著者
宮林 茂樹
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-81, 1994-04-15 (Released:2018-01-10)

Bestimmten die deutsche Ehegatten keine Ehename, so wurde nach §1355 Abs.2 Satz 2 des Burgerlichen Gesetzbuchs (BGB) der Geburtsname des Mannes zum Ehenamen. Das Bundesverfassungsgericht hat mit seinem BeschlВ vom 5. Marz 1991-1 BvL 83/86 ; 1 BvL 24/88-diese Regelung fur mit dem Grundgesetz unvereinbar erklart und den Gesetzgeber verpflichtet, das Ehenamensrecht insoweit neu regeln. Der Gesetzentwurf der Bundesregierung entspricht dieser Verpflichtung. Danach konnen die Ehegatten wahlen, ob sie einen gemeinsamen Familiennamen fuhren oder den zur Zeit der Eheschliessung gefuhrten Namen beibehalten wollen. Die namensverschiedenen Ehegatten, sollen den Gebrtsnamen der aus ihrer Ehe hervorgegangenen Kinder einvernehmlich bestimmen. Treffen sie keine Bestimmungen, so erhalten ihre Kinder einen aus den Namen der Eltern zusammengesetzten Doppelnamen.
著者
岡本 肇 田中 享二 小林 茂 山中 勇人 内海 孝康
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.16, no.33, pp.435-440, 2010-06-20 (Released:2010-06-18)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

This paper is described about the failures of waterproofing membranes for underground structures applied on earth retaining walls prior to wall concreting. In this waterproofing system the quality of waterproofing work may become worse and failures increase because waterproofing membrane is applied to irregular surface of the earth retaining wall, waterproofing work is complicated with demolition work of earth retaining wall and concreting work. So it must be recognized the note of this system and needs to make standard of this system. Before standardizing, we researched the failures of this method and classified.
著者
原田 克彦 小林 茂
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.129(2005-MUS-063), pp.7-11, 2005-12-23

PCと外部のセンサやアクチュエータを接続するI/Oインタフェースモジュールは、既にさまざまなものが存在している。本稿では、開発したI/Oモジュールgainerについて説明する。gainerでは、デジタル/アナログ混載マイコンPSoCを使用することにより、機能の再構成が可能(リコンフィギャブル)となっている。また、プログラマブル・ゲイン・アンプ(PGA)による使用者のユーザビリティ向上も期待できる。これらがもたらす使用部品数の減少や低価格でのキット化は、教育用途向けの使用として優位性を発揮できる。一例としてgainerを使用したワークショップについて報告する。
著者
小林 政信 小林 茂之 西森 俊英
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.83-88, 2001 (Released:2003-03-25)
参考文献数
12
被引用文献数
17 17

The development of resistance to a new acaricide, etoxazole, was found in populations of the two-spotted spider mite, Tetranychus urticae, collected from apple orchards in Soma-Mura village, Aomori Prefecture. Laboratory tests showed that a few mite populations of the 30 populations collected from an approximately 7×5 km area were insensitive to the acaricide, even though they have never been exposed to this acaricide. We selected a resistant and a susceptible strain from an insensitive population through selection and reciprocal selection by etoxazole. The resistance ratio calculated from the LC50s of the resistant and susceptible strain was more than 20,000. Crossing tests between the two strains indicated that the resistance to etoxazole was under control of a completely recessive single gene.
著者
黄 国華 小林 茂樹 広渡 俊哉
出版者
THE LEPIDOPTEROLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.261-266, 2008-09-30 (Released:2017-08-10)
参考文献数
10

クロスジキヒロズコガ Tineovertex melanochrysa (Meyrick, 1911)は,小型のヒロズコガ科の一種で,本州,四国,九州,国外では,台湾,インドに分布することが知られている.本種の成虫は昼間に活動し,発生時期には比較的多くの個体が見られる.本種の雌交尾器は特異で,第8背板にメディアンキール(median keel)をもつ,産卵器の先端が鋸歯状となるなど,マガリガ上科にみられるような「突き刺すタイプ」となっている.この特異な形態から,本種が生きた植物の組織内に卵を産み込むのではないかと推定されていたが,実際にどのような産卵習性をもつかは不明であった.また,幼生期の生態などについても不明な点が多かった.著者らは.2007年7月上-中旬に大阪府能勢町三草山,および採集した成虫の行動を実験室で観察した.野外での観察の結果,雌はシダ植物のシシガシラ Blechnum nipponicum (Kunze) Makinoの葉の裏面に産卵するのを観察することができた.また,室内での観察により,卵は成葉の複葉裏面の組織内に1個ずつ複数個が産み込まれること,孵化後に組織から脱出した幼虫は植物体を食べずに地面に落下し,ポータブルケースを作って,枯れ葉などを食べることが明らかになった.本種の生活史は原始的なヒゲナガガ科とよく似ており,生きた植物に産卵する習性をもつことはヒロズコガ科では例外的である.世界的に見るとフィリピンに分布するIschnuridia Sauber, 1902とインド-オーストラリアに分布するEctropoceros Diakonoff, 1955などの属の種が類似した雌交尾器の形態をしていることが知られているが,生態に関する情報は少なく,これらが単系統群であるかどうかについても今後の検討が必要である.本種はMeyrick (1911)によってインド産の標本をもとに記載され,その後,台湾と日本から記録された.大阪府大の所蔵標本を中心に調査した結果,日本国内では以下の府県での分布が確認された.成虫が採集されたデータによると,本州・四国・九升|では年1回,琉球列島(八重山諸島)では少なくとも年2回発生し,近畿では,3-4齢幼虫で越冬すると考えられる.分布:本州(大阪府),四国(高知県,愛媛県),九州(福岡県,鹿児島県),琉球列島(石垣島,西表島,与那国島);台湾;インド.
著者
林 茂 山田 秀志 牧田 光正 Hayashi Shigeru Yamada Hideshi Makida Mitsumasa
出版者
航空宇宙技術研究所
雑誌
航空宇宙技術研究所特別資料: 平成14年度航空安全・環境適合技術研究研究交流会と研究報告会講演論文集 = Special Publication of National Aerospace Laboratory: Proceedings of the Information Exchange Meeting and the Research Meeting on Aviation Safety and Environmental Compatibility Technology Research FY2001 (ISSN:1347457X)
巻号頁・発行日
no.55, pp.85-86, 2002-12

超音速機エンジンからの排気NOxは成層圏のオゾン層を破壊し、一方、亜音速機からのNOxはオゾンを生成して地球温暖化を進めることが分かっている。しかし、NOxの一部はエンジン排気中に含まれる水蒸気が高空の低温域で凝縮し生成する水滴や氷晶に取り込まれたり吸着されたりして、オゾンの破壊や生成の反応を変える可能性がある。この実験では、ジェットエンジンの排気と同組成の排気(飛行機雲)を小型燃焼器で発生させ、極低温の大気の流れの中に導き、排気に含まれる水蒸気の凝結により氷晶を生じさせる。それを採取し分析することにより排気中のNOxがどの程度氷晶に取り込まれるかを明らかにする。資料番号: AA0045946007レポート番号: NAL SP-55
著者
小林 茂夫 細川 浩 前川 真吾
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

ほ乳類や鳥類は,環境温が低下すると,ふるえによる産熱反応を起こして体温を保つ。一方,爬虫類,両生類,魚類は,環境温が低下しても産熱反射を生まず体温が下がる変温動物である。しかし,ふるえが系統発生上いつ生じたのかわかっていないここでは,低温でふるえ様の反応がサカナで生まれるとの仮説を立て,それを検証する実験をおこなった.受精後3日齢のゼブラフィッシュの稚魚を,28.5℃から12℃の水に移すと,尾ひれを律動的に振る相(ON相,約10Hz)と静止する相(OFF相)が,約3秒の周期で断続的に生じた(ON-OFF相)。しかし,サカナに前進運動は見られなかったので,その運動は産熱のための考えられる.ここでは,発砲スチロールで熱流を遮蔽した試験管に少量の12℃の水を入れ,その中に稚魚をいれ,ふるえで生じる水温の上昇を産熱の指標として測定した。一匹の稚魚を入れたときの温度上昇は,対照群の温度上昇と差はなかった。5匹の稚魚を入れると,水温は,対照群の上昇速度より高い速度で上昇した。10匹の稚魚を入れると,水温は,5匹の上昇速度のほぼ2倍の速度で上昇した。魚類の麻酔薬MS222で処理した5匹の稚魚を入れたとき,温度上昇は対照群と差はなかった。これらの結果は,尾びれのふるえ様の動きで熱が生まれたことを示す。間欠的な動きを生む発振器の場所を探るため,脳神経系のレベルで切断しふるえの変化を見た。後脳と脊髄の間を切断すると,間欠的な動きが連続的なものに変わった.これは,脳の発振器が,連続的なふるえを周期的に遮断していることを示す。
著者
塩見 岳博 斎藤 岳士 石原 光則 和田 光博 林 茂彦 府中 総一郎 神成 淳司
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.35-44, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
20

本研究では,筆ポリゴン,農地ピンおよび土壌図のデータを組み合わせた全国版統合農地データAPIを提案する.農業に関連する各種データや連携基盤の現状と課題を整理した上で,農業生産において基盤となる農地データの利便性向上を図るため,全国の農地データの統合を行った.対象は筆ポリゴン,農地ピンおよび土壌図の3つのデータで,筆ポリゴンをベースとし,他の2つのデータの統合を試みた.結果として,ベースとした筆ポリゴン31,591,036件のうち5,999,291件について,3つのデータが統合でき,成功率は19.0%であった.残りのデータが統合ができなかった原因は,統合対象となるデータの欠落や,統合対象が複数存在するなどのフォーマットの違いによるものであり,その解決には対象とした農地データを整備するルールの統一が求められる.統合した農地データは,農業データ連携基盤WAGRIを通じて,全国版統合農地データAPIとして提供した.その出力形式には,地理情報システム(GIS)における標準フォーマットであるGeoJSONとWebMapTileService(WMTS)を採用し,一度の要求で3つのデータが同時にに取得できたことから,利便性の向上が確認された.今後,統合した農地データが幅広く利用されるための課題としては,データ統合の速度向上や多くのデータを一括でダウンロードする仕組みへの対応などが考えられる.
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 Wagner G. S. 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984
著者
松村 潔 小林 茂夫
出版者
一般社団法人 日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症・再生 (ISSN:13468022)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.209-217, 2001-05-31 (Released:2010-04-12)
参考文献数
30

Prostaglandins play various roles in the brain under physiological as well as pathological conditions. This review summarizes our present knowledge about brain localization of two isoforms of cyclooxygenase, enzymes responsible for prostaglandin biosynthesis, and their possible functions. Cyclooxygenase-1 (COX-1) is con-stitutively expressed in microglia throughout the brain. Little is known about COX-1 function there. COX-1 is also abundantly expressed in the primary sensory neurons both at their cell bodies and at the central terminals in the medulla and spinal cord suggesting its involvement in sensory signal transmissions. COX-2 is constitutively expressed in telencephalic neurons in an activity-dependent manner. This neuronal expression of COX-2 was reported to be involved in the regulation of regional cerebral blood flow. On the other hand, some studies have reported that COX-2 might exert adverse actions after brain ischemia and in Alzheimer's disease. Under various infectious as well as inflammatory conditions, COX-2 is expressed in brain endothelial cells. We presented a large body of evidence that elevation of prostaglandin EZ in the brain and occurrence of fever during infection/inflammation are the consequences of this endothelial expression of COX-2. Thus, brain endothelial cells seem to transmit blood borne cytokine signals to brain by producing prostaglandin E2.
著者
長澤 博 宮林 茂幸 五十嵐 健蔵
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.1-10, 2004-07-01 (Released:2017-08-28)
参考文献数
20
被引用文献数
4

本稿では,バブル経済崩壊以降の構造不況下におけるリゾート開発問題の実態を解明することを目的としている。この1990年以降のリゾート開発問題とは,リゾート開発跡地における総花的な開発資本による「林地投機」の動向にほかならない。そこで,福島県会津フレッシュリゾート構想地域の市町村を対象に,林地取引に関する調査を実施した。その結果,開発資本による林地取引は,まず第一に,バブル経済全盛期(1986〜1991年)にかけて取引量が多くなり,県外者への転売が多い傾向にあった。第二には,観光資源が豊富な磐梯山周辺地域で,投機効率の高い可能性を持つ林地が取引対象になっていた。第三には,猪苗代町・北塩原村では小規模の「別荘地等」,磐梯町・河東町・会津若松市では大規模の「レジャー施設等」「資産保有」目的で林地取引を行う傾向にあった。第四には,財政規模の大きい会津若松市では「資産保有」型の林地取引が非常に多くなり,開発利益を期待した「林地投機」が実施されていた。第五には,バブル経済崩壊後,林地価格の下落により「不良債権化」した投機対象林分では,開発資本による森林の放置と管理放棄が拡大しており,森林荒廃の一要因を形成していることが明らかとなった。
著者
小林 茂 渡辺 理絵
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.58, 2005

演者らはここ数年来、第2次世界大戦終結まで日本がアジア太平洋地域で作製してきた地図について、地域環境資料として評価するとともに、その作製過程にアプローチしてきた。近代国家における地図作製への関心のたかまりに応じて(Edney, 1997; トンチャイ, 2003)、日本についても関連の研究を展開する必要が大きいと判断されたからである。この結果、日本の旧植民地における地形図作製は、土地調査事業と密接に関係しつつ展開されたこと、さらに陸地測量部と密接な関係がもちつつも、非軍事的色彩がつよいことが注目された。本報告では、この概要を紹介し、共通する特色について検討する。1. 植民地における土地調査事業の展開 日本の植民地では、初期より土地所有の近代化にむけて土地調査事業が積極的に推進された。台湾では臨時台湾土地調査局(1898-1905年)、朝鮮では朝鮮総督府臨時土地調査局(1910-1918年)、さらに関東州でも関東庁臨時土地調査部(1914-1924年)によってそれぞれ実施され、土地台帳や地籍図が整備された。この意義については、多方面から検討される必要がある(宮嶋, 1994)が、いずれでも地籍図作製に際し三角測量により図根点が設定され、それにもとづく地籍原図を縮小しつつ地形図の作製にいたっている。2.三角測量の導入と地形図の作製 地籍図作製への三角測量の導入は、沖縄土地整理事務局による同種の事業(1899-1903年) が最初であり、台湾では沖縄の事業の視察後にこれを決定した(江, 1974, p. 135)。ただし朝鮮・関東州の場合は、事業当初より導入を決定していたと考えられ(『朝鮮土地調査計画書』1910年、「関東州土地調査事業概要」1923年)、これが標準化していったことがうかがえる。他方沖縄県で実施に至らなかった地形図作製については、台湾・朝鮮・関東州いずれでも当初予定していなかったが、事業開始後しばらくして付帯的な事業として実施することにした点は注目される。3.目賀田種太郎(1853-1926)の役割 沖縄県の土地整理事業における三角測量の採用は、これを指揮した当時の大蔵省主税局長、目賀田種太郎の指示によるものとされている(『男爵目賀田種太郎』1938, pp.250-251)。目賀田はこれ以前に大蔵省地租課長などとして地価修正と地押調査を推進しており、この指示はその時の体験をふまえたものである。また目賀田は、のちに韓国財政顧問(1904-1907年)として朝鮮の土地調査事業の準備に関与し、三角測量の導入を指示している(p.498-499)。くわえて目賀田は、1901年台湾総督府に赴任する宮地舜治(殖産局長)に地図をつくるようすすめたという(p.253)。台湾の地形図(堡図)作製のための作業は1902年から開始され、時期的にも符合するので、これが土地調査事業にともなう地形図作製の発端になった可能性がある。なお、目賀田はベルギーとフランスにおける類似の事業に関心をもっており(pp. 168, 253-255)、これらの指示や勧誘との関係をさらに検討する必要が大きい。4.植民地における地図作製の非軍事的性格 上記のように、大蔵官僚のイニシアティブにより、非軍事機関によって作製された地形図の刊行には、台湾の場合は台湾日々新報社、朝鮮の場合は朝鮮総督府、関東州の場合は関東庁が関与し、要塞地帯などをのぞいて、各地域で最初の本格的近代地形図となった点も留意される。
著者
河邊 聰 内藤 郁子 野村 正樹 畑 正一郎 大森 靖子 平家 直美 林 茂 吉田 光一 木村 忠紀 堀 榮二 遠藤 康雄 志村 公夫 冨家 裕久
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.433-443, 2008

京都の都心部には,平成12年の調査で3万戸の伝統町家があることが分かっていた。その後年々数は減少しているといわれる。町家では日々の生活が営まれ,その上で都市的・文化的価値の高さが語られる。(財)京都市景観・まちづくりセンターは,京町家居住者からの様々な相談に応じる町家相談会「京町家なんでも相談」を平成13年度に立ち上げた。本稿は,この相談会に寄せられた町家居住者からの相談内容をヒアリング形式で間接的に学習し,それを参考資料とした。資料から居住にかかわる不満・不安を抽出・分析し,問題点の把握と理解をした上で,今後居住不安解消の具体案を策定し,居住者への居住支援方策を提示したいと考える。このことから京町家の保全・継承の環境づくりに寄与したいと考えるものである。