著者
松井 広志
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.503-518, 2013-03-31 (Released:2014-03-31)
参考文献数
48

近年, デジタルメディアによるコンテンツ受容に関して, 「物質」の対概念としての「情報」そのものに近い消費のあり方が伺える. しかし, ポピュラーカルチャーの現場では, 物質的な「モノ」という形式での受容が依然として観察される. ここには「ポピュラーカルチャーにおけるモノをめぐる人々の活動」という論点が潜んでいる. 本稿の目的は, この受容の論理を多面的な視点から, しかも日常的な実感に即して読み解くことである. 本稿ではその動向の典型を, ポピュラーカルチャーのコンテンツを題材としたキャラクターグッズやフィギュア, 模型やモニュメントに見出し, これらを「モノとしてのポピュラーカルチャー」と理念的に定義したうえで, 3つの理論的枠組から捉えた.まず, 従来の主要な枠組であった消費社会論から「記号」としてのモノの消費について検討した. 次に, 空間的に存在するモノを捉える枠組として物質文化論に注目し, とくにモノ理論から「あるモノに固有の物質的な質感」を受容する側面を見出した. さらに, モノとしてのポピュラーカルチャーをめぐる時間的側面を, 集合的記憶論における「物的環境による記憶の想起」という枠組から捉えた. これらの総合的考察から浮かび上がった「モノとしてのポピュラーカルチャー」をめぐる人々の受容の論理は, 記号・物質・記憶のどれにも還元されず, 時間的・空間的に重層化した力学の総体であった.
著者
七海 絵里香 松井 春佳 大澤 啓志
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.273-276, 2014 (Released:2015-09-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

近年,農村ではコンクリート製品の影響に加え,圃場整備等の土地造成により土壌 pH がアルカリ性に傾き,在来植物が発芽不良や生育不良を起こしている可能性がある。本研究では,pH が在来植物,特に草原性の野草類の発芽に及ぼす影響を明らかにした。結果,対象 16種のうち,7種は有意差が認められ,草原性野草類の中には,pH が発芽に影響を及ぼし,アルカリ性が強いと発芽を抑制・もしくは遅らせる種があることがわかった。特に,オトコエシ・オミナエシ・ワレモコウ・カワラナデシコの 4種は,強アルカリ性の条件下での発芽率が低く,在来野草類からなる良質な半自然草地の保全・復元には,土壌 pH が重要な要素であると考えられた。
著者
松井 暉
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.34, 2019-09-01
著者
小倉 崇生 戸田 均 木村 巧 松井 応式 伊藤 安海 根本 哲也
出版者
日本実験力学会
雑誌
実験力学 (ISSN:13464930)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.18-21, 2011-03-25 (Released:2011-09-25)
参考文献数
14

It is necessary to estimate the impact force received by the human body for the purpose of accident prevention, accident analysis and criminal investigations against contact of Machine and structure, fall, overturn and brutal blows of blunt instruments. In this study, we showed the performance of subcutaneous fat and muscle buffering by measuring the impact force to the pork. As a result, the following findings were obtained. 1) For estimation of buffer property of muscle and fat tissue of human to impact force, it is possible to substitute pork. 2) Skin is poorer on buffer property than muscle and fat tissue. 3) The magnitude of the impact force transmitted to the bone rises in proportion to a rise in impact velocity, and is estimated to be at least ten times the weight of impactor. 4) Exist as complex of skin, muscle and fat tissue, the impact force transmitted to the bone is not less than one-tenth compared with only skin.
著者
松井 豊
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.277-284, 2017 (Released:2019-03-22)
参考文献数
50

This report outlined psychological support activities and psychological studies related to the Great East Japan Earthquake. After the disaster, psychological support programs were funded by the Japan Society of Certified Clinical Psychologist, Tohoku University and by other organizations to assist and care for the victims of this Critical Incident Stress. Studies have been conducted on the support systems at disaster areas and research on the mental health of disaster victims. In addition, there have been studies on the critical incident stress of those treating the victims and information behavior after the earthquake with regard to rumor damage and risk perception. The sharing of this knowledge was proposed to allow for better preparedness for the next disaster.
著者
松井 剛
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.87-99, 2013

本論文は,「癒し」という流行語が社会に波及する中で生じた意味創造プロセスを,20年分の雑誌記事タイトル8033件のテキスト分析を通じて明らかにする.特に注目をするのは,マーケティングを通じて新しい言葉が普及する一方で,こうした言葉の流行に乗る形でマーケティング努力の模倣が生じるという相互作用である.またブームが生じた理由を説くメディアの「理屈づけ」が,こうした相互作用を強化する可能性も指摘される.
著者
桂 瑠以 松井 洋
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.013-016, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
13

本研究では,大学生を対象に2時点のパネル調査を行い,LINE 依存のメカニズム及びLINE 依存が精神的健康に及ぼす影響について検討を行った.その結果,1)LINE の使用量,LINE での自己演出が多いほどLINE 依存傾向が高まる一方,LINE での所属感が獲得されるほど依存傾向が低下すること,2)LINE 依存傾向が高いほど精神的健康が低下すること等が示された.
著者
上田万年, 松井簡治 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
vol.巻3, 1929
著者
王 杰 岸田 和明 松井 幸子
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.107-116, 1996-05-31

本研究では,採録論文数と被引用回数という2つの尺度によって,社会科学分野における重要な雑誌群である「コア・ジャーナル」を特定するための実験を行った.研究の素材としては,International Bibliography of the Social Sciences (IBSS)およびSocial Science Citation Index (SSCI)を使用した.その結果,経済学,政治学,社会学,社会人類学・文化人類学の分野別に,IBSSとSSCIの両者に採録されており,採録論文数とインパクト・ファクタ(被引用回数を掲載論文数で補正)の両者あるいはいずれかでコア・ジャーナルとなる雑誌群や,いずれかのコア・ジャーナルではあるが他方には採録されていない雑誌群など,5つの特徴ある雑誌群からなるコア・ジャーナルを特定した.さらに上記の4分野には含まれないが,社会科学分野全体ではコア・ジャーナルとなる学際性の高い雑誌群も見出した.最後に,得られたコア・ジャーナル・リストの利用方法について検討した.
著者
上田万年, 松井簡治 共著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
vol.卷五, 1941

4 0 0 0 OA 宰の研究

著者
松井 嘉徳
出版者
東洋史研究會
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.141-168, 1995-09-30
著者
小山 則行 曲尾 直樹 山本 裕之 松井 順二 鶴岡 明彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.132, no.2, pp.100-104, 2008 (Released:2008-08-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

VEGFあるいはVEGF受容体を阻害し,がんの血管新生を抑制する抗がん薬の開発が進んでいる.E7080は強力なマルチキナーゼ阻害作用を有し,血管新生に重要なVEGFおよびFGF,PDGF,SCFの受容体に選択性が高いことを特徴とする化合物である.ヒトがん細胞株を移植したヌードマウスの検討では,肝がん,肺がん,大腸がん,乳がんなどのモデルにおいて優れた抗腫瘍効果が,マウス大腸がん株同所移植モデルでは延命効果が明らかにされている.また,肺がんモデルにてプラチナ製剤と併用することで,腫瘍縮小効果の相乗的な増強が認められている.一方,マウス浮遊内皮細胞は,E7080投与により血液中の数が顕著に変動することから,血管への作用を検証する新たなバイオマーカーになると思われる.近年の研究で,腫瘍内血管の構造と,がんの悪性度や血管新生阻害薬の有効性との関連が明らかにされつつある.浮遊内皮細胞や腫瘍内血管研究の,臨床での新たな展開に期待したい.