著者
松井 章 石黒 直隆 南川 雅男 中村 俊夫 岡村 秀典 富岡 直人 茂原 信生 中村 慎一
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

オオカミからイヌ、イノシシからブタへと、野性種から家畜種への変化を、従来の比較形態学的な研究に加えて、DNA分析と、安定同位体による食性の研究により明らかにした。また中国浙江省の約6千年前の田螺山遺跡、韓国金海會〓里貝塚の紀元前1世紀から紀元後1世紀の貝層から出土した動物遺存体、骨角器の報告書を、国内の遺跡同様に執筆した。さらに、ラオス北部の山岳少数民族の村に滞在し、ブタ、イヌ、ニワトリの飼育方法、狩猟動物と焼畑との関係について調査を行った。
著者
松井 富美男
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院文学研究科論集 (ISSN:13477013)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.17-31, 2003-12-25

Die Absicht der vorliegenden Abhandlung liegt darin, den Begriff der Gerechtigkeit von Kant im Vergleich mit Aristoteles, Hobbes, und Becaria klar darzumachen. Die Gerechtigkeit hangt eigentlich nicht bloβ mit dem Bereich des Rechtes sondern dem der Religion zusammen, wie es am Beispiel des jungsten Gerichtes deutlich wird. Aber Kant befreit die Gerechtigkeit aus dem Religiosem and behandelt sie innerhalb des rechtlichen Rahmens. Also, sie steht in enger Beziehung mit dem Recht. Wahrend das Prinzip des Rechtes ""das wechselseitige Verhaltnis der Menschen"" darstellt, bedeutet die Gerechtigkeit nach ""der Idee eines allgemeinen gesetzgebenden Willens"" offentliche Urteile. Die (Gerechtigkeit in diesem Sinn entspricht der ""ganzen Gerechtigkeit"" bei Aristoteles. Nach dem Muster vom Ulpian teilt die sogenannte"" tilhafte Gerechtigkeit"" sich in drei Teile, die ""beschutzende"" Gerechtigkeit, die ""wechselseigtige"", und die ""austeilende"". Diese Einteilung wird nach dem Sicherheitgrad des Вesitzes"" d.i. der Weise des ""Rechtsgrundes"" bestimm. ""Austeilende Gerechtigkeit"" garantiert jedes Besitzesrecht sicherer als die andere. Die Gerechtigkeit beruht bei Hobbes auf dem ""Vertrag"" oder ""Kontrakt"", dagegen bei Kant auf dem Gesetz. Es handelt sich darum, ob ""wechselseitige Gerechtigkeit"" aus formeller oder materieller ""Reziprozitat"" besteht. Wenn eine Person die andere nicht nur als bloβes Mittel sondern auch als Zweck an sich behandelt, wird es eine symmetrische Reziprozitat geben. Kant ordnet der Gerechtigkeit materielle Bedeutung zu. Ubringens leitet er die Pflicht des Gehorsams gegen den Staat vom ursprunglichen Kontrakt ab, nach dem jeder einmal seine ""auβere Freiheit"" aufgeben, aber gleich sie wiederbekommen soll, wenn er sich selbst als ""Staatburger"" betrachtet. Aus dem gleichen Grund wird auch das Strafrecht des Staates gerechtfertigt. Kant unterstutzt das Wiedervergeltungsrecht (ius talionis) als ein Gerechtigkeitskriterium und sieht die teleologische Straf als falsch an, nach der man vers
著者
木村 泉 大野 健彦 松井 龍也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.23, pp.47-54, 1994-03-10
被引用文献数
1

日本語文入力用キーボード配列として、仮にすぐれた新配列が開発されたとしても、それが現に広く使われている配列(たとえばQWER)と強く干渉したとすれば、普及の見込みは少ない。それでは人々に、あえて新配列を練習してみようかという気を起こさせることはできない。この種の干渉がどのような仕組みによって起こるかを明らかにするため、3名のQWERTY熟練者にそれぞれドボラック配列英文打ち、ドボラック配列ローマ字打ち、および快速ローマ字配列(日電)を増田の練習法によって練習してもらい、干渉現象の発生状況を観察した。予備的解析結果について報告する。If a new, superior keyboard arrangement is to replace widely used one such as QWERTY, interferences between the new and the old arrangements must be minimal. Otherwise people will not invest time and effort for the allegedly superior one. This paper presents preliminary results of an experiment for revealing the nature of the interferences that occur to skilled typing of QWERTY when the typist practices Dvorak or NEC's Kaisoku keyboard arrangement.
著者
松井 哲也
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.536-541, 2023-12-01 (Released:2023-12-15)
参考文献数
30

In the field of HAI, the “model of others” is widely researched and used. In this paper, the author pointed out the problems of the “model of others” based research. These problems are as follows: inconsistency of real-world interaction, the problem about synchronous and asynchronous, and ethical problems. The author discusses these problems and suggests the prospect of updating the “model of others”.
著者
後藤 博三 嶋田 豊 引網 宏彰 小林 祥泰 山口 修平 松井 龍吉 下手 公一 三潴 忠道 新谷 卓弘 二宮 裕幸 新澤 敦 長坂 和彦 柴原 直利 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.471-476, 2008 (Released:2008-11-13)
参考文献数
22
被引用文献数
1

無症候性脳梗塞患者に対する桂枝茯苓丸を主体とした漢方薬の効果を3年間にわたり前向き研究により検討した。対象は富山大学附属病院ならびに関連病院を受診した無症候性脳梗塞患者93名で男性24名,女性69名,平均年齢70.0±0.8才である。桂枝茯苓丸エキスを1年あたり6カ月以上内服した51名をSK群,漢方薬を内服せずに経過を観察した42名をSC群とし,MRI上明らかな無症候性脳梗塞を認めない高齢者44名,平均年齢70.7±0.7才をNS群とした。3群間において,開始時と3年経過後の改訂版長谷川式痴呆スケール,やる気スコア(apathy scale),自己評価式うつ状態スコア(self-rating depression scale)を比較した。また,SK群とSC群においては自覚症状(頭重感,頭痛,めまい,肩凝り)の経過も比較検討した。その結果,3群間の比較では,自己評価式うつ状態スコアにおいて開始時のSK群とSC群は,NS群に比べて有意にスコアが高かった。しかし,3年経過後にはNS群は開始時に比較し有意に上昇したが,SK群は有意に減少した。さらに無症候性脳梗塞にしばしば合併する自覚症状の頭重感において桂枝茯苓丸は有効であった。以上の結果から,無症候性脳梗塞患者の精神症状と自覚症状に対して桂枝茯苓丸が有効である可能性が示唆された。
著者
菱田 啓介 中島 里菜 松井 治幸 植 優衣 田村 友香 倉田 裕美 岡田 悠子
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.23-28, 2022 (Released:2022-04-09)
参考文献数
15

低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬は、慢性腎臓病の合併症である腎性貧血を治療する新しい選択肢であり、実臨床での使用が増加すると考えられるが、副作用についてのデータ集積は十分とはいえない。ロキサデュスタットでは甲状腺刺激ホルモン(TSH)減少が報告されているが、ダプロデュスタットでは甲状腺機能低下症が報告されており、HIF-PH阻害薬の使用による甲状腺機能への影響については明らかではない。そこで本研究では、ロキサデュスタット及びダプロデュスタットによるTSH減少作用について検討を行った。2021年2月から2021年7月に洛和会音羽記念病院でロキサデュスタットまたはダプロデュスタットを開始された維持血液透析患者のうち、開始前210日以内のTSH測定で基準値内かつ開始後もTSHが測定された者を対象として、後ろ向き解析を行った。ロキサデュスタット群9名のうち8名、ダプロデュスタット群12名のうち1名で基準値未満へのTSH減少が観察された。投与前後のTSH変化量はそれぞれ、-2.009 μIU/mL(95% CI = -3.181 to -0.837 μIU/mL; P = 0.004)及び+ 0.086 μIU/mL(95% CI = -0.560 to 0.732 μIU/mL; P = 0.775)であった。また、ロキサデュスタット群ではTSHが基準値下限の10分の1未満となるTSH著減も2名観察された。ロキサデュスタット投与により基準値未満へのTSH減少が認められた患者のうち2名がダプロデュスタットに変更となり、それぞれ13日後・15日後にTSHが基準値内へ改善した。HIF-PH阻害薬であるロキサデュスタットでは高率にTSH減少が発現することが明らかとなり、基準値下限10分の1未満まで著減する患者も観察されたため定期的な甲状腺関連の検査値モニタリングが必要と考えられた。TSH減少は薬剤固有の作用であることが示唆され、HIF-PH阻害薬間での変更によって腎性貧血治療の継続が可能であると考えられた。
著者
松井 富美男
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.58-62, 2003-09-18 (Released:2017-04-27)
参考文献数
8

「人間の尊厳」の語はひんぱんに使用されるわりには概してあいまいである。人間の尊厳があいまいなのは人間の概念があいまいだからである。にもかかわらず、人間の尊厳は歴史的体験性に裏づけられた、まさにドイツ的な了解概念であって、それ自身がさらなる根拠を必要としないのは明らかである。ここでは人間の尊厳は以下のように規定される。第一には、人間は「神の似姿」として創造されたというキリスト教的言説をもとにすれば、人間の尊厳は少なくとも「差異化」と「水平化」の二重機能を有する。第二には、人間の尊厳はその文脈に応じて「生」にかかわるだけでなく「死」にもかかわる。人間の尊厳はこの点で生命の尊厳から明確に区別される。第三には、人間の尊厳は道具化禁令として、すなわちカントの人間性の定言命法として定式化される。しかしこの原理をもってしても育成目的のクローン人間を阻止することはできないであろう。このような場合には、「偶然性」「不確実性」「不完全性」「自然性」などの諸要素を加えて人間像を再構築し、新たに「人間的善」を追求する必要がある。
著者
松井 圭介
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.345-366, 1995-06-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1 3

本研究では,笠間稲荷神社(茨城県笠間市)の信仰者の分布から,信仰圏の範囲を画定し,信仰圏の地域区分を行なった.分布の指標には,昇殿祈願者(講社および篤信崇敬者),産物献納者,,分霊勧請者の3つを用いた. その結果,笠間稲荷からの距離に応じて,笠間稲荷信仰圏は,(1)産物献納者の分布が卓越し,農耕に恵みを与える生産神としての信仰を集める第1次信仰圏(0~50km圏),(2)各指標とも分布が密であり,・とくに講:社の成立と分霊勧請者の分布の中心域で,、笠間稲荷信仰の核心地域といえる第2次信仰圏(50~150km圏),(3)講社,分霊勧請者とも分布が分散的となり,笠間稲荷信仰の外縁地域となる第3次信仰圏(150~800km圏)の3つに地域区分ができることが明らかとなった. また笠間稲荷信仰圏の場合,信仰の広がりには,神社の西部から南東部にかけてのセクター性もみられ,笠間稲荷信仰圏が,信仰拠点を中心とする圏構造ではなく,第2次信仰圏に信仰者の分布の中核のあるドーナツ型を呈していることがわかった.
著者
松井 正枝 中平 真由巳 高村 仁知 的場 輝佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成15年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2003 (Released:2003-09-04)

アルミニウムは,食品関係の器具容器の素材として広く用いられています.アルミニウム摂取とアルツハイマ_-_症の間に因果関係があるのではないかと指摘する論文がAlfreyらによって発表されて以来,これに関する多くの研究が報告されている.しかし,アルミニウム製調理器具からのアルミニウム溶出に関する報告は多いが,実際に食する料理中のアルミニウム溶出量を測定した報告は少ない.前回の我々の報告において,家庭で行う調理条件で酸性およびアルカリ性の際立った料理を選び,料理中のタンパク質や油のアルミニウム溶出への影響を見るために検討を行い,タンパク質,油の存在は,アルミニウムの溶出を抑制する効果があるという結果を得た.そこで今回は,酸性の料理である,ジャム,およびアルカリ性の料理であるインスタントラーメンを用いアミノ酸のアルミニウム溶出に及ぼす影響を見た.アミノ酸には,グルタミン酸とイノシン酸を用いた. 使用するアルミニウム鍋は,アルミニウム製調理器具から溶出するアルミニウムについてのいくつかの報告があるが,いずれも未使用鍋を用いたものであるため,未使用鍋と繰り返し使用鍋のアルミニウム溶出におよぼす影響について検討を行った.その結果,酸性,アルカリ性の料理共にアルミニウム鍋を繰り返し使用してもアルミニウム溶出量に影響はなかった.アルマイト鍋でも同様の結果を得た.次に,酸性の料理であるあんずジャムおよび干しあんずジャム調理中にアミノ酸を加えることにより,アルミニウムの溶出が抑えられた.アルカリ性であるインスタントラーメンでは,加熱前後の調味料添加によるアルミニウム溶出への影響を検討した結果,加熱前に調味料を添加した時アルミニウムの溶出が抑えられた.今回の実験では、アミノ酸添加量を0.1,0.5 %としたが,アミノ酸の添加量を0.1から0.5%に増やしても効果に差はなかった.
著者
石原 明子 奥本 京子 松井 ケティ 浅川 和也 アーノルド ミンデル エイミー ミンデル カール スタファー ダリル メーサー 高橋 隆雄 広水 乃生 桐山 岳大 梁 ビキ 石田 聖 田辺 寿一郎 李 ジェヨン
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

第一に、紛争解決の理論・手法同士の関係性について「紛争を構成する要素」「要素に対応した解決理論」「解決を実践するための手法」という観点から整理し、多様な紛争事例に対応できる「戦略的紛争解決」という枠組みを創出した。第二に、欧米で発展した紛争解決の手法をアジアや日本で活用する場合の適用可能性に関して日中韓等の方に質問紙調査を行い、知見を得た。第三に、原発災害被災者の家族や地域内での人間関係の葛藤のケアと変容支援のためアクション・リサーチを行った。「福島の若手らの水俣訪問ツアー」等を実施し、環境災害からの人生と地域再生に向けた日本型の修復的正義プロジェクトの一つのモデルが形成された。
著者
松井博著
出版者
日本評論社
巻号頁・発行日
2008
著者
松井 彩子
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.39-50, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
32

本研究の目的は,スポーツイベントへのスポンサー契約にネガティブなインシデントが発生した場合の,消費者の反応を探索的に検討することである。具体的には,2021年に開催された2020東京五輪に関して,2022年に入って指摘されはじめた五輪汚職を事例に,Twitter上で発生したネガティブな口コミを探索的に検討する。そして,ネガティブな事象が発生した場合の,スポンサー企業への消費者の反応を明らかにする。実際にツイートデータを抽出した企業は,AOKIとKADOKAWAの2社である。これらのツイートデータに関して,ネガティブインシデントが発生した時系列ごとに頻出単語を整理した。その結果,一度ネガティブインシデントが発生して以降は,消費者の反応の増減に関わらず,ネガティブな頻出単語の性質には変化はないことが示された。
著者
水野 りか 松井 孝雄
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.31-38, 2018-02-28 (Released:2018-04-17)
参考文献数
27

水野・松井(2016)は,日本語の同音異義語では仲間が多いほど顕著な同音異義語効果が認められることから,同音異義語が呈示されるとその複数の仲間が活性化されることを示した.しかし日本語は同音異義語が多く,概してその仲間の数も多いため,この知見から考えれば日本語が処理に時間のかかる言語だということになってしまう.著者らは,文脈効果の知見から考えて,適切な文脈があれば仲間の数にかかわらず日本語の同音異義語も円滑に処理され,同音異義語効果は生じないのではないかと考えた.そこで本研究では,意味的に一致した文脈と不一致の文脈を呈示して仲間が多い同音異義語,仲間が一つの同音異義語,非同音異義語の語彙判断時間を測定した.その結果,一致した文脈を呈示した場合は仲間が多くても少なくても同音異義語効果は生じないことが見いだされ,日本語の同音異義語は適切な文脈があれば仲間の多少にかかわらず非同音異義語と同じように円滑に処理されることが明らかとなった.最後に,現実場面に近い状況で言語処理過程を検討する必要性が論じられた.
著者
加藤 泰史 小松 香織 前川 健一 松田 純 宇佐美 公生 石川 健治 竹下 悦子 上原 麻有子 清水 正之 齋藤 純一 松井 佳子 後藤 玲子 小倉 紀蔵 村上 祐子 中村 元哉 小島 毅 品川 哲彦 水野 邦彦 林 香里
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2018-06-11

平成30年度の研究計画にもとづき、8月に一橋大学で分担者および協力者(国内)と研究打ち合わせを行い、平成30年度の計画を確認すると同時に、分担者の村上祐子氏が研究発表を行った。また、分担者および協力者の何人かに、『思想』2019年3月号および4月号の特集で研究成果の一部を発表してもらうように再度依頼して確認した。なお、代表者の加藤は8月にWCP北京大会に参加してプレゼンテーションを行った。10月に代表者が渡独してシェーンリッヒ教授(ドレスデン工科大学)らと論文集の編集およびそれに関連した国際ワークショップ企画に関して打ち合わせを行うとともに、11月に一橋大学で網谷壮介氏(立教大学)らを招聘して概念史的研究の一環である「第7回スピノザ・コネクション」を開催した。12月に東京大学で、非欧米圏担当の分担者および協力者と研究打ち合わせを行うと同時に、金光来研究員(東京大学)の講演会を行った。平成31年1月に代表者が、10月に一橋大学で開催予定の国際ワークショップの企画および論文集編集の件で再度渡独し、クヴァンテ教授(ミュンスター大学)・ポルマン教授(ベルリン・AS大学)らと研究打ち合わせを行うと同時に、シェーンリッヒ教授の主催する研究会に参加した。3月に京都大学で、科研費のワークショップを開催し、代表者の加藤と分担者の小島・小倉両氏が研究発表を行い、またニーゼン教授(ハンブルク大学)・マリクス准教授(オスロ大学)・バーデン教授(イリノイ大学)・デルジオルジ教授(エセックス大学)を招聘して一橋大学で国際ワークショップと、さらに手代木陽教授(神戸高専)らを招聘して「第8回スピノザ・コネクション」を開催すると同時に、『ドイツ応用倫理学研究』第8号を刊行するとともに、科研費のHPも完成させた(http://www.soc.hit-u.ac.jp/~kato_yasushi/)。
著者
松井 恵麻
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.3-19, 2023-02-28 (Released:2023-02-22)
参考文献数
11

近年,離島や山村などといった地域において,地域活性化を目的としたアートイベントが多数開催されてきた。こうしたアートイベントは地域の人間関係を活発化させるなど一時的な地域活性効果をもつ一方で,その継続性が課題である。それに対して先行研究では地域の既存の事業者の関与によって地域社会に連鎖的な展開を生みだすという方法を提示してきた。これをふまえて本研究では地域に根差した民間企業が運営するアートイベントを取り上げて,地域社会との関係構築のあり様を明らかにした。分析対象とする事例は香川県小豆島においてオリーブ産業に関連する企業が展開するアートプロジェクトMである。2018年から2021年にかけて断続的に行った聞き取り調査の結果,アートプロジェクトMは地域の観光産業振興に新しい展開をもたらした画期的事業である反面,地域住民らとの間に一部葛藤を抱え込んでいることが分かった。しかしアートプロジェクトMのもつ創造性と地域のもつ固有な文化と歴史は,互いに好影響を与えあう可能性があると考えられた。こうした両者にとっての発展性をもたらすためには,対話の機会を十分に確保しフラットで相互的な関係構築が重要である。
著者
松井 剛
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.5-19, 2015-09-30 (Released:2020-05-12)
参考文献数
36

本論文では,ことばを通じた市場創造という現象について深く検討するために,筆者が行った調査結果に基づき,博報堂ケトルの嶋浩一郎氏が提案する「社会記号」について検討する。「社会記号」とは,「ロハス」や「コギャル」といった「世の中の新しい動きや事象を言い表すためにメディアがつくる言葉」のことである。この社会記号には,呼称,行為,脅威,カテゴリーの4つの類型があり,また自己確認,同化,寛容,拒絶,規範,課題の6つの機能があることが示される。それぞれの類型について詳細な検討を加えて,動機の語彙・ラベリングという2つの観点から,その役割について検討する。