著者
一瀬 茂弘 相良 和伸 石川 幸雄 小林 利文 深谷 [ゲン]三郎 河上 郁哉
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.100, pp.27-37, 2005-07-05
被引用文献数
3

室内環境を良好に保つために,ビル管法をはじめ各法規に室内環境基準が定められている。しかし冬期において実施される室内環境調査では,相対湿度の基準を満たすことができない建物が非常に多く見られるので,原因を究明し対策を講ずることは急務である。本研究では,冬期における事務室内の湿度環境の改善を念頭に中部地方の事務所ビル69箇所を対象に調査を行い,相対湿度低下の要因分析を行った。また,既往加湿器と比較して加湿効率が良い産業用加湿器である二流体ノズルを空調用加湿器として開発し,事務所ビルに導入することによって,大幅な湿度環境の改善が確認できた。
著者
福島 信純 永田 裕一 小林 重信 小野 功
出版者
進化計算学会
雑誌
進化計算学会論文誌 (ISSN:21857385)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.57-73, 2013 (Released:2013-09-11)
参考文献数
19

The natural evolution strategies (NESs) is a family of iterative methods for black-box function optimization. Instead of directly minimizing an objective function, NESs minimizes the expectation of the objective function value over an arbitrary parametric probability distribution. In each iteration, NESs updates parameters of the distribution by using an estimated natural gradient of the expectation of the objective function value. Exponential NES (xNES) is an effective method of NESs that uses the multivariate normal distribution as the probability distribution. Since the shape of a normal distribution can take the form of a rotated ellipse in the solution space, xNES shows relatively good performance for ill-conditioned and non-separable objective functions. However, we believe that xNES has two problems that cause performance degradation. The first problem is that the spread of normal distribution tends to shrink excessively even if the distribution does not cover a (local) optimal point. This will cause premature convergence. The second problem is that the learning rates for the parameters of distribution are not appropriate. The learning rates depend only on the dimension of objective function although they should be designed depending on all the factors that influence the precision of natural gradient estimation. Moreover, they are set to small values for preventing the premature convergence and these results in too slow convergence speed even if the distribution covers the optimal point. In order to remedy the problems of xNES, we propose a new method of NESs named the distance-weighted exponential natural evolution strategy (DX-NES). On several benchmark functions, we confirmed that DX-NES outperforms xNES and that DX-NES shows better performance than CMA-ES on the almost all functions.
著者
中本 敦 木田 浩司 森光 亮太 小林 秀司 岸本 壽男
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.107-115, 2013-06-30

岡山県全域を対象とした小型哺乳類の捕獲調査を2010年10月~2011年12月にかけて実施した.齧歯目6種,トガリネズミ型目2種の計130個体が捕獲された.小型哺乳類の8種すべてで生息密度が非常に低かった.アカネズミ<i>Apodemus speciosus</i>の捕獲数が最も多く,捕獲場所も県内全域の様々な環境に及んだ.これに対してアカネズミ以外の種では,植生や標高などの生息環境に選択性が見られた.アカネズミの生息密度に最も大きな影響を与えたのはハビタットタイプではなく,年2回の繁殖による個体数の増加であった.岡山県では何らかの理由で小型哺乳類の生息密度が非常に低くなっていると思われるが,特にこれまで普通種と思われていたヒメネズミ<i>A. argenteus</i>とハタネズミ<i>Microtus montebelli</i>の生息数の減少が懸念された.他県においても普通種を含めた小型哺乳類の生息密度の再評価が必要な時期に来ていると思われる.<br>
著者
松本 慶蔵 鈴木 寛 野口 行雄 玉置 公俊 宇塚 良夫 宍戸 春美 井手 政利 永武 毅 土橋 賢治 田口 幹雄 渡辺 貴和雄 林 雅人 木村 久男
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.321-333, 1979

従来のセファロスポリン系抗生物質より抗菌力の拡大と増強がなされたとされるCefamandole sodiumにつき基礎的・臨床的研究を行なった。呼吸器感染症の病原菌に対するMICのピーク値は, 肺炎球菌0.1μg/ml, 大腸菌0.78μg/ml, 肺炎桿菌0.78μg/ml, インフルエンザ菌0.39μg/mlで, 本剤の抗菌力の特徴はインフルエンザ菌に対する抗菌力が, CEZ, CEXよりも極めて優れ, アンピシリンに匹敵することである。ボランチアにおける本剤2gの点滴静注時血中ピーク値は57±19.16μg/ml, 血中半減期は37±1.73分, 尿中回収率は投与開始後5時間までに52.8±10.48%で, さらに連続投与による蓄積性もみられなかった。臨床的検討は呼吸器感染症16例, 尿路感染症3例, 細菌性心内膜炎2例, 敗血症1例, 肝膿瘍1例, 不明熱1例の計24例について行なった。呼吸器感染症に対する本剤の主たる投与量は慢性気管支炎1g×2・DI/日, 肺炎1~2g×2・DI/日で, 呼吸器感染症全体に対する有効率は75%であった。本剤が優れた抗菌力を示すインフルエンザ菌性呼吸器感染症4例中, 本剤の抗菌力と解離した臨床効果を呈した症例は嚢胞状気管支拡張症の1例だけであった。副作用は対象24例中1例のみにGOT, GPTの軽度上昇を認めたにすぎなかった。<BR>抗菌力および臨床的検討成績からみると, 本剤はインフルエンザ菌性呼吸器感染症をはじめとした感染症に極めて有用であると結論することができる。
著者
西田 孝太郎 小林 昭 永浜 伴紀
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.151-168, 1955-11-30

I-1.日本産ソテツCycas revoluta THUNB.の種子より, 著者がさきに予想した有毒配糖体を純粋に単離した.このものはC_8H_<16>O_7N_2なる無色針状結晶の一新配糖体であることを証明して, cycasinと命名した.cycasinの単離にはその結晶化を妨げる共存不純物, 殊に糖類を, イオン交換樹脂及び活性炭chromatographyによつて分別除去する方法を採つた.I-2.cycasinの単離に際し, cycasinとの分離困難なsucroseを除くため, 抽出液に酵母invertaseを作用せしめ, 活性炭chromatographyを効果的に且つ容易に行い, その収量を原法に比して倍加せしめることができた.II.cycasinの構造を決定するため濠洲産ソテツのmacrozaminについての報告と比較検討した結果, 酸, アルカリ乃至は還元剤によるcycasinのaglyconeの分解生産物及び, cycasinの紫外部及び赤外部吸収スペクトルにおける吸収極大が, macrozaminのそれらと一致することを明らかにした.しかるにcycasinの糖成分として証明しうるのはglucose 1分子のみで, xyloseは存在しない.すなわちcycasinの構造はglucosyloxyazoxymethaneでなければならないと結論される.III.ソテツ種子から調製したemulsinによるcycasinの分解を, 酵素反応の条件を種々異にする場合について検討した.最終分解産物としてcycasin 1 mol.につき, N_2 gas, formaldehyde, methanol及びglucoseがそれぞれ約1 mol.ずつ得られ, 酸による加水分解の結果と一致した.N_2 gasの測定にはWARBURG manometerを用いた.cycasinのaglyconeは酵素によつてglucoseから切離される場合にも不安定で, 上記低分子化合物に分解するものと結論される.
著者
松林 嘉克
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2013-05-31

植物成長を制御する新しい細胞間シグナルとして,翻訳後修飾を伴った短鎖分泌型ペプチドに注目が集まっている.本研究は,翻訳後修飾ペプチドホルモンのさらなる探索や,既知因子の受容および細胞内情報伝達機構の解明を基軸としながら,翻訳後修飾のメカニズム,細胞外での分子動態などを解析し,翻訳後修飾ペプチドホルモンを介した植物形態形成や環境応答の分子機構を明らかにすることを目的としている.今年度は,ゲノム情報に基づいたペプチドホルモン候補のスクリーニングとLC-MSによる成熟型構造解析,そして受容体キナーゼ発現ライブラリーを用いた受容体探索により,植物の根の拡散障壁であるカスパリー線の形成に必要なペプチドホルモンの同定に成功した(Science 2017).Casparian strip Integrity Factor(CIF)と命名した21アミノ酸のチロシン硫酸化ペプチドは,根の中心柱で発現し,内皮細胞で発現する受容体GSO1/SGN3に特異的に結合する.これらを欠損する植物は,根のカスパリー線に穴があき,濃度勾配依存的に外界からイオンが道管に流入または道管から流出するため,至適栄養条件以外では成長が阻害されることが明らかとなった.また,以前に発見した全身的な窒素要求シグナリングに関わるペプチドホルモンCEPの下流で働く新しい長距離移行シグナルの同定に成功した.CEPは窒素欠乏時に根で誘導され,道管を通って葉の師部側にある受容体CEPR1に認識されるが,その下流で師管内を根へ移行するポリペプチドCEPD1およびCEPD2を見出した(Nature Plants 2017).根に移行したCEPDは,硝酸取り込み輸送体であるNRT2.1の発現を上昇させる.この発見により,片側の根が窒素欠乏になった時,もう片側の根で相補的に窒素取り込みが促進される現象の基本的なメカニズムが明らかとなった.
著者
木戸 秀明 久保 佳史 井上 理 林 一孝 成田 祐士 内田 武 渡辺 正弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.79-91, 1993

イヌ急性心筋梗塞モデルを用いて,血栓溶解薬ナサルプラーゼ(plasminogen pro-activator)を静脈内に持続投与し,血栓溶解作用ならびに血栓溶解後急性期および慢性期の心機能の変化を検討した.冠動脈の閉塞により,循環動態においては心拍出量の減少,体血管抵抗および左心室拡張終期圧(LVEDP)の上昇が認められ,また左心室造影による解析の結果,左心室駆出率および左心室局所壁運動の低下等の心機能の低下がみられた.このモデルに,冠動脈閉塞30分後よりナサルプラーゼを8単位/kg/分の用量で静脈内投与した結果,78.6%(11/14)に再開通を認め,投与開始から再開通までの時間は平均37.4分であった.再開通時における血漿中フィブリノゲン量は薬物投与前と比較してほとんど変化しなかった.なお,再開通5~10分後より徐々に不整脈が出現した.再開通直後は左心室収縮機能がやや改善する傾向を示したものの,心機能全体としては改善をみなかった.しかしながら,1週間後にはナサルプラーゼによる再開通群で心機能,とりわけ収縮機能の回復がみられ,心臓に対する負荷が軽減されたのに対し,対照群(薬物非投与群)では回復を認めなかった.対照群では冠動脈の持続的な閉塞によって心臓が肥大し,左心室前壁から心尖部にかけて広範な心筋壊死が観察されたが,再開通群では梗塞サイズが対照群に比して有意に小さく,心肥大の進展が抑制された.以上のことから,イヌを用いた急性心筋梗塞モデルにおいて,ナサルプラーゼの静脈内投与による再潅流療法は有用であると示唆された.
著者
横山 博 井上 大輔 熊丸 敦郎 若林 久嗣
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.211-217, 1997-12-15
被引用文献数
2 13

コイ稚魚の鰓ミクソボルス症において宿主に対する害作用が異なる大小2型シストの発生状況, 組織観察, 胞子の形態学的, 血清学的比較を行った。大シストの発生率は7月が最高で約25%であったのに対し, 小シストは8月がピークでほぼ100%に達した。両者は魚への侵入時期や鰓での発育部位において顕著な差異がみられたものの, 胞子の形態学的, 計測学的比較, および間接蛍光抗体法を用いた血清学的比較により, Myxobolus koi Kudo, 1920と同一種であることが示された。
著者
小林 あづみ
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.63-74, 2001-03-31

亭子院歌合とは,延喜一三年(九一三)三月一三日に宇多法皇によって催された,史上初の内容の整った晴儀歌合として注目される。主催者宇多法皇は,一旦源姓を賜った後に即位した異例の天皇であり,その後菅原道真等を重用し「寛平の治」と呼ばれる親政を行った人物である。譲位の後には仁和寺で出家し,初の法皇となるが,仏道修行とともに,朱雀院・亭子院・六条院・宇多院といった諸院にも住し,多くの風流行事を催した。本歌合はそのうちの一つであり,宇多退位後のもっとも大がかりな風流行事として知られている。本歌合については萩谷朴氏の「平安朝歌合大成 増補新訂 一」(平成七同朋舎出版)に詳細な本文研究がある他,峯岸義秋氏の「歌合の研究」(三省堂 昭和二九)をはじめとする歌合全体の研究のなかで,その行事次第・役柄,あるいは後世の歌合にない和気藹々とした雰囲気についてコメントされていることが多い。もちろん本歌合はそれだけではなく,歌合日記の存在・多様な参加者・服飾や装飾品・「古今集」以下多くの和歌集に入集したレヴェルの高い和歌表現など様々な角度からの考察が可能である。
著者
横山 博 檀上 智則 小川 和夫 有馬 多恵子 若林 久嗣
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.19-23, 1996-03-15
被引用文献数
5 20

コイの筋肉繊維間にシスト形成する粘液胞子虫 Myxobolus artus について, 0才稚魚池における寄生状況と病魚からの胞子排出を定期的に調べた. 寄生率は9月に10%に達し, 以後約10ヶ月間続く胞子排出の過程で慢性的斃死がみられた. 瀕死魚は幼若赤血球の増加を特徴とする貧血症を呈した. 鰓薄板毛細血管内が貪食細胞により輸送された胞子で充満し, 毛細管の拡張や崩壊および鰓薄板上皮の剥離がみられ, 鰓からの出血が示唆された.
著者
瀬木 俊輔 小林 潔司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_353-I_371, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
39

本研究は,マクロな社会資本投資政策の便益の世代別帰着分布を評価可能な動学的応用一般均衡(DCGE)モデルを構築した.その上で,構築したモデルを我が国に適用し,社会資本投資政策と長寿命化政策について分析を行い以下のような知見を得た.社会資本投資には,その水準を増やすと将来世代の厚生が増加する一方で現在世代の厚生が減少するという世代間厚生のトレードオフの問題が生じる.起債による世代間所得移転はこの問題を効率的に緩和できるが,これは公債残高を一時的に増加させる.長寿命化政策は,現在世代を含む幅広い世代に対して便益をもたらし,損失を受ける世代への補償は現在世代の中だけで行うことが可能である.
著者
小林 弘
出版者
英米文化学会
雑誌
英米文化 (ISSN:09173536)
巻号頁・発行日
no.37, pp.43-59, 2007-03-31

In his The Elements of Law, De Cive, and Leviathan, Thomas Hobbes says that the English common lawyers in the seventeenth century confused lex with jus, law with right. He emphasizes that "Right, consisteth in liberty to do, or to forbear; whereas Law, determinth, and bindeth to one of them." (Leviathan,117) In brief, he regards right as liberty, or the absence of obligation and law as restraint, or the imposition of obligation. And he insists on a sharp distinction between right and law, and that right is priority of law. Hobbes's distinction between right and law is criticized by many commentators. For example, Richard Peters criticizes the word right Hobbes says for "a strange use." On the other hand, Leo Strauss admits the comment that Hobbes subordinates law to right. And Richard Tuck follows Strauss. Which comments are true? This is one of my subjects, though it is very difficult to solve. I dealt with this subject by Hobbes's method and his linguistic theory in De Corpore. And I reached the conclusion that the comment of Strauss is more proper than that of R. Peters.
著者
永瀬 和彦 中村 英男 小林 秀之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.56, no.523, pp.797-802, 1990-03-25
被引用文献数
1

The authors constructed "slipping adhesion test bogie" designed upon a new idea of measuring the coefficient of adhesion continually while running, and have observed the state of adhesion on main lines since 1985. Recently, they placed a car equipped with this bogie on a steep line where wheel-spin and skidding of rolling stock had been frequently the cause of troubles. As the result of runs of the car under various weather conditions such as fine, fog, snow, sleet and frost, influence of the weather condition upon the adhesion between rails and wheels has been made clear and evaluated quantitatively.
著者
堀井 洋 沢田 史子 林 正治
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1172-1177, 2012-10-15

これまで古文書や掛図などの歴史資料は,大学や博物館など学術機関で取り扱われる研究対象であり,収集・保存・展示されることが一般的な学術資料として認知されてきた.「難しい」「難解な」「取っ付き難い」と世間一般に捉えられていたそれら歴史資料を活用して,遍プロジェクトでは歴史観光情報コンテンツの作成および実証実験を実施している.本報告では,石川・金沢地域の歴史資料「梅田日記」を基にした「梅田日記ぶろぐ」およびスマートフォン歴史観光ガイドアプリを事例として,情報技術による歴史資料の新たな活用ついて紹介する.
著者
中川武夫 飯田弘之 若林宏明
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.15-16, 2013-03-06

著者ら(Iida et al. Game Information Dynamic Models based on Fluid Mechanics. Entertainment & Computing(2012) 3, 89-99 2012)により提案されたゲーム情報力学モデルを用いて将棋のプロ棋士とコンピューター(激指、習甦など)の試合経過を解析したものである。 解析結果はAdvantage,Winning Rate, そしてCertainty of Game Outcomeから成り立っており、これらの値が、それぞれの試合の時間経過に伴ってどのように変化するかが明らかにされた。 本研究を通して得られた新たな知見を要約すると以下のようになる。1.打ち合いの接戦になると、コンピューターが有利である。2.コンピューターは投了の時期を判断することが、現段階においてはできない。3.コンピューターに人間が勝ためには、人間と対局するのとは異なる戦略・戦術が求められる。 たとえば、眩惑、空かす、フェイントなど。4.人間vs.コンピューター戦を公正性と公平性が良く保たれ、かつエンタテイメント性豊か なものとするためには、適切なルールの制定が不可欠である。
著者
小林 聖 風間 宏志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信
巻号頁・発行日
vol.98, no.114, pp.19-24, 1998-06-18

本論文はランダムアクセス衛星通信用スペクトル拡散復調回路を提案している.提案する構成は, ディジタルマッチトフィルタ出力の包絡線検出前および後に巡回積分器を設け, これらに適切な時定数を配分することにより周波数誤差による劣化を抑え低い拡散符号誤検出率を達成する.シミュレーションおよび実験により提案方式を評価した結果、Eb/No=-1dBにおける拡散符号誤検出率は10^<-10>以下であることを示した(検出区間50シンボル).さらにランダムアクセス信号の周波数誤差を抑えるため, サプライリンク信号を端末および中央地球局で周波数基準に用いる新たな周波数同期方式を提案している.提案方式は周波数誤差を大きく低減することを理論的に示した.