著者
市村 尚久
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1977, no.36, pp.1-20, 1977 (Released:2009-09-04)
参考文献数
69

Emerson's transcendentalism requires throughout as ideal image an individual self-content and self-respecting. This claim is strongly reflected also in his view on education (the child), it aims at a point where it becomes a “postulate” of perfect “respect for the child”, and the purpose of this paper is to examine the nature and the basis of that “postulate”. From the fact that Emerson's view of “respect for the child” is quoted extensively as a principle to corroborate Dewey and Parkhurst it my be inferred that these ideas form a starting point of American progressivism and child-centered education.When the “depth” of Emerson's view is examined analytically along the lines of the method of his thinking (“encounter” and “intuition”) in order to clarify the essence and the peculiar character of Emerson's “Respect for the Child”, it turns out that its acme is the world of “reason, i.e. spirit”. This is an understanding of an extremely symbolic (abstract) nature containing at the same time a universal (truth) meaning, hence on the contrary it has been observed that Emerson's postulate of “respect for the child” contains a hidden radical meaning. When one reflects on the underlying reason, the conclusion is that this postulate possesses an ethical character and that the nature (soul) of the “ideal” is typically American.
著者
市村 尚久
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1968, no.18, pp.34-51, 1968-10-20 (Released:2009-09-04)
参考文献数
66

Emerson appeared on the scene of American social and cultural history not as a representative of educational philosophy but as a great thinker of the New England school of transcendental thought. While he is the author of an essay “Education”, the foundations of his thought must be sought in the development of his ideas which are to be found in his representative works as a philospher of transcendentalism and are incorporated in his books “Nature”, “The American Scholar”, “Spiritual Laws”, “Self-Reliance”, “Over-Soul”, etc. Hence in this paper we shall clarify the methodological characteristics of Emerson's way of thinking in terms of Emerson's thought in general, i. e. his “intuition”. Furthermore the investigation starts by examining the way in which he interprets “nature”. We have tried to clarify the nature of the goal and method of education of “Man” in Emerson's thought, using as an approach to this problem his educational philosophy as it is by way of conclusion expressed in his “Education”. In doing so we have always endeavoured to discuss the problem within the framework of Emerson's system of thought as a whole. While proceeding on the road of an integrated study of Emerson's educational thought we were able to indicate some problems which still wait for a solution, such as; the influence on Emerson's thought by Russell, Pestalozzi etc. ; the roll Emerson's thought played in the development of “The New Education” based on the principle of pragmatism etc.
著者
市村 尚久
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1965, no.12, pp.61-74, 1965 (Released:2009-09-04)
参考文献数
34

The present article tries, through analysing the structure of Kilpatrick's theory of learning, to clarify how the character or personality as we speach of character-building or personality-building and the field of building can be recognized. Especially his theory of attitude-building (“attitude” forms the nucleus of the personality structure which is defined as character structure and as individual character trait, and is the field capable of being built) in the field of concomitant learning had induced the present writer to develop the following reasoning.The situation of character-building is the field of active ego-alter relation and falls beyond the direct range of the subject's consciousness. In other words the person concerned is incapable of being conscious of the process of his own character-building but can understand it only reflectively afterwards. The peculiarity of the field of character-building lies in the fact that the person concerned remains unconscious during the process. The concept “unconsciousness” will be the key to the problem of character-building. At the same time the essential nature of the field of character-building could be said to consist in its unconscious building power.
著者
市村 尚久
出版者
教育哲学会
雑誌
教育哲学研究 (ISSN:03873153)
巻号頁・発行日
vol.1962, no.7, pp.14-30, 1962-10-30 (Released:2009-09-04)
参考文献数
40

My chief effort in this essay is to interpret faithfully the methodology of “life learning” as displayed in the “project method.” I have tried to understand the “project mothod” as a generalized methodology of problem solving as I subject to reexamination the tendency of some to find a weakness in the spiritual aspects of problem solving, which is considered as the point at issue in interpretations of the “project method” given heretofore. Further, with the help of my interpretation of “concomitant learning, ” I have considered with what meaning the methodology based on the “project method” is given a central place in Kilpatrick's systematic educational theory. I interpret the “project method, ” as we see it developed in the essay, “Project Method, ” as Kilpatrick's methodolgy in matters educational and try to develop the argument that its role is pivotal in Kilpatrick's systematic educational theory.
著者
市村 卓彦
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.79-89, 2006-01-31

ナチドイツに占領併合されたドイツ国境のフランス・アルザス地方の劇作家ジェルマン・ジャン=ピエール・ミュレールはアルザスの現代文学史に名をとどめるだろう。ナチドイツから解放された直後のアルザスで劇団『バラブリ』を創設し,以後40年間演劇シーズンを送り,観客動員数4万人以上を数えている。彼の活動の歴史はアルザス人にとってきわめて意義深い。戦後のアルザス人のコンプレクスの抑圧を解放し,そのアイデンティティーを再発見させたからである。本稿はこの劇作家・俳優としてアルザス文学史に名を止めたジェルマン・ミュレールについて取り上げたい。1933年1月30日,政権を掌握したヒトラーはナチドイツの一党独裁を確立し,兵役義務制の復活と再軍備を宣言し,軍備を拡充するとともに,自給自足の「生活圏」を建設しようと,猛烈な侵略政策に出た。1939年6月15日,ナチドイツは宣戦布告なくポーランドに侵攻した。これに対してフランスとイギリスはドイツに宣戦を布告,ここに第二次世界大戦が始まった。ドイツ軍はポーランドを3週間で圧倒した。さらに1940年5月10日,西部戦線で大攻勢に成功し,北フランスからパリに殺到,6月14日,早くもパリは陥落した。フランス政府は休戦派が17日,ヴェルダンの英雄フィリップ・ペタンを首相とする内閣を組閣,6月22日,ペタン政府はドイツと休戦協定を結んだ。このほぼ同時期の1940年6月15日朝,ドイツ軍はアルザスに侵攻を開始,特に大きな反撃を受けることもなく6月19日午前,ストラスブールに無血入城した。その後ドイツ軍は撤退せず,事実上,アルザスを第三帝国の地方行政組織であるバーデン=アルザス大管区に併合した。こうしてアルザスはナチドイツの占領支配のもとに置かれ自由を剥奪され魂の死を強要された。1942年8月25日はアルザス人にとって第二次世界大戦下で最悪の悲劇の日となった。この日ナチドイツは,占領下の他国民を占領軍に強制徴募することを禁じたハーグ条約を公然とふみにじってアルザスに国防軍兵役義務制を導入したからである。開戦時フランス軍の軍服を着用して前線に向かったアルザス人将兵は,今度は強制的にドイツ国防軍に徴兵されることになったのである。アルザスは1945年3月19日,連合国軍によって完全に解放され,フランスに復帰したが,ミュレールはアルザス解放後の1946年12月14日,劇団『バラブリ』を結成した。この劇団はアルザス人の戦時下のコンプレクスから解放させ,アルザス人のアイデンティティーを再発見させるのに大いに寄与したのである。ミュレールの作品はアルザス語で書かれたことによって,アルザス人の鏡の役割を果たしたといわれる。アルザス語とアルザス文化を顕揚する独自な活動を行なった。ミュレールの作品は歴史に翻弄されるアルザス人の欝屈した状況をユーモアをこめ,共感をもって描いた。バラブリは以後1988年まで40年間にわたって芸術的喜びを提供したのである。
著者
大植 賢治 富永 孝紀 市村 幸盛 河野 正志 谷口 博 森岡 周 村田 高穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.109-114, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
19

〔目的〕本研究では,言語教示によって対象者の能動的注意を自己の身体内部および外部に向けさせて,運動を認識している際の脳活動の違いを明らかにすることを目的とした。〔対象〕右利き健常成人8名とした。〔方法〕機能的近赤外分光装置(fNIRS)を用いて検証した。〔結果〕能動的注意を右手で自己の身体内部へ向けた場合では,右半球前頭前野と右頭頂領域で,左手で身体外部へ向けた場合では,左半球前頭前野と左頭頂領域で酸素化ヘモグロビンの有意な増加を認めた。〔結語〕今回の結果から,運動を認識する際の運動と同側大脳半球の左右大脳半球の機能分化として,能動的注意が右手で身体内部に向かう場合は右半球前頭-頭頂領域が,左手で身体外部に向かう場合は左半球前頭-頭頂領域が担うといった側性化が存在することが示唆された。
著者
市村 美帆 新井 洋輔
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
no.61, pp.165-174, 2020-03-31

本研究の目的は、大学生が双子コーデ現象をどのように捉えているのか、双子コーデの経験有無による違いについて検討することである。大学生161名を対象に質問紙調査を行った。その結果、大学生は、テレビやSNSおよびインターネットで双子コーデの情報に触れたり、友だちが双子コーデをしていたり、実際に街中で双子コーデをしている人たちをみたことがあるといったように、様々な形で現象に触れていた。双子コーデは主として女性同士で行われる現象であるが、男性もしくは異性同士でも行われるものでもあることや、関係の深い2人によって双子コーデが行われると捉えられていた。また、大学生は双子コーデを、楽しく、テンションがあがることと考え、双子コーデというファッションにかわいいやほほえましいといった評価をしており、好意的に捉えていた。双子コーデをする理由については、「自分の楽しさ志向」「友だちとの関係志向」「流行・社会志向」の3つのまとまりに整理された。双子コーデの未経験者で今後経験したくない者は双子コーデをする理由を「友だちとの関係志向」で捉え、双子コーデの経験者や今後経験してみたい者は双子コーデをする理由を「自分の楽しさ志向」と考えていた。
著者
小松崎 哲也 青木 正彦 市村 正明 平井 正幸
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.326, 2009

〈目的〉当院は第三次救急病院であり,緊急を要すること<BR>が多いので放射線情報システム(以下RIS)の使用上,不<BR>適切な処理をしてしまうことがみうけられた。今後フィル<BR>ムレスを迎えるにあたり,医療ミスを未然に防ぐために各<BR>技師がRIS を適切に使用・修正できることが必須とな<BR>る。よって,2009年2月より新たにRIS データ修正作業<BR>を業務として開始した。開始後から現在までの間で,RIS<BR>データ修正業務担当技師8名のRIS の使用・修正方法に<BR>対する理解度を調査し,今後の教育体制を図る。<BR>〈方法〉<BR>1.RIS データ修正業務担当技師8名が,2008年7月から<BR>12月にかけての不適切な処理をしたデータを収集・分類<BR>し作成したマニュアルをもとにRIS データ修正作業業<BR>務を行った。<BR>2.画像情報管理担当技師2名が過去の事例をもとにRIS<BR>の使用方法に対する問題10問,RIS データ修正方法に関<BR>する問題10問の記述式テストを作成した。<BR>3.RIS の使用が可能またはRIS データ修正が可能な回<BR>答を○,誤った回答を×とし,○を1点,×を0点とし<BR>た。<BR>4.作成した記述式テストをRIS データ修正業務担当技<BR>師8名に行ってもらった。<BR>5.画像情報管理担当技師2名が回答した技師の理解度を<BR>調査し,教育体制を図った。<BR>〈結果〉現在におけるRIS データ修正業務担当者8名中<BR>6名は17点以上だった。残りの2名は12点を以下だった。<BR>全問正解者はいなかった。<BR>〈考察〉全問正解者はいなかったが大半の技師は十分な知<BR>識を有していると判断できた。しかし,残りの技師は理解<BR>不足によるものや知識として蓄えられていないものであっ<BR>たため,従来のマニュアルの簡易化に加え,RIS のテキス<BR>ト作成による習熟を図るべきである。また,定期的なテス<BR>トによる個人の理解度を管理していくことも必要である。<BR>〈結語〉新たに始める教育体制の結果については学会当日<BR>に報告する。<BR>
著者
井口 洋夫 鈴木 修吾 中原 祐典 市村 憲司 薬師 久弥 緒方 啓典
出版者
岡崎国立共同研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

平成9年度においては、水素を含む3成分系有機超伝導体(Na-H-C_<60>)の試料合成において、超伝導を示す試料と超伝導を示さない試料ができてしまうが、超伝導を示さない試料を超伝導試料に変換する方法を確立した。また、超伝導相及び非超伝導相の構造をリートベルト解析により明らかにした。さらに、Na-H-C_<60>が水素ガス、重水素ガス、ヘリウムガスなどを吸蔵することを見出し、それを特許として出願した。平成10年度においては、超伝導相に対してリートベルト解析から得られた原子座標を使って電子状態の計算を行い、水素は単なるスぺーサーではなくその原子上にも伝導電子が存在し、系全体の電子状態(特に、超伝導性)に関与していることを明らかにした。さらに、この3成分系の範囲を広げて、K-H-C_<60>及びNa-NH_2-C_<60>の有機超伝導体を作成した。(KH)_3C_<60>はK_3C_<60>よりも大きな格子定数をもち、昇温脱離、^1H NMRの実験から水素が格子の中に含まれていることを確認した。さらに興味ある結果として、(NaH)_<4-x>(KH)_xC_<60>(x=0.1,0.5,1,2 and 3)も超伝導を示す上、きわめて安定な超伝導体を作ることを見い出した。これによって、水素を含む3成分系有機超伝導体を大量に作ることが可能になり、水素の存在及び挙動の解析するための中性子回折の実験の準備が整い、今後の本研究の発展に大きな進展をみることができると判断している。これらの結果は水素還元によって異常な伝導性を示す嫌気性電子伝導物質シトクロムc_3(分子量13,955)の電導機構の解明に役立つと判断し、その研究を続行している。