著者
平野 健
雑誌
IERCU Discussion Paper
巻号頁・発行日
no.274, 2017-02

近年、アメリカでは2度のバブルが発生した。1990年代末のITバブルと2000年代の住宅バブルである。前者の崩壊は2001年に軽微な景気後退で済んだが、後者の崩壊は2008年に深刻な金融恐慌をひきおこした。同じバブル崩壊の結果なのに、結果がこのように違うのは何故なのだろうか。実は1991〜2009年には、2回の景気循環という現象の背後で、実体経済の変動としては1回の産業循環しか存在していない。第二次世界大戦後、アメリカ経済は政府の介入によって恐慌の発生を回避してきたが、それは恐慌による過剰資本の調整を遅らせ、産業循環の期間を延長する作用をもたらし、同時に過剰資本が十分に廃棄されておらず停滞基調が続くもとでも景気拡大を再発させる能力を持つにいたった。1960年以降で見ると、少なくとも1960〜1990年と1991年以降今日までの2回の産業循環が存在する。2000年代は、この1991年以降の産業循環の中での停滞期に相当する時期であった。このような停滞期にバブルを発生させるためには、投資銀行はCDOを大量に発行せねばならなかったし、その最もハイリスクなトランシェを銀行自身で購入するというリスク・テイクをしなければならなかった。このことが2008年に金融恐慌が発生した直接的な原因であり、金融恐慌の実体経済的根拠である。
著者
竹村 恵二 別府―万年山断層帯(大分平野―由布院断層帯東部) 調査観測研究グループ
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

<はじめに>文部科学省の活断層帯の重点的な調査観測として、2014年度(平成26年度)から3年間の計画で、別府―万年山断層帯(大分平野―由布院断層帯東部)の調査観測を実施した。本研究では既存の調査結果を基礎として、ボーリング調査、トレンチ調査、海域音波探査、自然地震観測、人工地震探査、電磁気探査、重力探査、水位変動観測、アレイ微動観測、等を行った。これらの調査観測の成果に基づいて、活断層の基本的な特性である位置や活動履歴、平均変位速度等を断層帯全体で陸域・海域・伏在平野域において包括的に評価することにより、活断層の基本情報の高度化、さらに自然地震探査や電磁気探査によって地震発生層の媒質の不均質性を探り、既往の地下構造観測情報と比較しながら、浅部構造観測調査も含め震源断層形状の高度化を試みている。また本対象断層帯に位置し、当該断層が活動した場合に大きな揺れに見舞われる可能性が高い大分平野および別府扇状地等の地下構造モデルの高度化を図るとともに、その地下構造モデルと震源断層モデルに基づいた強震動予測を行う」ことを目的とした。26年度調査に関しては、竹村ほか(2015)により、27年度調査に関しては、竹村ほか(2016)により、地球惑星科学連合大会で報告した。26年度報告・27年度報告は文部科学省ホームページに掲載されているので、参照されたい。<28年度の調査>研究グループは、京都大学理学研究科・九州大学理学研究院・産業技術総合研究所を主体として関連研究者からなる。3つのサブテーマに区分し、研究を遂行した。サブテーマ1:活断層の活動区間を正確に把握するための詳細位置・形状等の調査と断層活動履歴や平均変位速度の解明のための調査観測。サブテーマ2:断層帯の三次元的形状・断層帯周辺の地殻構造の解明のための調査観測。サブテーマ3:地下構造モデルの高度化及び強震動シミュレーションによる断層帯周辺における強震動予測の高度化のための研究。28年度実施した下記の項目のうち、主にサブ1およびサブ2の結果について報告する。<サブテーマ1>平成28年度は、既存の地形・地質情報・歴史資料の収集・整理を継続・実施した。陸域では、空中写真判読・地表踏査により、海域では、海底地形調査および音波探査の解析作業を継続し、位置や分布を明らかにした。湾内での堆積物採取を実施し、地震時イベント堆積物の分析・解析を実施した。大分平野では、ボーリングデータ等の既存の資料を用いた解析を進め、群列ボーリング掘削調査等を行った。<サブテーマ2>自然地震観測結果や電磁気探査に基づいて、断層帯及び周辺の地殻上部の不均質構造を明らかにするとともに、平野部で人工地震探査を実施した。また、重力探査・地下水調査等やボーリング等のデータ解析から、平野基盤形状の推定と断層との関係の調査を行った。小断層解析等も用いて、本地域の応力の時間的推移をシミュレーションも含めて推定する。これらの調査を踏まえて、震源断層形状及び地殻構造の解明を進めた。<サブテーマ3>28年度は地震波干渉法による速度構造推定のための連続微動観測や、大分県内の震度観測点における微動観測および大分平野における臨時強震観測を実施し、深部および浅部地下構造モデルを作成・評価した。震源モデルについては,他サブテーマの成果を用いて断層形状を設定し,動力学的シミュレーションにより破壊過程を検討した。構築した地下構造モデルを用いて、強震動シミュレーションを実施し、想定される強震動を求めた。講演では、主にサブ1およびサブ2の結果について報告する。
著者
渡辺 将史 長島 史弥 作田 泰隆 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.15, pp.1-4, 2013-03-07

従来の超解像技術の中でもTotal Variation (TV)正則化手法は,エッジを保持しつつ劣化を防ぐ,最も効果的な手法である.しかし,計算コストが大きいことが問題とされている.本論文ではショックフィルタを組み合わせることによって同等以上の画質を維持しつつ,処理時間の削減を試みる.
著者
作田 泰隆 川本 祐大 渡辺 将史 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.3, pp.686-694, 2013-03-01

本論文では,Total Variation(TV)正則化を用いた高画質・高速な超解像拡大手法を提案する.TV正則化を応用した超解像手法はリンギングを発生させず,エッジの鮮鋭化を効果的に実現する手法であり,事例学習法を組み合わせることで細かい模様(テクスチャ)の再構成も実現する有望な手法である.しかし,TV正則化を応用した拡大手法は反復非線形演算により計算時間が増大し,画質を維持した大幅な高速化が困難とされており,動画像などへの応用が難しいという問題がある.そこで本論文では,TV正則化を応用した拡大手法に効果的なエッジ鮮鋭化フィルタであるShock Filterを用いた新方式を提案し,従来の各手法と比較して大幅な計算時間の削減,または画質の改善に成功した結果を報告する.
著者
平野 達男 山川 龍雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1632, pp.46-49, 2012-03-12

問 東日本大震災から約11カ月が経過した2月10日に復興庁が発足しました。手応えはいかがですか。 答 復興庁は被災地に3つの復興局を置き、支所や事務所も構えました。これらを含めて、総勢250人体制でのスタートです。自治体からの要望を一元的に受け付け、復興事業を統括する役割を担います。
著者
平野 友規 丸山 素直 小早川 真衣子 山田 クリス孝介 須永 剛司
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

本稿は表現ワークショップによる仕事のRe-Designについて述べる。「表現ワークショップ」とは、コミュニティメンバーが自分の仕事をふり返り、共に表現し、それらを共有することで、自分の仕事の意味と価値を改めて確認する参加体験型の活動である。この表現・省察・再認の活動がコミュニティメンバーの頑張る原動力となっていることを看護情報システム設計研究を事例に示す。
著者
平野 敏明
出版者
Japan Bird Research Association
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.A1-A9, 2015

近年,オオセッカが新たに繁殖期に生息するようになった渡良瀬遊水地で,繁殖期の個体数の変化と生息環境について2007年から2014年の繁殖期に調査を実施した.調査地のオオセッカは,2007年から2009年は1-2羽が生息していただけだったが,2010年に8羽,2012年には15羽と,2010年以降急激に増加した.増加の要因は,日本の主要な繁殖地での個体数の増加と調査地における春先の良好なヨシ原の存在が考えられた.渡良瀬遊水地では毎年3月中旬にヨシ焼きが実施されるが,個体数が増加した2010年から2012年はヨシ焼きが中止されたか,または降雨によって良好なヨシ原が残った.調査地におけるオオセッカの生息地点の植生は,青森県仏沼などの高密度生息地と酷似していた.すなわち,ヨシなどの単子葉高径植物の密度が16.2±9.1本/m<sup>2</sup>,高さが209.2±32.7cmで下層にスゲ類が密生している環境であった.渡良瀬遊水地では,オオセッカは調査地の特定の場所に集中してなわばりを占有する傾向があった.これは,本調査地での本種の生息密度が低いためと推測された.
著者
平野 勝巳
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.174-177, 2003-06

武田さんはソニーの元教育研修部長で、同社の課長研修などに「エニアグラム」という新しい自己分析手法を導入して成果を上げた。「吹き手自身が変わること」という解答も、このエニアグラムから導き出された結論だ。 では、「吹き手が変わる」とはどういうことか。 「笛を吹いている本人、つまり上司がまず自分がどんな人間か知ること。
著者
平野 尊識
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.19-48, 2002

「肩叩き」や「人助け」のような複合名詞について考える.このタイプの複合名詞の形成には,第一姉妹の原理が深く関わっていると言われてきた.しかし,「神隠し」や「虫食い」などの事例はこの原理では説明できない.本論では,このタイプの複合名詞の形成は,それが現れる文/談話との関連で考察する必要があることが議論される.複合化される要素は,文/談話的情報から復元できないからである.逆に,「文/談話」の「主語/題目」と同一指示のものは複合化する必要がない.これを基にして「基本構造」という概念を提案する.基本:構造:Topic[(N)(N)NV]V (Ni)(Ni) (N:複合化される名詞,i:同一指示)これに「同一名詞の反復を避ける原則」が適用され,名付け機能に応じて語彙化されるというのが本論の枠組みである.
著者
平野謙 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1964