著者
森 大輔
出版者
熊本大学
雑誌
熊本法学 = Kumamoto law review (ISSN:04528204)
巻号頁・発行日
no.141, pp.388-348, 2017-12

前回の森(2017)で取り上げたQCAの分析では、各変数は0か1のみだった。QCAでは各変数は集合を表し、1が集合への帰属、0が非帰属を表す。しかし、0と1の2つのみに分けるのではなく、もっと微妙な差異も表現したい場合があるかもしれない。そのような場合に、通常の集合(クリスプ集合crisp set)を拡張したファジィ集合(fuzzy set)を利用する。今回は、このファジィ集合を用いたQCA(ファジィ集合QCA)の、fs/QCAと、RのQCAパッケージ(およびSetMethodsパッケージ、vennパッケージ)での行い方を主に扱う。
著者
鈴木 亮子 遠藤 智子 中山 俊秀 横森 大輔 土屋 智行 柴崎 礼士郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-07-18

「言語の定型性」という、従来の言語研究では殆ど顧みられてこなかった側面が、実際の言語使用では広汎に見られることが近年指摘されてきている。定型性の理解に向けて、実際の人々の言語使用を記録したデータをもとに観察・分析・記述を蓄積しつつ、言語の定型性を中軸に据えた文法理論の構築を試みることが、私たちのもつ言語知識の全体像の理解に不可欠であると考え、本研究では日中英3言語の会話をはじめとするデータの分析に取り組んでいる。定型性の分析に向けての情報収集を行った初年度に続き、2018年度はデータと向き合い個々のメンバーの専門性を生かした研究活動を進めることができた(業績参照)。2018年5月に年間活動予定を定め二通りのデータセッションを行った。まず同じ動画データ(大学生の会話)を見ながらメンバーそれぞれの定型性と言語使用に関する気付きを共有し合った後、個々のメンバーが日・中・英語のデータから短いセグメントを持ち寄り議論をした。定型性を分析する上でポイントになるリサーチクエスチョンのリストを作成した。これらが研究をまとめる際の糸口になる。9月には国際学会(Referentiality Workshop)などに複数のメンバーが研究発表を行い海外の学者との研究交流を深めた。2018年12月に海外研究協力者のHongyin Tao氏(UCLA)と大野剛氏(U of Alberta)を招聘し東京外国語大学で国際ワークショップを開催し、言語の定型性を中心に据えた理論化を見据えた発表を聞くことができた。2019年3月6日から7日にかけて九州大学で行った第3回目の会合ではこれまでの研究会合を振り返り今後の方向性を議論した。相互行為分析からは少し離れた立場の方々を招いて言語の定型性に関する議論を深める案などが出された。2020年3月には定型性研究の先鞭をつけたAlison Wray氏をイギリスから招いて国際ワークショップを開催する方向で動き出している。
著者
渡辺 宏久 Bagarinao E. 祖父江 元 伊藤 瑞規 前澤 聡 寳珠山 稔 森 大輔 田邊 宏樹
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、fMRIと脳波 (EEG) を組み合わせたEEG-fMRIを用い、fMRIの有する高い空間分解能を活かした解析に加え、脳波の有する高い時間分解能生を活かした解析を組み合わせて、ヒトの高次脳機能神経回路や精神症状をサブミリセカンドで観察出来るシステムを構築した。我々の解析方法を用いることで、作業記憶課題を用いた脳活動の観察では、認知課題中に1秒未満で連続的に変化する脳活動を観察可能であった。またてんかん活動を観察しつつ同定した焦点は、手術により確認したそれと良く一致していた。我々の開発した解析手法は、高い空間分解能で1秒未満の連続的な脳活動変化を捉えられる。
著者
アタロッド ペデラーム 青木 正敏 小森 大輔 石田 朋靖 福村 一成 ブーンヤワット サマーキー トンディノック ピヤホン 横家 将納 パンクンガム ソムニミトル パーコークトム ティワー
出版者
養賢堂
雑誌
農業氣象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.93-102, 2006-09-10
参考文献数
7
被引用文献数
3 20

対象地域の実蒸発散量(<i>AET</i>)を算定する一般的な方法として,Penman-Monteith法(PM)を用いて計算した基準蒸発散量(<i>ET<sub>0</sub></i>)に作物係数(<i>K<sub>c</sub></i>)を乗ずる方法が知られている。そこで本研究では,熱帯モンスーン気候であるタイ王国の主要な植生である天水田,キャッサバ畑,チーク林において,熱収支ボーエン比法による長期連続観測データを用い,<i>AET</i>から求めたKcと気象要素(日射,気温,風速,飽差,土壌水分量)の相関を検討し,簡便に<i>K<sub>c</sub></i>を推定できる経験式を開発した。<br>対象3サイトにおいて,<i>K<sub>c</sub></i>と上述した気象要素は非常に高い相関関係があったが,上述した気象要素より土壌水分量を除いた場合でも<i>K<sub>c</sub></i>と同様な高い相関関係が認められた。そこで本研究ではより簡便な推定式開発のため,土壌水分量を除いた四つの気象要素より<i>K<sub>c</sub></i>の経験式を導いた。また,全3サイトの統合データにおいても,<i>K<sub>c</sub></i>と気象要素には高い相関関係が認められた。この経験式より推定した蒸発散量を<i>AET</i>と比較した結果,日平均での標準誤差は0.72 mm/dayで,これは19%の誤差に相当した。この時間スケールを5日,10日,15日,20日とした場合,推定蒸発散量の誤差はそれぞれ15%,12%,11%,10%となった。この結果より,本研究で開発した推定式は10日以上の時間スケールで<i>AET</i>を推定することが可能であることが確認された。
著者
傳 康晴 小磯 花絵 森本 郁代 高梨 克也 横森 大輔 遠藤 智子 名塩 征史 黒嶋 智美 石本 祐一 居關 友里子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、(1)新たに構築する特定場面(教授・接客・公的場面)と日常場面を統合した会話コーパスを構築し、(2)これらの多様な場面の会話コーパスの相互利用により、会話行動を多角的・総合的に分析することで、日本人の会話行動に関する言語・相互行為研究に新展開をもたらすことてである。本年度は以下のことを行なった。・国立国語研究所で開発中の『日本語日常会話コーパス』の指針に基づき、収録・公開に関わる倫理的なガイドラインをとりまとめた。・このガイドラインに基づき、以下のような場面の会話データ計106時間を収録した(うち30時間程度は公開可能):教授場面(武道指導・音楽練習・ゼミなど)・接客場面(理容室・コンビニなど)・公的場面(共同制作・宗教儀礼など)・これら新規収録データおよび既有データを用いて以下のような言語・相互行為分析を行ない、国際会議や論文集で発表するとともに、年度末に成果発表のシンポジウムを開催した:参与構造・社会的役割・身体配置・意見形成・認識的スタンス・メタファー表現・視覚の相互行為的基盤・環境認知・以上を支える研究基盤として、研究用付加情報(談話行為・発話連鎖アノテーション)やコーパス共有環境を試行した。
著者
小林 義和 松尾 浩一郎 渡邉 理沙 藤井 航 金森 大輔 永田 千里 角 保徳 水谷 英樹
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.69-78, 2013-09-30 (Released:2013-10-18)
参考文献数
10
被引用文献数
3

近年,周術期口腔機能管理による全身合併症の予防効果が明らかになり,平成 24 年度から周術期口腔機能管理が保険診療報酬としても評価されるようになった。今回われわれは,周術期口腔機能管理(口腔管理)を行った患者における口腔内の特徴と,歯科的介入が肺炎予防に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,当院で平成 24 年の 1 年間に口腔管理を行った患者 196 名について後方視的に調査した。原疾患への治療法や実施した歯科処置の内容について調査し,依頼の 82% を占めた上部消化管外科,心臓血管外科・循環器内科,耳鼻咽喉科,血液内科の上位 4 科においては,診療科によって口腔内状況や歯科治療に差があるか統計的に分析した。また,上部消化管外科から口腔管理依頼のあった 35 例(口腔管理群)を対象に,口腔管理を行っていない上部消化管外科手術症例(非口腔管理群)129 名と比較して,術後肺炎発症に差があるか検討した。歯科処置に関しては,どの診療科の患者に対しても歯周処置が多く実施されていた一方で,抜歯,義歯への対応は,耳鼻科,心臓血管外科・循環器内科の患者で有意に高かった。上部消化管手術後の肺炎発症率は,非口腔管理群では 7.8%(10/129 例)であったが,口腔管理群では 5.7%(2/35 例)と統計学的に有意に低かった(p=0.04)。 以上の結果より,周術期口腔機能管理の対象者では,何らかの歯科的介入が必要であり,また,依頼元の診療科ごとに口腔内の問題や対応に特徴が現れることが示唆された。さらに,周術期口腔機能管理が全身合併症の予防に効果的であることが改めて示唆された。
著者
菅野 了次 田村 和久 平山 雅章 鈴木 耕太 小林 玄器 森 大輔
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

エネルギーデバイスへ応用可能な新しいイオニクス材料の開発を行った。古典的な材料探索に加え、理論科学、情報科学との連携により、材料探索の新しい指針を検討した。新しいイオン導電種であるヒドリド導電体を開発し、全固体型のデバイス用電解質としての応用可能性を見出すことができた。量子ビームを使ったナノ界面解析では、数nmスケールの電気化学界面構造とデバイス性能との相関と制御指針を見出すことができた。既知構造を利用した探索により、リチウムイオン、酸化物イオンが拡散する固体電解質を開発した。さらに、情報科学の手法を用いて新組成、新構造を有する材料探索にも着手し、その課題と展開可能性を提示することができた。
著者
森田 義則 竹森 大輔 福田 寛 山村 徹
出版者
石川工業高等専門学校
雑誌
石川工業高等専門学校紀要 (ISSN:02866110)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.27-31, 2007-03-30

In this study, we propose a method of the detection of a hand region in real time. Now, most people have the opportunity to easily utilize a computer. However, some skills are required to operate the devices that we call a mouse and keyboard, the interface between a human being and a computer. Therefore a direct, more natural manmachine interface is demanded. Gesture recognition is an effective technique in conveying a message from a person to a computer. Therefore, we used an image processing technique so that a computer recognized hand movement. And the recognized hand movement is connected directly with the operation of a computer. By using MATLAB we developed software for hand region detection, classification of hand movement and computer operation. And by using FPGA we developed hardware that took an image in with a camera in real time. Results show that fourteen in twenty-one video images are able to detect hand movement. However, it is necessary to test it in a condition of the colors of many skins and a condition of background colors except blue.