著者
山本 隆儀 須貝 恵美 仁井田 貴之
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.787-799, 1996-03-15
被引用文献数
3 2

裂果感受性の異なるリンゴ15品種およびオウトウ8品種を用いて, 果実の最終果径 (横径と縦径) に対する果径の日平均変化率などの果実肥大特性を調査し,これらと可視亀裂量による裂果感受性との間の関係を調査した. さらに果実肥大特性と収穫期の果皮の物理性および肉眼では確認することのできない微細亀裂量との間の関係についても調査した.<BR>1.リンゴでは開花後約1ヵ月の横径の平均日変化率と裂果感受性の4指標 (CI, MDR, MDLおよびMDR+MDL) との間に正の有意な相関が認められた.また, 横径と縦径の変化率の差としての横方向への肥大の歪みの程度, あるいは肥大の非円滑性の程度と裂果感受性との間にも正の有意な相関が認められた.<BR>2.オウトウでは縦状の平均亀裂密度と横方向の果径の変化率, あるいは横方向への歪みの程度との間に高い正の有意な相関が認められた.<BR>3.リンゴでは横方向の果径の変化率, 横方向の歪みの程度および肥大の非円滑性の程度と収穫期の果皮の強度との間に負の相関が認められた. また, リンゴとオウトウの両者において, これらと果皮の縦方向の伸び長との問に正の相関が認められた.<BR>4.両樹種で上記の肥大の歪みや円滑でない肥大は微細亀裂量を増大させた.
著者
山本 紗規子 吉田 哲也 齊藤 優子 佐々木 優 矢野 優美子 小林 正規 佐藤 友隆
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.193-197, 2015 (Released:2015-08-27)
参考文献数
11

スナノミ症はTunga penetransと呼ばれるスナノミが感染して生じる寄生虫性皮膚疾患である.スナノミはアフリカ,南米,西インド諸島を含む熱帯,亜熱帯の乾燥した砂地に生息する.雌の成虫が宿主の皮膚に侵入し“ネオゾーム”と呼ばれる腫大した構造を呈し,これがスナノミ症を引き起こす.スナノミ症の好発部位は足の爪周囲や趾間であり,症状は刺激感や瘙痒,疼痛を生じることが多い.治療はノミの除去である.スナノミ症は細菌による二次感染をおこすため,感染に対しては抗生剤の投与を行う.スナノミ症は通常,蔓延地域への渡航歴や,特徴的な臨床所見,病変から虫体や虫卵を確認することで診断できる. KOH直接鏡検法を用いて虫体や虫卵を確認し診断に至ったスナノミ症の1例を報告する.患者は67歳男,タンザニア連合共和国に仕事で滞在中,左足第�趾爪囲の色調の変化に気がつき急遽日本に帰国し当科を初診した.初診時,左足第�趾の爪は一部爪床から浮いており爪周囲は暗紫色調を呈し浮腫状であった.趾先部の中心に黒点を伴う角化を伴った黄白色の結節を認め,スナノミ症を疑い変色部位を爪とともに一塊に切除した.自験例では皮膚の変性,壊死が強く臨床的には虫の存在は明らかではなかったが,KOH直接鏡検法を用いたところ虫体の一部と多数の虫卵を認めることができスナノミ症と診断した.病理組織でも虫体構造物を確認した.感染部位を摘出後,軟膏による潰瘍治療と抗生剤の内服で軽快,治癒した. 病変部位から虫がはっきりと見えない場合,KOH直接鏡検法はスナノミ症の診断に有用である.
著者
高橋 守 伊藤 正道 山本 裕子 高橋 等 高野 俊彦 高野 弘彦 高橋 朋枝
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
(ISSN:00409480)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.51-71, 1978

尾瀬の繁殖期(5月~8月)の鳥類調査を1974年から1978年にわたり線センサス法により実施し植生環境別鳥類群集構造,垂直分布などにつき調査し,あわせて鳥類からみた尾瀬の自然保護を記し検討を行なった.得られた結果は次のとおりである.<br>1.カヤクグリ,イワヒバリなどの高山帯の鳥をはじめ総計93種が記録された.<br>2.各林相地域とも標鳥のウグイス,ヒガラ,夏鳥のメボソムシクイなどの食虫性鳥類が優占し食葉性鳥類のウソ,ホシガラス,カケスなども広く分布しており本州亜高山帯針葉樹林の特徴を示していた.<br>3.エゾムシクイとクロジの2種は亜高山帯針葉樹林と落葉広葉樹林の推移部で集中的に記録された.<br>4.尾瀬全体で最優占する種はウグイス20.0%で次にヒガラ15.8%,メボソムシクイ14.3%,コマドリ5.2%,ルリビタキ3.1%で,これら上位優占鳥種5種で全体の58.4%を占め,しかも鳥種が豊富なことから一定の鳥類群集型を保持しているといえる.<br>5.ムクドリ,センダイムシクイ,エゾムシクイは5月に生息密度が高かったのに8月では低く,すでに移動•分散していた.<br>6.ウグイス,メボソムシクイ,ヒガラ,ハシブトガラス,ミソサザイ,コマドリの6種は低山帯から高山帯にいたるまで幅広く分布しており尾瀬における夏期の基本的構成種であった.<br>7.鳥類の垂直分布の決定要因としては,鳥の選好する植生と標高が強くはたらくことを示していた.たとえばメボソムシクイ,エゾムシクイ,センダイムシクイなど.<br>8.尾瀬ヶ原の湿原にはムクドリが最優占し,ハシブトガラス,ヒバリなどヒトとの結びつきの深い<br>種が記録された.<br>9.イワツバメは1970年に約10,000羽生息していると言われたのに対し,1978年には約4,000羽と推定された.
著者
近藤 陽介 泉地 正人 山本 貴生 平野 尚彦
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.133, no.5, pp.510-517, 2013-05-01 (Released:2013-05-01)
参考文献数
13

This paper provides a new method to estimate very high frequency (VHF) conducted noise from power electronic devices using numerical analysis. The switching waveforms generated by power semiconductor devices, which are the main noise sources, are calculated by a circuit simulation that uses semiconductor device models. The transfer functions from noise sources to voltage measurement points are calculated by the S-parameters on a power electronic device. The S-parameters are calculated by a 3D electromagnetic simulator. The combined results of circuit simulation and electromagnetic analysis create a good correlation with the actual experimental result in the frequency range of 200MHz and below.
著者
山本 明夫
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.279-297, 2012-03-02

「ますます気忙しくなった」といわれる現代だが、ことばの簡素化や外来語の氾濫とともに、人間関係が実利一方・カサカサな状況になってきてはいないだろうか。放送に使われることばも、いわゆる[体言止め]を多用するケースが多くなったようで、言い切り口調が我々の世代にはいささか気になる。どのような意図で体言止めが使われるのか。また「放送が始まって以来、ニュースのことばがどのように検討され、変わってきたのか」を、『20世紀放送史』をはじめとする書物や、NHK放送博物館に残された資料、さらにアーカイブズの保管ビデオなどを頼りに探った。本編(下)では、戦後について民放を含めて変遷を見ることとした。
著者
山本 明夫
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.271-290, 2011-03-04

「ますます気忙しくなった」といわれる現代だが、ことばの簡素化や外来語の氾濫とともに、人間関係が実利一方・カサカサな状況になってきてはいないだろうか。放送に使われることばも、いわゆる[体言止め]を多用するケースが多くなったようで、言い切り口調が我々の世代にはいささか気になる。どのような意図で体言止めが使われるのか。また「放送が始まって以来、ニュースのことばがどのように検討され、変わってきたのか」を『20世紀放送史』をはじめとする書物や、NHK放送博物館に残された資料、さらにアーカイブズの保管ビデオなどを頼りに探った。
著者
金子 晃 笠原 勇二 竹尾 富貴子 菊地 文雄 山田 道夫 三村 昌泰 成田 希世子 塚田 和美 真島 秀行 松崎 克彦 山本 昌宏 北田 均 バランディン アレクサン 薩摩 順吉
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

偏微分方程式の基礎理論の研究においては,ジェブレイ級の解の接続問題において,接続可能性を方程式の特性帯の重複度とジェブレイ指数に関連付けた新しい結果を得た.解の漸近挙動・スペクトルの研究では,定数係数線型偏微分方程式が劣指数的増大度の解を持つための条件を追求し,リウビユの定理の拡張を得た.また,枯草菌のコロニーパターン形成過程の数理モデルを提出し,計算機によるシミュレーションにより2次元パターンを再現し,それが相転移的メカニズムで起こることを明らかにした.さまざまな逆問題の研究では,双曲型方程式に対する逆問題の一意性を係数の正則性を弱めた形で導き,逆問題のリプシッツ安定性を最も望ましい形で示した.また,密度一定の2次元図形について,2方向からの投影データによる再構成問題の一意性が成り立つ場合に,その離散化版の実用的な再構成アルゴリズムを与え,安定なことを示した.一意性が成り立たない場合に適当な重み函数を見出してそれを最大にする解を計算機により探索し,非常に面白いパターンが得られることを発見した.偏微分方程式の数値解析的研究では,中厚平板のモデルであるライスナー-ミンドラン平板に対して新しい安定化混合型4辺形有限要素を開発し,ロッキングを起こさずに薄板モデルに漸近することを検証した.また,乱流のシェルモデルにおいて,相似則を満たすカオス解を追跡しリヤプノフスペクトルを得,それが波数空間において特徴的な波数の周辺にのみ大きな値を持つことを見出した.このアトラクタ次元が大きな極限での漸近表式を導き,数値計算との良い一致を検証した.更にスケール変換に対して不変な積分作用素に適合する双直交ウェーブレットを構成し,応用を与えた.また,修正8節点セレンディピテイ要素が3次の補間誤差を持つことを示し,具体的な問題に対する有効性を確認した.
著者
山本 健太郎 Kentaro Yamamoto
雑誌
法と政治 (ISSN:02880709)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3/4, pp.31(1012)-102(941), 2008-01-20
著者
山本 圭三
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.35-51, 2013-09

本稿は、学生たちが抱く仕事に対する基本的な価値観を「職業的価値観」と定義し、それに関わる要因を明らかにするものである。具体的には、職業的価値観を地位志向、自律志向、社会的信頼志向、他者志向という4つからなるものととらえ、それぞれと一般的な価値観との関連や、それぞれを規定する要因について検討した。分析の結果、[1]職業的価値観はより根本的な価値観と深く関わっていること、[2]現在所属している集団での経験や関わりのある人の多さといった現在の生活のあり方によって規定されるものもあれば、家庭内での過去の経験
著者
吉田 光男 乾 孝司 山本 幹雄
雑誌
楽天研究開発シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.7-10, 2009-11

近年のWeb ページの増加により,Web ページのコンテンツを利用するサービスや研究が盛んになってきている.本論文では,Web ページ集合を用いる事により,CSS セレクタで表現されたコンテンツ抽出ルールを自動的に獲得する手法を提案する.また,本手法のアルゴリズムを実装したソフトウェアを用いて実験を行い,日本語ブログサイトに対して適切な抽出ルールが獲得できた事を示す.