著者
八木下 勝利 古山 隆志 大久保 直人 山中 一 山本 正信
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.112(1998-CG-093), pp.13-18, 1998-12-10

本論文では,動画像から人間の動作を解析し,それをアニメーションとして再構築する手法を示す.人間の動作の解析には時空間勾配法による手法を用いる.これにより普通の映画やビデオ映像などからでも対象の運動を測定できる,解析の精度向上のためにいくつかの拘束条件を利用している.解析された動作はデータベース化しておき,アニメーション作成時にはそのデータベースを利用してキャラクタの運動を再生する.データベースに無い動作を人間らしさや個性などが保存しながら生成する方法についても検討する.本手法を用いて複数の映画から解析した俳優の動作を一つのCGアニメーションとして再構成したので紹介する.
著者
山本 英治
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 経済学部論集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.159-167, 1955-03

社会学においては人間の社会行動の分析が一つの課題となっている。その分析の方法や観点は種々様々であるが、ゲシュタルト心理学者として著名なクルト・レヴィンの思想体系と言われる「場の理論」FieldTheoryはそれに対する鋭利な分析方法となり得ると思う。この小論の問題意識は飽くまで人聞の社会行動の解明にあるが、それの分析方法としての「場の理論」について、特に彼が構想したところの「或一定時点における個人の行動を決するところの事態の全体totality of facts」であるところの「生活空間」life spaceを中心にして考察を進めようと思う。
著者
近藤 功庸 笹木 潤 山本 康貴
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.14-22, 2010-06

山本・近藤・笹木は、以下の「稲作生産性停滞仮説」を提示して、「わが国稲作生産性の伸びがゼロとなりつつある」という極めて悲観的な可能性のあることを計量的に検証した。「稲作生産性停滞仮説」:戦後におけるわが国稲作生産性は、(1)技術進歩率が相対的に高くキャッチ・アップ効果が低下する減反以前の第1局面、(2)技術進歩率が低下しキャッチ・アップ効果が上昇する減反以降から近年までの第2局面の順に推移し、(3)その後は技術進歩率、キャッチ・アップ効果ともに停滞し全体として稲作生産性の伸びがゼロとなる第3局面に向かっている可能性がある。本稿では、山本・近藤・笹木の分析枠組みに依拠しつつも、この分析では未解明であった以下3つの論点に限定し、「稲作生産性停滞仮説」の再検証を試みることを課題とする。
著者
山本 俊樹 津田 博史 ヤマモト トシキ ツダ ヒロシ Yamamoto Toshiki Tsuda Hiroshi
出版者
同志社大学ハリス理化学研究所
雑誌
同志社大学ハリス理化学研究報告 = The Harris science review of Doshisha University (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.29-40, 2015-04

観光産業は、日本の主要産業であるが、平成18年度に旅行消費額が30兆円に至ったものの、平成22年度は、約24兆円へと低下した。そのため、日本政府は、観光産業の活性化を図るため「平成28年度までに国内における旅行消費額を30兆円に拡大する。」という観光立国推進計画を平成24年3月30日に発表した。一方、昨今、ネット社会が急速に広がる中、cyber worldを利用したビジネスが急速に拡大してきており、観光産業においても例外ではない。ここ最近では、各旅行会社が企画・運営している旅行プランに満足できず、旅行会社に企画してもらうのではなく、自分で旅行プランを立てる人の数が増加してきている。このような人々は個人旅行者と呼ばれ、個人旅行者の多くはインターネットを利用して宿泊場所や宿泊プランの予約を行いつつある。今後のIT産業の発展を考慮に入れると、このようにインターネットを通して宿泊予約をする個人旅行者の数が増加することが予想される。そこで、本研究では、世界的な観光都市である京都の宿泊施設に焦点を当てた。京都を訪問する観光客は個人旅行者の割合が多いのが特徴である。Webサイトから収集した京都市内の宿泊施設の宿泊プランの空室数と価格のデータを用いて、京都市内の宿泊施設の客室稼働率と経済規模を日次で推定することを試みた。推定した客室稼働率と経済規模から季節変動や曜日効果などを見出したと共に、京都駅からの距離や宿泊施設の規模などで宿泊施設を分類することにより、新しい知見が得られた。Tourism is a key industry in Japan. However, although domestic travel expenditure reached 30 trillion yen in fiscal 2006, it subsequently declined to approximately 24 trillion yen in fiscal 2010. For this reason, on March 30, 2012, the Japanese government announced a tourism nation promotion plan to stimulate the tourism industry with the objective of increasing domestic travel expenditure to 30 trillion yen by fiscal 2016. At the same time, the rapid spread of the Internet in society has brought a rapid expansion of business conducted utilizing the cyber world, with the tourism industry being no exception. In recent years, the number of people who are not satisfied with tours planned and operated by travel agencies and who construct their own travel plans instead of relying on travel agencies has been increasing. Many of these people, called free independent travelers, are using the Internet to book lodgings. Taking into account future developments in the IT industry, an increase in the number of such individual travelers is expected. Accordingly, the present study focuses on lodging facilities in Kyoto City, a global tourism destination. A large proportion of the tourists who visit Kyoto are individual travelers. Using data on the number of room vacancies and prices for accommodation packages at lodging facilities in Kyoto City collected from websites, we estimated the daily occupancy rates of lodging facilities and the economic scale of Kyoto City. From these estimates, we could also gain such information as seasonal variations and day-of-the-week effects. Additional information was obtained by classifying lodging facilities according to factors such as their distance from Kyoto Station and the number of rooms of lodging facility.
著者
山本小一郎 著
出版者
河野良平
巻号頁・発行日
1921
著者
山本 和彦
雑誌
夏のプログラミング・シンポジウム2012「ビューティフルコード」報告集
巻号頁・発行日
pp.27-34, 2013-01-11

純粋関数型プログラミング言語 Haskell に対して、三つのテスト基盤を統合したテスト手法を提案する。ライブラリのユーザに見せるべき振る舞いの記述には、Python から移植した doctest を用いる。doctest では、利用例、設計、および自動テストが実現できる.ユーザに見せるべきでない振る舞いの記述には、Ruby の rspec をヒントに実装したhspec を使用する。hspecでは、設計および自動テストが実現できる。Haskellでは、純粋なコードと副作用のあるコードが型システムにより明確に分離される。純粋なコードは、性質をテストしやすいことが知られている。我々は、性質テストツールである QuickCheckをdoctestと hspecに統合した。
著者
山本 武史
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.63-72, 2011-04-30

This paper aims to reconsider the education of the pronunciation and phonics of the vowels of General American by introducing Yamamoto (2006), who argues that the vowel system of this variety of English can be analyzed as five vowels plus /r/. His cluster analysis, together with modification of his notation and arrangement of the vowels in a tabular form, will help reduce the difficulties encountered in teaching vowels to Japanese-speaking students. The last part of the paper Will discuss the relationships between his cluster analysis and the English spelling system, which will lead to a new approach to phonics education.
著者
山本 経之 薮内 健一 山口 拓 中路 将徳
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.49-57, 2001 (Released:2002-09-27)
参考文献数
51
被引用文献数
1 2

本論文では, (1)渇望状態や薬物探索行動の動物モデルと, (2)それらの発現機構について, コカイン自己投与実験を中心に概説する.実験動物において, 自己投与行動習得後薬物を生理的食塩液に置換しても激しいレバー押し行動が観察される.この行動を薬物探索行動と捉え, 薬物自己投与の終了からの時間経過によって, within-sessionモデルとbetween-sessionモデルとに区別する.一方, 生理的食塩液によるセッションを反復すると, 薬物探索行動は消去(extinction)されるが, 少量の薬物再投与, ストレス付加および薬物関連刺激の呈示によって探索行動が再発する.これを再発(relapse/reinstatement)モデルと呼ぶ.電気生理学的研究によって, コカイン自己投与中のラット側坐核ニューロンの発火頻度は, レバー押し直後に抑制され, 次のレバー押しまで漸増的に回復する現象が見い出された.こうした特異的な発火パターンは, 渇望状態や薬物探索行動を反映している可能性がある.マイクロダイアリシス法による検討によると, 薬物探索時のレバー押し行動は, 側坐核のドパミン濃度の変動によって予測できる可能性が指摘されている.ドパミンD2様受容体作動薬はコカインの強化効果を増強し, コカイン探索行動の再発を生じさせるのに対し, D1様受容体作動薬はコカイン摂取行動を減少させ, コカイン探索行動を消失させる.コカイン再投与によって惹起されるコカイン探索行動は, AMPA受容体拮抗薬の側坐核内注入により抑制されたが, ドパミン受容体拮抗薬では抑制されなかったことから, 側坐核内のグルタミン酸伝達は, 渇望や薬物探索行動の発現にとってより重要な役割を担っていることが示唆される.今後, 薬物依存症の解明に向けてより妥当性の高い薬物探索モデルの確立が望まれる.
著者
片野 修 中村 智幸 山本 祥一郎 阿部 信一郎
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.115-119, 2005-06-20
被引用文献数
4

外来魚ブルーギルは日本全国の湖沼や河川に拡まっており、水産有用魚種や生態系への影響が危惧されている。しかし日本の河川上中流域におけるブルーギルの生態についてはほとんど報告がない。著者らは長野県の千曲川の1支流である浦野川のAa-Bb移行型の河川形態区間で、2003年の6月及び7月に75個体のブルーギルを電気ショッカーによって採捕した。すべてのブルーギルは岸から1m以内で採捕され、その空胃個体は75個体中8個体にすぎなかった。胃内容物充満度は平均0.63%で、最大で2.86%に達した。ブルーギルは主にユスリカ科の幼虫を摂食し、そのほかカゲロウ科やトビケラ科の幼虫及び陸生昆虫を捕食していた。ブルーギルの食性は浦野川の在来魚の何種かといちじるしく重複していた。ブルーギルは河川の魚類群集に負の影響を与えると考えられ、根絶される必要がある。
著者
山本 岳洋 中村 聡史 田中 克己
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.74-87, 2011-07-01
被引用文献数
1

我々は膨大な検索結果をさまざまな観点から閲覧し,効率良く多くの方法を閲覧するための仕組みとして,検索結果全体の俯瞰的インタフェース(タームクラウド)と語ベース適合フィードバックに基づく検索結果の再ランキングシステムを提案してきた.提案してきた俯瞰的インタフェースは有効なものであったが,提示する単語は単純な語の出現頻度に基づき選ばれていたため,ユーザの再ランキング行為を促進するには不十分であった.そこで本稿では,よりユーザの興味を引く単語を提示するため,"有名な観光地"や"美味しい和菓子屋"といった観点に着目し,そうした観点をQ&Aコンテンツから抽出する手法を提案する.ユーザ実験の結果,提案手法により得られた観点は,従来のクエリ推薦や頻度に基づく単語抽出手法に基づく手法に比べてユーザの興味を引く単語を多く提示可能であることが分かった.We have previously proposed a system that reranks Web search results based on users' term-based feedback. The system enables users to explore search results from diverse viewpoints. We have also proposed an interface called TermCloud which are generated from frequent terms appear in Web search results. However, these terms are not enough to support users reranking operations. In this paper, we propose a method to extract aspects like "famous spots" or "delicious restaurant" by using Q&A contents in order to suggest users more interesting terms. The results from the user experiments revealed that our method could provide more interesting terms than several baseline methods including conventional query suggestions.
著者
落合 勇一 日野 照純 関根 智幸 石橋 幸治 青木 伸之 山本 和貫
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、多層カーボンナノチューブ(MWNT)における本質的な伝導様式の差異を詳細に調べ、その原因の解明と「朝永・ラッティンジャー液体(TLL)モデル」の適用の可否について検討を行うことを目的としている。本研究の最終的な結論としては、通電加工法を用いることにより、精密ではないが、多層CNTの層数制御が可能であることがわかった。そこで、これまで行ってきた、加工雰囲気・破壊の進行・電気伝導特性変化がどのように相関するのかを再検討した。常温・大気中では破壊がランダムに進行し、最外層から同心円状に破壊が進行するモデルが成り立ち難いということが明らかになった。さらに、高温領域での伝導度の温度変化に現れるベキ乗則と低温領域での微分コンダクタンスのバイアス依存性に現れるベキ乗則は、加工前は両方共にベキが0.4程度でほぼ一致しており、いわゆるTLL的な伝導が起こっているのに対し、通電加工後は伝導度の減少とともに両方のベキが増大し、値に差が出てくることがわかった。そしてさらに通電加工を進めると、バリアブルレンジホッピング(VRH)的な伝導へと変化することがわかった。これは大気中での通電により発熱した状態で酸素との反応による破壊が進行し、その際に生じた格子欠陥が電気伝導を支配していることを意味しており、層数の厳密な制御には適さない条件であると結論づけた。一方で雰囲気制御を確かめるため、高真空中(10^<-6>Torr程度)および液体窒素中にて通電破壊を行った場合は、層の破壊が一箇所で比較的秩序をもって進行し、最外層から同心円状に破壊が進行することがわかった。これは精密なMWNTの層数制御ができる事を意味しており、低層数MWNTを得るには有望な加工条件であることがわかった。しかしこの方法で通電加工を行った場合でも、加工を進めるとVRH的な伝導が観測され、厳密な意味では低層数部分だけでの伝導特性を分離して議論する必要があるという結論に至った。
著者
本元 小百合 山本 佑実 菅村 玄二
出版者
関西大学大学院心理学研究科
雑誌
関西大学心理学研究 (ISSN:21850070)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.29-38, 2014-03

We reviewed previous empirical research on skin sensations within the context of the embodied cognition or embodiment theory, and discussed its possible mechanisms and limitations. A number of studies have revealed that tactile and thermal sensations could influence one’s cognition and behavior, especially in social context (e.g., trust, empathy, and helping). We argued that this was probably because physical contact is essentially associated with security and intimacy, since it develops interpersonal schemata in early and later developmental stages. Our basic idea may well be supported by ethological, evolutionary, developmental, and neurological perspectives. The methodological limitations, including issues of replicability and generalization, were discussed.
著者
長谷川 真理子 山口 岳史 鈴木 完 山本 英輝 西 明
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.49-55, 2017-02-20 (Released:2017-02-20)
参考文献数
20

【目的】神経芽腫Stage 4S の治療と結果を後方視的に検討し,特に胎児期の無症状発見例の治療について考察する.【方法】過去33 年間に経験したStage 4S の神経芽腫9 例について,臨床的特徴,治療内容と転帰,全生存率,予後因子を検討した.【結果】症例は男児2 例,女児7 例,年齢は0 日~9 か月(中央値,1 か月)で,神経芽腫マススクリーニング発見例が4 例,胎児期発見例が2 例,有症状診断例が3 例であった.全例,副腎原発で,転移は肝8 例,皮膚2 例,骨髄1 例であった.腫瘍組織が検索された8 例では全例がfavorable histology で,3 例がdiploid,5 例がhyperdiploid,またMYCN の増幅例はなく,5 例が低リスク,3 例が中間リスクと分類された.治療は,マススクリーニング発見例では原発巣の一期的摘出と化学療法を行い,胎児期発見例では出生後に無治療経過観察を試みたが,結果的に腫瘍増大あるいは腫瘍マーカーの上昇により治療を必要とした.無症状発見例は1 例を除いて腫瘍なしで,全例が生存中である.一方,有症状発見例については積極的な治療を行い1 例のみ救命できたが,2 例が死亡した.全生存率は無症状発見例が100%,有症状診断例が33%であった.【結論】神経芽腫Stage 4S では,有症状診断例では迅速かつ積極的な対応が必須であり,一方,無症状でも胎児期発見例はマススクリーニング発見例と異なり腫瘍進展の可能性があり,厳重な監視のもとに治療の要否を判断することが極めて重要である.