著者
前田 幸男 平野 浩
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.5-18, 2015

選挙制度改革の目的の一つは,政党・政策・首相候補を三位一体として選択する体制の構築にあった。その意味で,有権者が抱く首相イメージが,政党や政策との関係を軸として形成されるのか,首相個人のリーダーシップや人柄に左右されるのかは,重要な論点である。本研究では, JES - IV の自由回答を利用して,有権者が抱く首相イメージの形成およびそのイメージが内閣支持に与える影響について分析した。有権者の多くは政治報道を通じて内閣の好きな点および嫌いな点について明瞭なイメー ジを持っており,そのイメージが内閣支持・不支持を左右している。しかし,その内閣についての好きな点,嫌いな点の影響は対称ではなく,好きな点の影響が嫌いな点の影響を上回っている。さらに,好きなイメージの影響が直接的であるのに対して,嫌いなイメージの影響は政治的関心の媒介を必要とすることが明らかになった。
著者
北原 理作 笠井 文考 遠藤 明 高木 恵一 平野 浩司 相馬 幸作 増子 孝義
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.987-991, 2013-10

北原ら(2013)は67巻9号において,海外における忌避材の評価について紹介した。一方,農業被害,林業被害,衝突事故などの被害額が60億円以上に達しているエゾシカにおいては,被害対策としての忌避材の効果が十分検証されていない。ここでは市販の忌避材のうち,海外でも利用されているハイイロオオカミの尿(原液100%)(以下忌避材と記す)について検証した結果を紹介する。調査は,北海道東部に位置する美幌町の公共牧場周辺に多数生息し自由に牧草地を出入りしている野生の個体群と,東京農業大学オホーツクキャンパスで飼育している6頭の個体を対象とした。2012年8月~9月に公共牧場で野外試験を実施した後,11月に飼育舎内で追加試験を行った。対象とした野生個体群は,有害駆除の対象にはなっていないが,狩猟期には捕獲対象となるため非常に警戒心が強い。一方飼育個体は,警戒心が低く人馴れしており対照的である。評価の方法は,海外の事例ではオオカミやコヨーテの尿を,直接餌に散布して効果を調べているものも多いが(北原ら2013),本忌避材が接近を妨げる目的で市販されているため,餌場である牧草地(飼育個体については給餌場)に対する接近や特定の出入り口からの侵入阻止に効果があるか否かに限定して調べた。忌避材を設置した場所を自動センサーカメラ(以下カメラと記す)で24時間昼夜問わず監視し,カメラのみを設置する対照区と,忌避材とカメラを設置する試験区を林縁に設定し,林内から牧草地への侵入および忌避材設置場所付近における牧草採食の有無を記録した。北海道ではおよそ100年前にエゾオオカミは絶滅したが,メーカーによる忌避材の原理は,シカの天敵であるオオカミの尿の臭いに対しては,絶滅した今日でも先天的に忌避反応を示すという説明である。
著者
関 智行 新井 冨生 山口 雅庸 石川 文隆 齊藤 美香 大平 真理子 平野 浩彦 石山 直欣
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.315-321, 2010

ビスフォスフォネート (以下BPs) 製剤は骨代謝異常疾患に対して有効であり, その使用症例が近年増加しているが, それにともないBPs製剤に関連した顎骨壊死 (Bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw, 以下BRONJ) の報告も増加している。今回, われわれは多発性骨髄腫に対してBPs静注剤の投与を受けた患者で, 上下顎骨壊死をきたした剖検例を経験し, 口腔露出部顎骨と骨が露出していない下顎骨を病理組織学的に比較検討を行ったので報告する。<BR>症例は77歳男性。初診時, 上顎右側第二小臼歯部に骨露出を認めた。多発性骨髄腫に対してBPs静注剤の長期投与の既往があることからBPs関連顎骨壊死を考慮し, 抗菌薬投与と局所洗浄を行った。また, 多発性骨髄腫による骨症状がないことからBPsを中止した。初診3カ月後, 下顎右側犬歯から第二小臼歯部に新たな骨露出を認めた。初診6カ月後には上顎右側第一小臼歯が自然脱落した。初診8カ月後に間質性肺炎悪化にともなう呼吸不全で死亡した。剖検が行われ, 口腔に露出していた上下顎骨は病理組織学的に骨壊死を呈していた。また, 粘膜に被覆され骨が露出していない右側第三大臼歯頬側の下顎骨を検体として採取し病理組織学的に検索した結果, 骨小腔には骨細胞が散見され, 骨髄組織に慢性炎症像が認められた。<BR>BRONJにおいては, 顎骨壊死が露出領域を超えて顎骨未露出領域まで拡大している可能性が示唆された。
著者
平山 卓也 平野 浩二 志田 勝吾 ジャフェット フェルディ モナスリ
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.67-73, 2013-03-31 (Released:2014-03-31)
参考文献数
3

By having a mechanism to switch-off one of two cylinders, ”Dual Rotary Compressor” has become the best candidate to operate in wide range load condition. But the conventional mechanism still has some problems such as a decrease in efficiency in 2-cylinder operation, space-consuming pipe fittings and difficulties of application to highly-efficient models. We have developed a new mechanism which can solve those problems, and succeeded in commercialization for room air-conditioners. The new space-saving dual rotary compressor is more efficient 3% in APF than conventional model.
著者
柳瀬 崇 平野 浩太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.98, no.356, pp.97-101, 1998-10-23
参考文献数
7

ここでは筆者らが昨年度に分散アンテナを用いてPHSによる通話実験を行った結果に対して, PHSの変調方式であるπ/4シフトQPSKにおける分散アンテナの定量的な解析を行い, 理想的な開空間においてπ/4シフトQPSKでの2-ダイポール分散アンテナのBER特性を明らかにしている.ここで得られた結果はPHS以外の無線システムへの適用も可能である。
著者
平野 浩司 溝口 佳孝
出版者
Japan Society of Colour Material
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.259-264, 2012-06-20
被引用文献数
1 2

日本におけるアルミ建材では,アルミニウム素材に陽極酸化処理を施して「陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)」を形成させ,さらにアニオン電着塗装にて形成した「電着塗膜」からなる『複合皮膜』が大半を占めている。このシステムは1960年代に登場し,数々の改良がなされる中,高温多湿・沿岸部の多い厳しい日本の環境下に適したものとして,飛躍的に伸びた日本発祥のシステムである。本稿では,この『複合皮膜』の形成処理工程について述べるとともに,電着塗装ラインにおける設備,塗装原理,塗料タイプの変遷について解説する。
著者
平野 浩司 溝口 佳孝
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.259-264, 2012-06-20
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

日本におけるアルミ建材では,アルミニウム素材に陽極酸化処理を施して「陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)」を形成させ,さらにアニオン電着塗装にて形成した「電着塗膜」からなる『複合皮膜』が大半を占めている。このシステムは1960年代に登場し,数々の改良がなされる中,高温多湿・沿岸部の多い厳しい日本の環境下に適したものとして,飛躍的に伸びた日本発祥のシステムである。本稿では,この『複合皮膜』の形成処理工程について述べるとともに,電着塗装ラインにおける設備,塗装原理,塗料タイプの変遷について解説する。
著者
大田 洋二郎 海老原 敏 真島 一彦 中塚 貴志 羽田 達夫 平野 浩一 原口 秀俊 緒方 寿夫
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.67-71, 1994

国立がんセンター中央病院で1962年から1992年までに治療された口唇扁平上皮癌症例, 44例 (一次症例: 30例, 2次症例: 14例) を対象とし治療成績を検討した。<br>性差に関しては, 男性31例, 女性13例, 2.4:1の比率で男性が多かった。年齢は38歳から85歳にわたり, 平均年齢は63.1歳であった。発生部位は上口唇5例, 下口唇34例, そして口角部5例であった。一次症例の他病死を除く5年推定生存率は80%, 2次症例で67%であった。治療後の障害は, 放射線治療では放射線性口唇炎, 手術では進行癌で口唇変形, 口唇閉鎖不全が認められた。
著者
平野 浩 小林 良彰 池田 謙一 山田 真裕
出版者
学習院大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2007

本研究プロジェクト(JES4)では、2007年参院選後から2011年末までの期間に、全国の20歳以上の男女から無作為抽出したサンプルを対象として、前後7回にわたるパネル調査(面接調査5回、郵送調査2回)を実施した。得られたデータの分析を通じて、(1)選挙制度や政党システムの変化、(2)社会経済的な構造の変化、(3)情報環境の変化、などが投票行動に及ぼす影響が明らかにされつつある。
著者
平野 浩
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、日本において1990年代以降に生じた大きな政治的・経済的変化が、有権者の投票行動、特に経済投票のメカニズムにどのような影響を与えたかを明らかにすることを目的としたものである。 1992年以後の6回の国政選挙時に東京都の有権者を対象として行われたサンプル調査から得られたデータの分析により、以下のような知見が得られた。第一に、「景気の悪い時こそ自民党」といった政策領域指向(policy-oriented)の経済投票に代わって、経済状況が良くなれば与党に投票し悪くなれば野党に投票するといった現職指向(incumbency-oriented)の経済投票がより優勢になってきている。第二に、国レベルの経済状況の変化が個人の暮らしに与える影響が強く意識されるようになった結果、国全体の経済状況に関する認識が与党のパフォーマンスに対する評価に与える影響が増大し、個人指向(pocketbook)の経済投票から社会指向(sociotropic)の経済投票へと、経済投票のメカニズムが変化しつつある。第三に、経済投票の因果的なメカニズムとして、(1)まず自民党に対する支持や経済状況に関する認識が自民党の業績に対する評価に影響を与え、(2)次いでこれらの要因が自民党に対する今後の期待に結びつき、(3)最後にこれらの要因が自民党への投票に影響を及ぼす、という流れが存在する。このうち自民党への期待に対してはより長期的な要因である政党支持の影響に代わって、より短期的な要因である自民党への業績評価の影響が強まりつつある。他方、自民党への投票に対しては、過去の業績評価に代わって将来に向けての期待の効果が強まりつつある。第四に、経済的な政策争点に対する態度、集団的利益に対する同一視、そして特に地域や仕事に対する利益感覚もまた、広義の経済投票を形成する要素として自民党に対する投票に影響を及ぼしている。
著者
千葉 由美 山田 律子 市村 久美子 戸原 玄 石田 瞭 平野 浩彦 植田 耕一郎 唐帆 健浩 徳永 友里 植松 宏 森田 定雄
出版者
横浜市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

摂食・嚥下障害は高齢者をはじめ脳血管疾患、変性疾患、がんなどの発症および治療に伴い発生する症状である。2次合併症の誤嚥性肺炎は、全肺炎の半数以上を占め、死因となる。本プロジェクトでは、評価法や管理システムにおける課題を見出し、改善点を示すことを目的に進めてきた。これまで複数病院における誤嚥性肺炎の発生率を見るとともに、病院管理の在り方について管理者と病棟で実態調査などを行った。現在、最終分析を進めている。