著者
金子 栄 各務 竹康 松尾 裕彰 直良 浩司 森田 栄伸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.1250-1257, 2014

【背景・目的】アトピー性皮膚炎は慢性・反復性経過をとる疾患であるために,継続した治療が必要である.併せて患者の生活に配慮した指導が重要である.これまでの医師及び患者に対しての調査からは「外用薬の塗り方の指導」が重要であることが判明した.今回,「外用薬の塗り方の指導」について重要な役割を担う薬剤師に指導についてのアンケート調査を行った.【方法】島根県および広島県の病院および調剤薬局にアンケートを配布し,勤務する薬剤師全員にアンケートを依頼した.アンケートは指定した項目ごとに指導しているものを選択する形式とし,自由記述欄も設けた.【結果】集まった548通(回収率13.8%)を解析した.皮膚科の処方箋を扱わない薬剤師も多く, 1日で取り扱う処方箋枚数の中央値は1枚であった.ステロイド外用薬で最も多く指導している項目は,「塗布部位」(86%)でついで「回数とタイミング」(68%)であった.「副作用が出ないように少量塗布を指導」も45%の人が選択していた.タクロリムス軟膏については副作用の「ヒリヒリ感の説明」が最も多く(52%),ステロイド外用薬と保湿剤にくらべ,「パンフレットにて指導」(27.3%)が多くみられた.「実際に塗って塗り方を指導」は,どの外用薬でも少なかった.自由記述欄での医師への要望は用法用量の確実な記載と外用量指示が多く,失敗談の欄では自身の指導不足や副作用を説明することにより患者が外用しなかったことが挙げられていた.【結語】今回のアンケート調査により,薬剤師は外用薬の用法用量の指導を最も重視していることが明らかとなった.クロス集計からは,アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを知っている薬剤師が有意に様々な指導を行っていることが判明し,まずは薬剤師へのガイドラインの普及が重要と考えられた.
著者
森田 裕一 酒井 慎一 中川 茂樹 笠原 敬司 平田 直 鏡 弘道 加藤 拓弥 佐藤 峰司
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
地震研究所彙報 (ISSN:00408992)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.89-105, 2009

The Autonomous Cooperative data Transfer Protocol (ACT protocol) is one of the data transfer protocols based on UDP/IP developed for the Metropolitan Seismic Observation network (MeSO-net). It has a robust re-send function to prevent data from being lost in the Internet route. Moreover, it also has a function to adjust the data transmission rate considering the quality of the Internet route and the load on the data-receiving system. If the Internet route is too busy to send all data, the transmission rate from the observation station is decreased automatically to ease the Internet traffic jam, and data that cannot be sent because of the limitation on the transmission rate are stored at each station. After conditions recover, the stored data are sent automatically at an increasing transmission rate and gradually catch up with real-time data. The transmission rate is decided by data transmission equipment at the station using pre-loaded algorithms, not at the data center. Therefore, the load at data center equipment is not so high even if the equipment receives data from hundreds of stations. We describe an overview of the ACT protocol, flow charts, and data format used in the protocol. We also demonstrate that the ACT protocol is very powerful for the vast size of the seismograph network composed of several hundred stations. The ACT protocol is generally applicable and can be used for data transmission systems in other scientific fields.
著者
ペルジーニ ジュゼッピーナ 森田 義之 大竹 秀実 西村 明子 池田 奈緒
出版者
愛知県立芸術大学
雑誌
愛知県立芸術大学紀要 (ISSN:03898369)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.A15-A26, 2006-03-31

Generalmente s'intende per restauro qualsiasi intervento volto a rimettere in efficienza un prodotto dell'attivita umana, e il restauro relativo ad un'opera d'arte include i problemi assai piu delicati e complicati, perche un'opera d'arte e la materia ed, allo stesso tempo, e l'essere storico-artistico. Un'opera d'arte presenta un'istanza estetica ed un'istanza storica, pertanto si puo definire il restauro come ≪il momento metodologico del riconoscimento dell'opera d'arte nella sua consistenza fisica nella sua duplice polarita storica ed estetica in vista della sua trasmissione al futuro≫. Questa definizione e stata data da Cesare Brandi nel suo libro intitolato Teoria del restauro (1963), che e ancora oggi indispensabile per chiunque voglia interessarsi ai problemi del restauro. In questo capitolo si analizzera, in primo luogo, la ≪Teoria≫ del Brandi, cioe i principi fondamentali del restauro e poi i piu recenti sviluppi della teoria e della pratica del restauro che sono strettamente legati ai mutamenti economici, sociali e culturali negli ultimi venti anni.
著者
森田 学 西川 真理子 石川 昭 木村 年秀 渡邊 達夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.158-163, 1997-04-30
被引用文献数
8

つまようじ法とフロッシングを併用したバス法の2種類の刷掃法について,歯肉炎に対するマッサージ効果を比較した。実験的歯肉炎を有する24名の男子学生を対象とした。各被験者の上下顎を左右に2分割した。それぞれランダムに,一方をつまようじ法で刷掃する部位,残りの2分の1顎をバス法で磨き,かつデンタルフロスで清掃する部位とした。以降,歯科医師が毎日1回,21日間,染色された歯垢が完全に取り除かれるまで,被験者の口腔内を清掃した。刷掃方法の割付を知らされていない歯科医師が,歯周ポケットの深さ(PD)とプロービング時の出血(BOP)を診査した。また,上顎第1小臼歯の頬側近心歯間乳頭と頬側中央部の遊離歯肉の上皮の角化程度を,パパニコロ染色法により判定した。その結果, 1. 21日後には,つまようじ法で刷掃した部位のBOP値が,バス法とデンタルフロスで清掃した部位の値よりも有意に低かった。2. つまようじ法で刷掃した歯間乳頭部のみ,ベースラインと比較して,21日後には角化細胞数の割合が有意に増加した。3. 歯垢が完全に除去されるまでに要した時間では,つまようじ法の場合は,バス法とデンタルフロスを併用した場合の約70%であった。以上の結果から,つまようじ法はデンタルフロスを併用したバス法と比較して,短時間で,より有効なマッサージ効果を得られる可能性が示唆された。
著者
森田茂彦 松崎公紀
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2014-GI-31, no.14, pp.1-5, 2014-03-10

チェスや将棋などにおいて,プレイヤの強さを数値として表すレーティングシステムが広く用いられている.レーティングアルゴリズムとして良く知られるイロレーティングでは,プレイヤ間のレート差と勝敗によってレートの増減が計算される.特に,弱いプレイヤが強いプレイヤに勝つと,レートの増分が大きくなる.本研究では,大貧民を対象としたレーティングアルゴリズムを提案する.大貧民では,プレイヤの強さに加えて,初期手札の良さが勝敗に大きく影響する.そのため,初期手札の良し悪しに差がある場合,従来のレーティングアルゴリズムを用いるとレートの増減が過剰であったり不足することが起こりうる.この問題を解決するため,初期手札の不均等性を考慮に入れたレーティングアルゴリズムを提案し,そのアルゴリズムについて評価を行う.
著者
森田 敏
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.391-399, 2000-09-05
被引用文献数
15

ポット栽培水稲を用いて人工気象室による温度処理実験を行い, 中国地方平坦部の福山市のおける平均的な8月の気温が登熟に及ぼす影響を解析した.人工気象室で登熟期に福山平年区(32°C/23°C;最高/最低気温), 低温区(28°C/19°C)および高温区(35°C/26°C)の3区を設けた.玄米1粒重と良質粒歩合は低温区に比べて福山平年区で有意に低下し, 高温区ではさらに低下した.高温による玄米1粒重の低下は粒厚の減少を伴った.また, 高温による玄米1粒重の低下は全ての節位の1次枝梗で生じた.福山平年区では低温区より発育停止籾歩合が高く, 高温区では不稔歩合が著しく高かった.高温による玄米1粒重の低下程度には品種間差異が認められ, 高温区の粒重が低温区のそれより10%以上低下した品種は, 森田早生, 大粒のジャワ型品種のArborio, 極穂重型で登熟不良となりやすい日本型品種アケノホシなどであった.高温区での粒重低下程度が5%未満であった品種は, 環境による品質の振れが小さいと言われるコガネマサリ, 小粒のジャワ型品種のLakhi Jhota, アケノホシと兄弟であり極穂重型で登熟が良いインド型品種のホシユタカであった.
著者
森田 明弘
出版者
分子科学会
雑誌
Molecular Science (ISSN:18818404)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.A0070, 2014 (Released:2014-09-04)
参考文献数
34

Liquid interfaces play ubiquitous roles in many fields of chemistry and related sciences, though molecular-level understandings of liquid interfacial phenomena are still far from complete. Main obstacles for the further advances are (i) scarcity of experimental probe techniques with sufficient surface sensitivity and selectivity and (ii) lack of reliable analysis methods of the experimental observables about liquid interfaces. In the present review we summarize our recent efforts to overcome the above difficulties, by combination of vibrational sum frequency generation spectroscopy and molecular simulation. Close collaboration of these methods has shed light on clear understanding of the liquid interfaces.
著者
横田 欣児 藤瀬 茂 豊村 研吾 東 斉彰 盛岡 佳代 大村 直子 森田 圭祐 西間 三馨
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.533-539, 1999-10-01
被引用文献数
2

慢性じん麻疹に心身症の一般心理療法の加えて解決志向型ブリーフセラピーを行い, 有効であった. 慢性じん麻疹患者9名(男性2名, 女性7名, 年齢42±12歳, 罹病期間中央値6カ月)に対して, 一般心療に続いて, 心理的ストレスの質問, あるいはmiracle question(眠っている間に今困っていることが解決したら, 明日の朝どうなっているか?)をきっかけに心理社会的な面に話題を展開した. そして患者の苦労をねぎらいながら, 生活の積極面や患者のもつ解決能力を引き出す方向で対話して診療を続けた. その結果, 治療により患者の陰性感情が陽性感情に変化するにつれ症状が改善し, 有効以上が78%あった.
著者
森田 光宏
出版者
全国英語教育学会
雑誌
ARELE : annual review of English language education in Japan (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-10, 2010-03

The purpose of the present study is to investigate how Japanese learners of English store and process derived words in their mental lexicon. L1 research in word recognition has given rise to three hypotheses. The affix stripping hypothesis claims that derived words are accessed by their component morphemes, while the full listing hypothesis claims that they are accessed as full forms. Hybrid hypotheses such as the Meta Model claim that the lexical properties of suffixes determine how derived words are processed. Our data show that Japanese learners of English with larger vocabulary sizes tend to decompose highly productive, semantically and phonologically transparent Level 2 suffixes, but not less productive, semantically and phonologically opaque Level 1 suffixes. On the other hand, the learners with smaller vocabulary sizes tend to process both kinds of suffixes by the Decompose Route. It is argued that the learners may have not acquired the meanings and phonology of the derived words with the less semantically and phonologically transparent suffixes. These results support hybrid hypotheses, even for L2 learners.
著者
森田 克貞
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.115, no.4, pp.183-206, 2007-10
著者
森田 健宏
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.87-94, 2002-09-20
被引用文献数
7

保育所におけるパソコン利用の問題点について,保育士を対象に評定尺度を用いた調査を行い,その内容から保育士の抱く問題点の因子構造について検討した.因子分析の結果,解釈可能な4因子(第1因子「子どもの心身の発達への影響」,第2因子「保育実践利用の意義・方法」,第3因子「職員間のコンセンサス」,第4因子「職員のメディアリテラシー」)を抽出した.さらに,各因子を構成する項目の評定について検討したところ,子どもが自然とふれあうなどの直接経験の機会が少なくなることや人間関係の発達に影響を及ぼすことなど,従来の研究から多く述べられてきたことに加え,実際に保育で利用するための環境構成が困難であることや,職員のスキル習得及び実践事例研究のための研修機会が持ちがたいことなどについても,高く支持されていることが明らかになった.
著者
森田 達也 井村 千鶴
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.116-126, 2013 (Released:2013-02-28)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3 1

本研究の目的は, 緩和ケアに関する地域連携を評価する評価尺度の信頼性・妥当性を検証することである. 476名の医療福祉従事者を対象として25項目からなる「緩和ケアに関する地域連携評価尺度」を開発した. 内的一貫性は良好であった. 因子分析により7因子(他の施設の関係者と気軽にやりとりできる, 地域の他の職種の役割が分かる, 地域の関係者の名前と顔・考え方が分かる, など)が同定された. Palliative care Difficulties Scaleの地域連携に関する困難感と有意な逆相関が認められた. 地域連携の全般的評価, 多施設多職種対象の研修会の参加回数, 困った時のサポートとなる人の数, 地域での臨床経験年数との間に有意な関連があった. 「緩和ケアに関する地域連携評価尺度」は, 緩和ケアに関する地域連携を評価する尺度となりうることが示唆された.