著者
北林 耐
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.9, pp.351-357, 2015 (Released:2015-11-25)
参考文献数
18

Latex allergy (LA) is the allergic reaction triggered by proteins containing in natural rubber latex (NRL) or chemicals in NRL products. The pathophysiology of LA is divided into the immediate type (type I) allergy and the delayed type (type IV) allergy. Majority of LA is the allergic reactions mediated by specific IgE (sIgE) antibodies produced by contacts and exposures to NRL by inhaling the powder in the environments when wearing or removing the gloves made from NRL. Recently, the frequency of immediate type allergy reaction is decreasing, but the delayed type allergy reaction caused by chemical substances added during glove manufacturing is increasing. Allergic contact dermatitis (ACD) caused by thiuram compound (a vulcanization accelerator), is increasing and it is clear that 80% of ACD cases in health care workers are sensitized to this substance. For Diagnosis of LA, a detailed patient interview is the most important and sensitization to NRL is confirmed by a blood test or skin test to show an existence of sIgE antibodies to NRL. Also a positive provocation is useful for diagnosis. Treatment for type I reactions is histamine H1 receptor antagonist or systemic steroids. However, in severe case such as anaphylactic shock, it is necessary to administer adrenaline. In case of type IV reactions, it is important to take local steroids or use moisturizing agents in addition to replace gloves free of vulcanization accelerator.
著者
野瀬 遵 小林 秀司
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.269, 2013 (Released:2014-02-14)

ヌートリア Myocastor coypusは南米原産の適応力に優れた特定外来生物である.我が国において,輸入した繁殖個体が戦中・戦後の 2度にわたる毛皮需要低下により放逐され,各地で生息域を拡大している.岡山県では,生息条件が良好であった児島湾干拓地帯に放たれたものが定着するとともに,1970年代以降に県下一円に分布を拡げたと考えられている(三浦,1976). 岡山県においてはヌートリア駆除が促進されているが,この数十年ヌートリアによる農業被害額に大きな変動はみられず,従って個体群構造が比較的安定している可能性が示唆されている(小林ら,2012) 野生動物の駆除や保護を目的とする場合,その対象生物の生態の把握は必須.である.しかし,我が国におけるヌートリアの生態そのものに関する報告は三浦(1970,1976,1977,1994)に留まり,行動圏を長期的に調査した研究はない.そのため,岡山県笹ヶ瀬川にて,ラジオテレメトリー法を用いて,長期的なヌートリアの行動圏とコアエリアの推移を明らかにするべく個体追跡調査を開始した.調査個体は目視調査により,使用している巣穴が特定されていることと,縄張りをすでに確立していると考えられる比較的大型の個体を対象とした.捕獲した個体にヌートリア用インプラント発信器(CIRCUIT DESIGN,INC.社製 LT-04)を埋め込み放逐した.電波の受信には指向性のある 3素子八木アンテナ(有山工業社製 YA-23L),オールモード受信機(アルインコ社製 DJ-X11)を使用し,ラジオテレメトリー法による個体追跡調査を行った. 研究個体の現段階における日周期リズム・行動圏とコアエリアの算出・行動圏利用に関して報告する.また,今後は長期的にデータを積み重ね,ヌートリアの生態解明を目指す.
著者
鈴木 三男 能城 修一 小林 和貴 工藤 雄一郎 鯵本 眞友美 網谷 克彦
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.67-71, 2012

Urushi is the lacquer produced by Toxicodendron vernici!uum. In Japan, Urushi products is known since ca. 9000 years ago from a remain at the Kakinoshima B site and became common since the early Jomon period. Archaeological woods of T. vernici!uum, however, had not been reported until ca. 10 years ago, when identi!cation of its woods from those of close allies was made possible. Since then, re-identi!caiton of excavated woods revealed that T. vernici!uum was commonly grown around settelments since the early Jomon period, but also indicated the existence of a sample of the incipient Jomon period from the Torihama Shell Midden site, Fukui Prefecture, which is too old to be considered as an introduction from the Asian continent to Japan. Here, we measured the radiocarbon age of this sample as 10,615 ± 30 14C BP (12,600 cal BP) in the incipient Jomon period, 3600 years before the oldest remain at the Kakinoshima B site. Most botanists consider that T. vernici!uum is not native and introduced to Japan by ancient people. Thus, the presence of T. vernici!uum wood in the incipient Jomon period seems to mean that Urushi was introduced from the Asian continent already in that period.
著者
岡 大祐 関根 芳岳 大津 晃 青木 雅典 林 拓磨 馬場 恭子 中山 紘史 栗原 聰太 宮尾 武士 大木 亮 宮澤 慶行 柴田 康博 鈴木 和浩
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.155-158, 2021 (Released:2021-03-28)
参考文献数
9

自己血管による内シャント(arteriovenous fistula: AVF)は本邦における慢性透析用バスキュラーアクセスの中で最も多い.AVF造設術は一定の割合で不成功例を認めるが,本邦において大規模RCTは行われておらず,AVFの初期開存に影響を与える因子の詳細な解析は行われていない.今回AVF造設術を施行した症例群をレトロスペクティブに解析し,初期開存に影響を及ぼす因子を解析した.対象とした119例の内,シャント閉塞をきたした症例は15例(12.6%)であり,初期開存に影響を与える因子として有意差を認めた項目は深部静脈血栓症(deep vein thrombosis: DVT)の既往のみであった.過去の論文にて開存率に影響を与える因子とされている,性別,年齢,糖尿病の既往などの因子よりも,血栓素因の有無がAVF初期開存に重要な影響を与える可能性が示唆された.
著者
平林 源希 武富 弘敬 安藤 裕史
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.281-285, 2017-12-15 (Released:2018-12-15)
参考文献数
20

Bow hunter 症候群は頸部回旋により椎骨動脈が狭窄し, 一過性の虚血症状を来す病態である。 今回われわれは前庭障害を来した Bow hunter 症候群の1例を経験したので報告する。 症例は50歳女性で, 回転性めまい, 歩行障害を主訴に受診した。 右向きの定方向性眼振を認めていたため左前庭神経炎の疑いで入院加療を行った。 入院時の頭部 MRI では梗塞などの病変は認めなかった。 また頭部 MRA では右椎骨動脈の低形成と Willis 動脈輪の正常変異を認めたが, 原因の関連はないと判断した。 めまい症状の軽快後に退院となり, 退院後に施行した温度刺激検査にて左耳の高度半規管麻痺を認めていたため左前庭神経炎と診断したが, 退院6週間後に頸部回旋に伴う一過性の意識消失発作が出現したことから Bow hunter 症候群の診断に至った。 治療は保存的加療とし, 頸部回旋を回避する生活指導のみで発症後2年経過観察しているが, 左耳の高度半規管麻痺は残存するも, 意識消失発作の再燃やめまい症状の出現は認めていない。 前庭神経炎と考えられた病態は, Bow hunter 症候群の本態である椎骨脳底動脈循環不全により, 前庭障害を来したものと推定された。
著者
新井 亘 上田 恵子 岡添 進 矢吹 直寛 小林 理栄 松木 祥彦 矢嶋 美樹
出版者
Japanese Society for Infection Prevention and Control
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.142-148, 2012

上尾中央医科グループ薬剤部では,感染制御専門薬剤師を育成する支援として,2006年度から定期的に研修会を開催している.2010年度からは,日本病院薬剤師会の感染制御専門薬剤師または感染制御認定薬剤師にて運営委員会を結成した.年度始めに研修会の参加者を募り,感染制御チームの活動や感染症治療の症例の提出を依頼した.<br>   2010年度は19施設から36名の参加者があり,47事例を収集した.その中から運営委員会の委員(以下,運営委員)にて薬剤師が日常的に遭遇する16事例を選択し,発表者を定めるなどの年間計画を立案した.事前に運営委員にて研修資料を基準に基づいて内容の確認を行い,必要に応じて修正を依頼した.研修会は年間4回開催し,少人数による討論形式で行った.36名中25名が4回通して継続した参加であった.参加者を対象とした研修後の調査では,薬剤師の感染制御に関する関心が高かった.年度末に行った感染に関連する業務の実施率の調査では,研修会参加施設群において不参加施設群と比較して高かった.研修によって施設間の情報の共有や感染対策の支援体制が促進し,対応の多様性を検討することができる内容であると思われる.感染制御専門薬剤師または感染制御認定薬剤師が研修会を運営することは,専門特化した人材育成のために重要な任務を担っているといえる.<br>
著者
伊藤 大輔 笈田 桂治 小林 吾一 水野 幸治 吉田 良一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.455-460, 2015 (Released:2018-01-25)
参考文献数
13
被引用文献数
3

歩行者頭部インパクト試験と有限要素解析により,A ピラーへの頭部衝突に対するヘルメットの頭部保護効果を検討した.頭部インパクタ試験を実施した結果,HIC はヘルメット着用で減少したが,3000 を超えていた.ヘルメットを装着した人体頭部モデルによる解析では頭蓋骨の骨折は発生しなかったが脳のひずみが大きな値となった.
著者
川崎 智也 轟 朝幸 小林 聡一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_523-I_532, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
11
被引用文献数
1

首都圏の都市鉄道では,朝ラッシュ時に定常的な混雑が発生している.混雑緩和に対する一つの解決策として,時差通勤をした者に対して,抽選で賞金が当たる抽選型報奨金制度がある.本研究では,東京メトロ東西線利用者を対象として,オーダードロジットモデルを用いて抽選型報奨金制度を導入した場合の鉄道利用者行動モデルを構築し,当選金額および当選金額に対する感度分析を実施した.その結果,当選の期待値が100円の下で当選金額を28.9千円(当選確率0.33%)とした場合,定額型施策よりも時差通勤施策の参加者が増加する可能性が示され,混雑率は197.5%となり,現状の混雑率である199%から1.5%減少することが示された.当選金額を20万円(当選確率0.05%)と高額に設定すると,混雑率は196.9%まで減少し,定額型施策よりも0.6%低下した.

2 0 0 0 OA 家出人の行方

著者
小林隆之助 著
出版者
鳳生社
巻号頁・発行日
1925

2 0 0 0 OA 経書大講

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第12巻 莊子下, 1940

2 0 0 0 OA 経書大講

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第8巻 詩經下 易經繫辭傳, 1940

2 0 0 0 OA 経書大講

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第6巻 詩經上, 1940

2 0 0 0 OA 経書大講

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第7巻 詩經中, 1940

2 0 0 0 OA 経書大講

著者
小林一郎 著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
vol.第11巻 莊子中, 1940
著者
佐藤 信 大場 俊輝 高橋 康次郎 国分 伸二 小林 幹男 小林 宏治
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.801-805, 1977
被引用文献数
6 16

国税局鑑定官室, 県工業試験所などの調査書・報告・成績書から得た昭和50年の市販清酒の一般分析値を解析して, 生産地による清酒の差別化の現状を考察した。<BR>また, ワイン, ポートワイン, シェリー, ベルモット, リキュール, 甘酒, ジュースなど多数の飲料の酸度・アミノ酸度・糖量を分析するとともに, 酸度と糖量を広い範囲にわたって変化させた清酒をつくり, 清酒の味として認められるか, あるいはワイン, リキュー・ルの味と考えられるかを判断して, 一般分析値による清酒の範囲ならびに味覚による清酒の範囲を検討し, 次の結果を得た。<BR>1) 生産地による清酒の差別化については, 同一国税局内においても県ごとに差があり, 地域差は少なくとも県単位で比較すべきである。<BR>2) 味覚による清酒の範囲は, 現在の市販清酒よりもはるかに広く, 清酒の多様化の可能性を示唆した。<BR>3) 清酒以外の飲料の酸度・糖量は, 糖量・酸度を直交軸とする平面にプロットすると, 味覚による清酒の範囲に外側にあり, 清酒と他の酒類の差別が可能である。さらに, 弁別閾による酒質の細分化, 熟度による差別化, 酸組成による差別化について考察した。
著者
小林 一雄
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.479-487, 2017-10-15 (Released:2017-10-15)
参考文献数
58
被引用文献数
1

放射線照射によるDNA損傷の中でもDNAに溶媒和している水分子のイオン化により生成するH2O·+とDNAの反応過程が重要である。その中でも,糖–リン酸部位のラジカルの生成がDNA主鎖の切断を引き起こす。放射線化学反応の特徴である低エネルギー電子とDNAの反応や,修復することができない複数個の損傷が局在化して生成するclustered damageについて紹介する。
著者
林 修平
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.149-162, 1998-04-28 (Released:2008-12-25)
参考文献数
71
著者
小林 克也 北野 博司
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.13-21, 2013 (Released:2021-03-17)

山形県高畠町に所在する高安窯跡群では,7 世紀後半~ 8 世紀初頭に操業されていた須恵器窯跡が5 基と,9 世紀後半~ 10 世紀前半の炭窯跡が1 基確認され,出土燃料材と窯体構築材の樹種と復元直径,年輪数の分析を行なった。須恵器窯跡では,最も谷奥に位置し古相を示すC1 号窯跡では復元直径10 cm 以下のイヌシデ節やカエデ属などが多くみられ,群内で新相を示すB1・B2 号窯跡では,復元直径10 cm 以上のマツ属複維管束亜属が多くみられた。これは,一見すると窯業活動に起因するマツ属複維管束亜属の増大にみえたが,年輪数では,マツ属複維管束亜属は樹齢を重ねているものが多く,古くから生育していた樹木であった。よって高安窯跡群では,燃料材として復元直径10 cm 以内の広葉樹を伐採していたが,広葉樹がなくなると,丘陵尾根部などに生育する復元直径10 cm 以上のマツ属複維管束亜属を伐採利用していたと推測される。そのため最後に操業が行われたB2 号窯跡の操業終焉時には,燃料材に適した太さの樹木は無くなり,燃料材の枯渇が須恵器窯跡終焉の契機となった可能性がある。炭窯跡では,コナラ属コナラ節のみを窯跡周辺の自然植生から伐採利用していた。復元直径や年輪数の計測では,炭窯跡には利用木材に対して一種の規格のようなものがあった可能性があり,須恵器窯跡終焉から約200 年後には,周辺植生から良質の木材を選択できるほどに植生が回復し,炭窯跡の操業が行われていたと考えられる。