著者
山本 真知子
出版者
日本コミュニケーション学会
雑誌
日本コミュニケーション研究 (ISSN:21887721)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.49-65, 2019-11-30 (Released:2019-12-03)
参考文献数
14

The purpose of this essay is to rethink how not only the participants of social movement, but also journalists and scholars have directed their eye gaze towards “others.” This essay analyzes the experience of the “elderly” who have engaged with the Okinawa Issue in both Okinawa and Tokyo. It attempts to consider the process of seeking a way to govern their own bodies, languages, and feelings in order to avoid being absorbed into the politics of the nation-state. By examining these experiences in retrospect, one can observe the ramifications resulting from the birth of new ways in the governing of the body, especially for the “young” and the majority of the local populace—who have been observed to be content with their “safe” position despite the exclusion of others from their society.
著者
山本 修央 梶川 嘉延 野村 康雄
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.61-65, 2004-02-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
7

本稿では,イントラコンカ型ヘッドホンを周波数特性からランク付けする手法を提案し,聴取実験によりイントラコンカ型ヘッドホンの周波数特性とその音質との関連性を検討する。これまで我々は,設計目標が未知であるイントラコンカ型ヘッドホンの設計目標として,自由空間における線形歪のないスピーカ正面1[m]位置における頭部伝達関数を提案し,聴取実験によりその有効性を検証してきた。その結果かなりの有効性が示された。そこで本稿では,頭部伝達関数はイントラコンカ型ヘッドホンの設計目標として有効であるという立場から,既存のイントラコンカ型ヘッドホンの周波数特性がどの程度頭部伝達関数の周波数特性に一致しているかを検証することで,イントラコンカ型ヘッドホンのランク付けができるかどうかを検討する。また,イントラコンカ型ヘッドホンの周波数特性とその音質との関連性を聴取実験により検討する。
著者
小泉 英明 牧 敦 山本 剛 山本 由香里 川口 英夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.207-214, 2004-03-01
参考文献数
12
被引用文献数
6

デカルトは「考える,故に我あり」といった,「考える」のは私たちの脳である.その生きた脳の解剖学的形態と,精神活動を含む高次脳機能を可視化する方法論を述べる.安全に脳機能を調べることができる無侵襲高次脳機能イメージング法の出現によって,脳神経科学の分野でもパラダイムシフトが起きている.高次脳機能を計測する方法論の原点について述べ,更に,最近になって広範な応用が注目されている近赤外光トポグラフィーを中心に紹介する.
著者
吉村 和久 山本 綾子 中橋 孝博 西藤 清秀
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.24, 2004 (Released:2007-02-23)

シリアのシルクロード最西端のオアシス都市パルミラにおいて地下墳墓から見出された多数の人骨と歯には、高フッ素症の兆候が認められた。冬季に地中海からの水蒸気がレバノン山脈に雨をもたらし、それが地下水となってパルミラで湧出しオアシスをつくる。乾燥地域であるパルミラでは、水の蒸発に伴い溶存成分が濃縮される。パルミラ地域のカナートと、湧泉、浅井戸、深井戸あわせて13の天然水試料について分析を行ったところ、この地域に石灰岩が分布するために、カルシウムイオン濃度が高かった。また、フッ化物イオン濃度は0.3から3.0 ppmであり、ホタル石の溶解平衡によりフッ化物イオン濃度が制御受けていることがわかった。今から約二千年前においても、古代パルミラの人たちは3.0 ppmを超えることはないが、高フッ素症が発症するようなフッ素高濃度の水を飲用としていたものと推定される。古代パルミラ人の歯のフッ素濃度についても議論する。
著者
山本 真司 子安 大士 前川 仁
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CVIM, [コンピュータビジョンとイメージメディア] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.172, pp.Y1-Y8, 2010-05-27
参考文献数
11

本研究では,ドラムの演奏動作を撮影した動画像からの動作抽出手法を提案する.ドラムの学習支援の研究として電子ドラムやモーションキャプチャを用いて演奏動作を解析する研究があるが,普段の練習や演奏とは異なる状況で演奏しなければならない制約がある.そこで,我々は演奏動作を動画像からマーカーレスで腕とスティックの動作を抽出し,動作点の動きから奏法を解析する手法を提案している.しかし,見掛けの変化が生じる正面からの撮影では追跡ができないことや,動作点を見失うとその後のフレームの追跡ができないといった動作抽出での問題がある.そこで本研究では,複数のオプティカルフローの情報を確率的に統合することで領域の移動を推定し,その位置関係から奏法の解析に必要な動作点の検出を行う.動作を点ではなく領域により追跡することで追跡のロバスト性が向上し,同時に見え方の変化への対応が可能となる.高速度カメラで撮影された動画像に対して提案手法を適用し,手法の有効性を確かめた.Motion capturing during actual drumming is important both to support of learning and to analyze the performance. Methods based on specialized equipments such as electronic drums or dedicated capturing system with markers may affect the motion to be performed. Therefore we present a marker-less method of motion extraction of drumming stick from video image. In the method, we first track regions of each body part and stick. To track regions robustly, we use a combination of M-estimation and Bayesian approach. Then feature points such as stick-tip and the grip of basic drumming scene are extracted by the boundary of the regions.

1 0 0 0 OA 製品紹介

著者
山本 雅晴 永安 直人
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
繊維機械学会誌 (ISSN:03710580)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.P109-P115, 1988-02-25 (Released:2010-02-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
尾崎 雄一 山本 裕明 光来 健一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [システムソフトウェアとオペレーティング・システム]
巻号頁・発行日
vol.2019-OS-145, no.12, pp.1-10, 2019-02-21

情報システムに障害が発生すると大きな損失となるため,システム障害はできるだけ早く検知して復旧を行う必要がある.システム障害の検知を行うには,監視対象システムの外部から監視を行う方法と内部から監視を行う方法が挙げられる.しかし,外部から監視を行う場合はネットワーク障害などで監視を継続できなくなることがあり,内部から検知を行う場合はシステム障害の影響を受けて障害検知ができなくなる可能性がある.そこで,本稿ではシステム内部で監視でき,システム障害の影響を受けにくいGPUを用いて障害検知を行うGPUSentinelを提案する.GPUSentinelでは,GPU上の検知プログラムがメインメモリを参照することによってシステムの状態を取得する.OSのソースコードを最大限に利用して検知プログラムを記述可能にするために,LLVMを用いてプログラム変換を行う.Linux,GPUドライバ,CUDAを用いてGPUSentinelを実装し,意図的に発生させた障害が検知できることを確認した.
著者
山本 俊一 宮崎 正之助 岡田 和夫 館野 功 高木 忠信 古田 昭一 呉 大順 佐藤 富蔵
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.20, no.8, pp.534-539, 1965-08-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
18

The authors tried to elucidate the therapeutic effect of hyperbaric oxygenation on the experimental infection of the anaerobic pathogens, using mice and rabbits as experimental animals.1) Cl. novyi was rather resistant to the action of oxygen at high pressure. It was presumably due to the spore formed.2) In order to prevent the death of the mice inoculated with Cl. novyi, the animals should be repeatedly exposed to the oxygen at moderate pressure. The excessive oxygenation was toxic to the animals, rendering them less resistant to the infection.3) Toxin of Cl. novyi was not decomposed by hyperbaric oxygenation. It has also no effect on the detoxication process of the organisms or on the toxin neutralization in vitro and in vivo.4) In case of gas gangrene hyperbaric oxygenation therapy should be combined with antitoxin treatment, as the former suppresses the growth of pathogens and the latter neutralizes toxin produced.5) In the experiment with with rabbit, repeated hyperbaric oxygenation was proved markedly effective to the infection with Cl. norvyi, but less effective to Cl. tetani.In the latter case, the excessive oxygenation was unfavorable to the infected animals.
著者
山本 大策
出版者
The Japan Association of Economic Geography
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.60-76, 2017-03-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
43

本稿の目的は英語圏の経済地理学において一潮流となりつつある「多様な経済」論の紹介を行うととともに,その視点から加藤和暢氏を中心として進められてきた「サービス経済化」論を批判的かつ建設的に省察することである.とくに着目するのは,加藤氏の一連の論考からインプリケーションとして浮上してきた「サービス経済化」の市場原理主義的なグローバル経済化に対する役割の問題である.「多様な経済」論はポスト構造主義の影響を受けながら,「経済」概念の意味を問い直し,また行為主体の「主体化=服従化」のプロセスにも注目することで,グローバル経済化に対抗する実践的な知の形成を目指してきた.よって加藤氏が提起する問題と「多様な経済」論の間には通底するものがある.     検討の結果,資本主義市場社会の内部にも存在する非市場型のサービスも看過しえないこと,つまり経済地理学の正当な対象として「多様な経済」を視野に収める必要性があることを主張する.また,空間的組織化論の「地域形成」の論理的根拠として評価しつつ,理論化の過程で「地域存続」のための経済活動が言説的に周縁化される可能性を指摘する.さらに「現状分析」における「対象重視」の加藤氏の主張と,行為主体性を熟視する「多様な経済」論を重ね合わせ,その方法論的影響にも言及する.最後に,「多様な経済」論が経済地理学の願望的地域経済論への後退を示すものではないのか,という懸念に対する若干の検討を試みる.
著者
山本 鋭二郎 岡 耕平
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.75, no.11, pp.1249-1259, 2019 (Released:2019-11-20)
参考文献数
15

In recent years, workload has increased with higher precision of radiotherapy. Although both efficiency and thoroughness of treatment are crucial, in such conditions, human error is easy to occur. In this study, five incident cases that occurred in four facilities were studied and analyzed from the viewpoint of human factors that contribute to errors using variation tree analysis. We also analyzed resilience (the ability to return to one’s original state even if the system deviates from a stable state), which has attracted attention in recent safety research. There were potential factors represented by patient factors in all cases. These factors caused deviations from standard operations, and incidents occurred due to unfamiliar situations and operations. Furthermore, in four of the five cases, the cause of the incident was a resilience action or judgment that was deemed to have required “some sort of ingenuity or adjustment.” It was found that human error occurred due to multiple simultaneous occurrences of potential factors, i.e., patient and human factors such as high workload, impatience, and work interruptions. A reduction in human errors can be achieved by avoiding time pressure and multitasking, creating work environment and working conditions that make resilience work well, revising ambiguous rules and procedures, and promoting standardized working methods.
著者
山本 裕
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.69-76, 2013 (Released:2013-04-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1

耳小骨奇形の病態や分類に関する今までの知見を整理し, 本症に対する術前診断の方法と限界, 適切な手術適応と術式について考察した.耳小骨の発生は胎生5週から7週の軟骨性耳小骨原基の誘導に始まる. その後, 伸長, 接触, 骨化, 吸収などのプロセスを経て, ツチ骨, キヌタ骨は24週までに, アブミ骨は胎生末期で形態が完成する. 臨床上の耳小骨奇形の分類としては, 本邦では船坂の分類が広く用いられており, 極めて有用性が高い. 加えて奇形の部位を耳小骨上の連続的な分布として分析することにより, 耳小骨上の奇形のフォーカスを明らかにすることができた.純音聴力検査の気導聴力閾値のうち, 250Hzと4,000Hzに着目し, それぞれの閾値が40dBを超えるか否かで症例を分類すると, 耳小骨離断を有する症例か, 固着を伴う症例かを8割以上の的中率で予想することが可能であった. 一方, ティンパノグラムや耳小骨筋反射での奇形の型の予測率は高くなかった. CT画像による術前診断はキヌタ・アブミ関節付近の欠損症例での診断率は向上していた.手術適応の決定に際しては, 気骨導差の信頼度, 中耳炎罹患の危険度などの特殊性を十分考慮しなければならない. また, 聴力改善手術を成功させるためには, 発生学的, 疫学的知識をもとに, 正確な病態の把握を行い, 適切な術式を選択し安全な手技で手術を行うことが重要となる. 病態が極めて多彩で, 確定診断は術中に得られるため, あらゆる病態を想定し, 手術の準備を行うことが必要である.
著者
岡本 善敬 山本 哲 梅原 裕樹 石橋 清成 沼田 憲治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0882, 2015 (Released:2015-04-30)

【目的】脳卒中後の後遺症の一つに運動麻痺があり,その多くが錐体路損傷による痙性麻痺を呈する。錐体路の損傷では四肢遠位部の手指や足部の分離した運動がより重度に障害されることが多いが,今回遠位部と比較し近位部の機能障害が重度であった症例を経験し,その病態メカニズムについてMRI画像を元に考察したため報告する。【症例提示】70歳代,女性。めまいを自覚し近医受診され左橋梗塞の診断を受け同日入院。保存的加療にて第25病日にリハビリテーション目的に転院となった。第31病日のMRI画像では,T2強調画像にて左橋背側部からやや腹側方向へ広がる高信号変化を認めた。身体機能面では,意識状態はJCS1桁であったが会話および従命可能。明らかな疼痛や感覚低下はなし。企図振戦,眼振など小脳失調症状は認められなかった。右上下肢で軽度腱反射亢進。Brunnstrom stageは右上肢V,右手指V,右下肢V。筋力はMedical Research Council scaleにて右上下肢は肩関節外転3,肘関節屈曲4-,手指伸展4,手指屈曲4,股関節屈曲3,右膝関節伸展4-,右足関節背屈4+と近位筋優位に筋力低下を認めた。左上下肢は4~5。Berg Balance Scaleは30/56点であり立位での検査項目で減点がみられた。起居動作は自立,立位保持はふらつきあり上肢の支持を要した。歩行では膝折れがみられ歩行器の使用が必要かつ介助を要した。箸の使用,ボタン閉めはともに可能であった。【経過と考察】退院時においても近位筋優位の筋力低下は残存し移動には歩行器の使用が必要であった。姿勢の保持に関与する近位筋の運動制御には橋背内側部を通る皮質網様帯路および網様帯脊髄路や外側前庭脊髄路など内側運動制御系が関与する。本症例の臨床所見は近位筋優位に筋力低下を認め立位姿勢維持に障害をきたしていた。画像所見では,巧緻性動作に関与する錐体路が通る腹側部より背側に病巣が認められることから内側運動制御系の損傷による影響が示唆された。

1 0 0 0 OA 西教史談

著者
山本秀煌 著
出版者
新生堂
巻号頁・発行日
1926
著者
中島 英明 宮崎 睦雄 今井 信行 横川 朋子 山本 茂生
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.351-356, 2001-05-25 (Released:2010-07-05)
参考文献数
11

A 63-year-old man was referred to our hospital for rapid deterioration of his renal function. He had worked as a metal founder for more than 40 years, and had been diagnosed as having silicosis. Laboratory data on admission showed severe anemia, thrombocytopenia, and end-stage renal failure (BUN 88.8 mg/ dl, serum creatinine 9.0mg/dl). Myeloperoxidase anti-neutrophil cytoplasmic antibody (MPO-ANCA) was also detected in his sera. On the next day after admission, he complained of sudden dyspnea and hemoptysis. Mechanical ventilation with pure oxygen was insufficient to improve hypoxia without concomitant use of percutaneous cardio-pulmonary support (POPS) and continuous hemofiltration (CHF). We diagnosed his condition as MPO-ANCA-associated rapidly progressive glomerulonephritis with diffuse alveolar hemorrhage. Treat ment with plasmapheresis, pulse methylprednisolone and pulse cyclophosphamide effectively improved his hemoptysis as well as chest X-ray findings and blood gas analysis. However on his later clinical course, he was complicated with superimposed complex infection and passed away. Autopsy findings showed crescentic glomerulonephritis in the kidneys and silica nodules in the lungs. Recently it has been postulated that some relationship exists between ANCA-associated (especially MPO-ANCA-associated) glomerulonephritis and silica exposure. The reported cases of glomerulonephritisin the patients with silica exposure showed a rapidly progressive clinical course and pauci-immune necrotizing crescentic glomerulonephritis in their histology. Gregorini et al, reported that 12 of 37 (32%) male patients with RPGN had either silicosis or significant silica exposure, and 7 of 8 patients examined were ANCA-positive (6 of 7 were MPO-ANCA-positive). Therefore silica seems to cause glomerulonephritis by disrupting the immune response. Including this case mentioned above, we have experienced 10 cases of MPO-ANCA-associated glomerulonephritis, at least 3 cases out of which had suffered from silicosis in the past (30%) . These results indicate that silicosis should be considered a relevant pathogen of MPO-ANCA-associated glomerulonephritis beyond the race.