.実験の結果,システムのモードとしては,微笑みと眼球動作のあるCモードが最も高く評価された.自由記述においてもコミュニケーション時の表情や視線が与える効果に気づく意見が多くみられ,本システムによる看護コミュニケーション教育支援の有効性が示された.
著者
山本 真理
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.139-159, 2013-09-30 (Released:2017-05-02)

本研究では,物語の語りにおいて参与者が行う,物語の登場人物の声として聞かれる発話を「セリフ発話」と呼ぶ。本稿では,そのうち物語の内容を知らないはずの「受け手」が「セリフ発話」で参入する現象に焦点を当て,これらが物語を語る活動においてどのような機能を果たしているのかを相互行為分析の枠組みを用いて分析する.分析を通して,セリフ発話による受け手の参入が,極めて的確に語り手の物語を理解していることを示す一つの方法になっていることがわかった.その時,受け手は語り手の発話や身体的動作に敏感に反応することにより,適切な参入を実現し,語り手の描写の焦点を再構成していた,それは物語の構築における受け手の積極的な貢献であり,物語の構築が相互行為的に達成されていることを示す一つの証拠となる.更に,セリフ発話から開始される連鎖についても分析を行う。
著者
山本 晃輔 ヤマモト コウスケ Kohsuke YAMAMOTO
雑誌
大阪産業大学人間環境論集
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-12, 2014-04

The present study examined how verbal information affects odor cued autobiographical remembering. In experiment 1, fifty-one participants completed the Memory Characteristics Questionnaire (MCQ; Johnson, Foley, Suengas, & Ray, 1988) after remembering memories cued by odors. Familiar odor cues were used that represented orthogonal combinations of high and low rates of naming, and with and without verbal labels. Results showed that autobiographical memories cued by odor without verbal labels were more vivid than memories cued by ones with verbal labels under conditions of low rate of the naming. In order to verify the results of experiment 1, forty participants were closely investigated in experiment 2. The results showed that memories cued by odors with a high rate of naming were faster and more vivid than memories with a low rate. Similarly, memories cued by odor with verbal labels were faster and more vivid than without. These findings suggest that verbal information plays a significant role in odor-cued autobiographical remembering.
著者
小長谷康治 山本晋一郎 大久保弘崇 粕谷英人
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.339-340, 2012-03-06

コードスケールシステムはポピュラー音楽における楽曲分析の基礎であり,コードに対して使うことのできるスケールを対応させる手法である.このシステムは1970年代から広く使われていて,今日のポピュラー音楽で一般的に受け入れられている.コードスケールシステムに基づいた楽曲分析システムは存在しているが,より高い拡張性・保守性のあるものが求められている.本研究では関数型言語に着目し,宣言的なシステムを実装することを考える.実装にはHaskellを用い,コード,スケールや音程などの分析に必要な音楽理論を利用しやすい形で実装し,高い拡張性や保守性を目指した.

1 0 0 0 嚢物教科書

著者
山本嘉兵衛 赤沼八重子共著
出版者
倉持出版部
巻号頁・発行日
1912

1 0 0 0 OA 嚢物教科書

著者
山本嘉兵衛, 赤沼八重子 著
出版者
元々堂
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1909
著者
山本 幹雄 貞光 九月 三品 拓也
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.104(2003-SLP-048), pp.29-34, 2003-10-17

混合ディレクレ分布を多項分布パラメータの事前分布とした(合成分布は混合Polya分布)、文脈/文書の確率モデルを検討する。本稿では、混合ディレクレ分布のパラメータおよび適応時に必要な事後分布の期待値推定方法をいくつか述べ、動的に適応する?textit{n}gram言語モデルを用いた実験で確率的LSAのベイズ的な発展モデルとの比較を示す。混合ディレクレ分布や混合Polya分布は他のベイズ的な文脈モデルに比べて単純なので、予測分布を閉じた式で導出可能である。これは、Latent Dirichlet Allocation (LDA)のような他のベイズ的なモデルがいずれも予測分布の推定に近似を必要とする点と比べて、大きな優位性といえる。実験では、混合ディレクレ分布を用いたモデルが低い混合数で比較モデルよりも低いパープレキシティを達成できることを示す。
著者
岡田 真幸 鵜山 淳 岡村 有祐 三宅 茂 寺薗 貴浩 山本 一宏 髙石 吉將 近藤 威
出版者
医学書院
雑誌
Neurological Surgery 脳神経外科 (ISSN:03012603)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.799-804, 2019-07-10

Ⅰ.はじめに 頚部の外傷が原因で動脈解離や動脈瘤形成などの血管損傷を来すことはよく知られている5,14,22,27).内頚動脈系・椎骨動脈系の損傷は脳虚血症状を引き起こすため,脳神経外科医が治療を担うことが多い.外頚動脈の動脈瘤形成の多くは仮性動脈瘤であり,脳への血行動態に影響を及ぼさず,有痛性(ときには無痛性)の腫瘤で発症し,出血破綻の程度によっては出血性ショックや気道閉塞に至る15,24,25).過去には,原因不明の頚部腫瘤としてドレナージや生検を試みて大出血を来したことが報告されている20,21).一方で,特発性とされるものの中に出血のない真性の動脈瘤も含まれているようで,長期間経過観察のみで何ら病状の進行がなかったとの報告2,11)も散見され,症状が進行性であるかどうかを見極める必要がある. 形成外科,耳鼻科,血管外科などで治療されることが多いが,アテローム性頚部頚動脈疾患を治療する機会の多い脳神経外科医にとっては日常よく経験している手術領域であり,直達術あるいは血管内治療のどちらの治療法にも熟達していることにより,症例ごとに適切な治療の選択が可能である.今回われわれは,脳神経外科医にとっては遭遇する機会の少ない,頚部外頚動脈仮性動脈瘤を直達術にて治療したので,文献的考察を加えて報告する.
著者
山本 尚司 赤木 家康
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C1000, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】足部のアライメント評価として、下腿と踵の肢位関係をみるLeg-Heel angIe(以下LH-A)と、踵の鉛直垂線からの変位をみるCalcaneus ang1e(以下C-A)がある。これらの後足部の評価は、足底板などによる下肢荷重連鎖へのアプローチに際して重要な指標となる。今回、LH-AとC-Aの関係性について分析し、内外側Heel-Wedge(以下M・L-HW)の後足部アライメントにおよぼす影響について報告する。【方法】後足部アライメントの基礎データは、健常成人17名34肢(男性8名、女性9名、平均年令20.12±11.1才)にて行った。足部評価は、シンワ社製Dial S1ant Ru1esを使い、立位安静位にてC-Aと下腿傾斜角を測定し、LH-Aを算出した。また、膝関節障害患者5名10足(変形性膝関節症4名、膝蓋骨亜脱臼1名)を対象に、HWによる踵骨内外反位の補正効果を調査した。測定はフルインソール上での安静立位から、暑さ2mmのEVAパッドを踵底部の内外側に随時1~2枚挿入し、後足部のアライメント変化を検討した。【結果】LH-Aにおいては1肢を除く33肢が外反位であり、C-Aの打ち分けは20肢が内反位、11肢が外反位、2肢が中間位であった。C-Aの内外反とLH-Aの内外反角度に高い相関がみられ(右足r=0.78、左足r=0.68)、C-Aがより外反位になればLH-Aも外反位になる傾向がみられた。膝関節障害患者5名のうち4名7足のC-Aが内反位であり1名2足が外反位であった。外反位の1名においてはM-HW2mmにて、内反位4足はL-HW、内反位3足はM-HWにて、補正効果がみられた。【考察】後足部アライメント評価であるLH-AとC-Aは、関節肢位と鉛直垂線からの変位という異なった指標からの評価であり、併せて評価していくことで足部アライメントと姿勢制御の関係についての示唆を与えてくれるものと思われる。横江によると、起立時のLH-Aは、歩行時、ランニング時の動きと高い相関があることを報告しており、足底板の作成などにおける評価として有用であると考えられる。また、今回の結果からLH-AはC-Aとの相関が高いことからも、重力線との関係を考えるうえではC-Aを指標としてHWで対処することは有効であろう。しかしながら、同一被験者であっても左右差、およびC-AとLH-Aの関係は画一的ではなく、踵骨内外反を正中化させるためのHWも多様であるため、臨床においては姿勢制御といった観点から個別に対処していかなければいけないものと思われる。【まとめ】1.後足部アライメント評価としてC-AとLH-Aの関係性を検討した。2.C-AとLH-Aの内外反に相関がみられた。3.HWによる後足部アライメントの変化を膝関節障害患者にて検討した。4.踵骨内反位の補正においてL-HW・M-HWともに効果がみられた。
著者
中田 加奈子 池田 耕二 山本 秀美
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会 第51回近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.66, 2011 (Released:2011-10-12)

【はじめに】 高齢化社会を迎えた日本には認知症患者が200万人以上いるといわれており、理学療法の必要性は増している。その一方で認知症患者の理学療法は拒否や暴言、暴力等が原因で困難となる場合も多く、接し方や環境設定など様々な工夫が必要とされる。そのため臨床では症例ごとに理学療法における工夫やその効果を検討することが必要となる。 今回、強い拒否や暴言、暴力等が認められ、理学療法を進めていくことが困難であった2症例を経験したので考察を加え報告する。 【症例紹介】 症例1:60代、男性、診断名は多発性脳梗塞であった。コミュニケーションは困難であり長谷川式簡易知能評価スケール(以下、HDS-R)の測定は不可能であった。身体機能としては四肢に運動障害、中等度の関節可動域制限が認められ、基本動作は全て全介助であった。理学療法は基本動作の維持・向上を目的に進めたが、本症例は理学療法開始当初から拒否が強く、暴言、暴力があり関節可動域運動や基本動作練習は困難であった。そこで、家族にも理学療法への参加を促す、時間帯を変える、ときには担当以外の理学療法士(以下、PT)が実施するなどの工夫を取り入れた。しかし、大きな改善は認めなかったため、次はPT2人が同時に関わっていくことにした。具体的には1人は話しかけながら暴力を抑え、もう1人は関節可動域運動、端坐位練習を行い毎日関わり続けた。その結果、拒否や暴力は徐々に軽減するようになり理学療法を進めることができた。 症例2 :80代、男性、診断名は右大腿骨転子間骨折術後であった。コミュニケーションは困難でありHDS-Rの測定は不可能であった。しかし、発話内容からは病識の欠如、理解力の低下等があると考えられた。理学療法はトイレ動作の獲得を目的に進めた。理学療法開始当初、起き上りは全介助、端坐位保持は見守りにて可能であり拒否は見られなかった。しかし立位練習を始める頃から強い拒否がみられ始めた。そのため家族・他のスタッフと一緒に理学療法を促したが、大声で叫ぶ、唾を吐く、蹴るなどの暴力や拒否は続いた。そこで、家族の承諾のもと強く促しながら全介助にて端坐位や移乗練習を行った。その結果、徐々にトイレ時に自発動作が見られるようになったため、トイレ時に合わせて理学療法を行うようにした。1か月後、拒否は少なくなり、基本動作やトイレ動作等も見守りにて可能となった。 【考察】 一般的に強い拒否や暴言、暴力などがみられる認知症患者の理学療法は進めることが難しいとされている。その場合、説明をゆっくり繰り返すや暴力行為の背景を探っていく等が必要といわれているが、現実はうまくいくとは限らない。そのため現場では経験から患者に合わせて対応しているというのが現状である。したがって認知症患者に対する理学療法では症例ごとにアプローチを考え実践し、それらを検証していくことが必要といえる。 症例1では、暴力がみられる患者に対して1人のPTが抑えつつ、もう1人のPTが理学療法を実践するという形で行った。一般的に介助が大変な症例に対してPT2人が関わることは臨床ではよくあることだが、今回はPT2人が、それぞれの役割を分担したうえで同時に協力して介入した。ただし暴力を抑えるといっても力任せに抑え込むというのではなく、話しかけながらなだめる、あるいはPTに被害がでない範囲で抑えるといった感じである。その結果、理学療法が実施できるようになり坐位練習が継続できた。本経験を通して、PT2人が同時に関わるということは、暴力を抑えることができる点だけではなく、介入がスムーズにできるという点や認知症患者の評価やゴール設定を多角的に検討できるという点においても有効であると考えられた。 一方、症例2では家族承諾のもと、強い促しと自発動作に合わせた理学療法を行った。その結果、理学療法は進み患者の基本動作等は向上した。本経験からは、様々な介入を行っても改善がみられないときは、家族承諾のもと強く促す理学療法もときには有効ではないかと考えられた。ただし強い促しは人権侵害や逆効果にもなりえることから、実践で用いるときは慎重に対応すべき問題とも考えられた。今後はさらに認知症患者に対する介入方法を事例ごとに検証し、エビデンスの構築、確立へと向けていきたい。 【理学療法研究としての意義】 本研究からは、拒否が強くみられる認知症患者の理学療法では「PT2人が同時に関わる」や「強く促す、自発動作に合わせる」といった介入が効果的であるということが示唆された。認知症患者の症状は複雑であり理学療法を行う上で多様な工夫や手段が必要であることから、それらを提示できた本研究は意義あるものと考えられる。