著者
寺田 喜平 平賀 由美子 河野 祥二 片岡 直樹
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.908-912, 1995-08-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
10
被引用文献数
17 20

水痘ワクチンによる高齢者の帯状庖疹の予防効果について検討するために, 水痘患者を多く診察し特異細胞性免疫が賦活化されている小児科医の帯状疱疹発症率を調べた. また, 帯状庖疹と診断された患者の水痘患者との接触歴や家族構成を調べ, 水痘患者や小児との接触が多いかを調べた.500名の小児科および内科小児科を標榜する50歳と60歳代の医師にアンケート調査し, 344名の有効解答を得た. 50歳および60歳代の帯状庖疹発症率はそれぞれ65.2,158.2/100,000 person-yearsであり, 他の報告の約1/2から1/8と低かった. 61名の基礎疾患を持たない帯状庖疹の患者では, 発症前4名だけが水痘患者と接触していたが家族内接触はなかった. また50歳以上の40名の患者のうち7名だけが14歳以下の子供と同居し, 23名は1世帯家族で孫や子供と同居しておらず, 子供との接触が少ないため水痘のブースターの機会が少なかったと思われた.以上より, 水痘ワクチン投与によるブースター効果で高齢者の帯状疱疹を予防できる可能性があると思われた.
著者
佐藤 健太 金岡 直樹 津田 展宏 奥山 淳
出版者
一般社団法人 日本時計学会
雑誌
マイクロメカトロニクス (ISSN:13438565)
巻号頁・発行日
vol.52, no.199, pp.6-16, 2008
参考文献数
4

We develop a small NC milling machine based on the concept of a micro factory. We try to manufacture this machine for using even in the laboratory where there are lot of amateur machine operators for getting trial machine parts. The small NC milling machine size is about 150mm×100mm×270mm. It is about 1/10 of the general milling machines. To evaluate this machine's performances we first make square parts:5mm×5mm×2mm and we make sure that this square parts accuracy is kept within 0. 01mm. We also make one of typical machine parts : a gear, and a circular pyramidal shape which is called a 2. 5 dimensional sample.
著者
藤川 賢 片岡 直樹 除本 理史 石井 秀樹
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

大規模な環境汚染からの地域再建には自然・社会関係の回復が必要であるが、とくに放射能に関しては、そのリスク評価をめぐる揺らぎなどが影響を及ぼす。他方で、産物や芸能などを含めた地域固有の伝統や文化の役割も大きい。これらの作用と過程には事例ごとの差があるものの、時代や国を超えた共通点も指摘される。本研究は、福島原発事故後の地域を中心に自然・社会関係の回復に向けた長期的過程を検討するものである。福島での調査では、阿武隈高地とその周辺を主対象とした事例調査等により、自然と人との関係、人と人との関係の回復を模索する。並行して、国内外の事例と比較総合しつつ、知見の国際的共有に向けた検討を行う。
著者
片岡 直樹 Kataoka Naoki
出版者
新潟産業大学東アジア経済文化研究所
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-17, 2012-07

長谷寺銅板法華説相図の銘文に関しては従来多くの研究がなされてきたが、いくつかの文字については論者によって解釈が異なるものがある。本小論では金石文の研究においては銘文の原字を忠実に読み解く作業がなにごとにも優先するという立場から、あらためて銅板銘中の文字の校訂をはかり、あわせて全文の通釈を施しておくことにしたい。また、近年では文字の彫刻技法の面でも先学によるすぐれた研究がなされており、その内容は本銅板の制作背景を考察する上で看過できない要素を含んでいる。先学の指摘を踏まえて若干の私見を述べてみたい。
著者
藤原 雄太 佐々木 翔 岩倉 敏夫 松岡 直樹 小林 宏正 日野 恵 古川 裕 石原 隆
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.1101-1109, 2013-09-15 (Released:2014-09-17)
参考文献数
20

背景:アミオダロンはヨードを大量に含有するため,甲状腺機能異常をしばしば起こす.さらに末梢および下垂体でサイロキシン(thyroxin;T4)の代謝と甲状腺刺激ホルモン(thyroid stimulating hormone;TSH)分泌に影響するため,甲状腺機能の正確な解釈が困難になる.対象:2009年6月から2010年6月までにアミオダロンを1カ月以上処方されていた341名を対象とした.方法:対象患者の2003年1月から2010年6月までの甲状腺機能検査結果を調査し,また診療録より臨床的特徴を検討した.結果:測定キットの正常域では血中FT4とTSHはともに高値となり解釈不可能な異常値を呈する症例が多数あったため,両者の分布に基づき基準域を1.0≦FT4<2.4 ng/dL,1.0≦TSH<20.0 µU/mLと設定した.機能低下症例は疑いを含めて34名(10.4%)認めた.中毒症例は17名(5.2%)認め,type 1(機能亢進)例はなく,ほとんどの例がtype 2(破壊性)であった.死亡例とバセドウ病合併例を認めた.考察:アミオダロン治療中には甲状腺機能低下症も破壊性中毒症も高頻度に発症するが,軽症例では通常の正常域を用いて正確な診断を行うことは非常に難しい.アミオダロンによるT4代謝とTSH分泌への影響が大きく,甲状腺機能解釈時には従来の正常域にとらわれず本病態を考慮した特別の基準域を用いたほうが甲状腺機能を正しく評価でき,適切な対応が可能になると考えられる.
著者
寺田 喜平 新妻 隆広 片岡 直樹 二木 芳人
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.173-177, 2000-05-18
被引用文献数
4

我国の看護学生における院内感染予防対策の現状と問題点を明らかにする目的で, 看護大学および短大140校においてアンケート調査を行った.34% (24/71校) の大学で看護学生が水痘, 流行性耳下腺炎, 麻疹, 風疹に, また2校で結核に感染していた.感染対策は既往歴やワクチン接種歴の報告が57%, 検査 (抗体, 便培養) が64%, 何もしていないが14%であった.抗体検査は93%がB型肝炎, 約30%が麻疹や水痘などに対し, また49%がツベルクリン反応を実施していた・抗体測定は感度の低いCF法などの実施例もあった.検査料金は大学の全額補助36%, 一部補助32%, 学生の全額負担28%で, 検査項目数が増加しても補助率はほぼ同じであった.ワクチンの接種勧奨は61%で行っていたが, 接種は本人まかせが56%で, 接種料金は全額補助14%, 一部補助29%であった.その補助費用は88%で大学が, 8%で大学後援会が出していた.問題点は現在の対策がB型肝炎中心で, 結核やウイルス感染に対する対策が遅れていた.また抗体測定法の選択に問題があった.検査料金やワクチン料金は少なくとも補助が必要で, またワクチン接種勧奨するだけでなぐ集団接種や場所, 時間など学生に便宜を計る必要があると考えられた.看護学生に対する院内感染防止には費用も含めた対策が必要である.
著者
平岡 直樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.44.3, pp.895-900, 2009-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ブリュッセルのモン・デザール公園を取り上げ、公園整備による都市軸やヴィスタの形成過程とその特徴、さらにヴィスタの形成に効果的な庭園技術について考察した。その結果、大平面を安定して見せるための傾斜角や、斜め上から見ることを想定した平面計画など、整形式庭園の視覚補正の技術を積極的に適用していることがわかった。また公園上部の振り分け階段上の眺望テラスから庭園や街並みを俯瞰する構成は、庭園全体を高所から軸線上に眺望する整形式庭園の基本的構成の都市空間へ応用であることがわかった。さらに都市軸について、本公園整備により形成され強調された軸線が、実際の道路整備を伴わない視覚上の軸性を形成する機能を果たしていることが明らかになった。
著者
柏木 貴雄 稲垣 忠洋 来住 稔 日下 聡 鈴木 琢真 平田 珠希 岩井 正秀 吉岡 直樹 三橋 隆夫 山村 博平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.7, pp.2045-2047, 2012 (Released:2013-07-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

症例は73歳,男性.昼食で自家栽培していた椎茸,人参,ゴボウ等の煮物を食べ,興奮,幻視,瞳孔散大等の抗コリン症状を認めた.同じ食事をした妻と長女も軽度興奮,口周囲の痺れ等の症状を認めたことより食中毒による抗コリン症状と考えた.経過観察にて翌日には症状は軽快した.患者と妻の血清,調理残品,原材料からアトロピン,スコポラミンを検出し,ゴボウとチョウセンアサガオの根との誤食によるチョウセンアサガオ食中毒と診断した.
著者
加納 亜紀 高橋 香代 片岡 直樹 清野 佳紀
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.549-558, 2009-09-30
参考文献数
21
被引用文献数
2
著者
井城 泰一 田村 明 西岡 直樹 阿部 正信
出版者
The Japan Wood Research Society
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.344-351, 2006-11-25
被引用文献数
6 9

トドマツ精英樹や育種母材を用いて樹高方向の丸太の動的ヤング率の変動を調べ,樹幹全体の平均値を推定するのに最適な地上高部位を検討した。また,立木の応力波伝播速度と丸太の動的ヤング率の関係を調べ,トドマツにおける応力波伝播速度測定法の有用性を検討した。丸太の動的ヤング率の樹高方向の変動は,各クローンにおける個体間では,ほぼ同様の変動傾向を示した。また地際から地上高 3 mまでの部位において樹幹全体を代表する値として用いることが可能であり,胸高部位を含むこの地上高部位においてクローン間の遺伝的な違いを比較できると考えられた。立木の応力波伝播速度と丸太の動的ヤング率には,個体値,クローン平均値とも有意な正の相関関係が認められた。特にクローンにおいて相関関係が高かった。これより,胸高部位付近でトドマツの立木の応力波伝播速度を測定することにより,非破壊的に動的ヤング率の推定が可能であり,クローン評価に有効な材質指標になることが示唆された。
著者
佐々木 邦博 米林 由美子 平岡 直樹
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.419-422, 2001-03-30
参考文献数
7
被引用文献数
3 2

長野市松代町は城下町であり,水道網が発達していた。武家屋敷において庭園の水を隣家から隣家へと流す泉水路が存在し,現在でも一部ながら残されている。江戸時代における泉水路の形成過程,その範囲,その用途を明らかにするのが本研究の目的である。対象地は上級武家屋敷地であった殿町とした。真田家文書などの水道絵図から分析すると,次の結論が得られた。中水道が江戸時代中期頃に形成され始め,後期には泉水路として水系を形成する。殿町にはほとんどの家に泉水路が流れ,主に生活用水として,後期には部分的には養魚池の給水源としても用いられていた。その範囲はおそらく松代城下町全体に及んだのではないかと推測される。
著者
黒田 敏 桑山 直也 早川 由美子 出沢 真理 柏崎 大奈 秋岡 直樹
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

骨髄間質細胞とnon-Muse細胞を移植した各群の運動機能の回復は移植後21日目に明らかとなったが、その後安定期に達した。Muse細胞を移植したクループでは、機能的な回復は移植28日後には観察されなかったが、35日後に明らかとなった。組織学的評価では、唯一Muse細胞は梗塞脳に生着し、神経細胞に分化した。本研究では、Muse細胞が虚血性脳卒中患者における末梢血中に骨髄から動員されるという仮説を証明することを目的とした。虚血性脳卒中患者29人について定量的解析をした結果、Muse細胞の数は発症後24時間以内に増加し、喫煙とアルコール摂取量がMuse細胞の増加に影響を与えることが明らかとなった。
著者
平岡 直樹 佐々木 邦博 伊藤 精晤
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.455-458, 1998-03-30
参考文献数
22

本研究の目的は, ベルギーの首都ブリュッセルにおいて, 近代都市計画の始点とされるイギリスの田園都市論の影響のもと, 20世紀初頭, 田園地域に数多く建設された住宅地の特徴を明らかにすることである。そのためにそれらの分布や規模, 計画技法, 住民共同組織の形態, 共有施設等を整理分析した。その結果, ハワードにより提案されたような真の自立した都市像ではなく, 既存市街地に部分的に依存し, 低層低密な2連戸住棟, テラスハウスによる中世風不規則配置構成を持った比較的小規模な田園郊外としての特徴を有していることが明らかになった。