著者
市村 一雄 川端 善彦 岸本 真幸 後藤 理恵 山田 邦夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.292-298, 2003-07-15
被引用文献数
10 37

道管閉塞と糖質の不足がどの程度バラ切り花の花持ちが短い要因となっているか検討するため,'ソニア'切り花を200mg・liter^<-1>8-ヒドロキシキノリン硫酸塩(HQS),20g・liter^<-1>'スクロースおよびHQSとスクロースを組合わせた溶液で処理した.切り花は23℃,相対湿度70%,12時間日長,光強度10μmol・m^<-2>・s^<-1>の条件下で保持した.どの薬剤も花持ちを延長させたか,スクロース単独処理の方がHQS処理よりも花待ち延長効果が高かった.スクロース処理はHQS処理よりも花弁の展開を促進し,切り花の新鮮重の低下とブルーイングの発生を抑制した.茎の水通導性は,スクロース処理により収穫後2日目以降急激に低下した.それに対して,HQSおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理では収穫直後とほぼ同じ値で推移した.茎の細菌数はどの区においても次第に増加した.スクロース単独処理は細菌数の増加を促進したが,HQSおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理は細菌数の増加を抑制した.花弁中のグルコース,フルクトースおよびスクロース濃度はスクロースおよびスクロースとHQSを組み合わせた処理により,HQS処理よりもはるかに高く維持された.以上の結果より,本実験条件下においては可溶性糖質の供給不足のほうが道管閉塞よりもバラ'ソニア'切り花の品質を低下させる重大な原因であることが示唆された.
著者
石郷岡 玄一郎 丸山 陽央 小島 楓 市村 智康 前田 義信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.427, pp.41-44, 2014-01-30

本稿では四肢動物の歩行パターン("歩く","走る"等)を制御する中枢パターン発生器(CPG)の電子回路モデルを提案した.四肢動物の場合,"走る"には,トロット,ペース,キャンター,バウンド(ギャロップ)の4つがあり,今回は,3つの"走る"と"歩く"を1つのパラメータを用いて切り替えが可能となるhard-wiredなCPGネットワークを提案した.
著者
佐々木 陽一 LAMPRECHT G. SYKES A.G. 馬越 啓介 市村 彰男 永澤 明 SYKES A.Geoffrey SAYSELL Dabi 阿部 正明 今村 平 LAMPRECHT Ge MCFARLANE Wi A.GEOFFREY S
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的は,レニウム錯体について,酸化状態の違いと配位子置換反応性の関連および金属間の相互作用と酸化還元反応性の関連を明らかにすることである。レニウムは周期表の中でも最も多くの酸化状態をとる元素であり,これらの反応性を調べるのに適している。本研究は,日本側で研究に適した新レニウム錯体の合成,英国のSykes教授の研究室でそれらの反応性の速度論的研究という大まかな役割分担で行なった。また,2年間に英国よりSaysell博士,南アフリカよりBotha博士がそれぞれ3ケ月間北海道大学を訪問,精力的に研究を行ない理想的な共同研究成果をあげた。Re(V)錯体のキレート環形成過程を,N,N,N,O型の4座キレート配位子およびN,N,O型の3座キレート配位子を用いて調べた。Re中心へのキレート環形成過程を,中間過程の化学種を単離,構造決定することにより明かに出来た。これにより高酸化数に伴うオキソ基の配位が多座配位子のキレート環形成過程に及ぼす効果を視覚的に明かに出来た。これは,置換活性な金属イオンでは不可能な成果であり,レニウム錯体以外にも広く適用できる重要な知見である。レニウム(III)六核錯体の特異な反応性が明かとなった。硫黄架橋レニウム(III)六核骨格,Re_6S_8は最近機能性物質や,生体内鉄硫黄クラスター骨格の基礎的な構造モデルとして,注目されつつあるものであるが,その基礎的な反応性はほとんど調べられていなかった。主にRe-Re間に多重結合をもつ複核錯体を新たに合成し,その構造や酸化還元反応性を明らかにした。本研究では,この化合物を,レニウム金属間結合を持つ典型的な化合物と捉え,配位子置換反応性と酸化還元反応性を調べた。その結果,異常に置換不活性であることと,これまでの見解に反し,酸化還元活性であることとが明かとなった。Re複核錯体ではその酸化数が,(III,IV)および(IV,IV)の二つの状態の錯体の構造解析により,両者のRe-Re距離の比較から,金属間結合に関わる結合軌道の性質を初めて明かにした。
著者
市村 恵一 田中 利善 北原 伸郎
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.1209-1219, 1989
被引用文献数
7 3

The masseter muscle, which contributes to mastication, originates on the zygomatic arch and inserts into the lateral surface of the mandible. Although relatively rare, benign masseteric hypertrophy and intramasseteric hemangioma are two important conditions affecting this muscle. Patients with these lesions complain of the cosmetic deformity rather than the functional disorder. Unless desired for cosmetic reasons there is little justification for any operative treatment. However, as no report could be found of the esthetic problem being solved by conservative treatment, surgical correction is advised when the chief complaint is esthetic.<br>Surgical treatment involves resection of the hypertrophied musculature or excision of the tumor with a surrounding margin of normal muscle. We list here the important aspects of surgery of the masseter.<br>1) Careful preoperative planning, including CT and MRI, is indispensable.<br>2) An extraoral approach is preferred in most cases. The masseter muscle is exposed through a curvilinear incision around the angle of the mandible for cosmetic reasons. A postauricular incision extending to the submandibular area is used instead of a routine preauricular parotid skin incision.<br>3) Care should be exercised to identify and preserve the lower branches of the facial nerve. They should either be dissected free and retracted (in case of tumor) or remain on the surface of the muscle (in cases of muscle hypertrophy) to protect them from damage.<br>4) Ligation of the feeding vessels helps to minimize blood loss.<br>5) Oozing from the muscle can be controlled by an infrared contact coagulator.<br>6) Postoperatively continuous suction with a fenestrated polyethylene drain for 2 days and a pressure dressing for 5- to 7-days is recommended to prevent hematoma and resultant scar formation, which causes swelling or trismus.<br>7) Patients should begin chewing early to prevent trismus.
著者
市村英輔 著
出版者
雄山閣
巻号頁・発行日
1925
著者
中島 恵美 横川 弘一 市村 藤雄 倉田 孝一 木戸 日出喜 山口 成良 山名 月中
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.718-725, 1987-02-25
被引用文献数
4

The disposition characteristics of biperiden were investigated in rats, rabbits, beagles, and humans, and a physiologically based pharmacokinetic model was established by using the hepatic intrinsic clearance of unbound drug concentration and the tissue-to-plasma unbound concentration ratios. Protein-binding parameters and blood-to-plasma concentration ratios were determined, and linear parameters were obtained in beagles and humans over a wide concentration range. The hepatic intrinsic clearance of humans was predicted from the animal data. The coincidence of each tissue-to-plasma Unbound concentration ratio between rats and rabbits was confirmed in the steady state, and the mean tissue-to-plasma unbound concentration ratios were used for the prediction of the plasma concentration-time courses of beagles and humans. The predicted lines fitted the observed plasma concentrations of beagles and a patient well after a single intravenous injection and repeated intramuscular administrations, respectively.
著者
栗山 進一 大貫 幸二 鈴木 昭彦 市村 みゆき 森久保 寛 東野 英利子 辻 一郎 大内 憲明
出版者
日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.93-98, 2007-03-30 (Released:2008-07-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

本研究の目的は, 40歳代女性に対する超音波・マンモグラフィ併用 (US & MMG), 超音波単独 (US単独), マンモグラフィ単独 (MMG単独) の3種類の逐年検診方法を, シミュレーション分析により救命効果, 効率の点から比較検討することである。各検診方法に対して10万人ずつの仮想コホートを設定し, 検診とその効果をシミュレーションにより追跡した。それぞれの検診を行うコホートで, 要精検者数, 乳がん患者数を, 検診の感度・特異度, 乳がん罹患数より計算し, 期待生存年数を早期乳がん比率, 病期別の5年生存率, 平均余命より算出した。費用効果比は検診により生存年1年延長に要する費用である。検診方法別の感度・特異度, 早期乳がん比率は, 平成12年度~16年度に栃木県保健衛生事業団が行った地域住民出張検診データから算出した。救命数の差をみると, 検診方法別ではUS & MMGが最も大きく, US単独, MMG単独の順に低下した。費用効果比をみると, US単独が他の2つの検診方法より良好であり, MMG単独, US & MMG単独の順で費用効果比が低下した。最も効果の高いのはUS & MMG検診であり, 最も費用効果比が良かったのはUS単独検診であった。
著者
市村 直幸
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,近年急速に発達している多数の計算コアを有する GPU (Graphics Processing Unit)を利用し,並列処理に基づく物体認識アルゴリズムを構成することを目的とした.まず,物体認識の基盤要素である局所不変特徴の抽出に対し,並列処理を適用した.方向マップと呼ばれるデータ構造を導入することにより,並列処理で効率的に実行可能な均一な局所演算により特徴抽出を構成できることを示した.その結果,従来の方法よりも,高速かつ特徴数の変化に対しスケーラビリティの高い特徴抽出を実現することができた.
著者
橘 一聖 田邉 幸祐 市村 匠
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.280-283, 2012

感情指向型インターフェイスの実現のために,対話文から感情を推定する手法として,情緒計算式(EGC)及び,心的状態遷移ネットワーク(MSTN)が知られている.EGCは単語に対し予め与えられた快・不快を示す好感度をもとに,対話文の感情の値を計算する式である.MSTNはEGCにより計算された刺激を用いることで,ある感情の状態から別の状態への遷移を表すことができる.本論文では,EGCにより求められた感情値に一致した広島観光名所を紹介するアプリケーションをAndroidスマートフォン上で開発したので,ここに報告する.
著者
市村 恵一 菊池 恒 今吉 正一郎
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.85-88, 2013 (Released:2013-05-15)
参考文献数
12

オスラー病は難治性鼻出血の原因として有名であるが, 鼻腔病変に次いで多いのが口腔病変で, その出現率は58-79%とされる. 自治医科大学附属病院で経験した53例のオスラー病患者 (鼻出血に対する手術施行例) では, 口腔病変は記載の確認できた37例中33例と少なくないが, 口腔出血の訴えがあったものは9例しかなく, 隆起性病変か著しい拡張病変に限られていた. 血管拡張病変からの出血には重症例はなく, 鼻出血に比して口腔出血の日常生活への支障度は低かった. 対応として, レーザーやコブレーターによる焼灼も行ったが, 制御しにくい例は隆起病変の形を取っているので, その切除縫縮で対応するのが有効であった.
著者
市村 真
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2009-2011
著者
市村 哲 福島 敏行 梁 超
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.15, pp.1-6, 2010-05-13

本稿では,写真共有と Twitter 投稿によるコミュニケーションが可能なデジタルフォトフレームシステム 「TwiPhoto」 を提案する.ユーザは,携帯電話またはデジカメで撮った写真や写真に対するコメントを本システムの画像掲示板に自由にアップロードできる.投稿した写真やコメントは,Twitter にも並行して投稿され,自分の Twitter ホームに掲載される.フォトフレームを起動すると,自分が Twitter でフォローしている友人らの新規投稿写真を自動的に取得して,画面上でスライドショー表示を見ることができる.このとき写真についているコメントが写真の上に重畳して流れる.さらに,見ている写真に対して携帯電話を利用してコメントを追加投稿することも可能である.TwiPhoto 開発の背景,システムデザイン,実装,評価について主に述べる.In this paper, TwiPhoto, a digital photo frame enabling online communication through sharing photos and twitter comments, is proposed. You can upload comments and photos taken by digital camera or mobile phone to the bulletin board system on the Internet. The uploaded comments and photos are also posted into Twitter. When you start photo frame, the photo frame automatically downloads comments and photos that were uploaded by your friends that you are following in Twitter, and shows the downloaded comments and photos in a slide show manner. You may add comments on the photo displayed on your photo frame by using a cell phone. System designs, implementation issues and evaluation are described.
著者
赤坂 将 柳沢 達矢 中村 亮太 市村 哲
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.21, pp.1-6, 2010-03-11
被引用文献数
1

現在,インターネット上には情報発信の場として Web ページが多数存在しており,企業等では商品情報を公開し更なる顧客獲得のために使用している.Web ページの使いやすさによって商品の売上が左右されるということなどから,より多くの人に Web ページを見てもらうようにするため,Web ユーザビリティの向上が重要となっている.Web ユーザビリティを評価するためにユーザがクリックしたログの解析など様々な手法が考えられているが,その中の一つの手法として,視線を使用した評価方法がある.しかし従来の視線を用いた評価手法では,ユーザが具体的に何を見ていたかわからない,また分析に手間がかかるなどといった問題があった.そこで本研究では,従来行われていなかった Web ページの評価方法を考え,より簡単に評価できるツールを提案した.そして,Web ページ上でユーザが何を見ていたかという情報を取得するツールと,取得した情報を解析し Web ページの改善を手伝うためのツールを開発した.A lot of Web pages exist on the Internet, The Web pages are used for sending advertisement and acquiring customers. Because companies want more people to see the advertisement about their merchandise, the improvement of the Web usability is important. Various methods like the analysis of the log that the user clicked were proposed.There was an evaluation method using the glance.However, there was a problem that people didn't understand what the user was concretely looking at. Moreover, there was a problem of taking time to analyze. Then, the paper proposed the method of evaluating the Web page that had not been done in the past.
著者
市村 導人
出版者
日本農業史学会
雑誌
農業史研究 (ISSN:13475614)
巻号頁・発行日
no.44, pp.102-110, 2010-03

The research related to fertilize in the Chinese agricultural history emphasized that shift from the self-sufficient fertilize to the purchase fertilize. But, the development of the farming technology of the Song and Yuan ages can't be evaluated with this point of view. Farming technology must establish increase in the purchase fertilizer at the stage of the self-sufficient fertilizer. In the self-sufficient fertilizer, a manufacture process is contained, or the establishment of the knowledge about effect of the fertilizer that it can be evaluated as a farming technology. The former, the Song and Yuan ages can't be presumed difference, because there has already been some "compost" since the sixth century. The latter, it is important to give combustion ashes of the organic matter and the lime. The use of "ashes" can be confirmed to the agricultural manual of Chen Fu 陳敷 NT and Wang Then 王禎 written in the Song and Yuan ages. By the use of "ashes", unlike shifting cultivation, the effect of the fertilizer could be controlled by mixing it with night soil. It thought with the imperfect farming technology by the usual research because it volatilizes nitrogen which is nutrient to mix night soil with "ashes". But, night soil contains table salt, and has the possibility to hurt a root. As a countermeasure, "Ashes" and night soil are mixed, and table salt is resolved. There is a problem by paying attention only to nutrition to analyze fertilize. After the Song and Yuan ages, it could confirm that the importance of "ashes" increased by the historical materials. The writer thinks that the Song and Yuan ages was the start time of such "ashes" use. When the fertilize level is evaluated from the farming technology, the Song and Yuan ages was one difference.