著者
舘野 真奈 山本 裕美 青木 奈穂 佐藤 吉朗
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.151-153, 2019-10-25 (Released:2020-01-17)
参考文献数
8
被引用文献数
1

食品にはオフフレーバーと呼ばれるにおいが感じられることがある.これはヒトの体に直接影響を及ぼすことはないが食品の品質を著しく低下させるものであり,食品にとって重要な問題である.ある食品のにおいが他の食品に移行する場合などがよく知られた例である.われわれは,これまで紙パックオレンジジュースの香気成分であるリモネンが未開封の状態で紙パック牛乳ににおい移りするという研究を続けてきた.その際にリモネンとは全く異なる匂いが牛乳から感じられる例が確認されていた.これは,オレンジジュース由来ではないことも確認できた.匂いの質としてはハロゲン系フェノールのような匂いであった.今回は,この匂い成分を明らかにすることを目的に研究を進めた.その結果,このオフフレーバー成分が2-ヨード-4-メチルフェノールであることが判明した.
著者
吉次 なぎ 阿部 真也 山本 佳世子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.2325-2329, 2019-12-15

一般に避難先や避難経路の候補は複数存在し,最適な避難先と避難経路を直感的に導くことは難しい.「安全で迅速な避難」のためには,複数の避難先への複数の避難経路を求め,それらの優先度を比較することが必要である.経路探索アルゴリズムは単一の始点と終点を結ぶ単一の経路を求めるため,複数の避難場所へ向かう複数の避難経路の優先度を定量的に求めることはできない.粘菌アルゴリズムでは始点と終点を複数設定すること,複数の避難経路の優先度を同時に計算することができる.そこで本稿では,粘菌アルゴリズムによる避難経路導出手法を提案する.提案手法により複数の避難先への複数の避難経路の優先度を定量的に比較できることが確かめられた.
著者
速水 則行 田中 英一 山本 創太 武内 浩樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.23-34, 2006 (Released:2017-02-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

動作解析において, これまであまり考慮されてこなかった筋疲労の影響を検討するため, 従来の力学的な筋モデルと組み合わせて使用する筋疲労モデルを開発した. そのため, 運動単位に着目し, それらを活性状態, 疲労状態により四つの状態に分割し, その状態変化を微分方程式により表現した. さらに, 代謝特性や疲労耐性の違いから三つの運動単位タイプに分割し, 運動単位の動員様式にはサイズ原理を取り入れてモデル化した. モデルの妥当性を検討するため, 先行研究や動的条件の疲労実験結果との比較を行ったところ, 筋疲労の特徴が再現できることを確認した. また, 各運動単位タイプの動員タイミング, 疲労の進行など, タイプ毎の特性の違いを再現できることが分かった.
著者
磯田 好弘 西沢 幸雄 山口 茂彦 平野 二郎 山本 明彦 沼田 光弘
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.923-928, 1993-11-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

Various kinds of free fatty acid were examined on their antitumor activity against ascites tumor cells, Survival days of mice after administrations of free fatty acid were observed. From these data I.L.S. (Increase of life-span) was culcurated and used as a parameter of Antitumor activity. Effective fatty acids against Sarcoma-180 were as follows : Pentadecanoic acid in saturated fatty acid series of carbon number 6 to 24, oleic acid in mono-unsaturated fatty acid series, and α-linolenic and docosahexaenoic acids in poly-unsaturated fatty acid series.The most effective fatty acid in our antitumor activity research is (hydroxy phenyl) stearic acid.The mechanism on antitumor activity of free fatty acid is not made clear sufficiently but it was suggested that disorder of membrane caused by fatty acids is responsible for their antitumor effect.
著者
山本武利著
出版者
法政大学出版局
巻号頁・発行日
1981
著者
新開谷 深 山本 敬三
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】ゴルフやスノーボード等のスポーツにおいて,両足間の距離(以下スタンス幅)や両足の開き具合(以下スタンスアングル)は重要な因子である。これら脚の位置(以下スタンス)は現場では経験的に指導されている。下肢の関節角度と体幹の関連を調べているものは少ない。目的は,スタンス幅・スタンスアングルが,体幹の可動域や荷重にどの様な影響を及ぼすのか明らかにするものである。【方法】対象は健常男性11名,平均年齢は21.5±1.7歳,平均身長は171.3±6.5cm,平均体重は65.4±9.1kgだった。運動課題は,立位で膝股関節が屈曲しないように体幹を最大左右回旋させた。立位の設定は,スタンス幅を42cmと52cmとした。スタンスアングルは踵の中心と第2趾を結ぶ線と前額軸とのなす角度を用い5パターン設定した。まず,STANCER(ジャイロテクノロジー株式会社)で,スタンス幅42cm・52cm各々の下肢の最大内外旋角度の平均値を求め,これをセンター角とし,それに15°,30°を加減したものを設定角とした。条件名は-30°,-15°,0°,+15°,+30°とした。計測には赤外線カメラ12台を含む光学式モーションキャプチャ(MAC3D,Motion Analysis社),床反力計(BP6001200,AMTI社)を使用した。サンプリング周波数は,床反力は1kHz,モーションキャプチャは100Hzとした。反射マーカーは以下の様に貼付した。脊柱の第1・第4・第7胸椎,第1腰椎の棘突起を頂点とする三角形に3つずつ貼付し各々に局所座標系を設定した。他,両肩峰,骨盤以下はヘレンヘイズマーカーセットに準じ両側に貼付した。計測時はスタンスを自由に設定できる自作の器具で足部を固定した。計測データの分析ではVisual3D(C-Motion社)を用いた。分析パラメーターは,床反力,体幹(T1,T4,T7,L1)・骨盤角度とした。なお,体幹・骨盤角度については,グローバル座標系に対して算出した。左右の荷重は左右床反力の垂直成分にて対称性指数(Symmetry Index;SI,左右差を左右の平均値で除した値)を算出した。統計処理では,体幹・骨盤の回旋可動域の条件間の比較をするためにANOVA後,多重比較を行った。【結果】骨盤と体幹の回旋可動域はスタンス幅42cmにおいてスタンスアングル0°が-30°より有意に大きかった。スタンス幅の違いによる効果は認められなかった。荷重のSIはスタンスアングルが大きくなるに従い回旋側に荷重が増えており,+30°は-30°より有意に大きかった。【結論】スタンスアングルの違いにより,体幹の可動域が変化する可能性が示唆された。スタンスアングルがセンター角付近であると体幹の回旋可動域が大きくなっていた。スタンスアングルを大きくすると体幹の回旋可動域は減少するが,回旋側の荷重量が増える。荷重を重視するのか,回旋可動域を重視するのか,運動の特性に合わせスタンスアングルを設定することで,外傷の予防やパフォーマンス向上につなげられると考えられる。
著者
大瀧保広 野口宏 山本一幸 外岡秀行 鎌田賢
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-8, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
8

多くの大学では情報処理演習システムの一部として印刷環境を提供しており,学生のレポート作成等に供している.どのような印刷環境を提供するかは大学の方針により様々であるが,教育的観点から枚数制限や課金を行う大学が増えつつある.茨城大学では教育用電子計算機システムの一部として印刷環境を提供しており,学生はIT基盤センターが管理するPCから印刷できる.2011年度までは枚数制限もなく無料で印刷できたが,2012年度から印刷枚数制限を課すようになり,2017年度には完全従量課金制へと移行した.当センターでは,印刷状況を把握するために2010年10月から詳細な印刷履歴を記録しており,年度単位で揃ったものとしては2011年度から2018年度までの8年にわたるデータを収集した.本論文では印刷履歴のデータ等に基づいて,印刷環境の変化に伴って学生の印刷行動がどのように変化したのか考察する.
著者
横田 裕行 中沢 省三 志村 俊郎 木村 昭男 山本 保博 大塚 敏文
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.31, no.13, pp.881-886, 1991 (Released:2006-07-19)
参考文献数
26
被引用文献数
4 6

Hypothalamic and pituitary hormone levels were measured in 56 patients meeting the criteria of brain death proposed by the Japanese Ministry of Welfare. Pituitary hormone releasing tests were carried out in 39 patients. In addition, cerebral angiography and transcranial Doppler (TCD) were performed in 13 and six patients, respectively, just after hormone measurements. Serum hypothalamic and pituitary hormone levels were inconsistently high based on the half life time in the presumed absence of cerebral blood flow shown by angiography. The responses to releasing hormones were normal in 16 patients. TCD detected cerebral blood flow in the middle cerebral artery or ophthalmic artery in three patients who showed non-filling on angiography. Postmortem microscopic examination of the hypothalamus and anterior pituitary lobe revealed normal structure and cells intermingled with lytic changes and necrosis. This series suggests that some part of the hypothalamus and hypophysis may still be alive after brain death, although the function of these regions may be clinically insignificant.
著者
山本 勇造
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.560-577,588-58, 1973

How much did Japan invest in colonial chosen and Taiwan? We could not answer to this "simple" question in spite of the fact that the problem of colonialism has long been an integral part of the analysis of Japanese capitalism. The purpose of this paper is to give a provisional estimate of the above amount. Our estimates are composed of two parts : the amount of capital flows from Japan, and the amount of capital stock possessed by the Japanese in its colonies. We found that the latter was considerably greater then the former. which indicates that the wealth of the Japanese in colonial Chosen and Taiwan was largely obtained without the flows of capital from Japan. We try to explain this situation by exploitation and the reinvestment of colonial profits. Our conclusion will answer to the question : Why was it possible for Japan to export capital, while it struggled with the lack of capital initially? In the case of Japan, the capital export did not accompany the actual flows of capital into its colonies.
著者
黒木 英充 鈴木 茂 眞島 一郎 飯塚 正人 飯島 みどり 鵜戸 聡 池田 昭光 大場 樹精 山本 薫
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

1世紀以上に及ぶレバノン・シリア移民の顕著な世界的活躍を支えるのは、異文化の社会に対する適応力とネットワーク形成力・拡張力の高さである。移動する自己と親族・友人等との間で、常に複数の社会における財の価値の違い等に関する情報が交換され、様々なビジネスが展開し、時には出身国と現住国の政治にすら大きな影響を及ぼす。そこでは自己の構成要素の複数性(たとえば言語など)、他者との関係構築ツール(帰属する宗教組織のネットワークから信用再強化のためのカネの貸借といった財の交換関係にいたるまで)が意識的に維持・展開される。その歴史的起源はレバノン・シリア地域の非ムスリム商人や通訳といった類型に求められる。
著者
前園 恵子 牧野 雅弘 蒔田 直輝 永金 義成 芦田 真士 友永 慶 山本 康正
出版者
京都第二赤十字病院
雑誌
京都第二赤十字病院医学雑誌 = Medical journal of Kyoto Second Red Cross Hospital (ISSN:03894908)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.81-86, 2013-12-01

症例は39歳の女性.頭部外傷の既往はない.某年2月5日、立ち仕事中に前頭部に非拍動性の痛みを自覚した.徐々に増悪し、嘔気も出現した.ロキソプロフェンやスマトリプタンは効果がなかった.経過中A型インフルエンザに罹患し、自宅で安静にしていた期間には、頭痛は消失していたが、回復後再び、起立時に増悪する激しい頭痛が出現した.頭部MRIで硬膜の肥厚および造影効果を認めた.脳槽シンチグラフィーでは早期のRI膀胱内集積とRIクリアランスの亢進が見られたが、脳脊髄液漏出像は確認できなかった.特発性低髄液圧症候群と診断し、安静臥床と大量輸液にて加療し、徐々に症状の改善を認め、退院した。硬膜の所見も遅れて回復した.特発性低髄液圧症候群では、多彩な臨床症候を伴うため、不定愁訴として扱われたり、診断に苦慮することがあるが、MRI所見は診断に有用である.
著者
古川 福実 松永 佳世子 秋田 浩孝 上田 説子 薄木 晶子 菊地 克子 幸野 健 田中 俊宏 林 伸和 船坂 陽子 師井 洋一 山本 有紀 米井 希
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.3, pp.347-356, 2008-03-20 (Released:2014-12-03)

Chemical peeling is one of dermatological treatments for certain cutaneous diseases or conditions or aesthetic improvement, which consists of the application of one or more chemical agents to the skin. Chemical peeling has been very popular in medical fields as well as aesthetic fields. Since scientific background and adequate approach is not completely understood or established, medical and social problems have been reported. This prompted us to establish and distribute standard guideline of care for chemical peeling. Previous guidelines such as 2001 version and 2004 version included the minimums for the indications, the chemicals used, their applications, associated precautions, and postpeeling care and findings. The principles were as follows :1) chemical peeling should be performed under the control and the responsibility of the physician. 2) the physician should have knowledge of the skin and subcutaneous tissue and understand the mechanism of wound-healing. 3) the physician should be board-certified in an appropriate specialty such as dermatology. 4) the ultimate judgment regarding the appropriateness of any specific chemical peeling procedure must be made by the physician in light of all standard therapeutic ways, which are presented by each individual patient. Keeping these concepts, this new version of guidelines includes more scientific and detailed approaches from the evidence-based medicine.