著者
斎藤 功
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.53-81, 2006-02-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

ロサンゼルスの近郊酪農は都市の拡大とともに,南東部のアルテジア地域に集中し,1940年頃には搾乳型専業酪農drylot dairyが確立した.酪農家はこのアルテジア地域からチノバレーへ,さらにチノバレーからサンホワキンバレーへという3段階の立地移動を繰り返した.この延長線上に北部諸州やハイプレーンズへの立地移動がある.本稿は3段階にわたる酪農家の立地移動の実態と要因を解明し,その民族的背景を探ったものである.1960年代のアルテジア地域からチノバレーへの立地移動で,搾乳型専業酪農の規模は2倍の700頭に拡大した.1980年代,特に1990年代にチノバレーからサンホワキンバレーに移転した酪農場は搾乳規模が2,000~3,000頭になる大規模な工業型酪農に変身した.その際,兄弟や息子が独立する複数移動や連鎖移動が存在した.サンホワキンバレーでは移動時期と酪農規模に明確な差があるので,チノバレーの30年間が規模拡大のゆりかごになった.また,大規模酪農家の転入によりオランダ系酪農家がポルトガル系酪農家と肩を並べるまでになった.さらに,チノバレーなどから北部諸州やハイプレーンズに移転した大規模酪農家は,そこでも悪臭などの大気汚染や硝酸塩濃度の上昇という環境汚染を引き起こしつつあり,集団畜産肥育経営(CAFO)をめぐる規制が強化されつつある.
著者
齊藤 明 岡田 恭司 斎藤 功 木下 和勇 瀬戸 新 佐藤 大道 柴田 和幸 安田 真理 堀岡 航 若狭 正彦
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1393, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】膝関節筋は中間広筋の深層に位置し,大腿骨遠位前面を起始,膝蓋上包を停止とする筋である。大腿四頭筋と合わせて大腿五頭筋と称されることもあるが,その作用は大腿四頭筋とは異なり膝関節伸展時に膝蓋上包を挙上するとされ,機能不全が生じると膝蓋上包の挟み込みにより拘縮の原因になると考えられている。変形性膝関節症(以下,膝OA)で多くみられる関節水腫は,膝関節筋機能不全の要因の1つとされているが,その関係は明らかにされていない。しかしそれにより関節拘縮など新たな障害を招く可能性があり,膝OAの病態を複雑化させる恐れがある。本研究の目的は膝OAにおいて膝関節水腫と膝関節筋機能との関係を明らかにすることである。【方法】膝OA患者60名81肢(男性15名,女性45名,平均年齢73歳)を対象とした。測定肢位は筋力測定機器Musculator GT30(OG技研社製)を使用し椅子座位にて体幹,骨盤,下腿遠位部をベルトで固定し,膝関節は屈曲30°位とした。膝関節水腫および膝関節筋は超音波診断装置Hi vision Avius(日立アロカメディカル社製),14MHzのリニアプローブを用いてBモードで測定した。描写はいずれも上前腸骨棘と膝蓋骨上縁中央を結ぶ線上で,膝蓋骨上縁より3cm上方を長軸走査にて行った。膝関節水腫は安静時の膝蓋上包の腔内間距離である前後径を計測し,Mendietaらの報告に基づき2mm以上のものを関節水腫と判定し,水腫あり群となし群に分けた。膝関節筋は最大等尺性膝伸展運動時の筋厚および停止部移動距離を測定した。筋厚は筋膜間の最大距離を計測し,安静時の値に対する等尺性膝伸展運動時の値の変化率を求めた。停止部移動距離は安静時の画像上で膝関節筋停止部をマークし,等尺性膝伸展運動時の画像上でその点の移動距離を計測した。この移動距離は膝蓋上包が膝関節筋により挙上された距離と定義した。また膝関節屈曲,伸展可動域(以下,ROM)を測定し,膝関節の疼痛をVisual analog scale(以下VAS),膝OAの重症度をKellgren-Lawrence分類(K/L分類)を用いて評価した。膝関節筋筋厚,停止部移動距離の2群間での比較には,まず膝関節ROM,疼痛,重症度をt検定を用いて比較し,有意差のみられた項目を共変量とした共分散分析を行った。また膝関節筋筋厚および停止部移動距離と膝蓋上包前後径との関係をPearsonの相関係数を求めて検討した。統計解析にはSPSS22を使用し,有意水準は5%とした。【結果】膝関節水腫あり群は50肢(平均年齢74歳),なし群は31肢(平均年齢73歳)であった。膝関節ROMは伸展(-10.85±5.10°vs -5.83±4.92°),屈曲(132.80±14.30°vs 142.33±6.92°)ともに水腫あり群がなし群に比べ有意に低値を示し(いずれもp<0.001),またVAS(48.17±23.07 mm vs 31.87±18.73mm),K/L分類(2.71±0.67 vs 1.83±0.83)は水腫あり群がなし群より有意に高かった(いずれもp<0.001)。これらの膝関節ROM,VAS,K/L分類で補正した共分散分析の結果,安静時の膝関節筋筋厚は2群間に有意差が認められなかったが,筋厚変化率(31.86±16.55% vs 61.95±18.11%)および停止部移動距離(4.74±2.08mm vs 8.03±2.21mm)は水腫あり群がなし群に比べ有意に低値であった。また膝関節筋の筋厚変化率および停止部移動距離と膝蓋上包前後径との間に有意な負の相関を認めた(それぞれ,r=-0.592,r=-0.628)。【考察】膝関節水腫あり群ではなし群に比べ膝関節筋の筋厚変化率および停止部移動距離が低値であり,また水腫の程度を示す膝蓋上包前後径といずれも有意な相関関係を認めたことから,膝関節水腫は膝関節筋機能に影響を及ぼし,関節水腫が重度であるほど膝関節筋の機能低下が大きいことが示唆された。これは関節水腫により膝蓋上包が伸張され,上方へ引き上げられる距離が短縮したため膝関節筋の十分な筋収縮が得られなかったと推察される。膝関節水腫は膝関節ROMや疼痛,膝OAの進行に影響を及ぼすだけなく,長期間の存在は膝関節筋の機能不全やそれに続発する膝関節拘縮の要因となり得ると考察した。【理学療法学研究としての意義】膝関節水腫は膝OAの症状や進行,膝関節筋の機能低下に影響を及ぼし,特に長期間の存在は拘縮など新たな二次的障害を生じる可能性があるため,理学療法施行時には関節水腫に対する早急な対応が必要であると考えられる。
著者
阿尻 雅文 佐藤 修 町田 勝彦 斎藤 功夫 新井 邦夫
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.505-511, 1997-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
8
被引用文献数
55 67 32

本研究では, PETのケミカルリサイクルの可能性を明らかにすることを目的とし, 超臨界水中におけるPETの分解反応の特性を検討した.PETは超臨界水条件下 (温度673K, 圧力40MPa) では5分間で完全に加水分解し, 反応時間12.5分では純度97%のテレフタル酸が収率91%で回収できた.反応温度は, PETの分解速度, テレフタル酸の回収率に大きな影響を与え, 573K (40MPa) とすると, 90%以上のテレフタル酸回収に90分を要した.超臨界水中での実験で, 圧力が反応に与える影響を検討したところ, 高圧条件に保つことで, 熱分解の進行による変性残渣や二酸化炭素の生成, すなわちテレフタル酸からの脱炭酸が抑制されることが明らかになった.
著者
斎藤 功 佐々木 博
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

近年, 山菜は自然食品の最たるものとして需要が増大している. 本研究は落葉広葉樹林帯(ブナ帯)で広範にみられる山菜の採取および山菜の促成栽培の実態を解明し, それに風土論的考察を加えることを目的としたものである.山菜の採取は, 伝統的にブナ帯の山村, とくに多雪地の山村で行われてきたが, 山菜の促成栽培はブナ帯の少雪地で多い. 山菜の促成栽培は, フキ, ワラビ, タラノメ, コゴミ等が行われるが, タラノメの促成栽培が典型であろう.本来, タラノメは春にとるものであるが, 促成栽培はそれを夏冬の12〜3月に採取するものをいう. 当初, 山からタラノキを切り, それを植木として温室内で栽培したものであるが, 促成栽培の普及につれて, タラノキを桑のように栽培するのがみられるようになった. 現在, タラノメのキの落葉後, 台木を切り, 一芽ごとに10〜15cmに切ったものを温室内のオガクズ床に伏せこみ, 12月下旬〜3月下旬にタラノメが7〜8cmに仲が〓ように栽培している.このタラノメの促成栽培は, ブナ帯で冬季出稼を止めさせるまでになったが, 栽培技術が容易なこと, ビニールハウスを転用できることなどで普及した. 当初, 〓境期の山菜としてタラノメは高価に販売されたが, その栽培の普及とともに価格が低下した.結論的にいえば, タラノメの促成栽培は, 生産基盤の脱弱性をもった風土産業といえよう.なお, 研究結果の詳細については, 別さつの研究成果報告書を参照されたい.
著者
斎藤 功 菅野 峰明
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.48-59, 1990-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1 4

武蔵蔵野台地の既存の集落の辺境に開かれた新田集落は,平地林の落ち葉等を活用し,耕種農業,ついで近郊農業を行ってきた。このような地域に新しい主要道路が開通することによって,農家は都市化への急速な対応を迫られるようになった。本稿では小平・田無・東久留米市の境界地帯を事例として,新青梅街道の開通により農民が都市化へいかなる対応をしたかを解明した。 農民の都市化への対応は,一般に通勤兼業が先行する。しかし,農地に執着する農民が,農地を道路や不動産業者に販売した場合,その代金は自宅の新築改築および広い敷地にアパートや貸家を建てて家作経営を行うものが多かった。ついで道路に沿う農地に対しては,道路関連産業の要請により,農地を販売するのではなく賃貸する者も現れた。賃貸の農地は,新車・中古自動車展示場やレストラン,資材置場や倉庫および流通センター等に活用された。 農地を活用した自営的な兼業としては,ゴルフ練習場などのスポージ施設経営が群を抜き,この狭い地域に6つのゴルフ練習場が設立され,わが国最大のゴルフ練習場集中地区となった。ゴルフ練習場ではバッティングセンターやテニスコートぽかりでなく,顧客のためにレストランやゴルフショップを併設する場合が多い。専門度の高いスポーツ施設経営者は,農業経営から離れ産業資本家に脱皮したといえる。 地価の高騰は,一般のサラリーマンに一戸建の家の購入を困難にさせているが,農家が賃貸マンションを建てたりしているので,人口密度は高くなる。しかも,自家用車の所有率が高いため,駐車場需要が高いので駐車場を経営している農家も多い。このように農家では,アパート・マンション・貸家等の家作経営や農地の賃貸など,何らかの農外収入を得ている。しかし,残存した農地では,スーパーマーケットと契約して野菜類を栽培したり,直売している。
著者
斎藤 功夫
出版者
The Vacuum Society of Japan
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.654-659, 2000-06-20 (Released:2009-10-20)
参考文献数
21
著者
斎藤 功
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.734-759, 2004-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

カリフォルニア州のチュラーレ郡を対象に,本郡が大規模な酪農家の転入によりアメリカ最大の酪農郡となった過程を分析し,工業的酪農の実態を明らかにした.酪農の担い手は当初のイギリスやアルプス山麓のヨーロッパ系移民からポルトガル系,次いでオランダ系移民の子孫に変わった.1980年代以降,特に1990年代にロサンゼルス郊外のチノバレーから転入したオランダ系酪農家は,土地の販売代金を元手に2,000~3,000頭を搾乳する酪農場を複数立地させた.彼らはヒスパニック労働力と一度に70頭搾乳できるヘリンボーン式搾乳機等を使い,流れ作業方式の工業的酪農を成立させた.酪農家の耕地には畜舎から出る雑廃水を吸収させるためトウモロコシ・小麦が栽培され,それは家畜用サイレージとされ,循環利用される.また,酪農家にアルファルファベイルの干草棚が並ぶのは,それらがインペリアルバレーやユタ州などから購入されたものであることを示している.加えて,綿実,オレンジ残澤,アーモンドの皮などが酪農家に利用され,酪農家の堆肥も綿花栽培や果樹栽培に利用されている.このような地域間結合の存在も工業的酪農を支える基盤になっている.さらに,チュラーレにはLOLやCDIという農協系の乳業工場に加え,クラフト,サプートなどのチーズを生産する多くの乳製品工場が立地し,飼料会社,肥料散布会社などを含めアメリカ最大の酪農複合地域を形成している.
著者
斎藤 功
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.734-759, 2004
被引用文献数
1

カリフォルニア州のチュラーレ郡を対象に,本郡が大規模な酪農家の転入によりアメリカ最大の酪農郡となった過程を分析し,工業的酪農の実態を明らかにした.酪農の担い手は当初のイギリスやアルプス山麓のヨーロッパ系移民からポルトガル系,次いでオランダ系移民の子孫に変わった.1980年代以降,特に1990年代にロサンゼルス郊外のチノバレーから転入したオランダ系酪農家は,土地の販売代金を元手に2,000~3,000頭を搾乳する酪農場を複数立地させた.彼らはヒスパニック労働力と一度に70頭搾乳できるヘリンボーン式搾乳機等を使い,流れ作業方式の工業的酪農を成立させた.酪農家の耕地には畜舎から出る雑廃水を吸収させるためトウモロコシ・小麦が栽培され,それは家畜用サイレージとされ,循環利用される.また,酪農家にアルファルファベイルの干草棚が並ぶのは,それらがインペリアルバレーやユタ州などから購入されたものであることを示している.加えて,綿実,オレンジ残澤,アーモンドの皮などが酪農家に利用され,酪農家の堆肥も綿花栽培や果樹栽培に利用されている.このような地域間結合の存在も工業的酪農を支える基盤になっている.さらに,チュラーレにはLOLやCDIという農協系の乳業工場に加え,クラフト,サプートなどのチーズを生産する多くの乳製品工場が立地し,飼料会社,肥料散布会社などを含めアメリカ最大の酪農複合地域を形成している.
著者
斎藤 功 岡田 恭司 若狭 正彦 齋藤 明 石澤 かおり
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ca0221-Ca0221, 2012

【はじめに、目的】 変形膝関節症(以下OA膝)は50歳以上の日本人の半数以上が罹患しているとされる一大疾患であり、総数は約700万人と推定されている。進行すると歩行に大きな影響があるため、歩行の改善を目的として種々の保存療法や手術が行われている。そのためOA膝の歩行分析は、より良好な治療効果をあげるため重要な位置を占めている。近年のOA膝の歩行分析では、関節モーメントや下肢の各部位の回旋角度等を検討している報告が多く見られる。しかしこれらから得られる指標は一般には理解しにくく、治療で応用するには問題点が多い。そこで視覚的に理解しやすく、比較的簡便で、測定場所も限定されない足圧分布測定に着目した。目的はOA膝における歩行の特徴を足底圧分布の解析から明らかにすることである。【方法】 人工膝関節全置換術の予定で入院となったOA膝患者さんのうち、杖なしで歩行が可能で手術側に進行したOAがあり、反対側には軽度までのOAがみられた片側性OA膝50例(以下OA群)(男性10例、女性40例、平均年齢75歳)を対象とした。全例歩行時痛があり、50例中12例はKellgren & Lawrence分類のグレード3で罹患側の膝関節の平均ROMは0~135度、20例はグレード4で平均ROMはー5~125度、18例はグレード5で平均ROMはー10~115度であった。対照として下肢に運動器疾患を有しない健常高齢者44例(以下高齢群)(男性8例、女性36例、平均年齢45歳)と、加齢による影響を除外する目的で健常若年者50例(以下若年群)(男性10例、女性40例、平均年齢28歳)を検討した。計測は足圧分布解析システムF-scanIIを装着し、快適速度で歩行時の足圧分布と足圧中心軌跡を3回計測し、その平均値を採用した。歩行路は10mとし前後に各3mの助走路を設けた。足圧は足底を踵部、足底中央部、中足骨部、拇趾部、足趾部に分類し、それぞれの部位で求め、体重に対する比を求めた(%BW)。また足圧中心軌跡長からの前後径の足長に対する比(以下%Long)と、足圧中心軌跡の前額面での移動距離の足幅に対する比(以下%Trans)を求めた。以上の指標をOA群、高齢群、若年群間で比較し、さらにOA群を伸展制限の程度によって細分類した3群間でも比較した。OA群、高齢群、若年群間の統計学的分析には分散分析とpost hoc testを、OA群の群内比較にはFriedman検定を行った。有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は秋田大学倫理委員会の承認を得て、実施した。また、ヘルシンキ宣言に従い、被験者には事前に本研究の目的、方法について、十分な説明し、書面にて研究参加の同意を得た。【結果】 足圧では、踵部の%BWが高齢群(41.7±8.5%)と若年群(37.1±8.9%)に比べ、OA群(27.1±11.2%)で有意に小さかった(p<0.001)。一方、足底中央部では高齢群(16.5±13.8%)と若年群(18.3±7.5%)に比べ、OA群(33.1±11.2%)が有意に大きかった(p<0.001)。%Longは、高齢群(67.8±4.8%)と若年群(64.7±6.6%)に比べ、OA群(52.4±11.3%)では有意に小さかった(p<0.001)。%LongをOA群内で比較すると、膝伸展制限なしの群(62.9±10.9%)、伸展制限5度の群(56.6±6.6%)、伸展制限10度の群(33.1±7.0%)の順に有意に短くなっていた(p<0.01)。%Transは若年群(42.9±11.6%)、高齢群(64.7±6.6%)に比べ、OA(24.8±7.6%)の順に有意に狭かった(p<0.001)。【考察】 進行した片側性のOA膝では、踵部の足圧が小さい一方で足底中央部が健常者に比べ大きく、かつ足圧中心軌跡が前後方向、左右方向とも有意に短くなっており、OA膝では荷重が若年者やOAの軽い高齢者に比べ前方に偏っていることが示された。またOA群内の比較で、膝関節伸展制限の程度が足圧中心軌跡の短縮と関連していることも明らかとなった。以上から進行した片側性OA膝では、膝関節伸展制限があるため踵接地から立脚期に十分な踵部への荷重ができず、結果として荷重部位が前方に偏り、足圧中心軌跡も短縮したものと推定された。【理学療法学研究としての意義】 足圧解析による評価指標は多様であるが、分析方法を工夫することで一般にも分かりやすく説明することが可能である。OA膝の治療に足圧解析を用いることで病態の解明だけでなく、患者教育も容易となり、より効率的なリハビリテーションが実現できることが期待される。
著者
斎藤 功 矢ヶ崎 典隆
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.66-82, 1987-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

ブラジル北東部は伝統的に海岸部のサトウキビ地帯,内陸部のセルトン(半乾燥地域の粗放的牧畜地帯)および両者の漸移地帯のアグレステに区分されてきた.しかし,その区分の指標は必ずしも明確ではない. 本稿ではパライバ州の海岸部カーボブランコから内陸部のパトスまで,ほぼ東西に10km(海岸部は5km)ごとに1km2の調査地点35カ所を選定し,土地利用調査を実施した。つまり,1km2内の栽培作物,果樹,牧場の形態等を記載する集約的調査と地形,牧柵,残象作物等の景観観察を併用することによって,東西270kmにわたる土地利用の地帯的変化を明らかにすることを目的とした. その結果,海岸部はジョアンペソアの都市化地区,タブレイロスのサトウキビ栽培地区,パッチ状タブレイロスの根茎作物栽培地区の3地区に区分された.また,アグレステは地形性凹地・トウモロコシ・フェジョン・綿花栽培・パークランド型牧場地区,地形性多雨・トウモロコシ・フェジョン・サバナ型牧場地区,密生有刺潅木林牧場地区に区分された。さらに,粗放的牧畜によって特色づけられるセルトンは,疎生有刺潅木林のボルボレマ高地区とパトス盆地地区に区分された.したがって,全体的にみるとパライバ州の農業的土地利用は,景観的にも8つの農業地区から成立していることが明らかになった. 以上の結果は家畜飼養と栽培作物のムニシピオ別統計分析および道路脇の小商品農産物の直売店の観察からも裏付けられた.
著者
斎藤 功 仁平 尊明 二村 太郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.661-684, 2001-12-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
43

本稿は,アメリカ合衆国の冬小麦地帯の中央にあるカンザス州を事例として,エレベーター社の競合と系列化に注目しながら,グレインエレベーターの地域的展開の様相を時間・空間的に明らかにした.カンザス州では,鉄道の西進に伴って19世紀後半からグレインエレベーターが建設された.エレベーター社は穀物を購入するだけでなく,農業資材や日用品を販売することによって,農家との密接な関係を保った.しかし,農協や製粉会社など,郡域の農家から穀物を集荷する地方のエレベーター社は,吸収・合併を繰り返したたあ,現在に至るまで同じ社名で存続しているのはわずかである. 1950年代後半以降,フリントヒルズ西端の旧チザムトレイルに沿った,鉄道路線の集まる都市で,ターミナルエレベーターが建設された.これは,地方のカントリーエレベーターから穀物を集荷し,国内外に出荷するための巨大エレベーターである.コーリンウッド社やガーヴェイ社は,ターミナルエレベーターを建設したり,地方のエレベーターを購入したりすることで,広域的な集荷圏を持っエレベーター社に発展した.しかし, 1980年代以降,これらのターミナルエレベーターは,カーギル社やADM社などの穀物メジャーによって次々と買収された.このように,世界の穀物市場を支配している合衆国の穀物メジャーは,郡レベルで始まったエレベーター社の競合の結果,広域的に展開したエレベーター社を系列下に収めることによって,最終的に穀物の集荷地盤を垂直的に統合 したのである.
著者
尾留川 正平 山本 正三 佐々木 博 金藤 泰伸 朝野 洋一 高橋 伸夫 斎藤 功
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.229-256, 1967-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Suburbanization is very phenomenal in the western suburbs of Tokyo, nevertheless a. sizable area is still devoted to agriculture and the agricultural output is quite large. The aim of this research is to survey the ecological aspects of human occupance of the land which is well characterized by the ever intensive urban as well as agricultural use and also to analyze operational structure of farm households that has strongly led the study area to such a suburbanized occupance pattern in terms of interviews of farmers and various statistical materials.Results : 1) Sale of agricultural land is quite limited because of rise of land price, resulting in the juxtaposition of built-up areas and farmlands. 2) Agriculture in these mostly built-up areas has the following characteristics : a) to increase labor productivity rather than land productivity, b) to increase household or personal income whether by specialization on arboriculture, lawn growing, specialized vegetable growing and chicken and pig raising, or by incorporating them in agricultural management so as to improve total agricultural productivity, or from other sources than farming such as management of filling stations, driving, schools, and public baths, and also as white color, c) to hold agricultural land as assets probably for a relatively long period, since the farmers here can get stable income from rent and apartment houses they have built recently, although increment of so-called socially fallow lands is to be seen frequently, and d) to ship out vegetables and eggs to nearby markets or to sell them directly at farmsteads. 3) It is urgently needed to conserve as much farmland as possible and also even to encourage farm management to a degree that the farmers are able to compete with ever-developing urban industries, otherwise the critical shortage of green open spaces in the metropolitanized regions will be further accelerated.
著者
齊藤 明 岡田 恭司 高橋 裕介 斎藤 功 木下 和勇 木元 稔 若狭 正彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100337, 2013

【はじめに、目的】 膝関節筋は中間広筋の深層に位置し、大腿骨遠位前面を起始、膝蓋上包を停止とする筋である。その作用は膝関節伸展時の膝蓋上包の牽引・挙上とされ、機能不全が生じると膝蓋上包が膝蓋骨と大腿骨の間に挟み込まれるため拘縮の原因になると考えられている。しかしこれらは起始、停止からの推論であり、膝関節筋の機能を直接的に示した報告はない。本研究の目的は膝関節筋が膝蓋上包の動態に及ぼす影響およびその角度特性を超音波診断装置を用いて明らかにすることである。【方法】 健常大学生16名(男女各8名:平均年齢22歳)32肢を対象とした。測定肢位は筋力測定機器Musculator GT30(OG技研社製)を使用し椅子座位にて体幹、骨盤、下腿遠位部をベルトで固定した。動作課題は膝関節伸展位、屈曲30°位、屈曲60°位での等尺性膝伸展運動とし、実施順は無作為とした。いずれも最大筋力で3回行い、このときの膝関節筋の筋厚および膝蓋上包の前後径、上方移動量を超音波診断装置Hi vision Avius(日立アロカメディカル社製)を用いて測定した。測定には14MHzのリニアプローブを使用しBモードで行った。膝関節筋および膝蓋上包の描写は上前腸骨棘と膝蓋骨上縁中央を結ぶ線上で、膝蓋骨上縁より3cm上方を長軸走査にて行った。膝関節筋筋厚は筋膜間の最大距離、膝蓋上包前後径は膝関節筋付着部における腔内間距離を計測し、等尺性膝伸展運動時の値から安静時の値を減じた変化量を求めた。膝蓋上包上方移動量は安静時の画像上で膝関節筋停止部をマークし、等尺性収縮時の画像上でその点の移動距離を計測した。各膝関節角度間での膝関節筋筋厚、膝蓋上包の前後径、上方移動量の差を検定するため、一元配置分散分析およびTukey多重比較検定を行った。また各膝関節角度において膝蓋上包前後径および上方移動量を従属変数、膝関節筋筋厚、年齢、体重を独立変数とした重回帰分析(stepwise法)を行った。統計解析にはSPSS19.0を使用し、有意水準5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には事前に研究目的および測定方法を十分に説明し書面で同意を得た。【結果】 膝関節筋筋厚は伸展位3.21±0.72mm、屈曲30°位2.74±0.71mm、屈曲60°位2.03±0.49mmで伸展位が屈曲30°位、60°位に比べ有意に厚く(それぞれp=0.014、p<0.001)、屈曲30°位が屈曲60°位より有意に厚かった(p<0.001)。膝蓋上包前後径は伸展位2.62±0.94mm、屈曲30°位2.15±0.98mm、屈曲60°位0.44±0.30mmで伸展位および屈曲30°位が屈曲60°位より有意に大きかった(いずれもp<0.001)。膝蓋上包上方移動量は伸展位13.33±4.88mm、屈曲30°位10.44±2.65mm、屈曲60°位5.63±2.02mmで伸展位が屈曲30°位、60°位に比べ有意に大きく(それぞれp=0.041、p<0.001)、屈曲30°位が屈曲60°位より有意に大きかった(p<0.001)。重回帰分析の結果、膝蓋上包前後径のモデルでは調整済みR²値は、伸展位で0.659、屈曲30°位で0.368であった(p<0.001)。膝関節筋筋厚の標準偏回帰係数は伸展位で0.752(p<0.001)、屈曲30°位で0.623(p<0.001)であり、いずれも正の連関が認められた。屈曲60°位では有意な連関は得られなかった。膝蓋上包上方移動量のモデルでは調整済みR²値は、伸展位で0.548であった(p<0.001)。膝関節筋筋厚の標準偏回帰係数は0.750(p<0.001)であり、正の連関が認められた。屈曲30°位、60°位では有意な連関は認められなかった。【考察】 筋厚の結果から膝関節筋はより伸展位で収縮する性質があると考える。また屈曲60°位においても2.03mmの変化が得られたことから、屈曲位でも収縮することが示された。膝蓋上包前後径および上方移動量は伸展位、屈曲30°位に比べ屈曲60°位で有意に小さかった。これは膝関節屈曲時に膝蓋骨と共に膝蓋上包が遠位に移動するため、その緊張が高まり後方および上方への変化量が小さかったと考える。しかし膝関節筋の収縮は認められることから、屈曲60°位においても膝蓋上包への張力は作用しているものと推察される。重回帰分析の結果、膝関節伸展位では膝関節筋の収縮は膝蓋上包前後径、上方移動量に影響することが示され、解剖学的知見から予測された作用と一致する結果であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究は膝関節筋が膝蓋上包を牽引、挙上することを超音波画像より直接的に示したものであり、基礎データとして有意義であると考える。今後は膝関節拘縮や変形性膝関節症との関連性や膝関節可動域制限への介入の新たな視点等、臨床への応用が期待される。