著者
松本 淳 林 泰一 山根 悠介 小林 茂 寺尾 徹 山本 晴彦 釜堀 弘隆 久保田 尚之 赤坂 郁美 福島 あずさ 村田 文絵 藤波 初木 加藤 内藏進
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

国内で実施中のデータレスキュー研究活動をまとめ、国際的活動と連携するACRE-Japanを、本研究を中核として組織し、アイルランドと北京で開催された国際会議報告を国際共著論文にまとめた。またMAHASRIプロジェクトの後継となるアジアモンスーンに関する国際共同研究の立案を開始し、国内・国際ワークショップを主宰した。南アジアについては、旧英領インドの現ミャンマー・バングラデシュ領内の日降水量データの原本照合・品質チェックが完了し、過去120年スケールの長期変化傾向についての解析を進めた。インド北東部チェラプンジの104年間の日降水量データから、インド北東部のモンスーン活発期の発生機構を明らかにした。バングラデシュの1955年~1980年後半、インドアッサム州の1930年~1950年代後半までのシビアローカルストームデータベースを構築し、発生日の長期変動について解析した。スリランカの1860年代以降の日降水量データ収集した。東南アジアについては、フィリピンの過去115年間のモンスーン開始期および20世紀後半以降における降水の季節変化パターンの長期変動を解明した。日本とフィリピンの過去120年間の台風活動を調べ、近年の大きな被害を出した台風と類似の台風が過去にも上陸していたことを示した。中国については、日降水量データ(Zi-ka-wei)1890年代~1930年代のデジタル化を完了した。樺太、朝鮮、北支那における気象データの統合と検証を行い、東北部黒龍江省における温暖化解析と水稲冷害のリスク解析、東北部・内蒙古自治区の乾燥地帯における雨季の変動解析を行った。帝国日本の気象観測ネットワークに関する2冊の書籍を刊行した。東アジアの多彩な季節サイクルの長期変動解明を行なった。日本については、東海・四国地方の明治・大正期の日降水量データをデジタル化し、大雨発生の長期変化等を解析した。
著者
若月 俊一 菅野 二郎 林 茂樹 松島 松翠 北出 公俊 有馬 和雄
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.571-594, 1975

1. 昭和48年と昭和49年の2年にわたり, 全国の5つの病院において, 罹病調査と有病調査を実施した。登録し得た疾病件数は, 前者では160, 309件, 後者では33, 549件である。<BR>2. 罹病調査では, 呼吸器系疾患, 消化器系疾患, 神経系・感覚器疾患, 等が多く, 有病調査では, 循環器系疾患, 消化器系疾患, 呼吸器系疾患等が多かった。すなわち, 感冒, 急性咽頭炎など比較的経過の短いものは前者に多く, 高血圧など経過の長いものは後者に多かった。<BR>3. 性別にみると, 消化器系疾患, 呼吸器系疾患, 不慮の事故, 外傷などは男子に多く, 性尿器系疾患 (膀胱炎等) は女子に多かった。<BR>4. 年代別では20~29才の「お嫁さん」年令の罹患がもっとも多かった。また一般に乳幼児, 小児では, 呼吸器系疾患, 青年・中年層では消化器系疾患, 高年層では循環器系疾患が多くみられた。<BR>5. 職業別では, とくに農家や「農業を主」としているものに, 循環器系疾患, 筋骨格系・結合織疾患, 新生物が多くみられた。とくに筋骨格系・結合織疾患は, 専農女子に多く, 不慮の事故は兼農男子に多くみられた。また非農に多いものは呼吸器系疾患, 皮膚疾患であった。<BR>6. 20年前の罹患調査と比較して, 著しく減少しているのは, 伝染病・寄生虫疾患であり, 増加しているのは, 循環器系疾患, 呼吸器系疾患, 消化器系疾患, 性尿器系疾患, 精神病, 不慮の事故・外傷等であった。すなわち, 感染性の疾患は少くなり, 慢性の成人病を中心とする疾患がふえつつあるといえる。
著者
深澤 透 堤 崇史 東海林 茂 荏原 絋 丸山 武紀 新谷 イサオ
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 = Journal of Japan Oil Chemists' Society (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.247-251, 1999-03-20
参考文献数
11
被引用文献数
18

5種類の有機リン系農薬 (ジクロルボス, パラチオンメチル, マラチオン, クロルピリホス及びクロルフェンビンホス) を大豆油に添加し, 脱ガム, 脱酸, 脱色及び脱臭工程を行った後の精製油中の農薬残留量を測定した。得られた結果は次のとおりである。 (1) 脱ガム処理では原油中の各リン系農薬はわずかに減少した。 (2) 脱酸処理では脱ガム油中のジクロルボスは明らかに減少したが, 他の農薬は約80%以上残存した。 (3) 脱色処理では吸着剤による脱酸油中のジクロルボス及びクロルフェンビンホスの減少率はそれぞれ約70%及び60%であった。一方マラチオン及びクロルピリホスの減少率はそれぞれ約30%及び5%であった。パラチオンメチルは活性炭を含む吸着剤を用いると極端に減少した。 (4) 260℃の脱臭処理により全農薬が完全に除去された。 (5) 原油中のリン系農薬 (ジクロルボス, パラチオンメチル, マラチオン, クロルピリホス及びクロルフェンビンホス) は一般の精製処理により完全に除去されることを確認した。
著者
富田 弘美 中川 隆子 小菅 啓子 小林 茂雄
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 = Journal of the Japan Reseach Association for textile end-uses (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.54-63, 1998-12-25
参考文献数
7
被引用文献数
1

社会人男性の生活場面における服装意識と生活意識の特徴及び関連性について20代と40~50代を対象に質問紙法により調査を行った.主な結果は次の通りである.<BR>(1) 服装意識について20代は職場では個性を重視した服装, 余暇では外出時の服装に関心がみられ, 40~50代は職場では規範意識を持ち機能的な仕事着を必要としている.<BR>(2) 生活意識について20代は家庭中心の人付き合いや積極的に余暇を過ごすなど個人を尊重している.40~50代は地域社会を背景とした人付き合いをし, 伝統的な社会ルールを受容している.<BR>(3) 服装意識と生活意識の関連性についてそれぞれ因子分析をした結果, 抽出された各因子の関連性を正準相関分析により解析した.職場の服装意識では規範性が低く, スーツ着用や仕事着の必要性に対して否定的な層は, 生活意識では余暇の過ごし方は積極的だが仕事に対しては消極的であった.また職場での服装の規範性が高く, 余暇の服装に興味の少ない層は, 生活意識では個人尊重や人付き合いの因子間に関連がみられ, いずれも消極的であった.さらに冠婚葬祭の服装や家庭での服装の因子は, 生活意識の個人尊重, 慶弔行事への考えの因子間に関連がみられた.
著者
坪田 将吾 山本 聡史 手島 司 林 茂彦
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.152-161, 2015-09-01 (Released:2015-09-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

イチゴの循環式移動栽培における果実計数を目指し,栽培ベッドの横移送中に取得した画像を基に,赤色果実および未熟果実の計数を行うベッド移動型果実撮影装置を試作した.また,計数処理を行うアルゴリズムとしてRGB + TOF処理を開発し,RGB処理による果実計数との比較を行った結果,以下の知見が得られた.1)RGBカメラおよびTOFセンサの光軸を栽培ベッドの移動方向と平行に配置し,ラインスキャンによって画像を取得したことで光軸がほぼ重なり,カメラごとの内部パラメータの違いを補正することなく,RGB画像と距離画像をアフィン変換のみにより高精度に対応付けすることができた.2)模型果実を用いた果実の重なり分離試験において,果頂部の高さの差が20 mm以上のとき,果実の重なりが大きく粒子解析手法では果実の分離が困難な果実の中心軸間距離が30 mm以上の場合でも,距離情報を用いることにより分離可能であった.3)赤色果実を計数する性能を検証した結果,「あまおとめ」に対するRGB + TOF処理で96.8 %,RGB処理で90.3 %であった.「紅ほっぺ」でも,RGB + TOF処理で94.7 %,RGB処理で74.3 %となり,距離情報により重なった果実を分離することで,高精度な果実の計数が可能となった.しかし,距離情報による果実分離では,TOFセンサからの距離が近い果頂部周辺を一つの果実として認識し,1つの果実を分割してしまうことがあり,誤検出数が増加した.4)未熟果実を計数する性能を検証した結果,「あまおとめ」に対する計数成功率は,RGB + TOF処理で69.6 %,RGB処理で70.9 %であった.また,「紅ほっぺ」でも,RGB + TOF処理で71.2 %,RGB処理で72.6 %となり,距離情報を組み合わせることによる精度向上は見られなかった.しかし,高い位置に着花する花等を距離情報を用いて除去することができ,誤検出数が削減できることが明らかになった.
著者
宮林 茂樹
出版者
鳥羽商船高等専門学校
雑誌
鳥羽商船高等専門学校紀要 (ISSN:03879283)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.33-37, 2006-02-28

This investigation relates to the student who graduated. It intended for 988 graduates of ten years of 2005 from 1996. Most of the students graduated without violating school regulations. In school regulations violation, a particularly important problem is smoking. Even if we punish the student who smoked, students smoking at school do not decrease. The reason is because there is the case that parents accept smoking of one's child. In this case teachers have nothing to do.
著者
小林 茂 水野 祐
雑誌
デジタルプラクティス (ISSN:21884390)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.128-135, 2016-04-15

多様なスキルや視点,経験を持つ人々が新しい製品やサービスを短期間で共創するイベント「ハッカソン」や「メイカソン」における民族誌調査を基に,主催者側および参加者側の双方にとって適切に知的財産を取り扱うことを盛り込んだ参加同意書を作成し,同様のイベントにおいて活用できるよう2014年2月にテンプレートとして公開した.さらに,公開後に行った調査で新たに見つかった課題に対し,イベントの期間中における知的財産の定義および権利化の意思確認を行う終了後の確認書を追加して2015年2月に更新した.2015年9月から12月までに行ったイベント主催者に対する調査結果から,この参加同意書は日本国内のイベント主催者に広く認知され,多くの場合において派生物が利用,または参考にされていることが確認できた.
著者
小林 茂 渡辺 理絵
出版者
大阪大学文学研究科片山剛研究室
雑誌
近代東アジア土地調査事業研究ニューズレター
巻号頁・発行日
vol.1, pp.14-23, 2006-03

平成17年度科学研究費補助金 基盤研究(A)1930 年代広東省土地調査冊の整理・分析と活用(課題番号 17251006)中間報告書
著者
小林 茂男
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.335-343, 2013

2013年10月第20回ITS世界会議東京では開催テーマを「Open ITS to the Next」とした。次世代のITSは,環境・エネルギー・安全・渋滞解消等の交通問題の解決,人々の生活の質の向上を図ることを目指す。また同時に,災害や不測の事態への的確にしてスピーディーな対応という社会の要請に応えることも重要な役割である。そのためにITSは,グローバルに誰にでもさまざまな機会や挑戦のための場が開かれ,多くのプレイヤーが参加できる共通プラットフォームの構築や広域の連携が図れるオープンな形のネットワーク社会を提供していくベースとなっていくことが望まれる。
著者
小林 茂樹 矢田谷 健 高山 昭蔵
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.82-88, 1991-02-25

小型ピロプラズマ症 Japanese Theileriosis (JT症)は、蓄牛放牧時に多発し、放牧牛の発育を著しく遅滞させると同時に、その検査と治療に多大の労力と費用を要する。著者らは、本症発生率の高い公共乳用育成牛放牧場におけるその感染・発症検査、発症牛治療、ならびに放牧牛発育調査を行い、今後の同症の予防・治療対策の一助とした。対象牧場は湿潤冷涼地にあり、放牧密度は0.60〜0.62ha/頭であった。貧血牛(JT症発症牛)は、1987年に比べ夏季降水日数および降水量の多かった1988年に、入牧後早期に増加した。1988年におけるJT症の高い発生は、環境要因として降水日数および降水量の多かった気象条件に起因する草地管理不良(放牧残草の枯死・腐敗など)からダニなど媒介昆虫の繁殖が旺盛となったことが、主な原因と推察された。1988年放牧牛については、入牧後1ヶ月でTheileria sergenti感染率が61%に達した。本原虫感染に基づく発症は、パラインフルエンザ3型およびアデノウイルス7型ウイルス等の感染が間接的に関与したと考えられた。1988年入牧牛の入牧時月齢とJT症発症・治療牛割合との関係は、不明確であった。同じく入牧時体重と同症発症・治療牛割合との関係も認められなかった。発症牛の治療に殺原虫剤としてアミノキン・ナフトエートとジアゾアミノベンザミッドを、補液剤として栄養加リンゲルを用いた。治療開始時ヘマトクリット値(Ht値)は17.9±1.7%で、治療日数は8.1±5.2日であった。1988年春入牧牛の5ヶ月間の1日平均増体重は、発症・治療牛で306±199g、非発症・治療牛で530±234gであった。発症・治療牛では、放牧開始時月齢と無関係に増大量が小さかった。 日本家畜管理研究会誌、26(3) : 82-88.1991. 1990年9月3日受理
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 G. S. Wagner 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984-06-25 (Released:2011-08-11)
著者
岡部 公樹 吉川 知伸 宮本 学 金子 恵美 吉田 幸一 緒方 美佳 渡邉 暁洋 本村 知華子 小林 茂俊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.424-433, 2023-12-20 (Released:2023-12-20)
参考文献数
15

【目的】大規模災害現場で薬剤師がアレルギー疾患患者に対応する際の問題点,アンメットニーズを明らかにするため調査を行った.【対象と方法】災害医療に携わる薬剤師に日本薬剤師会,日本病院薬剤師会を介し無記名のWEBアンケート調査を行った.【結果】235名から回答を得た.アレルギー疾患に関する情報を平時は電子媒体で得たい薬剤師が多く,災害時はアプリ,紙媒体で得たい薬剤師が平時より増加した.アレルギーポータルや既存の資材の利用者は少なかった.支援で調剤・携行した薬は抗ヒスタミン薬が多かったが,アレルギー疾患関連薬剤の携行量や剤型の不足が問題であった.吸入補助器具やアドレナリン自己注射薬は携行数と比べ今後の携行が推奨されていた.患者指導で重要な事として79.6%の薬剤師が「避難時の薬剤手帳の携帯」と回答した.【結論】アレルギーポータルや資材の普及,支援時期毎の携行薬リスト作成,薬剤手帳を携帯して避難することの啓発が必要である.一方,使用期限の短いアドレナリン自己注射薬の災害時の供給方法は今後の課題である.
著者
宮本 学 岡部 公樹 吉川 知伸 金子 恵美 緒方 美佳 吉田 幸一 本村 知華子 小林 茂俊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.213-223, 2023-08-20 (Released:2023-08-21)
参考文献数
26

我々は,災害医療従事者を対象に,災害時のアレルギー患者対応に関するパンフレットや相談窓口など既存のツールの評価,災害医療従事者のアンメットニーズを調査するためアンケート調査を行い,266名から回答を得た.アレルギーに関する情報を得る手段は,平時では電子媒体や講演会が,災害時にはスマートフォンアプリや紙媒体の要望が多かった.アレルギー関連webサイトなど既存ツールの認知度は約10~30%と高くなかった.COVID-19が災害時のアレルギー疾患対応に悪影響があると回答したのは66%であった.73%の災害医療従事者が,災害時アレルギー対応窓口の一本化を望んでいた.また,自助の啓発,患者情報を把握するためのツールを要望する意見も多数みられた.これらの結果から,災害医療従事者に向けたアレルギー疾患マニュアルの拡充を積極的に行う必要があると考えられた.
著者
正能 千明 荻野 拓也 我妻 朋美 小塚 和豊 大林 茂 小川 真司 原 行弘
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.BbPI2166, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 リズミカルな下肢のペダリング運動が、健常人の上肢筋を制御する脊髄の反射弓と皮質脊髄路の興奮性に影響を及ぼすことは報告されている。しかし脳卒中片麻痺患者における報告及び実際の上肢機能(パフォーマンス)への影響に対する報告は無く、これを明らかにすることは機能訓練を行う上で重要と考えた。今回、脳卒中片麻痺患者に対する自転車エルゴメーター駆動が麻痺側上肢の痙縮及びパフォーマンスに与える影響について、駆動前後での上肢機能と神経生理学的評価により検証した。【方法】 対象は当院リハビリテーション科に入院あるいは通院中である慢性期の脳卒中片麻痺患者5名(男性3名、女性2名、平均年齢:50±21.9歳)。疾患の内訳は脳梗塞1名、脳出血4名で、左片麻痺4名、右片麻痺1名、発症からの期間は平均2619日(273~8408日)、Stroke Impairment Assessment Set-Motor(SIAS-Motor)上肢近位3:1名、4:1名、上肢遠位1b:5名。利き手は右4名、左1名。Modified Ashworth Scale(MAS)は前腕・手関節・手指grade1~2。本研究への除外条件は重度の高次脳機能障害と手関節・指関節の関節可動域制限、運動の支障となる重度な合併症を有するものとした。 上記対象者5名に対し、自動車エルゴメーター駆動前後に上肢の機能評価と神経生理学的評価を行った。 自転車エルゴメーター(コンビ社製エアロバイク75XL)の設定条件として、乗車姿勢は肘関節屈曲位にて両手でハンドルを保持した座位で、座面はペダルが最下位の時膝関節軽度屈曲となる高さとした。負荷は運動時間10分間、運動強度は年齢推定予測最大心拍数(220-年齢)の60%の値と自覚的運動強度(Borg2~3)を指標とし、リズミカルに駆動でき、連合反応を生じない回転速度(50rpm)とした。 評価方法として、上肢機能は(1)麻痺側手関節・手指の自動関節可動域を測定した。測定肢位は端座位とし、テーブル上に20cm台を置き両肘関節を前腕回内位にて接地した。測定方法は、手関節背屈・掌屈をゴニオメーターにて測定し、手指屈曲・伸展可動域は第2・第5指の指腹―手掌間距離にて測定した。(2)SIAS-Motor上肢近位・上肢遠位評価、(3)手関節・指関節MASの評価を行った。 神経生理学的評価は、誘発電位・筋電図検査装置(日本光電社製Neuropackμ)を用い、(1)麻痺側手関節の自動背屈時、長橈側手根伸筋(ECRL)と橈側手根屈筋(FCR)の表面筋電図を記録した。手関節自動背屈5秒間保持を6セット施行し、5秒間中の2秒間を導出してroot mean square(RMS)値を求めた。RMS6セットの平均値よりECRLとFCRのRMS比(主動作筋/拮抗筋比=ECRL/FCR比)を算出した。(2)麻痺側FCRのH波を導出し、さらに最大上刺激で得られたM波の振幅との比(H/M比)を算出した。【説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に従い、対象者に研究目的・内容・方法を事前に口頭で説明し、同意を得た上で実施した。【結果】 上肢機能評価では、自転車エルゴメーター駆動後全ての症例において、手関節掌背屈の自動関節可動域は15~35°増加、指腹-手掌間距離は0.5~2.5cm改善が認められた。SIASとMASでは明らかな変化は認められなかった。神経生理学的評価では、自転車エルゴメーター後ECRL/FCR比は11.11~83.55%の増加が認められた。また5名中FCRのH波を誘発できた3名のH/M比は自転車エルゴメーター後、8.2~27.36%減少を認めた。【考察】 今回の結果から、脳卒中片麻痺患者に対しリズミカルな下肢のペダリング運動は、上肢の自動可動域向上、主動作筋(ECRL)の促通、健常人と同様にFCRのH反射減弱の結果が得られた。 H/M比は脊髄反射弓の興奮性を示し、一般的に痙縮患者において増加すると言われている。リズミカルな下肢のペダリング運動は麻痺側上肢脊髄前角細胞の活動を抑制し、痙縮を減弱する作用があると考えられる。また主動作筋/拮抗筋比の増大より相反抑制が増強し、動作効率の改善により上肢の随意運動が向上したと推定できる。また、上肢と下肢の機能的連関が示唆されたが、メカニズムは不明瞭な点が多く、今後その解明が課題であるとともに、更に症例数を増やし検証していきたい。【理学療法学研究としての意義】 本研究より、慢性期の脳卒中患者に対する運動療法として、自転車エルゴメーター駆動は、麻痺側上肢の痙縮を即時的に抑制し、相反抑制を増強する効果がある事が示された。また自転車エルゴメーター駆動後、更に上肢の随意性促通訓練、巧緻性訓練等を連続して行う事は相乗効果を生み、訓練効果が期待できる可能性があると思われる。
著者
小林 茂 徳井 直生 小林 大祐 図師 雅人 森下 静香 岡部 太郎 藤井 克英 後安 美紀 大井 卓也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS1104, 2023 (Released:2023-07-10)

障害のある人の文化芸術活動における人工知能技術の活用から見えてきた可能性と課題に関して報告する。奈良市のコミュニティ・アートセンター「たんぽぽの家アートセンターHANA」では、身体障害や知的障害のある人々が絵画、詩、演劇など多様な文化芸術活動を行っている。そうしたアーティストたちに共通する課題が、障害の重度化や加齢などにより心身の状態が悪化していく中における創造的な活動や新たな挑戦の継続である。例えば同施設に在籍していた武田佳子は、徐々に身体機能が失われるにつれ、画材や技法を変えながら制作を継続してきた。ここで着目したのがサポーターである。サポーターはアーティストたちの制作活動を支援する人々で、単なる支援に留まらずアーティストに一体化しているかのように見える場面も多数観察された。作品を素材とする画像生成や自助具的なツール制作などの試行を経て、本プロジェクトでは新たなサポーターとしての人工知能に着目した。DALL·E miniやStable Diffusionなどの画像生成技術を活用して取り組んだ活動から見えてきた「表現活動に寄りそう他者としての人工知能」の可能性と課題について報告する。
著者
林 茂 前野 真一郎 木本 隆啓 永田 俊浩
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.165-175, 1997-05-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
49
被引用文献数
3 3
著者
織田 恵輔 臼井 達矢 上田 真也 桂 良寛 吉川 貴仁 小林 茂 藤本 繁夫
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.313-318, 2012-06-01 (Released:2012-06-15)
参考文献数
31
被引用文献数
4

Although there are a number of reported cases of increased cerebral blood flow during exercise, there are no reports on the relation between changes of blood flow during exercise and attentional function. The purpose of this study is to clarify the relation between changes of blood flow during exercise with AT intensity and attentional function, using near-infrared spectral analysis. The subjects were 10 healthy males. The research protocol was to conduct steady load exercise. We randomly conducted two invention trials: 1) an exercise/task trial in which a trail making test (TMT) was performed as an attentional assignment during steady load exercise, and 2) a rest/task trial in which TMT was performed during rest as a control. As a result, we observed the following: increase of oxy-Hb in the prefrontal cortex during AT exercise, the significant shortening of TMT during exercise from 69.1±10.2 seconds to63.2±7.2seconds, and, with further control, that the more oxy-Hb rises, the more TMT time is shortened. From these results, it is suggested that 10 minutes of exercise would improve attentional function, and furthermore, there is a possibility that increased cerebral blood flow may be involved with the improvement of attentional function.
著者
若林 茂則 穂苅 友洋
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

英語の「名詞+動詞+接尾辞-er」の形を持つ複合名詞は生産的で、「猫を食べる人」をcat eaterのように表すことができる。英語を母語として習得中の子供やスペイン語を母語とする英語学習者は、この複合名詞の使用において、語順や形態素の使い方を誤ることが知られていた。本研究では2種類の実験で日本語話者も誤りを産出するが、その誤りは他の学習者とは種類が違うことを明らかにした。先行研究ならびに本研究の結果に基づいて、誤りの原因は文構造規則の単語構造への適用と、別の形態素(-ing)の誤用にあると論じた。
著者
石崎 有澄美 正木 尚彦 秋山 純一 松川 雅也 松枝 啓 新野 史 林 茂樹
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.727-735, 2000-10-25 (Released:2010-11-29)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

自己免疫性肝炎 (AIH) に肝細胞癌 (HCC) を合併した2例 (ともに女性) を経験した. 症例1は62歳時肝機能障害を指摘. 原発性胆汁性肝硬変疑いにてウルソデオキシコール酸を投与されたが無効. 73歳時後下区に径1.5cm大のHCC出現. 肝動脈塞栓術を施行するも肝内多発転移を来し, 約8カ月目に腹腔内破裂のため死亡. 剖検所見 (慢性活動性肝炎: A2, F3) を加えたAIH scoreは17点で, AIHと最終診断した. 症例2は64歳時肝機能障害を指摘. AIHが疑われプレドニゾロン内服で不完全寛解したが, 肝生検では肝硬変 (A3, F3-4) であった (現行score 17点). 71歳時外側区に径2cm大のHCC出現. 肝動脈塞栓術が有効であったが, 腎不全のため約1年10カ月目に死亡. 両症例において抗核抗体価の上昇ないし陽転化がHCCの進展に並行していたことから, 自己免疫反応がHCC発症に関与する可能性が示唆された.