著者
安田 正人 安部 正敏 田村 敦志 石川 治
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.469-472, 2002-11-01 (Released:2009-10-21)
参考文献数
10

21歳, 男性.屋外作業時の全身の無汗と皮膚の痛みを主訴に来院.初診時, 手掌, 足底, 額部, 頸部, 上胸部, 腋窩, 外陰にわずかに発汗を認めたものの, それ以外のほぼ全身の皮膚は乾燥していた.入院後施行した発汗テストで発汗はなく, 患部皮膚の病理組織学的所見ではエックリン汗腺周囲に軽度の単核球浸潤を認めるのみであった.精査の結果, 明らかな基礎疾患を見出し得なかったことから特発性後天性無汗症と診断した.ステロイドパルス療法2クール実施後に症状は軽快した.
著者
安田 正次 大丸 裕武 沖津 進
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.13, pp.842-856, 2007-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
25
被引用文献数
7 7

近年, 群馬県と新潟県の境にある平ヶ岳頂上部の湿原が縮小しているとの報告がある. そこで, 平ヶ岳湿原の面積の変化を航空写真より検出した. 航空写真補正用ソフトおよびGISソフトを用い, 航空写真をオルソ画像化して歪みを取り除き, 面積の算出を行った. その結果, 1971年から2004年までの33年間で湿原面積は10%縮小していた. 湿原が顕著に縮小している部分において植生調査を行った結果, 湿原内部ではハイマツを中心としたパッチ状の群落が侵入し, 面積の変化が大きい湿原縁部ではチシマザサが優占する群落が侵入していた. ハイマツとチシマザサの湿原への侵入の様子とその生態的特性を検討したところ, ハイマツは湿原へ先駆的に侵入して植生変化のきっかけとなり, 面積の変化にはチシマザサがより大きく寄与していた. こうした植生の変化は, 湿原の生成, 維持に関わっている積雪量が減少したことが原因であると考えられた.
著者
安田 正次 沖津 進
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.503-515, 2006-09-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
56
被引用文献数
2 1

近年,上越国境山岳域で積雪量が減少しているという報告がなされている.この地域中央にある平ヶ岳では積雪量の減少によると考えられる植生の変化が確認されている.しかし,この地域では気象観測がほとんど行われていなかったため,積雪量の経年的変動は明らかになっていない.そこで,平ヶ岳における過去から現在に至る積雪量の変動を,低標高域の観測点の観測記録より推測した.その結果,平ヶ岳における積雪量は長期的に減少傾向にあることが明らかとなった.積雪量変動の要因を各気象要素から検討した結果,各年の積雪量は日本付近における冬型気圧配置の出現頻度に応じて増減していることが明らかとなった.長期的には冬型気圧配置出現頻度は漸増しているが,現実には積雪は減少傾向にある.この原因として冬期の気温が上昇傾向にあることが挙げられた.そして,気温だけでなく,上空の寒気の温度も上昇していることが明らかとなったド以上より,積雪量が減少しているのは,冬期の気温および上空の寒気の温度が上昇しているためであると考えられた.
著者
安田 正昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.839-842, 1983-11-15 (Released:2011-11-04)
被引用文献数
1 1

酒の肴としても珍重され, チーズに似た舌ざわりとウニのような風味をもつ沖縄の発酵食品「豆腐よう」の歴史と製造法等について解説していただいた。
著者
安田 正大 古庄 英和 山下 剛 岩成 勇
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

研究代表者は分担者の山下剛氏と共同でWach加群の族の構成しクリスタリン変形環に応用した. また近藤智氏と共同でDrinfeldモジュラー多様体上のゼータ元を整モデルに持ち上げ, またモノイドの表現と関係するトポスの理論を構築した. また杉山祐介氏と共同でpseudo-tameという概念を導入し, 閉体上の任意の代数曲線が射影直線への馴分岐な射を持つことを示した. また高次複シャッフル空間を導入し深さ4の場合にBroadhurst-Kreimer予想の複シャッフル版を示した. また特別な種数2の代数曲線のL関数と関連するヒルベルトモジュラー曲面の適当な商がクンマー曲面となることを見出した.
著者
安田 正次 大丸 裕武
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.1-16, 2014-01-01 (Released:2018-03-22)
参考文献数
25

奥利根・奥只見の中央に位置する平ヶ岳の山頂周辺に分布する湿原は,多雪による多湿化によって成立したとされてきた.しかし,実際の調査データに基づいて湿原の成立を検討した研究はなく,湿原の形成要因は不明瞭なままであった.本研究では,湿原の分布と夏期の積雪の分布との対応を,衛星写真および現地調査によって詳細に検討した.また,積雪の分布に影響を与える冬季の風向を,偏形樹と雪庇から調査した.これらの調査の結果,積雪と湿原の分布は一致しており,積雪による日光の遮断や低温・湿潤な環境のために,樹木が生育できず湿原となっていることが確かめられた.湿原の一部では乾燥地に適応した植物種が認められたが,それらは冬季の強い風によって積雪が吹き飛ばされて積雪が消失するのが早い場所に成立していることが明らかとなった.こういった場所では,冬期に積雪による保護効果が得られないために乾燥害が起きて樹木が生育できないと考えられる.
著者
田口 雄一郎 服部 新 栗原 将人 斎藤 毅 玉川 安騎男 安田 正大 平之 内俊郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ガロア表現のモジュライ空間の構成やその性質について研究し、幾つかの基本的な成果を得た。また、これに関連して、ガロア表現についての幾つかの結果を得た。即ち、(1)かなり一般の完備離散附値体のガロア表現のガロア固定部分空間の消滅定理(今井の定理の一般化)とその岩澤理論への応用、(2)ガロア表現の合同に関する結果とその Rasmussen-玉川型の非存在定理への応用、(3)代数体の幾何学的なガロア表現のヘッケ体が、多くの(例えば或る場合には密度1の)有限素点について、そのフロベニウスの跡で生成される事の証明、(4)ガロア表現の像のザリスキー閉包の連結成分の個数の上からの評価、等を得た。
著者
安田 正昭
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.67-72, 2013-01-31 (Released:2013-04-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2

豆腐ようは沖縄以外の我が国ではほとんど見られないユニークな豆腐の発酵食品である.この食品は琉球王朝時代の 18世紀頃に中国から渡来した紅腐乳を琉球王府のお料理座で改良して造り出されたものと考えられる.発酵にかかわる主な微生物は, Monascus 属カビと Aspergillus oryzae である.豆腐ようの主要な構成成分は大豆タンパク質グリシニンの塩基性サブユニットおよびその他のポリペプチド(分子量 10,500-15,000)である.それら成分が豆腐ようのテクスチャーに関係している.発酵過程で大豆タンパク質はプロテアーゼの作用により低分子化され,一部はアミノ酸やペプチドに変換される.遊離アミノ酸は呈味にかかわる.発酵で生成したペプチド(IFL, WL)は血圧上昇抑制にかわわるアンギオテンシンⅠ変換酵素の阻害効果を示した.両ペプチドは消化酵素による連続処理後においても高い ACE 阻害活性を有していた.高血圧自然発症ラットを用いた動物実験においても豆腐よう投与群はコントロール群に比べて有意に血圧が低下した.豆腐ようには血圧上昇抑制効果のあることが期待された.
著者
曽我部 敦 安田 正明 野田 章
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.207-216, 2002-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
38
被引用文献数
9 10

頭髪上での毛髪のハリ・コシ感は, 毛髪の曲げ硬さやねじり硬さ, 毛髪間の摩擦による影響など複数の物理特性の組合せによるものであるが, 最も基本的な因子の一つには, 毛髪一本の硬さがあげられる。そこで毛髪の硬さについて, 曲げ応力測定と毛髪径測定を行い, 材料力学的見地から, ヤング率による評価を試みた。毛髪の短径および長径を正確に測定するために, レーザー光を利用した毛髪径測定装置を開発した。また, 毛髪をキューティクル, コルテックスより構成される, 異なるヤング率を持った二層構造と仮定し, 毛髪全体のヤング率と物理的にキューティクル層を剥離させたコルテックス部分のみからなる毛髪のヤング率測定を行い, 材料力学的な解析によりキューティクルのヤング率を算出した。その結果, キューティクルはコルテックスの4倍程度硬いことがわかった。また, 毛髪の短径, 長径およびキューティクル層の厚さの測定結果と併せて, 曲げ応力に対するキューティクルとコルテックスの寄与率を算出したところ, キューティクルの曲げ応力への寄与率は, 全体の約6割に達し, 曲げ応力の発生はキューティクルが重要な役割を担っていることを見出した。
著者
安田 正次 沖津 進
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.709-719, 2001-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 4

上越山地平ヶ岳頂上部の湿原において乾燥化に伴う非湿原植物の侵入を明らかにするため,湿原とその周囲の植生分布を調査した.湿原の境界域にはハイマッとチシマザサが分布し,それらは湿原に侵入していた.まずハイマッが湿原内に侵入し,それがその後にチシマザサが侵入可能な環境を形成すると推察された.チシマザサは湿原の乾燥化を助長させていると考えられた.以上から,湿原に侵入したハイマッは後にチシマザサなどの植物に生育場所を奪われる先駆的植物と推定された.同時にチシマザサの侵入により非湿原植物の侵入がさらに進むと推測された.
著者
安田 正志 佐藤 栄児 山田 学 梶原 浩一 早津 昌樹
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.84, no.861, pp.17-00509-17-00509, 2018 (Released:2018-05-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2

Research on seismic isolation technology was also a question of how much restoring force can be reduced. The seismic isolation rubber with thin film like rubber and metal plates stacked in multiple stages to reduce the restoring force has achieved great success. However, there still exists restoring power, measures against long-period earthquakes are not perfect and vertically unprotected. This research is an effort to make three-dimensional seismic isolation more realistic with higher performance by further minimizing resilience in all directions. The developed three-dimensional seismic isolation mechanism consists of an air levitation mechanism that isolates horizontal vibration and a spring link mechanism that isolates vertical vibration. Excitation experiments of the prototype were carried out using real-scale three-dimensional seismic waves by the E-defense shaking table. As a result, excellent characteristics of horizontal periodicity and vertical natural period of 5 s were confirmed. The vibration isolation performance at 1 Hz was about 20 dB in all three directions, and the high isolation performance not found in conventional equipment was verified. They were also supported by analytical models.
著者
菊池 真一 小口 正信 宮川 俊夫 田部 洋 安田 正博 原 重夫
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.163-168, 1980-06-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2

The authors investigated on determining sensitivity of phototypesetting films and papers, based on the exposure condition which the line-width of character could be correctly reproduced under.The line-width is faithfully reproduced under the following conditions;Film: The exposure to cause 2.0+ΔD density units.Paper: Three times exposure to cause 0.7+ΔD density units.(ΔD is fog-plus-base density)Finally, the authors propose to determine the sensitivity as follows;Film: Sf=100/E (E: lux·Esec at D=2.0+ΔD)Paper: Sp=100/3E (E: lux·Esec at D=0.7+ΔD)
著者
安田 正昭
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.912-915, 1983-12-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
88
被引用文献数
1 2
著者
安田 正志 佐藤 栄児 山田 学 梶原 浩一 早津 昌樹
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.17-00057-17-00057, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
10
被引用文献数
6

Vibration tests of the prototype of the newly developed three-dimensional seismic isolation mechanism were carried out using several real-scale three-dimensional seismic waves with the world's largest E-defense shaking table. The developed 3-D seismic isolation mechanism has an air levitation mechanism that isolates horizontal vibration and a spring link mechanism that isolates vertical vibration, in series. The air levitation mechanism floats only 50 μm from the floor and is in contact with the floor with a slight air viscous force of a friction coefficient of 1/1000. Since there is no spring force in the horizontal direction in this mechanism, there is no periodic motion and there is no amplification of vibration. Also, since the floating height is very small, the vertical rigidity is very high even in the air, and the rocking motion is not performed. The spring link mechanism combines a negative stiffness link and a positive stiffness link to minimize the spring stiffness. While maintaining the horizontal attitude by the link, a vertical natural frequency of 0.25 Hz was realized. The prototype showed unprecedented high performance of about 20 dB of anti-vibration capability at 1 Hz both in the horizontal and vertical directions, and the effectiveness was verified in this experiment. The seismic waves used for the experiment are the Takatori seismic wave of the Great Hanshin-Awaji Earthquake of 1995 and the Sendai seismic wave of the Great East Japan Earthquake of 2011.