著者
平野 大輔 藤岡 崇 谷口 敬道
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
国際医療福祉大学紀要 (ISSN:13424661)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.34-46, 2011-08-31

機能的近赤外分光法(functional near-infrared spectroscopy; fNIRS)は,近赤外光を用いた非侵襲的脳機能計測法であり,大脳皮質の神経活動に伴って変化する局所的な脳血流の変化を計測する技術である。この技術は,他の脳機能計測法に比べ時間分解能や空間分解能において格段に優れているわけではないが,安全性や低拘束性,可搬性の高さなどの特徴を有する。これらの特徴は,様々な対象の日常的な環境下における作業時の脳活動の計測を可能にする。対象が幅広く実施環境が多岐にわたるリハビリテーションにおいて,本技術を用い得られた知見は評価や介入の方針および手段の検討,効果判断の際に有益な示唆をもたらしてきた。他方,fNIRSにおいては統一された計測法や分析法が存在しないため,使用者はこの技術について熟知し正しく解析を行う必要がある。本稿においては,これまで発表されてきた論文を基に,fNIRSの歴史や原理,解析などを概説し,リハビリテーション実践過程におけるfNIRSの有用性と今後の展望について述べる。
著者
堀 靖人 石崎 涼子 久保山 裕史 平野 均一郎
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.45-54, 2013-03
参考文献数
18
被引用文献数
1

ドイツの森林組合は日本の森林組合と同じように,小生産者の経済的不利益を協同によって克服することを目的とする。これに対してイザール・レッヒ森林組合は,中規模の森林所有者を組合員として新たに設立された新しいタイプの森林組合である。本稿は,当森林組合の聞き取り調査を元に,森林組合の活動内容と設立経緯を明らかにし,当森林組合のドイツ林業における意義を考察することを目的とする。当森林組合は1992年に設立された。組合員数は現在43名で,組合員の平均所有面積規模は650haで規模の大きな所有者からなる。当森林組合の最も重要な業務は,木材販売である。当森林組合の組合員数,木材販売量ともに拡大している。当森林組合は,中規模の森林所有者の森林組合であるという特徴の他,バイエルン州全域を対象とした広域の森林組合であるという特徴を持つ。当森林組合の意義として,(1)風害による木材価格の低迷,経営管理費用の増大による中規模森林経営の悪化への処方箋,(2)製材業の生産集中化に対する供給側としての対応,(3)中規模専用の森林組合として既存の森林組合との併存と機能分化があげられる。
著者
平野 洋一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.25, pp.17-24, 1999-03-12
被引用文献数
1

XML (eXtensible Markup Language)の応用として最も注目されている分野の1つが、企業間データ交換(EDI)への適用である。従来、EDIは大企業を中心に専用VAN上で展開されてきたが、インターネットの爆発的な普及に伴い、インターネットベースの安価で先進的なEDI(=インターネットEDI)導入の機運が高まっている。XMLは、このインターネットEDI上で扱うデータ形式として注目され、研究や試験導入が進んでいる。また一方では、XML化にあたっての課題も明らかになりつつある。本稿では、XMLのEDIへの応用の動向を探り、今後の方向性および課題について述べる。The XML/EDI is XML (eXtensible Markup Language) based Enterprise Data Interchange over the Internet. Since the exploding worldwide penetration of the Internet, the demand for using Internet as the transmission wire of the EDI is emerging. XML is the ideal data format for internet-based EDI system because of the suitability to the established and leading edge Web technology and the extensibility of the language syntax.
著者
西野 佐弥香 高松 伸 古阪 秀三 平野 吉信
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.75, no.654, pp.1979-1986, 2010-08-30 (Released:2010-10-08)
参考文献数
23
被引用文献数
2 4

Today, there are some problems in construction projects, for example, insufficient communication between designers and constructers, confusion about roles and responsibilities, and so on. On the other hand, in these days, designers and constructers had close communication and realized high quality buildings in many projects. This study aims to show a decision making process of design contents in such projects. As a typical one, this study deals with Tokyo Metropolitan Art museum designed by Mayekawa Associates, Architects & Engineers, based on interviews to parties and examinations of drawings and specifications and shop drawings.
著者
高麗 一大 古阪 秀三 金多 隆 平野 吉信 江頭 知幸
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.623, pp.183-190, 2008-01-30 (Released:2008-10-31)
参考文献数
14
被引用文献数
2 4

Today, there are many construction failures in many parts in Japan. This is attributed to the fact that there are some problems in the building construction system. The authors assume that the quality assurance system in construction is composed of four levels. The first level is “law” such as the building standard law. The second level is “standard” such as JIS, JAS, JASS, or the standard specification. The third level is “plans in a particular project” such as drawings, particular specifications, working drawings, construction plans, or working instructions. The fourth level is “the technology/skill of the engineer/craftsman”. The quality is to be assured by the complementary relationship among these four levels. These days, projects are getting bigger and more complicated, the procurement system is diversifying, and the technology is advancing. However, “law” doesn't correspond to these changes, and “plans in a particular project” which formerly complemented “law” are not enough now. Therefore, this study focuses on the following aspects.1. Clarify the quality assurance system from the view points of the four levels.2. Clarify the actual conditions of the quality assurance system.3. Clarify the mechanism of the construction failures by using descriptive models.
著者
庄山 茂子 笹田 美沙都 平野 沙季 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.43-51, 2016

産婦人科病棟の看護師に異なるデザインの9種の上衣と白のパンツを着用してもらい入院患者267名を対象に印象を調査した.サンプルの生地は無地と花柄で,色彩は,白と高明度の青,赤紫,赤である.衿は,Vネック,クルーネック,シャツカラーの3 タイプである. (1)「好ましい,やや好ましい」の割合は,9 サンプルとも80%以上であった. (2)因子分析の結果,「親しみ・癒し,責任感,積極性,活動性」の4因子が抽出された.最も好まれたサンプルは,「親しみ・癒し」と「責任感」の因子得点の高いものであった. (3)「親しみ・癒し」は,無地より花柄のサンプルの評価が高かった.大花柄の方が小花柄より「親しみ・癒し」の評価は高い傾向がみられた. (4)「責任感」は,白無地の次に寒色系の大花柄のサンプルの評価が高かった.衿付きのサンプルは,「責任感」の評価は高いが,「活動性」の評価は低かった.
著者
一文字 正幸 見村 勇樹 池田 和徳 永田 寿一 平手 利昌 平井 匡平 平野 俊夫 淵本 遼 塩飽 宣貴 荒川 雅生
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.853, pp.17-00056-17-00056, 2017 (Released:2017-09-25)
参考文献数
7

Dynamic FEM analysis is valid for designing rotating machinery to reduce its vibration problem when we may ensure enough accuracy of the analysis. Surrogate multiple objective optimization method is one of the most effective methods for structural identification improving the FEM analysis model of a structure to adjust the natural frequency analysis results to the experimental results. In this study the structural identification method is applied to stator end-windings of a turbine generator to determine the Young's modulus of the principal components on the FE model minimizing the analysis errors of the natural frequencies of the 2-lobe and 4-lobe circular modes to the corresponding experimental results. The accurate FE model of the end-windings is obtained by this method.
著者
中田 康夫 田村 由美 澁谷 幸 平野 由美 山本 直美 森下 昌代 石川 雄一 津田 紀子
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13413430)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.27-32, 2003
被引用文献数
1

本研究は、基礎看護実習Iの実習日誌として学生に課した2002年度および2001年度のリフレクティフシャーナル(以下、RJ)の内容を分析検討し、RJにおけるリフレクションに必須なスキル(以下、リフレクティフなスキル)の活用状況を明らかにするとともに、リフレクティフなスキルの修得促進のためのRJの早期導入の意義について検討することを目的とした。両年度の相違は、2002年度は基礎看護実習Iに先行して開講している演習に演習日誌としてRJを導入したが、2001年度は演習にRJを導入していないことてある。2002年度の実習期間中に毎日提出された64名のRJにおいて、リフレクションの必須スキルが活用されているかどうかについて、各々の定義をもとに詳細に分析・検討を行い、2001年度の58名のそれと比較した。その結果、「自己への気付き」のスキルの活用が、5日間のRJのうち少なくとも1日分のRJにおいてみられた学生の割合は155%から344%へ増加し、また、「分析」のスキルの活用がRJ上でなされていると判断できた学生の割合はO%たったものが14.1%認められた。一方、「記述描写」のスキルの活用がRJ上でなされていると判断てきた学生は、両年度とも全員であり、相違は認められなかった。以上のことから、RJの早期導入は、学生のリフレクティフなスキルの活用修得をより促進することが示唆された。したがって、実践的思考能力育成のためにも看護基礎教育においてRJを早期に導入することは意義があると考えられた。
著者
森田 亮 森 雄作 李 相翔 平野 勉
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.490-498, 2009-12-28 (Released:2011-05-20)
参考文献数
34

Chronic kidney disease(CKD)の治療に,スタチンの腎保護作用が注目されている.スタチンは主作用の血清コレステロール低下と独立して腎保護的に働く多面的作用を有するが,各スタチン間の差は明らかではない点が多い.本邦で開発された強力なコレステロール低下作用を有するピタバスタチンの多面的作用としての腎保護作用を検討した.スタチンはラットではコレステロール低下を示さないため,コレステロール低下作用を介さない腎保護効果の検討が可能である.CKDモデルとして左腎臓2/3と右全腎臓を摘出して5/6腎臓摘出ラットを作成し,スタチン群(ピタバスタチン3mg/kg/day)と非スタチン群に割り振り12週間観察した.非スタチン群とスタチン群で食事摂取,体重,および血清脂質の差を認めなかったが,スタチン群は血清クレアチニン値(1.1±0.8 vs. 1.9±0.7mg/dl),尿蛋白量(175±45 vs. 273±35mg/ml・Cre),尿アルブミン量(968±95 vs. 1483±214μg/ml・Cre)が低値,クレアチニンクリアランス(23±7 vs. 13±4ml/min/g)が高値であった.残腎の組織学的所見ではスタチン群は糸球体硬化指数(2.5±0.4 vs. 3.2±0.4)と間質線維化度(24.3±3.8 vs. 34.8±5.8)の改善を認めた.Quantitative real-time PCR法による検討では非スタチン群で認められたtransforming growth factor-beta (TGF-β)とconnective tissue growth factor (CTGF)の過剰発現がスタチン群では抑制された(TGF-β:1.52±0.33 vs. 2.32±0.56,CTGF:1.32±0.34 vs. 2.16±0.52).組織学的所見と血清クレアチニン値,クレアチニンクリアランス,尿蛋白量,尿アルブミン量は有意な相関を示し(r=0.684~0.913クレアチニンクリアランスのみ負の相関),TGF-β,CTGF mRNAの間にも相関を認めた(r=0.469~0.690).5/6腎臓摘出ラットにおいてピタバスタチンは血清脂質の変動を伴わない腎保護作用を示し,TGF-βとCTGFの過剰発現是正を介した糸球体硬化と間質線維化の抑制による効果であることを示している.
著者
平野 勉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.12, pp.2812-2818, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
26

多くの慢性腎臓病(CKD)には脂質異常症が続発するが,その成因にはアルブミン尿と腎機能低下の要因が複雑に関連する.CKDにおける脂質代謝異常が腎疾患を悪化させるリスクとなることのみならず冠動脈疾患のリスクであることが指摘されている.強力なLDLコレステロール低下薬であるスタチンは腎機能低下を抑制し,タンパク尿を軽減させることがメタ解析で示されている.強力なトリグリセリド低下とHDLコレステロール増加作用を有するフィブラートはタンパク尿を低下させる可能性があるが,腎機能低下症例では排泄が遅延するため慎重に投与すべきである.様々な脂質代謝改善薬の腎機能に対する影響をみたも小規模の臨床研究はあるが,脂質低下療法がどの程度タンパク尿を改善し,どの程度腎機能の保持に寄与するかについては大規模で長期的な介入試験の集積が必要である.
著者
畠山 貴充 平野 幸助 中村 雄太 藤澤 彰宏 土屋 貴司 山口 達也 千田 有一 吉村 達也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.851, pp.16-00531-16-00531, 2017 (Released:2017-07-25)
参考文献数
21

In the present paper, development of an automatic spinach harvester is discussed. Our research group has been developing a prototype harvester and many filed tests have been successfully executed. The field test results show that spinach can be picked up automatically without being grasped after their roots being cut at specified position in soil. The harvester equips two degrees of freedom control units, such as the arm length control unit and the arm angle control unit, for controlling a root-cutting blade which follows the specified path under the ground. In the present paper, modeling and control design for the arm length control is discussed. First, a control design model is developed by several system identification techniques. Next, an I-PD controller is designed by the robust control design procedure. Control performance is verified by numerical simulations and field tests.
著者
平野 仁也
出版者
史学会 ; 1889-
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.125, no.4, pp.522-539, 2016-04
著者
小路 悠介 渡邉 圭輔 平野 敬 岡田 康裕
出版者
社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.304-304, 2008

設計品質を向上するために、領域を横断して関連する不具合文書を参照することが望まれ、計算機による支援が求められる。本稿では、領域依存の文書メタデータのうち部品構造情報に注目し、オントロジーを用いて関連する文書を提示する技術を提案する。