著者
小林 茂
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.33-44, 1977-09-30 (Released:2017-05-19)
著者
小林 茂子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.235-257, 2014-09

本稿は、開戦前後すなわち、日米開戦をはさんだ一九三〇年代後半から一九四〇年代初頭におけるマニラ日本人学校の教育活動の内容を検討する。マニラ日本人学校は、戦前期フィリピンの日本人学校十八校のうち(在外指定を受けたのは十六校)、いちばん早い一九一七年に設立され、また、南洋における日本人学校の中で最も現地理解教育に力を入れた学校といわれていた。このマニラ日本人学校では開戦をはさんで、日本軍の占領後、軍政下に至る過程においてどのような変容が見られたか。現存する資料『フィリッピン読本』(一九三八年四月)、『比律賓小学歴史』(一九四〇年三月)、『比律賓小学地理』(一九四〇年五月)、『とくべつ児童文集』(一九四二年八月)を手がかりに同校の教育活動を明らかにすることが本稿の目的である。 この四点の出版物はみな、「発行所 在外指定マニラ日本人小学校」「代表者 河野辰二」となっており、これらの出版物はどんな内容で、またどのような意図で編纂されたのかを、時代背景を吟味しつつ辿ることで、同校の教育活動の変容を探ることができるのではないかと思われる。すなわち、『フィリッピン読本』からは、一九三〇年代後半にマニラ日本人学校が現地理解に基づく教育活動を行っていたことを具体的に知ることができる。その後外国人学校への統制が徐々に強まる中、一九四〇年に入っても現地尊重の姿勢を保とうとする努力をしつつ、『比律賓小学歴史』『比律賓小学地理』が発行されている。しかし開戦後、一九四二年一月三日から軍政が始まると、同校は軍政府に協力的な中心校としての役割を担わざるを得なかった。『とくべつ児童文集』には、「学校ごよみ」が掲載されており、同校の開戦後の教育活動が記録されている。また児童の作文からはその時の心情を窺うことができる。 戦前期の占領地における日本人学校は日米開戦後、軍政府の統制のもと教育活動の大幅な変容を余儀なくされ、最後は戦局悪化とともに閉鎖へとつながっていった。戦争へと進む歴史的動きを追いつつ、在外日本人学校の辿った経緯を、マニラ日本人学校の事例をもとに現存する資料の分析とその背景を通して具体的に考察を進める。
著者
鈴木 和男 髙橋 啓 岡崎 富男 小林 茂人 Jayne David Merkel Peter A.
出版者
帝京大学 アジア国際感染症制御研究所
雑誌
ADC Letter for Infectious Disease Control (ISSN:21895171)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.39-49, 2020

川崎富作先生が、2020年 6 月 5 日に95歳で逝去されました。 ADC 研と関係の深い 6 人の先生方に川崎先生を偲んで、想い出の文章やお手紙をいただきましたので、以下に掲載いたします。 また、川崎富作先生の偉業と死亡についての記事がThe Washington Post: June 14, 2020 にも掲載されました。
著者
小林 茂 辻 英次 西本 勝夫 金尾 顕郎 大谷 真由美 大久保 衞 藤本 繁夫 栗原 直嗣
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法のための運動生理 (ISSN:09127100)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.3-8, 1994 (Released:2007-03-29)
参考文献数
11
被引用文献数
2

慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)患者では歩行時の移動動作以外にも,腕を挙上位で使う日常生活活動において障害を訴えるものも多い。そこで今回我々は,COPD患者6例に対し,定量的腕エルゴメーター負荷訓練を実施した。そして,同負荷訓練がCOPD患者の自覚症状,体幹機能およびKraus-Weberテストなどの評価で検討した結果,背筋持久性,体幹の柔軟性,さらに分時換気量の改善に伴って呼吸困難度が有意な改善を示した。以上のことにより,COPD患者にとって,定量的腕エルゴメーター負荷試験は,体幹の柔軟性,背筋の機能を改善することによって,呼吸困難度を軽減する有効な方法であると考えられた。
著者
木村 崇是 若林 茂則
出版者
日本第二言語習得学会
雑誌
Second Language (ISSN:1347278X)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.89-103, 2019 (Released:2020-02-05)
参考文献数
35

Tom ate an apple/applesという文において,目的語がもつ数素性や定性に応じて,動詞句によって表される事象の(非)完結性が決定される.本稿では,そういった文がもつ完結性の解釈を通して,冠詞などの語彙項目および数,定性などの形式素性の第二言語習得について,母語からの転移や意味・語用的計算などの観点から考察する.これまでの研究で,the applesのような定複数名詞を目的語として取る場合の完結性の解釈が困難であることが知られてきた(Kaku, 2009; Kimura, 2014; Wakabayashi & Kimura, 2018).また,初級学習者は(非)完結性解釈の際,数素性や定性の違いをうまく計算に取り込めないことも示されてきた(Kimura, 2014; Wakabayashi & Kimura, 2018).その原因として,先行研究では,定複数名詞句の計算の複雑性や発達中の中間言語における機能範疇の欠落などが提案されてきた.本稿では,これらの研究の問題点を指摘し,代案となる,以下の説明を提示する.すなわち,完結性は語用論的知識に基づいて尺度含意(scalar implicature)によって計算される(Filip, 2008)ため,語用論的知識の使用が難しい初級学習者にとっては,この尺度含意の計算が実行できず,その結果,表面的には形式素性が形態統語の計算にうまく取り込まれていないように見える.また,中級学習者になれば,尺度含意計算に基づく完結性の計算は行われるが,定冠詞theで示され,数が複数(plural)である名詞句の完結性解釈に問題が残る.これは,学習者の母語には,形式素性「定(definite)」を表すtheと同等の語彙項目が存在しないため,尺度含意の計算の基となる定冠詞the の習得が難しいためである.
著者
小林 茂樹
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学医学会雑誌 (ISSN:13498975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.134-142, 2012 (Released:2012-05-30)
参考文献数
22

Many drugs for glaucoma treatment have recently been developed, but prostaglandin (PG) analogs, which are PGF2α derivatives, are used most frequently. In particular, PG analogs with a stem name of "-prost" have become first-line therapies. When using PG analogs, it is important to understand their chemical structures and characteristics. These PG analogs are biologically active in carboxylate forms and are formulated as prodrugs by esterifying the terminal carboxyl to reduce side effects. The effect of PG analogs on glaucoma is determined by the degree of affinity to prostaglandin FP receptors. the structural formulae of PG analogs and our experimental results suggest that a 15-difluoro PG analog (tafluprost), which has a 13, 14 double bond, would have greater affinity for prostaglandin FP receptors and greater stability than 15-hydroxy PG analogs. Furthermore, 15-difluoro PG analogs containing a 13, 14 double bond were effective in clinical studies. Experimental results have shown that 15-difluoro PG analogs could help improve blood flow in the eye and might reduce the side effect of pigmentation. Tafluprost has been considered the best PG analog for first-line therapy, but a series of new glaucoma eye drops containing 2 active ingredients were launched in Japan in 2010. Each eye drop has advantages and disadvantages, and further studies are necessary to evaluate their clinical usefulness.
著者
小林 茂雄 村中 美奈子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.73, no.634, pp.1341-1346, 2008-12-30 (Released:2009-10-28)
参考文献数
12
被引用文献数
5 3

In this research, people's sitting postures in various types of eating and drinking spaces were observed, and their characteristics and related factors were analyzed. The principle results are summarized as follows.1. More people tended to bend forward in fast-food restaurants, and more people tended to bend backward in izakaya (Japanese-style bars). Men tended to bend forward more than women in izakaya and restaurants, on the other hand, women tended to bend forward more than men in cafes.2. Younger people tended to bend forward in fast-food restaurants more than older people, and older people tended to bend forward in izakaya more than younger people.3. People in conversation tended to put their elbows on the tables more than people who were not talking, and people who were not eating tended to put their elbows on the tables more than people who were eating.4. People in bright spaces tended to bend forward more than people in dark spaces, and people in noisy spaces tended to put their elbows on the tables more than people in quiet spaces.
著者
小林 茂雄 谷岡 春美 村中 美奈子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.637, pp.249-254, 2009-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
15

In this research, people's sitting and lying postures on a grass surface in a park were observed. The principle results are summarized as follows.1. More people tended to lie down on sloping grass than on level grass, but the degree of slope did not necessarily affect their postures.2. Men tended to lie down more than women, and the majority of the women sat vertically on the grass.3. Younger people tended to lie down more than older people.4. Men tended to lie down when they were alone or when they were accompanied by either male or female friends. Women tended to lie down when they were accompanied by male friends.5. When more people were on the grass, those lying down tended to remain face up.6. When the temperature was low, people tended to sit, and moreover, sitting people tended to lean forward.
著者
杉森 一哉 沼田 和司 岡田 真広 二本松 宏美 竹林 茂生 前田 愼 中野 雅行 田中 克明
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
2019

<p><b>目的</b>:慢性肝疾患患者にガドキセト酸ナトリウム(gadolinium ethoxybenzyl diethylenetriaminepentaacetic acid: Gd-EOB-DTPA)での核磁気共鳴画像 (magnetic resonance imaging: MRI)(EOB-MRI)および造影超音波を施行して,早期肝細胞癌(early hepatocellular carcinoma: eHCC)や高度異型結節(high grade dysplastic nodule: HGDN)と再生結節(regenerative nodule: RN)の鑑別に有用な特徴的所見を調査した.<b>対象と方法</b>:最大径が1 cm以上でかつ病理学的に診断された平均腫瘍径がそれぞれ15.5 mm,15.1 mm,14.8 mmの早期肝細胞癌(100結節),HGDN (7結節),RN (20結節)を後ろ向きに検討した.これらの結節のEOB-MRI肝細胞相の信号強度所見と,造影超音波動脈相の所見を用い,RNに特徴的な所見について検討した.<b>結果</b>:早期肝細胞癌100結節中98結節は,EOB-MRIの肝細胞相で低信号(n=95),等信号(n=2),高信号(n=1)を呈し,HGDN 7結節は,低信号(n=6),または高信号(n=1)を呈し,造影超音波動脈相においてはいずれも求心性血管を認めた.早期肝細胞癌1結節では,EOB-MRI肝細胞相で低信号を呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管と求心性血管の両方が観察された.RN 20結節中18結節と早期肝細胞癌の残りの1結節ではEOB-MRIで結節中心に小さな低信号域を伴い,周囲は高信号を呈した.残り2結節のRNでは肝細胞相で高信号のみを呈し,造影超音波動脈相で遠心性血管が観察された.結節中心部の小低信号域は,造影超音波動脈相では中央から辺縁に向かって走行する肝動脈とそれに伴走する門脈に一致していた.<b>結論</b>:EOB-MRI肝細胞相および造影超音波動脈相での中心部の血管構造所見は,RNに特徴的な所見である可能性がある.</p>
著者
林 茂美
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.304-307, 1983

中国は古くから針灸と同じく導引 (気功) の効果を高く評価して来た。気功も針灸も生命エネルギーである気の流れをよくする面では一致している。大脳を休息させ, 内分泌活動を促進させ, 自律神経の平衡を司って, 体力, 精神力共に増強させる。いつでも, どこでも, たやすく行われるセルフコントロールの健康法であるのみならず, 神経症, 高血圧, 喘息, 胃腸障害などの疾病治療にも著しい効果がある。今後, 癌の予防に, 神, 気, 精 (精神力, 気力, 精力) の増強の為にもなお一層の研究がのぞましい。ここでは中日治療院の針灸と気功の初歩的な結合を紹介し, 今後「針灸と気功の結合」について理論的にも, 実践的にも一層の研究が進められることを期待する。