著者
山本 晃之 根岸 健一 木下 果鈴 福井 絢子 上村 直樹 青山 隆夫
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.20-26, 2019-05-31 (Released:2019-06-21)
参考文献数
7

Objective: It has been recognized that most medical institutions preferred the printed medium for their information sheets for patient education of inhaler usage. However, some questions have arisen. In a case where patients are not sufficiently informed of drug administration guidance due to limited information with only pictures and text, they might not be able to obtain a proper understanding. Contrarily, it is assumed that video medium, with audio and visual elements, is a format for education conveying a larger amount of information. We conducted comparative research regarding patient’s degree of understanding of inhalation guidance, comparing two groups of print- and video-medium-based instructions for inhaler usage and examined how effective two types of media explanations were on patients.Methods: Research participants were thirty persons visiting Jinjo Pharmacy, who were randomly assigned to the print medium group and the video medium group. After one group read and saw an explanation sheet of an inhaler where the maker wrote inhalation instructions and the other group watched an instruction video, the two groups practiced inhaler usage. Evaluation was performed with specified items and comprehensive assessment, and in addition, the time required for inhalation was measured.Results: Score of the evaluation score was statistically significantly higher in the video medium group than in the print medium group in score of specified items and score of comprehensive assessment, and was also significantly shorter in the operation time of the inhaler.Conclusion: This study clarified that the video medium group had fewer improper inhalation occurrences and shorter operation time and, therefore, showed the effectiveness of the video medium. It is recommended that the video medium should be actively utilized,which could improve patient medication adherence. Accessibility is required for patient education to achieve inhaler techniques by watching video-based instruction.
著者
稲垣 大輔 長谷川 慎一 吉田 達也 大佛 智彦 米山 克也 笠原 彰夫 山本 裕司
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.141-147, 2010-02-01 (Released:2011-12-27)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

はじめに:高齢者大腸癌症例の術後合併症のリスク因子を検討して,手術リスク評価法であるEstimation of Physiologic Ability and Surgical Stress(以下,E-PASS)の高齢者大腸癌に対する有用性の評価を行う.方法:2002年から2007年まで,当院において原発巣を切除した大腸癌の75歳以上82症例の臨床病理組織学的因子と術後合併症を検討した.E-PASSの術前リスクスコア(PRS),手術侵襲スコア(SSS),総合リスクスコア(CRS)を算出し,術後合併症とE-PASSとの関連を検討した.結果:術後合併症は36症例(43.9%)に発生した.合併症非発生群(A群)と発生群(B群)に分類した.PRS, SSS, CRSはすべてB群において有意に高値で,またB群にはCRS 0.5以上の症例が有意に多かった.腸管穿孔,低栄養,PS 2または3, ASA分類3または4の症例はB群に有意に多く認めた.多変量解析の結果,CRS 0.5以上が術後合併症発生に関する独立したリスク因子として選択された.考察:E-PASSは高齢者大腸癌症例に対するリスク評価法として有用であると考えられた.
著者
山本 敏幸 渡邉 正樹 館 宜伸 林 康弘
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-9, 2019-03-31

現在の大学ではシラバスに基づいて展開されるLMSが一般的に使われている。受講生はパソコンやスマートフォンを活用して、授業内外で卒業単位を取得できる科目領域について学べる仕組みが普及している。これは、これまでの教育パラダイムの中で、ICTが付加的に利用されている学びの形態で、依然として、大人数クラスであれ、少人数クラスであれ、直接面接型の教育が主体的であり、その補完的役割を担っている。このような形態の教育を継続するだけでは、2045年のシンギュラリティの年には、Oxford大学が予測するように市場の47%の業務がAIやロボットに奪われてしまうことになってしまう。この状況を打開すべく、ここでは、21世紀スキルの必須項目である、協働型学習やグローバルなチームでのAGILEな学びをも包含する学習環境のデザイン・設計を研究領域としてクリティカル・シンキング&クリエイティブ・シンキングを展開し、未来型学習環境の提案をおこなう。学習環境の開発はすでにCOILの授業でAGILEラーニングの実装および検証をおこなっている。
著者
平沢 良和 山本 浩基 上野 順也 尾崎 泰 藤盛 嵩浩 好井 覚
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CbPI1211, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】異所性骨化とは、通常骨化の起こらない組織に新生骨が発生する異常骨化現象である。整形外科やリハビリテーションの領域では、外傷後の拘縮した筋に関節可動域(Range of Motion;ROM)改善のための強制的外力が過度に加わった時に生じる化骨性筋炎として経験的に知られている。異所性骨化を併発すると、一旦運動療法を中止して局所の安静を図る必要があり、ROM制限の原因となることが多い。しかし、異所性骨化の診断には一般的に単純X線検査が用いられるため、X線像では軟部組織の評価は困難であり、異所性骨化がROMに及ぼす病態について不明である。今回、我々は異所性骨化を合併した大腿骨顆上骨折に対し、超音波検査(Ultrasonography;US)を行い、運動療法を継続した結果、正座が可能となるまで回復した症例を経験した。本研究の目的は、今回実施したUSでの異所性骨化の経時的変化について報告することである。【方法】対象は右大腿骨顆上骨折(AO/ASIF分類C1型)と診断された60歳代女性である。観血的整復内固定術(Zimmer NCB distal femoral plating system)後、膝蓋骨上内方に認めた腫瘤に対しUSを実施した。USにはGEヘルスケア社製LOGIQ9および10MHzリニアプローブを使用した。測定肢位は端坐位とし、測定部位は膝蓋骨直上から大腿骨長軸に近位へ5cm、内側へ3cmの部位で、腫瘤がプローブの中心となるように長軸走査を行った。大腿骨が鮮明に描出されるようにプローブの角度を調整し、膝関節屈曲-伸展の自動運動時の動態を撮像した。撮像した動画より腫瘤部の動態について定性的に観察を行った。測定は術後1ヵ月、術後2ヶ月、術後3ヵ月、術後7ヵ月に実施した。【説明と同意】対象には本研究の趣旨を説明し同意を得た上で実施した。【結果】術後1ヵ月のUSでは、腫瘤は高エコー像と低エコー像が混在する血腫であり大腿四頭筋との癒着を認めた。また血腫内部には音響陰影を伴う高輝度エコー像を認め、膝関節屈曲-伸展に応じて可動性を有していた。術後2ヵ月のUSでは血腫は骨化し、大腿骨との連続性を認めた。血腫と大腿四頭筋との癒着は剥離され、大腿四頭筋の滑走を認めていた。術後3ヵ月、術後7カ月のUSでは異所性骨化は経時的に縮小していた。【考察】異所性骨化の発生過程において、NicholasまたはKewalramaniらが述べる急性期の段階では、X線像での骨化は陰性であり、局所の腫脹、発赤、熱感やROM制限などの理学所見と、赤血球沈降速度、アルカリホスファターゼやクレアチニンホスホキナーゼなどの血液データが早期診断の指標となる。本症例では、局所の腫脹、熱感やROM制限を呈し、膝関節屈曲時に疼痛を認めたが、血液データによる評価は行われていなかった。後方視的にX線像を精査すると、術後1ヵ月の時点でわずかではあるが腫瘤部に仮骨形成を認めており、USでも血腫内部に仮骨と思われる音響陰影を伴う高輝度エコー像を認めた。しかし、当時はUSでの異所性骨化の動態に関する報告がなく、術後1ヵ月の時点では異所性骨化と判断できず、血腫が大腿四頭筋に癒着したものと考え、癒着剥離目的に大腿四頭筋の滑走を主眼とした膝関節屈曲-伸展の自動運動を継続した。術後2ヵ月のX線像では異所性骨化の形成を確認できたが、USでは大腿四頭筋と異所性骨化の癒着は剥離されており、また熱感や疼痛は消失しROMも拡大傾向であったため運動療法を継続した。機械的刺激が骨形成を促進すると考えられるため、異所性骨化の発生部位が関節運動により機械的刺激が加わるかどうかの判断が重要となる。術後1ヵ月では、仮骨を含む血腫は大腿四頭筋に癒着しており関節運動に伴い機械的刺激が加わり、骨形成を促進した可能性がある。術後2ヵ月では、X線像では異所性骨化を呈していたが、USでは大腿四頭筋などの軟部組織外に異所性骨化を認め、機械的刺激が加わらないと判断し、通常の大腿骨顆上骨折の運動療法を継続した。異所性骨化は経時的に吸収され術後1年のX線像では消失しており、運動療法を継続することで増悪することはなかった。本症例のX線像での異所性骨化は、USではKewalramaniが述べるcontiguous to boneであり、運動療法を継続することに問題はなかったと考える。【理学療法学研究としての意義】USでは軟部組織の動態観察が可能であり、異所性骨化の早期発見および発生部位を把握する上で非常に有用である。X線像だけで運動療法の中止を判断するのではなく、USにて異所性骨化の関節運動に伴う動態を判断した上で運動療法の適否を決定する必要がある。
著者
蒔田 直輝 尾原 知行 永金 義成 村西 学 田邑 愛子 武澤 秀理 小泉 崇 山本 康正
出版者
京都第二赤十字病院
雑誌
京都第二赤十字病院医学雑誌 = Medical journal of Kyoto Second Red Cross Hospital (ISSN:03894908)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.113-117, 2011-12

症例は37歳の女性。突然左頸部から肩にかけて痛みが出現し、その数日後から喉頭の違和感、ものの飲み込みにくさが出現し声が嗄れるようになった。発声は鼻声、嗄声を認めた。発声の持続は5秒程度と障害されていた。左軟口蓋挙上不良、左咽頭感覚低下、咽頭反射低下、左声帯傍正中固定を認め、左舌咽神経および迷走神経の障害が考えられた。血液検査、髄液検査は正常、ヘルペスのウイルス抗体価は既感染パターンであった。頭部MRIガドリニウム造影で左舌咽・迷走神経の走行と一致する部位に造影効果を認めた。Bell麻痺で顔面神経の造影効果がみられる報告があり、類似のメカニズムで、何らかの炎症性ニューロパチーが考えられた。ステロイドパルスと後療法により、いずれの症状も完全に改善した。また頭部MRIで造影されていた左舌咽・迷走神経の造影効果も消失した。下部脳神経麻痺の鑑別に、造影MRIが有用である。
著者
三代 康雄 北原 糺 山本 佳史 久保 武
出版者
JAPAN SOCIETY FOR HEAD AND NECK SURGERY
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.315-318, 2005-02-05 (Released:2010-07-27)
参考文献数
9

慢性穿孔性中耳炎を伴う内頸動脈鼓室内露出症例について報告する。症例は58歳女性で,右難聴と耳鳴を主訴に当科を紹介受診した。右鼓膜は大穿孔を認め,,鼓室前方に拍動する腫瘤を認めた。内頸動脈鼓室内露出が疑われ,平成13年3月局所麻酔下に耳後部切開の鼓室形成術1型を行った。術前に内頸動脈の露出が確認されていたため,この部位は軟骨板で被覆するのみとし,殆ど出血無く手術を終了した。内頸動脈鼓室内露出はきわめて珍しいが,手術操作などによる大出血で気付いたという症例が大半であり,鼓室内に拍動1生腫瘤を認めた場合は内頸動脈の露出も鑑別に入れるべきである。
著者
小川 基彦 萩原 敏且 岸本 寿男 志賀 定祠 吉田 芳哉 古屋 由美子 海保 郁夫 伊藤 忠彦 根本 治育 山本 徳栄 益川 邦彦
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.353-358, 2001-05-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

ツツガムシ病の全国の発生状況について, 1998年に実施した調査票をもとに解析を行った. 1998年の患者は416人で, 24の都道府県で発生し, 過去3年間とほぼ同数であった. 患者には性差は認められず, 51歳以上の割合が723%と高かった. また, 患者の32.0%および1a5%が農作業および森林作業に従事しており, 高い割合を占めた. 患者の発生は, 九州地方で全体の56.2%を占め, 続いて関東地方の20.7%, 東北・北陸地方の19.0%となり, これらの地方だけで全国の959%の発生があった.また, 月別にみると, 東北, 北陸地方では4~6月と10~12月の両方に発生がみられ, 九州, 関東などそれ以外の地域では10~12月に発生が多くみられ, 地方ごとの流行時期が示された. さらに, 九州地方における流行株を患者血清の抗体価から推測した結果, 新しい血清型のKawasaki, Kuroki株がこの順に多く大部分を占め, 地域差は認められなかった. また, この地方では標準株 (Kato, Karp, Gilliam株) ではなく, 新しい血清型を使用しないと診断できない患者が24人認められた. この結果から, 他の地域でも流行株の調査および診断に使用する株を検討する必要が示唆された. 今回初めてツツガムシ病のわが国における全体像が明らかになり, 今後の発生予測, 適切な診断と治療および予防を行うにあたり極めて重要な情報が得られた.
著者
五十嵐 歩 松本 博成 鈴木 美穂 濵田 貴之 青木 伸吾 油山 敬子 村田 聡 鈴木 守 安井 英人 山本 則子
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.283-291, 2018-10-20 (Released:2019-11-15)
参考文献数
7

本研究は,訪問介護を利用する在宅高齢者におけるコンビニ利用の実態を把握することを目的とした.東京都A区において調査協力への同意が得られた訪問介護事業所および小規模多機能型居宅介護事業所の管理者(n = 28)を対象とし,コンビニが生活支援の役割を果たしている利用者の事例に関して,利用者特性やコンビニの利用状況を問う質問紙への回答を依頼した.対象事業所より64事例について回答があった.事例の利用者は,平均年齢77.8±11.4歳,男性30人(47%)であり,要介護1(31%)と要介護2(30%)が多かった.1人で来店する者が68%であり,徒歩での来店が75%を占め,購入品は弁当・パン・惣菜がもっとも多かった(91%).ADL障害のある者はない者と比較して,サービス提供者の同行が多く(p = 0.001),車いす等徒歩以外の来店割合が高かった(p = 0.018).サービス提供者は,日中1人で過ごす者(p = 0.064)とADL障害がある者(p = 0.013)に対して,コンビニの存在をより重要と評価していた.
著者
寺本 千恵 永田 智子 成瀬 昂 横田 慎一郎 山本 則子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.336-345, 2018

<p><b>目的:</b>救急外来受診後30日以内の再受診例に関し,再受診の原因や経緯からパターンを見いだすことを目的とした.</p><p><b>方法:</b>診療録による比較事例研究の手法で分析した.2013年2月~12月に都内1大学病院救急外来を受診した患者のうち30日以内に再受診をした者を対象とした.事例―コードマトリックスによる分析から事例をパターン分類し,パターン別に群間比較した.</p><p><b>結果:</b>136事例は,初回受診時に医師から再受診を促された【予定再受診】,帰宅後に再受診を促された【医療職者の指示による再受診】,同じ症状が悪化した【医療が必要になった再受診】,異なる症状が出現した【異なるエピソードでの再受診】,再受診の必要性が低いと思われる【軽症での再受診】の5つのパターンに分類された.</p><p><b>結論:</b>本研究では,救急外来の再受診には5つのパターンがあること,初回の救急受診時に患者のパターンを把握し,それぞれに必要な支援をすることの重要性が示唆された.</p>