著者
山本 竜大
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.214-228,259, 2003

本稿は,日本の国会議員本人やその事務所によるホームページ(HP)の開設要因の探求を目的とする。2000年末までに開設が確認された状況をもとに,社会的属性,選挙競争,公約の視点から全議員,衆議院小選挙区,最大党の自民党とHP開設率が最も高かった民主党を対象に分析した。社会的属性と選挙競争によるモデルでは,全体的に年齢と都市度,特定大学出身者,自民党の少数派閥所属者がHPを個人で開設する要因になっている。衆議院小選挙区では,都市度,自民党の特定派閥,民主党議員であった。公約モデルでは,IT関連,政治,農林漁業,憲法•司法制度が作用した。これらを総合した結果,HP開設に都市度とIT公約が影響した。自民党は政治キャリア,得票率差,ある私立大学出身者が作用した。民主党は公約で説明されず,年齢がマイナスに,政治キャリアがプラスになる特異性を示した。
著者
村井 源 山本 竜大 徃住 彰文
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.111-128, 2008
被引用文献数
1

複雑な人間関係を数理的に解析するために、近年ネットワーク解析が盛んに用いられるようになった。また、解析用のネットワークを構築するための基礎データとして、WWWのハイパーリンクが用いられるケースが増えてきている。本論文では政治家間の人間関係を示すネットワーク構造の構築に、ハイパーリンク関係を用いる妥当性を検討するため、日本の国会議員のWebページをデータとして用い、議員間のハイパーリンクと議員の名前のテキスト上での言及関係によって二種類のネットワークを構築した。また、得られたネットワークに対してネットワーク解析の手法中心性とクリーク分析の解析を適用し、結果を比較した。得られた結果より、言及関係によるネットワークは、集団における重要性を表す指標としての妥当性があり、ハイパーリンクによるネットワークでは派閥の分析が可能であることが分かった。現状として、大規模政党においては、比較的Webの利用は進んでいないが、今後政治領域でもWebの利用がより一般化することが期待される。このため、将来的にはより多様な関係性の計量的解析にWebデータが利用可能になると考えられる。
著者
山本 隆一
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.85-93, 2016

我が国は医療の情報化自体は先進的であったし,現在でも情報システムの導入率という観点では世界の最高水準にある。しかし,情報化の目的は,事務処理の合理化が主体であり,情報を公益目的に利用する二次利用の面においては遅れていたと言わざるを得ない。しかし最近になって,我が国にも大規模な医療情報データベースが構築されるようになったが,それに伴い,公益利用とプライバシー保護の対立的な問題が顕在化してきた。例えば高齢者の医療確保に関する法律に基づいて作成されたレセプトおよび特定健診・保健指導のデータベースは一般的な公益利用に関して根拠法には記載がないために,利用に際して厳格な匿名化が求められ,安全管理に関する要求も厳しく,公益研究にとって使いやすいデータベースとは言えない。一般に,公益目的の研究を行う研究者がプライバシーの侵害を意図的に行う可能性はないと考えられるが,法的な要求自体が曖昧であるために,研究が促進されない可能性もある。医学は診療情報の公益利用なしには発展はあり得ないので,明確で研究者にとっても患者にとってもわかりやすい法制度の整備が強く望まれる。改正個人情報保護法が2015年9月に成立したが,政令や指針の整備は2017年と思われる法の実施までに議論される。医療に関するデータベース研究者はこれの議論を注視すべきであるし,必要な場合は適切な提言を行うべきと考えられる。
著者
長浜 文雄 安田 恵也 中林 武仁 山本 征司 小六 哲司 斎藤 孝久 鏡 雄一
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.511-516, 1977

過去3年間の原発性肺癌307症例, 要入院治療の塵肺症613症例及び両者合併35症例について, 性別, 年令別, 組織型別並びに喫煙量(紙巻タバコの1日平均本数×喫煙年数; R. I. と略す)別にそれぞれの分布を推計学的に検討し, 次の成績を得た. (1)喫煙量が増す程各組織型とも多発. (2)非喫厘者(N. S. 群)では男女とも腺癌が多発. (3)原発性肺癌(c), じん肺症(p), 両者の合併(pc)のR. I. との間には, N. S. 群c>pc≒p; R. I. 400以内c≒pc<p; R. I. 400以上pc>c>p[ただし≒n. s. 〈または〉はP<0.05以上の有意差あり]<br>以上より原発性肺癌発症にはじん肺症発症因子すなわち粉塵以上に喫煙因子がより大きな影響を及ぼすといえる.
著者
山本 道也 ヤマモト ミチヤ
雑誌
流通經濟大學論集
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.31-42, 1989-12

1982年に行われた一旬につき2回,計49回の2.5km-帯状センサスにより,茨城県竜ヶ崎市近郊(竜ヶ岡)では,6科43種2,409個体のチョウが目撃され,群集構造,種数,個体数,多様性,優占種の季節変化について解析が行われた。以下はその結果である。1.チョウ43種の25の調査季節への個体数分布マトリックスより,群分析と主成分分析を併用して,五つの活動季節と,対応する五つの群集を分類した。2.4刀は,ルリシジミが優占する全3種からなる春群集が成立していた。3.5~6月は,モンシロチョウ,ヒメウラナミジャノメ,ヒカゲチョウ,キタテハが優占する全13種からなる初夏群集が成立していた。4.8月は,ヤマトシジミ,コチャバネセセリ,コミスジ,キチョウが優占する全19種からなる晩夏群集によって特徴づけられる。5.9月は,オオチャバネセセリ,イチモンジセセリ,ツバメシジミが優占する全6種からなる初秋群集によって特徴づけられる。6.11月は,全2種からなる小さな群集である晩秋群集が成立していた。A butterfly community in Ryugasaki, Ibaraki Pref., is composed of five subcommunities in five different seasons. Spring subcommunity, involving Celastrina algiolus ladonides and other two species, is formed in April. Early-summer subcommunity, involving Pieris rapae crucivora, Ypthima argus, Lethe sicelis, Polygonia c-aureum, and other nine species, is formed in May and June. Late-summer subcommunity, involving Pseudozizeeria maha, Thoressa varia, Neptis sappho, Eurema hecabe mandarina, and other 15 species, is formed in August. Early-autumn subcommunity, involving Polytremis pellucida, Parnara guttata, Everes argiades hellotia, and other three species, is formed in September. Lateautumn subcommunity, involving two species, is formed in November.
著者
山本 杏子 小島 隆矢
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.80, no.710, pp.323-330, 2015 (Released:2015-05-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2

This study examines the model of evaluation structure by experience value in a comedy theater. First surveys researched the factor of strategic experiential modules in comedy theater was decided by factor analysis. Second surveys researched the factor and evaluation structure which affects ACT. Third surveys researched the evaluation-structure model by comparison with theater types and user type. The results are as followings: 1) The factor of FEEL“the upsurge of emotions” and THINK “attachment” affects the ACT “revisit” intention of a theater. 2) The "evaluation-structure model" differed, depending on ACT and the types of theaters
著者
山本 博文 藤井 純子 安田 正成 岡本 拓夫 外岡 信一郎
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

若狭湾地域に位置する福井県高浜町薗部の海岸低地において,津波によって形成されたと考えられるイベント砂層が見出された.薗部地区におけるコアリングおよびトレンチ調査により,深さ1m以浅のイベント砂層は海岸から550m以上内陸まで分布し,海岸の砂と同様のよく円磨された岩片を特徴とし,ところによっては貝殻,有孔虫,ウニのトゲなどの生物遺骸を含んでいた.また砂層基底部には明瞭な浸食が認められ,砂層中にはリップアップクラストがみられた.この砂層の堆積年代としては,上下の泥炭質層の14C年代測定結果からすると,14~16 世紀頃と推定された.
著者
山本 徳郎
出版者
奈良体育学会
雑誌
奈良体育学会研究年報 (ISSN:18826210)
巻号頁・発行日
no.13, pp.11-14, 2008
著者
山本 政 永井 秀稔
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.19-23, 2016-01-01

計画業務における最適化手法の適用では,最適化問題を適切に解くことも重要であるが,最適化手法に解かせる問題設定と,解を確認・修正するためのユーザインターフェイスの良し悪しも同様に重要なポイントである.これらを考えるうえでは,人とシステムの適切な役割分担を考えることが欠かせない.本稿では,計画業務に最適化手法を適用した事例の一つであるJリーグ・マッチスケジューラー「日程くん」事例を題材に,最適化手法の実務適用における人とシステムの適切な役割分担と,その設計方法について議論する.
著者
技術ジャーナル部会 秩父 邦夫 深澤 信之 堀内 美穂 小林 京子 江口 隆 西脇 徹 岡本 二彦 佐藤 彰 野崎 淑之 松井 総子 今井 達朗 永吉 俊行 坂田 道隆 尾崎 与志也 石川 真理子 高田 昇 大江 英之 後藤 康之 荻野 慎次 木村 基 山本 亮太 吉良 昭道 技術ジャーナル部会
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.185-189, 2010
参考文献数
3

技術ジャーナル部会は,2010年3月現在,13の企業・団体の技術機関誌(技報)編集者からなり,各メンバーが輪番制で幹事を担当し,編集業務上の問題点や課題を活動テーマに掲げて討議を行うことで,互いに編集業務への知識を広げ,理解を深めるべく活動を行っている。本稿では,最初に当部会の概要を紹介し,次に活動内容の紹介として,メンバーが高い関心を示した最近の活動テーマ4件について具体的に説明し,最後に当部会の設立の経緯と,活動の変遷をインターネット普及前後に分けて紹介する。技報編集者は,自社の技術成果が分かりやすく正確に伝えられているかに意を注ぎながら編集作業を行っている。本稿が技報編集者の一助となり,また,当部会の活動に関心をお持ちいただく端緒となれば幸いである。
著者
山本 光正
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.165-181, 2003-10-31 (Released:2016-03-29)

近世の旅に関する研究は大きく分けて、旅における行動・見聞及び交通の実態を明らかにしようとするものと、社寺参詣そのものに重点を置き民衆の信仰を明らかにしようとするものがある。これらの研究はいずれも史料の関係から男性を中心としたものであったが、女性史研究の活発化に伴い、女性の旅についても研究成果が発表されるようになった。旅の研究は旅日記を主な素材として行われるが、女性の場合旅日記を書くことができるのは相当の教養を身につけた階層であるため、庶民女性の旅の実態をみることは困難である。女性の旅全般について把握するには、旅日記以外の史料の発掘が課題といってよいだろう。既に宿坊の台帳類や、供養塔等の石造物を利用した研究も行われているが、本稿では納経帳と絵馬によって女性の旅の一端を述べてみた。納経帳は千葉県市原市の万光院に同市勝間の茂手木氏が奉納したもので、同家の先祖「とら」が寛政七〜八年にかけて、西国・坂東・秩父の観音霊場及び四国八十八ヶ所を巡ったものである。納経帳は「とら」の足跡を追うことしかできないが、女性が一人でこれだけの旅をしたことは注目される。絵馬は信州の善光寺に参詣した女性達が千葉県岬町の清水寺に奉納したもので、明治から大正まで年代不明も含めて二六点が確認されている。図柄や墨書から旅のコースや参拝の様子・同行者の地域・名前を読みとることができる。絵馬は近代のものだが、近世においても同様の旅が行われていたと考えられる。納経帳・絵馬共に旅日記に比較すると情報量は少いが、これらのデータを蓄積することにより、近世における女性の旅の実態を明かにしていくことができるであろう。 Research on early modern travel can be divided into two main kinds. One seeks to clarify the actual forms of behavior, experience, and transportation related to travel, while the other attempts to clarify popular religious beliefs by focusing on temple and shrine pilgrimage as such.For reasons of research materials, both approaches have tended to focus on men. With heightened interest in research on women's history, however, the body of research on travel by women has now started to grow. While travel research typically relies on travel diaries as its principal source of materials, travel diaries by women are written only by women of considerable education, hence class, making it difficult to observe the actual forms of travel by commoner women.Clearly the effort to grasp travel by women as a whole makes the discovery of materials other than travel diaries a pressing concern. Some research has made use of registries from temple inns (shukubo) and statuary such as devotional pagodas (kuyoto). This study relies on a votive scripture ledger (nokyocho) and votive tablets (ema) to reveal a facet of travel by women. The ledger was offered to Mankoin Temple in Ichihara City, Chiba Prefecture, by the Motegi family (Katsuma, Ichihara City) and records the journey made by the family's ancestor "Tora" who visited the Kannon spiritual sites in Shikoku, Bando, and Chichibu and made the eighty-eight site Shikoku pilgrimage. The ledger only enables us to trace the footsteps of Tora, but the fact that a single woman could make such a journey deserves attention. The twenty-six votive tablets dating from the Meiji and Taisho periods, on the other hand, were offered to Kiyomizudera Temple in Misaki, Chiba Prefecture by women who had made a pilgrimage to Zenkoji in Shinshu. From the images and inscriptions on the tablets, we know the course they traveled, details of their pilgrimage, and their names and regions of origin. Although the tablets date from the modern period, it is believed that women in the early modern period conducted similar journeys.Votive ledgers and tablets do not provide the quantity of information available from travel diaries. Nonetheless, with the accumulation of information contained in such materials it should be possible to clarify further the nature of travel by women in early modern Japan.
著者
山本 悦生 高木 明 広野 喜信 八木 伸也 本庄 巖
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.355-361, 1986-03-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10

A 25-year-old male produced a continuous high-pitched tone (6.1KHz, 37.2dB SPL) which was not audible to the patient. He had a sensorineural deafness over 1KHz with a dip of 45dB at 6KHz. The sound was considered to be due to a spontaneous oto-acoustic emission.