著者
小林 あづみ
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.39-60, 2020-03-31 (Released:2021-03-01)

鎌倉時代の華厳僧、明恵上人(京都栂尾高山寺の中興開祖)について、観音菩薩に関する夢やコメント等を『華厳経』や『華厳経』の内容を絵画化した作品と対比させて考察した。結果、明恵が夢に見た観音は、自身が制作に関与した華厳変相図に基づくものであり、観音の住む補陀洛山を夢に見、普陀山(補陀洛山の写しとして知られる中国の観音霊場)を意識した場で仏事を行ったことが判明した。また、明恵が華厳の守護神として祀った善妙についても、その働きを観音と同一視している。明恵による観音への直接的言及は少ないが、その特色として挙げられる点(紀州での修行、法然による著作への反論、五秘密への傾倒、善妙を神として祀り善妙寺を建立する)の基底には観音があったのではないかと結論づけた。
著者
中林 啓修
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.77-86, 2017-03-24 (Released:2018-04-27)
参考文献数
47

Military-level mutual cooperation between Japan and U.S. in the field of disaster relief in Japan germinated since the Great Hanshin-Awaji Earthquake. After the earthquake, some of local authorities hosting U.S. Force Japan(USFJ) started to build a cooperation with USFJ for disaster relief. The Great East Japan Earthquake accelerated and expanded these relationships. At present, contribution of USFJ to disaster relief in Japan is incorporated with institution for JapanU.S. Defense Cooperation and local authorities not hosting USFJ also start to building a disaster relief cooperation with USFJ. Major challenges of the cooperation today are solving institutional ambiguity (e.g. conditions for disaster relief by USFJ) and expanding opportunities for cooperation between local authorities and USFJ such as joint expertise.
著者
林 怡蓉
出版者
関西学院大学
雑誌
関西学院大学社会学部紀要 (ISSN:04529456)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.183-195, 2008-03

In this paper, I examine the actual situation of tobacco advertisement controls and the process of formation of the controls in Japan. Using an analysis of the representation of smoking manners advertisements, I aim to answer this following question by analyzing the representation of smoking manners advertisement. The questions: why did the problem of smoker's manners turn out to be the main focus of discussion regarding tobacoo advertisement, instead of the health problem involved? Japan Tobacco Inc. Together with the Ministry of Finance has announced the message that tobacco is one of the nonessential items for adults. At the same time they have published advertisements regaqrding smoking manners have consideration towards other people and environment when smoking.
著者
栗林 健太郎 山崎 進 力武 健次 丹 康雄
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2021-SE-207, no.32, pp.1-8, 2021-02-22

IoT デバイスは多様な用途において増え続け,2030 年にはその数が 1250 億に達すると見込む調査報告がある.増え続ける多様な需要を満たすためには,IoT デバイスの開発効率の向上が必要であり,そのための開発プラットフォームが多数現れている.IoT デバイス内アプリケーションの開発において,開発者によるコードの変更を適用することで生じる動作の変更が意図した通りであるかどうかを確認するためには,変更内容をターゲットとなるデバイスへ適用し実際に動作させる必要がある.既存方式では,更新内容の生成および適用に加えて,デバイスの再起動に時間を要するため,迅速な開発サイクルの実現が困難である.本研究では,先行研究に基づきコードの変更をデバイスへ適用する方式について(1)ファームウェアイメージの全体を適用する方式,(2)ファームウェアイメージの差分を適用する方式,(3)アプリケーションコードを動的に適用する方式の 3 つに分類した.その上で,開発効率の向上を目的として(3)を動的な性質を持つ言語によって実装し得る方式として位置づけ直して提案するとともに実装し,各方式について更新に要する時間を比較検討した.その結果,提案方式は既存方式に比べて更新に要する時間が 95% 短くなった.
著者
コット ミッシェル 小林 一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.363-374, 1995-06-09 (Released:2010-09-28)
参考文献数
44

フランスの産業革命は1820年代に始まったとされる。本論文は、マルク・スガンのフランスにおける技術革新と技術移転についてまとめたものである。この時期の彼の功績の主なものは、1. 鉄線によるケーブルの発明、2.水中コンクリート及び鉄筋コンクリートの先駆的な使用、3. 円筒ボイラーの使用、4.フランスにおける最初の貨車及び機関車の製作等である。本論文では、これらについて詳述し、これまであまり評価されることのなかった土木人としてのスガンの全体像と土木史上の功績についてまとめる。なお、本研究は新しい試みとして、フランスの科学史研究者と日本の土木構造の研究者とのマルク・スガン及びフランス吊橋史に関する一連の共同研究の序論として位置づけられるものである。
著者
諸 和樹 皆川 昌広 高野 可赴 滝沢 一泰 三浦 宏平 永橋 昌幸 坂田 純 小林 隆 小杉 伸一 若井 俊文
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 = 新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.129, no.7, pp.401-407, 2015-07

症例は35歳男性. 検診腹部エコーで脾門部に2cm大の腫瘤を指摘された. 2年後検診で腫瘤の増大傾向を認め, 腹部造影CT検査で膵尾部に44mm大の多房性分葉状腫瘤を認めた. 血算・生化学・凝固系, 腫瘍マーカー, 各種ホルモン値は正常範囲内であった. SPIO造影MRIを施行したが, 腫瘍より尾側におけるT2強調画像信号低下を確認したのみで, 確定診断を下すことができなかった. 腹腔鏡下膵尾部切除を施行し, 術後病理診断で膵内副脾に生じた類上皮嚢胞と診断された. 診断に苦渋した1例を報告する.
著者
庄司 昭伸 井上 明子 谷 幸子 木下 香里 武林 亮子 西田 則彦 柏谷 久美 不破 順清 山田 英幸 野村 正和
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.481-491, 1999 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

セリシンを定着させたブラジャーを用いて, ブラジャーが接触する部分に皮疹がみられるアトピー性皮膚炎患者および接触皮膚炎患者計31例を対象に着用試験を実施した. 着用期間は1ヵ月とし, 担当医師が記入する調査表と, 1ヵ月着用後に患者が記入する着用アンケートの両方から観察結果を得た. その結果, 調査表より, 全般安全度については観察しえた20例全てが安全と判定された. 有用率は, 極めて有用5例 (24%), 有用8例 (38%), やや有用7例 (33%), 有用性なし1例 (5%), 好ましくない0例 (0%) であった. 着用アンケートより, ブラジャーが接触しない部分の皮膚症状に比べ, x2検定にてブラジャーが接触する部分のかゆみ (p<0.01), チクチク感 (p<0.05), ヒリヒリ感 (p<0.01) の改善率は有意に高かった. (皮膚, 41: 481-491, 1999)
著者
野田 宏 奈良林 直 吉田 智朗 中村 誠 桐本 順広
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.408-419, 2008 (Released:2012-03-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Failures on demand of a reactor core isolation cooling (RCIC) system in BWRs are the most frequent events of limiting conditions for operation during 1982-2006 in Japan, according to data gathered in Nuclear Information Archives (NUCIA). In this work, probabilities of failures of the RCIC system are analyzed by using the hierarchical Bayes method. The failures on demand of the RCIC system are classified into two groups; one is related to the demand at a periodical inspection test, which is performed almost every 13 months at the end of the periodical inspection of the nuclear power plant, and the other is related to the monthly surveillance test during plant operation. The hierarchical Bayes analysis shows the characteristics of probabilities of failures of each Japanese plant and also that probabilities of failures at the periodical inspection test are quite different from those at the surveillance test, comparing Japanese nuclear power plants with American ones. This paper provides a new approach to analyzing sparse failure data taken from nuclear power plants in Japan.
著者
佐藤 健司 小原 秀一 塚口 功 安井 浩一 中田 健 玉井 正彦 小林 芳夫 小塚 隆弘
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.239-244, 1977-03-01 (Released:2013-05-24)
参考文献数
16

正常な房室大血管関係をもつ両房室弁交叉症(criss-cross heart)の1例を報告する.心室中隔欠損,左肺動脈低形成,動脈管開存を合併していた.特徴ある心血管造影所見を呈し,右下側に形態学的左室,左上側に形態学的右室があり,心室中隔は上下の心室間にほぼ水平方向の陰影欠損として認められ,大動脈は右前方に,肺動脈は左後方に位置し,見かけ上は{S,L,D}であるが心房心室関係および心室大血管関係はいずれも正常で,両房室弁を流れる血流が交叉する両房室弁交叉症となっていた.形態発生学的にbulboventricular loopが心臓長軸を中心にして心基部に向って時計方向に,さらに心臓前後軸の回りに後方からみて時計方向に異常回転した結果と考えられ,Andersonの命名法によれぽ,Solitusconcordant(l-rotated)-normalと表現できる.
著者
小倉 剛久 平田 絢子 林 則秀 久次米 吏江 伊東 秀樹 武中 さや佳 水品 研之介 中橋 澄江 山下 奈多子 今村 宗嗣 亀田 秀人
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.374b, 2014 (Released:2014-10-07)

【背景】全身性エリテマトーデス(SLE)において,発症・再燃と季節の関係が認められるとすれば,臨床上重要な知見であるばかりでなく,病因・病態の解明にもつながるものと考えられる.【目的】SLEにおける発症・再燃と季節の関連性について明らかする.【対象・方法】ACR分類基準を満たすSLE患者122例(男性14例,女性108例)を対象に,診療録より発症・再燃月を調査した.再燃は疾患活動性の新たな出現,もしくは悪化を認め,3ヶ月以内にステロイド薬の新たな開始もしくは50%以上の増量および免疫抑制剤の変更,開始を行った場合とした.【結果】発症は秋に少ない傾向があった.再燃は春に多く,秋に少なかった.また複数回再燃した症例では,再燃時期が近似した.春の再燃では紅斑が多かった.【結論】SLEの発症,再燃は季節に関連性が認められ,春期に多かった.
著者
竹原 卓真 栗林 克匡
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.123, 2007

日常生活では、高頻度で電子メールが送受信されている。電子メールには、顔文字や絵文字など、エモティコンと呼ばれるオブジェクトがしばしば付加されるが、本研究では、それらエモティコンを付加した場合に、電子メールの感情情報がどのように認識されるのかを検証した。その結果、喜び感情については先行研究と同様に、顔文字を付加しない条件よりも、付加した条件のほうが喜び感情の認知が促進された。また、悲しみ、怒り、恐怖、嫌悪の4つのネガティブ感情を表現する電子メールに、対応する顔文字を付加しても、当該感情の認知が促進されることはなかった。中性感情と位置付けられる驚きについては、喜び感情とほぼ同様の結果が示された。他方、感情表出している静止した絵文字を付加した場合、顔文字よりも視覚的情報量が多いため、当初は感情認知が促進されると推測したが、結果的に感情認知が促進される感情と、促進されない感情が存在した。
著者
小林 富雄
出版者
日本フードシステム学会
雑誌
フードシステム研究 (ISSN:13410296)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.112-123, 2020 (Released:2021-02-06)
参考文献数
16

In this paper, the analysis was conducted on the premise that “Resilience” is a concept to realize “Sustainability” of food systems, which is implemented by minimizing out-of-stock items and food loss and waste by stable and advanced demand forecasting even under difficult circumstances. As the data, the number of customers purchased and the correction rate of the demand forecast during the self-restraint period of the high-low pricing notice of food supermarkets, which is a COVID-19 measure, were used.As a result of the analysis, there was a suggestion that the number of customers was leveled, but no change was found in the accuracy of demand forecast. However, the self-restraint of the High-Low Pricing announcement may have contributed to leveling the number of customers and stabilizing the demand forecast accuracy even during the COVID-19 countermeasure period. Therefore, the resilience of food supermarkets analyzed in this study can be evaluated as high. Keywords: food loss and waste, sustainability, resilience, COVID-19, SDGs, super market