著者
ダグダンプレブ スミヤクハンド 光鎬 孫 重人 阿部 岳巳 松井
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.162, 2017

<p>2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を機に,世界中の空港では赤外線サーモグラフィによる発熱チェックシステムが導入された.しかし,感染の疑いのある渡航者も解熱剤服用時には検出が困難であり,サーモグラフィの有用性を疑問視する報告までも散見される.これらの検疫における課題を克服するために,本研究では,現在空港検疫で使用されている赤外線・CMOSカメラを用いて,非接触でバイタルサインである呼吸数・心拍数・体温を測定し,画像処理により感染症をスクリーニングするシステムの開発を提案する.その有用性を検証するため,2015年高坂クリニックのインフルエンザ患者16名と対象群の22名の健常者に対してスクリーニングを行った.本システムの精度は,感度87.5%,特異度91.7%であった.</p>
著者
兪 善英 古村 健太郎 松井 豊 丸山 晋
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.644-650, 2016 (Released:2017-02-25)
参考文献数
27
被引用文献数
2 3

This study investigated posttraumatic stress symptoms and posttraumatic growth among 534 fire fighters who were dispatched to the disaster area following the Great East Japan Earthquake. Specifically, we investigated the effect of acute stress symptoms and social support from peers and family on posttraumatic stress symptoms, depression, and posttraumatic growth one year after being dispatched. We found that dispatched fire fighters experienced posttraumatic growth as well as posttraumatic stress symptoms following disaster work. Moreover, social support from peers was positively associated with professional growth as a disaster worker, whereas social support from family positively associated with gratitude. These results imply that it is useful to take into consideration supporting the posttraumatic growth of fire fighters as an opportunity for professional growth with respect to stress management programs as well as relieving posttraumatic symptoms with early intervention.
著者
赤澤 直紀 松井 有史 原田 和宏 大川 直美 岡 泰星 中谷 聖史 山中 理恵子 西川 勝矢 田村 公之 北裏 真己
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.71-78, 2013
参考文献数
27

【目的】健常成人男性のHip Flexion Angle(HFA)値にハムストリングスのマッサージ部位の違いが及ぼす効果を検証することである。【方法】健常成人男性32名(32肢)へのマッサージ部位について無作為に筋腱移行部群(11名),筋腹群(11名)およびコントロール(対側下肢筋腹)群(10名)に割りつけ,3分間のマッサージ介入を同一の圧迫圧で行った。アウトカムは盲検化された評価者によって測定された介入前,介入直後,3分後,6分後,9分後,15分後のHFA値とした。【結果】マッサージ介入直後,3分後,6分後の筋腱移行部群のHFA値はコントロール群より有意に高値を示した。【結論】ハムストリングス筋腱移行部へのマッサージはHFA値を拡大させる可能性を示唆した。
著者
松井 利郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.228-235, 2015-03-20 (Released:2016-03-23)
参考文献数
32

高血圧治療薬として初めて登場したのがACE阻害薬である.ACEとはAngiotensin I-converting enzymeの略称であり,レニン分泌を諸端とする一連の代謝系における昇圧物質の産生にかかわる酵素とされる.この代謝系はレニン–アンジオテンシン系と呼ばれ,これまで昇圧系として認識されてきた.しかしながら,近年の報告では本系の代謝物に降圧作用を示す物質が存在することが判明している.ACE阻害を基本とする機能性食品成分(主としてペプチド)は特定保健用食品の関与成分として取り扱われているが,本系の複雑な代謝が明らかになりつつある現在,抗高血圧食品とのかかわりについて再考する段階にあると考える.本稿では,これらを踏まえてレニン–アンジオテンシン系について概説する.
著者
浅井 真理子 松井 豊 内富 庸介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.498-507, 2013
被引用文献数
2

The purposes of this study were 1) to identify healthy and unhealthy patterns of coping strategies after bereavement among spouses of cancer patients and 2) to explore the characteristics of patients and spouses associated with these patterns of coping strategies. The participants were 821 bereaved individuals whose spouses had died at the National Cancer Center Hospital East. Three patterns of coping strategies after bereavement were found:"Distraction Focused" (healthy), "Continuing Bonds Focused" (unhealthy), and "General Coping" (almost healthy). Two strategies for improving the unhealthy coping patterns of "Continuing Bonds Focused" were 1) enhancing "Distraction" and reducing "Continuing Bonds" for achieving "Distraction Focused" (healthy) and 2) enhancing both "Distraction" and "Social Sharing/Reconstruction" for achieving "General Coping" (almost healthy). The patients' characteristics associated with the bereaved spouses' coping strategy of "Continuing Bonds Focused" were "under 65 years", "history of psychiatric consultation", "duration of last hospital admission was less than one week", and "time since cancer diagnosis to death was less than one year". These four characteristics of the deceased patients were considered to be risk factors for spouses who would utilize unhealthy coping patterns after bereavement.
著者
松井 龍吉 小林 祥泰
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.285-290, 2007-03-20 (Released:2008-09-12)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

重症肺炎後の呼吸不全状態に対し在宅酸素療法を導入した症例に対し, 清肺湯を投与したところ, 呼吸不全の状態から離脱できた症例を経験した。症例は76歳男性。高血圧症などにて外来治療中, 平成16年2月27日肺炎にて当院入院。抗生剤投与などにより炎症反応の陰性化が見られた後も低酸素血症が続いたため, 在宅酸素治療を導入した。その他の内服薬を変更することなく清肺湯を追加投与したところ低酸素血症が改善し, 画像上も器質的変化が著明に改善し, 在宅酸素治療を中止した。清肺湯は肺の熱をさます作用を持つとされ, 気道のクリアランスを亢進させ肺胞などの炎症反応を抑制するとされている。本症例の場合も肺炎後の変化に対し清肺湯が改善効果を示し, 器質的変化を僅かに残存させるのみで呼吸不全からの離脱に寄与したと考えられた。
著者
久保 秀一 畠中 泰彦 松井 知之 長谷 斉 村田 博昭 久保 俊一
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.C0018, 2005

【目的】大腿軟部腫瘍患者の腫瘍摘出術後の歩行能力は、前面であれば大腿四頭筋の有無、後面であれば坐骨神経の温存状態により大きく左右される。歩容では四頭筋部分切除患者は立脚期に困難を示し一見し異常に気づくがハムストリングスのみ切除した患者の場合正常歩行と見分けがつかない。しかし、「歩けるが走れない」と言った訴えを聞く。<BR>そこで、われわれは「走れない」ことに着目し、ハムストリングスを切除した患者の自由歩行,早歩き,ジョグにおいてハムストリングス切除が下肢に与える影響について検討した。<BR>【対象】対象は左半腱様筋,半膜様筋,大腿二頭筋を切除した左大腿部軟部腫瘍の男性1名(51歳、身長168cm、体重61kg)。坐骨神経は温存。術後左膝関節の可動域に制限はなく、ハムストリングスの筋力はMMT4レベルであった。術後1.5ヶ月時の化学療法施行中に測定した。<BR>【方法】両肩峰,大転子,膝関節裂隙,足関節外果,第5中足骨頭に赤外線反射マーカーを貼った被験者に床反力計(kistler社:9281B1)を2枚設置した7mの歩行路を自由歩行、早歩き、ジョグを行わせ、三次元動作解析装置(BTS社:ELITE Plus)にて撮影し、十分な練習後、測定した。<BR>この時の床反力データおよび空間座標データを生体力学常数とともに臨床歩行分析研究会の提唱する数学モデル,力学モデルに代入し下肢関節角度,関節モーメント、関節パワーを計算し床反力データと供に比較検討した。<BR>【結果】健側と患側を比較すると、床反力垂直成分に明らかな差異を認めなかった。関節角度変化は若干の変動を認めるが、肉眼では跛行を感じなかった。遊脚後期の膝関節屈曲モーメント極値(Nm)は歩行-早歩き-ジョグと速度が速まるにつれ,患側:3.7,5.3,9.1、健側:11.5,20.7,27.8と各々増加するが患側のジョグ時は健側自由歩行時よりも少なかった。また、遊脚後期の膝関節パワー極値(Watt)では、患側:-17.2,-24.5,-41.8、健側:-56.2,-115.4,-137.4と関節モーメントと同様に患側のジョグ時は健側の歩行時よりも少ない結果となった。<BR>【考察】患側健側ともに通常歩行よりも早歩き、ジョグへと歩行速度の増加に伴いハムストリングスの活動も大きくなった。また、その歩容は見かけではどちらが患側か判別できない状態であったが、患側ではモーメント、パワーともに著明に少なくハムストリングス切除の影響の反映と考えた。歩行中のハムストリングスの活動は関節モーメントから大よその見当がつくが関節パワーを求めた事により、膝関節屈筋として遠心性収縮による仕事が明確になった。ハムストリングス切除の影響は遊脚後期の下腿の制動すなわちターミナルインパクトの回避が最も困難であり、走行出来ない理由であると考えた。
著者
松井 良夫
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.157-167, 1997-04-28 (Released:2010-09-30)

This article is the first introduction to transmission electron microscopy (TEM) for beginners interested in the crystal structure analysis by means of electron diffraction and highresolution electron microscopy. Brief history of TEM, basic arrangements of TEM instruments, how to obtain selected area electron diffraction patterns, and how to prepare specimen by “crushing method”, are described.