著者
林 慶 西村 亮平 山木 明 金 輝律 松永 悟 佐々木 伸雄 竹内 啓
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.951-956, 1994-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
29
被引用文献数
34 38

イヌにおいてメデトミジン20μg/kgとミダゾラム0.3mg/kg(Me-Mi), あるいはメデトミジン20μ/kgとブトルファノール0.1mg/kg(Me-B)を組み合わせて投与し, 得られた鎮静効果を, メデトミジン20, 40および80μg/kg(Me20, Me40, Me80)を単独投与した場合の効果と比較検討した. その結果, Me-MiおよびMe-Bでは非常に迅速に強力な鎮静効果が得られ, 約40分間の最大効果発現時には, いずれのイヌも完全に横臥し, 周囲環境, 音刺激に反応せず, 中程度の反射抑制と鎮痛作用が得られ, さらにMe-Miでは自発運動も全く消失し, 優れた筋弛緩作用も得られた. これに対しMe40, Me80では, その鎮静効果はMe-Mi, Me-Bに比べて弱くまた個体間のばらつきもやや大きかった. Me20ではその効果はさらに弱かった. イヌにおいてメデトミジンをミダゾラムあるいはブトルファノールと併用すると, 両者が相乗的に作用することにより低用量のメデトミジンを用いても, 強力な安定した鎮静効果が得られるものと考えられ, とくにメデトミジン-ミダゾラムの組み合わせでは非常に優れた鎮静状態が得られ, イヌの鎮静法として幅広く応用可能で有用であると考えられた.
著者
林 慶一 藤田 早紀 小荒井 千人 松川 正樹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.9, pp.747-764, 2017-09-15 (Released:2017-12-25)
参考文献数
53
被引用文献数
3 6

兵庫県に分布する篠山層群について,国際層序基準にしたがって下部を大山下層,上部を沢田層として定義した.篠山盆地に分布する篠山層群の地層は,7つの岩相に基づいて4つの岩相群にまとめられ,砂礫堆堆積物/放棄河道堆積物,流路州堆積物,氾濫原泥質堆積物,堤防決壊堆積物/自然堤防堆積物と解釈される.これらの岩相群の分布から,篠山層群の堆積環境は山間盆地で,周辺部から中央部にかけて河川流路から氾濫原へと移り変わる環境であったこと,堆積の初期には礫質河川の流路が卓越する環境で,その後氾濫原や自然堤防と堤防決壊堆積物の卓越する蛇行河川の環境へと変化したと解釈される.篠山層群を特徴づける赤色岩の粘土鉱物分析の結果,大山下層上部の氾濫原堆積物からカオリン鉱物が検出され,湿潤環境下での土壌化と解釈される.同じ堆積物中には乾燥気候の存在を示すカリーチも挟まれていることから,半湿潤~半乾燥の環境が示される.
著者
林 慶雲
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.25-36, 1999-03-31 (Released:2019-07-01)

香港は, 1997年7月1日, 約150年にわたるイギリスの植民地の歴史を終え, 中国に返還された.返還後の香港は, 社会主義の国に戻ったが, 確立している資本主義的な経済体制, 自由主義的な社会体制をそのまま維持することになっており, いわゆる「一国二制度」が実施されている.イギリスの植民地時代, 香港の会計制度ならびに会計制度の一部である財務報告制度は, イギリスのそれを範としたものと思われる.しかし, 中国への返還が確実となった1980年ごろからは, 多くの香港企業が返還という現実を見こんだ企業行動をとり始めた.そのなかの1つは, さらなる経営国際化である.企業経営国際化の進展にともない, 資本市場の国際化が一層促進され, そのため, 財務報告制度の国際調和化問題も問わされるようになった.本研究は, 香港における財務報告制度を, 香港の特別な社会状況との関連から考察し, その制度の特殊性や国際会計基準との調和化などについて検討するものである.
著者
林 慶花
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.103-135, 2010-03

本稿は、植民地期朝鮮の言語政策における唱歌の位相を普通学校の唱歌教育を分析することによって明らかにし、それとは対自的に存在した朝鮮語教育と朝鮮語唱歌との関係を、民間主導でなされた文字普及運動や『朝鮮語読本』レコード製作に焦点を合わせて追求したものである。植民地朝鮮における音による「皇民化」は「上から」の「国語」の音の強制と「下から」の朝鮮語の音の抑圧・排除からなる政策であり、唱歌教育はそれを身体化しようとする試みだったといえる。少なくとも学校の場では朝鮮語唱歌を動員しようとする動きはほとんどみられなかったか極めて歪曲された形で成された。それは根本的に日本語は国民精神の精髄でなければならない「国語」であるにもかかわらず、植民地末期まで相変わらずその朝鮮社会への浸透には限界があったという事実と関連がある。普及率が依然として低調な「国語」としての日本語に代わって噴出する国民精神を効果的かつ派手に装うことができたのは、公共の場で斉唱される唱歌や軍歌などの歌だったからである。また「国語」の普及率の低さ故に朝鮮語も積極的に統治に活用しなければならなかった植民地勢力にとり朝鮮語は情報の効率的な伝達のための主段として管理されたのみで、朝鮮語唱歌による情報涵養や、まして朝鮮語唱歌の斉唱による音の共同性の実現は念頭にもなかったのである。しかし、教育の場で実現されなかった朝鮮語と朝鮮語唱歌との結びつきは主にメディアの場で多様に試みられ、時には体制に吸収されたり、時には「国語」という恩の共同性のもつ虚像を攪乱させたりした。何故なら、植民地朝鮮における「国語」政策が「国語」の内面化には失敗したまま音の共同性を性急かつ過激に推し進めるものだったからである。
著者
若林 慶彦 岡本 敏明 斉藤 浩一 工藤 寛之 三林 浩二
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.21, 2007

本研究では細胞膜での能動輸送のように、化学物質を認識しその化学エネルギーを力学エネルギーに、常温・常圧で直接変換する新規な駆動機構「有機エンジン」を生体材料と有機材料を用いて作製し、この有機エンジンを利用することで、液体成分やその濃度で駆動・制御可能な生化学式アクチュエータを開発した。
著者
小林 慶一郎 中嶋 智之
出版者
独立行政法人経済産業研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

不良債権の蓄積が経済に非効率をもたらすモデルを作成できた。その応用として、不良債権が経済成長を低下させるモデルを作成した。また、Diamond-Rajan型の銀行危機モデルを使って、システミックな流動性危機を説明するモデルを作成した。これらのモデルにより、金融危機の実相とメカニズムをより深く理解することができ、新しい政策的対応を提案することができる。
著者
松川 正樹 福井 真木子 小河 佑太力 田子 豪 小荒井 千人 林 慶一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.6, pp.201-217, 2014-06-15 (Released:2014-11-12)
参考文献数
34
被引用文献数
2 4

岐阜-富山県県境に分布する神通層群は,9つの岩相に区分され,それらの複数の組み合わせから,岩相群として5つにまとめられ,さらにそれらの特徴や分布に基づき堆積環境が考察された.庵谷峠層は堆積盆地の周縁部に発達した扇状地の,猪谷層は河川流路と氾濫原の,白岩川層は氾濫原の堆積物と解釈される.神通層群の上方細粒化と周辺から中央への側方細粒化は堆積盆地の沈降速度の増加に基づくものと推定される.神通層群各層の分布様式から堆積盆地の中心は南の有峰地区から北の常願寺川地区に移動したことが示される.これは,オーテリビアン期のアジア大陸の東縁におけるジュラ紀~初期白亜紀の付加体の並列配置と関連した可能性がある.
著者
大槻 恒太 林 慶浩 川内 進
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.123-125, 2017 (Released:2018-01-30)
参考文献数
3
被引用文献数
3 3

In this article, a new index was developed for predicting the band gap of π-conjugated polymers based on isodesmic reactions between a dimethylated monomer and an oligo-acetylene. The index can be uniquely defined for hetero-cyclic and poly-cyclic monomers. The index correlated well with the calculated band gap of polymers. In addition, it shows that band gap can be controlled by copolymerization using the index based on only monomer information without calculations of polymers.
著者
平嶋 昇 田中 靖人 小林 慶子 島田 昌明 岩瀬 弘明 後藤 秀実
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.644-649, 2009-11-25
被引用文献数
1 1

症例は26才女性.2007年11月21日,AST235 U/L,ALT636 U/L,T-Bil.3.5 mg/d<i>l</i>で紹介を受けた.HBs抗原・IgM-HA抗体・HCV抗体陰性であったがHCV RNA定性(アンプリコア法)は陽性であった.ALTは正常化せず,08年2月8日HCVグループ2,RNA定量3.0 Log IU/m<i>l</i>(リアルタイム法),3月21日肝生検F1A1であったため,3月25日からペグインターフェロンα2aを12週投与してHCV RNAは陰性化した.尚,07年8月頃から付き合い始めたフィアンセは刺青を有し07年11月C型急性肝炎を発生,11月28日HCVグループ2,RNA定量430 KIU/m<i>l</i>(ハイレンジ法)であった.保存血清を用いて分子系統樹解析を名古屋市立大学臨床分子情報医学教室において行ったところ患者とフィアンセはおなじ感染ルートであることが推測された.日本のC型慢性肝炎は高齢化し治療に難渋しているが,若い世代を中心に麻薬や刺青によるC型肝炎感染が散見され性交渉によってさらに拡大しているとも言われている.C型肝炎は感染早期にインターフェロンを投与した方が治療効果は高く早期治療が望ましい.若い世代に対する積極的HCV対策も今後は必要である.<br>
著者
伊藤 洋士 御林 慶司
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.802-804, 2004-10-01 (Released:2011-10-14)
参考文献数
6
被引用文献数
3 2

LCDの欠点である視野角を画期的に拡大する「WVフィルム」の開発に成功し,現在のLCDの繁栄に少なからず貢献できたと考える。今後のLCDのさらなる発展に向け,LCDの基幹部材メーカーとして,LCDの性能向上,コストダウンを実現する新製品を提案し,部材の安定供給に努めていきたい。
著者
東海林 慶一 鈴木 潤一郎 田邊 正宏 篠永 充良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.454, pp.19-24, 2010-03-01
参考文献数
8

レーダ性能の向上を図る技術として,近年,研究が行われているMIMOレーダでは,送信信号波形同士の相関性を低く抑えて,各送信源からの送信に対する目標反射信号を独立に処理することが必要となる.本報告では,MIMOレーダの送信波形として同一中心周波数の位相符号変調信号の適用を想定し,各送信源から送信される信号同士の相関性を除去することにより,独立処理を可能とするパルス圧縮処理方式について提案する.シミュレーションにより提案方式によるパルス圧縮性能評価を行った結果,相互相関処理におけるピークレベル,及び自己相関関数の出力サイドローブを0にし,かつ比較的少ないS/N損失で符号チップ幅と同等の圧縮パルス幅が実現できることを確認した.
著者
松川 正樹 福井 真木子 小河 佑太力 田子 豪 小荒井 千人 林 慶一
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.6, pp.201-217, 2014
被引用文献数
4

岐阜-富山県県境に分布する神通層群は,9つの岩相に区分され,それらの複数の組み合わせから,岩相群として5つにまとめられ,さらにそれらの特徴や分布に基づき堆積環境が考察された.庵谷峠層は堆積盆地の周縁部に発達した扇状地の,猪谷層は河川流路と氾濫原の,白岩川層は氾濫原の堆積物と解釈される.神通層群の上方細粒化と周辺から中央への側方細粒化は堆積盆地の沈降速度の増加に基づくものと推定される.神通層群各層の分布様式から堆積盆地の中心は南の有峰地区から北の常願寺川地区に移動したことが示される.これは,オーテリビアン期のアジア大陸の東縁におけるジュラ紀~初期白亜紀の付加体の並列配置と関連した可能性がある.
著者
明田川 正人 高田 孝次 野呂 昌良 小林 慶子 山田 和敏 竹島 信人 李 鍾斗 中山 義則
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.121-125, 1999-01-05
被引用文献数
1 2

This paper describes a suppression of the thermal drift error and an extension of a measurement range to micrometers in the comparative length measurement using a regular crystalline lattice as a reference scale and a dual tunneling unit scanning microscope (DTU-STM) as a detector. A thermo-stabilized cell, in which the DTU-STM can be set, was developed to reduce the temperature fluctuation to less than 0.05 K. In order to assess the thermo-stabilized cell, direct length comparison between the certified scanning electron microscope (SEM) standard grating with a average pitch of 240 nm and highly oriented pyrolytic graphite (HOPG) Iattice spacing, which is 0.246 nm, was performed using the DTU-STM, whose main body is made from Super-Invar. Images of the grating and the HOPG were simultaneously obtained in the range of 1um. To shorten the measurement time and thus reduce the thermal drift error, the lengths of I um for the two samples were measured along the fast scanning axis. A new ultra-low thermally drifted DTU-STM, whose body is fabricated from ultra-low linear expansion glass, was also developed to extend a measurement range to micrometers in the comparative length measurement. Long atomic image of HOPG crystal over a 5-um-long region along the fast scanning axis was obtained using the new DTU-STM in the thermo-stabilized cell. The experimental results show the possibility of the comparative length measurement in micrometers range with sub-nanometer resolution using the HOPG crystal and the DTU-STMs.