著者
宮原 謙一郎 若月 康次 坪島 功幸 太田 大樹 片野坂 公明 水村 和枝 西条 寿夫 田口 徹
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12243, (Released:2022-08-05)
参考文献数
25

【目的】線維筋痛症は広範囲の痛みを主訴とする慢性疾患であるが,痛みの主たる発生源である筋組織内の変化は十分に特徴づけられていない。本研究では,線維筋痛症モデルラットを用いた組織学的解析からこの点の解明を試みた。【方法】7~9週齢の雄性SDラットに,生体アミンの枯渇剤であるレセルピンを投与し線維筋痛症モデルを作製した。モデル動物の下腿筋標本において,壊死線維や中心核線維の有無,筋湿重量や筋線維横断面積の変化を観察・定量化した。【結果】モデル動物では,壊死線維や中心核線維は観察されなかったが,筋湿重量が顕著に低下し,筋線維横断面積が顕著に減少することがわかった。【結論】本研究ではレセルピン投与による線維筋痛症モデルラットの筋内に生じる組織学的変化を明らかにした。得られた結果は難治性疼痛である線維筋痛症のメカニズム解明に繋がる基礎的知見であり,同疾患に対する理学療法アプローチの確立に有用であると考えられる。
著者
水村 賢司
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.115-117, 2018-04-01 (Released:2018-06-05)
参考文献数
13
著者
河野 由 小笠原 一生 水村(久埜) 真由美
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.205-212, 2017 (Released:2017-12-28)
参考文献数
7

バレエにおいて上肢の動きは,豊かな表現を実現する上で欠かせない.しかし,表現を伴う上肢動作の3 次元的な運動学的特徴を報告した研究はなく,表現に必要なスキルの詳細は不明である.そこで本研究では,白鳥の羽ばたきを模した上肢動作の3 次元的な運動学的特徴を明らかにすることを目的とした.バレエ熟練者5 名とバレエ未経験者9 名に白鳥の羽ばたきを模した上肢動作を実施させ,その際の肩,肘,手関節角度および各関節運動の運動範囲と,上肢挙上または下降局面の肩,肘,手関節角度の極値が出現する時間差を算出した.その結果,バレエ熟練者は,バレエ未経験者よりも前額面の運動および上肢の回旋運動が有意に大きく,上肢挙上局面では肘関節が肩関節や手関節に先行して動き,上肢下降局面では上肢が近位部から遠位部へとしなるように動くことが示された.
著者
水村 直人 奥村 哲 豊田 翔 小川 雅生 川崎 誠康
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.783-785, 2018-05-31 (Released:2019-12-07)
参考文献数
10

経肛門異物では患者から正確な情報が得られない場合がある。十二指腸潰瘍の既往がある50歳代の男性が,食後からの心窩部痛で救急搬送された。CT検査では十二指腸周囲に遊離ガスと大量腹水を認めた。十二指腸潰瘍穿孔と初期診断したが,直腸診での鮮血,高い腹水CT値より外傷性下部消化管穿孔の可能性を考えた。最終的にプライバシーに配慮した問診を行い,肛門から同性パートナーの前腕を挿入したことが判明した。開腹所見では,直腸Rsが穿孔,S状結腸に漿膜筋層断裂を認め,ハルトマン手術を施行した。本症例は十二指腸潰瘍穿孔に極めて類似していたが,伏せられた受傷機転が穿孔部位の術前診断に重要であった。
著者
水村 和枝
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.119-122, 2019 (Released:2019-09-27)
参考文献数
25

筋や筋膜の疼痛メカニズムを明らかにするため,筋・筋膜性疼痛症候群のモデルとして使われる遅発性筋痛(DOMS)を解析した.DOMSには従来考えられてきた筋損傷・炎症メカニズムは必須ではなかった.筋機械痛覚過敏を引き起こす経路には,運動中に産生されるブラジキニン様物質-B2ブラジキニン受容体-神経成長因子の経路と,COX-2-プロスタグランジン-グリア細胞由来神経栄養因子の経路の2つがある.両因子は筋細胞・筋衛星細胞によって産生され,筋細径線維受容器の機械感受性を高める.日常的に筋が行っている仕事の中に筋自身に神経栄養因子を産生させる要素があり,筋機械痛覚過敏を引き起こすことが示された.
著者
田口 徹 水村 和枝 メンゼ ジークフリート ホハイセル ウルリッヒ
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1)遅発性筋痛における筋機械痛覚過敏にTRP(Transient Receptor Potential)チャネルや酸感受性イオンチャネルが関与することを明らかにした。2)遅発性筋痛にブラジキニンB2受容体の活性化、および神経成長因子が極めて重要な役割を果たすことを示した。3)遅発性筋痛では筋よりも筋膜への侵害刺激に対する感受性が高まっていることを示した。4)筋侵害受容器の機械感受性は加齢により亢進し、一方、皮膚侵害受容器の機械感受性は加齢により低下することを示した。5)脊髄後角ニューロンの細胞外記録により、腰部筋・筋膜に起因する腰痛の脊髄機構を明らかにした。6)圧迫刺激による骨格筋からのATP放出を定量化した。7)繰り返し寒冷ストレス負荷により慢性筋痛動物モデルを作成した。8)骨格筋機械感受性C線維の半数はアクロメリン酸-Aに対して興奮作用を示し、侵害受容器終末にアクロメリン酸-Aに特異的な新規受容体が存在する可能性を示唆した。
著者
水村 直人 小川 雅生 奥村 哲 豊田 翔 今川 敦夫 川崎 誠康
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.781-785, 2016-05-31 (Released:2016-11-30)
参考文献数
30

閉塞性ショックは迅速な診断と治療を必要とする。だが,腹部コンパートメント症候群(ACS)により閉塞性ショックが生じることはあまり知られていない。79歳の男性が腹痛で救急搬送され,CT検査後に急激な呼吸状態悪化と血圧低下を認めた。身体所見では腹部緊満,CT検査では著明な小腸拡張による下大静脈圧排を認めた。腸閉塞に伴うACSと診断し,救急室で開腹すると呼吸循環動態が急激に改善した。腸管壊死は認めず,腸閉塞の原因は癒着であった。ACSは腹腔内圧が上昇し閉塞性ショックを生じる。腹腔内圧測定ができない急変時の診断は困難であるが,救命には開腹減圧術が必要である。また本邦報告例の約半数でも腹腔内圧が測定されていないが,ACSを生じる可能性がある患者では定期的な腹腔内圧測定を行い,手術時期を見極める必要がある。
著者
河野 由 水村 真由美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.175_1-175_1, 2016

<p> バレエダンサーは上肢の動きで作品に登場する人物の役柄や感情を表現するが、表現を伴う動作には、経験者であっても大きな個人差が存在する可能性が高い。そこで本研究の目的は、表現を伴う上肢動作の運動学的指標の個人差を上級者と中級者で比較することにより、身体表現の個人差と技術水準の関係を明らかにすることとした。対象は、海外のバレエ団に所属するプロ3名、アマチュア上級者6名、アマチュア中級者14名であった。対象者にバレエ作品『白鳥の湖』でみられる白鳥の羽ばたきを模した上肢動作を実施させ、その様子を光学式カメラで撮影した。その後、肩、肘、前腕、手、MP関節角度を算出した。各対象者の上肢挙上および下降局面の時間を100%として規格化し、規格時間1%ごとに各関節角度を平均した後、変動係数(CV)を算出した。その結果、算出した関節角度の中で手関節屈曲/伸展動作のCVが最も大きく、特にプロでは上肢下降局面の最大下降付近でCVが大きかった。これらの結果から、表現を伴う上肢動作において、技術水準が高くなると手関節屈曲/伸展動作の個人差が大きかったことから、手関節屈曲/伸展動作にダンサー個人の表現特性が内在している可能性が示唆された。</p>
著者
(公社)日本アイソトープ協会 医学・薬学部会 放射性医薬品安全性専門委員会 松田 博史 上原 知也 岡沢 秀彦 水村 直 横山 邦彦 吉村 真奈
出版者
一般社団法人 日本核医学会
雑誌
核医学 (ISSN:21899932)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.509-519, 2017 (Released:2017-02-24)
参考文献数
4

要旨:本調査は,平成27 年度に投与された放射性医薬品に関連して発生した副作用事例の発生頻度とその内容を調べる目的で実施された.調査は,調査票を核医学診療施設に送付して回答を求めるアンケート方式で実施した.調査対象1,274 施設のうち,981 施設より回答が得られた.副作用事例は15 件報告された.回答を得た981 施設における放射性医薬品の投与件数は1,056,828 件であった.副作用発生率は100,000 件あたり1.4 件であった.不良品事例の報告はなかった.
著者
森田 裕子 水村 亮介 橘 義貴 金澤 秀子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.541-545, 2013-06-05 (Released:2013-06-27)
参考文献数
14
被引用文献数
2

Cation exchange resins (calcium polystyrene sulfonate, Ca-resin and sodium polystyrene sulfonate, Na-resin) have been used as agents to improve hyperkerlemia. For removing 137Cs from the human body, the adsorption ability of the resin for 137Cs was examined and evaluated. Resin (0.03 g) and 137Cs (ca.1 kBq) were introduced into 3 mL of water, the Japanese Pharmacopoeia 1st fluid for a dissolution test (pH 1.2) and 2nd fluid (pH 6.8), respectively, and shaken. After 1-3 hours, the 137Cs adsorption (%) of Na-resin was 99% in water, 60% in a pH 1.2 fluid and, 66% in a pH 6.8 fluid. By adding potassium, the 137Cs adsorption (%) of Ca-resin was reduced. However, the 137Cs adsorption (%) of Na-resin was almost unchanged. These results show that both resins have adsorption ability for 137Cs in the stomach and the intestines. Therefore, the proposed method will be an effective means in the case of a radiological emergency due to 137Cs.
著者
山田 健司 水村 容子 小川 信子 一番ヶ瀬 康子
出版者
群馬松嶺福祉短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

(1)日本の現行公選法規定は、法規上心身能力低下をもつ選挙人の選挙権行使を実質上抑制阻害している。当該規程は、1951年地方選挙で発生した大規模不正投票の再発防止を理論的根拠としている。しかしながら、当該規程は、不正投票発生原因に対応したものではなく、在宅投票制度全体を不可能とする投票権侵害=選挙権侵害=違憲状態を生ずる原因となっている。1974年に一部復活した郵便投票制度以降を勘案した場合も、同様な違憲状態にあり、この状態は70数年間に及んでいる。(2)介護保険の要介護認定者は、本調査結果の範囲において半数以上が、非投票である。非投票原因は、主として体調の不調と移動困難性である。これは、能力低下レベルとは相関していない。また、移動困難性は通常の移動手段(歩行運動機能レベル)とは関連がなく、自宅と投票所間の投票当日における移動手段の確保を意味している。身体上の能力低下は、投票行動において障害とは言えず、非投票を惹起する原因は、環境因子によって生じている。したがって現行公選法規程が、重度歩行運動機能低下を在宅投票の事由とすることは、実態的論理的に誤謬である。(3)オランダでは、本調査結果の範囲において心身能力低下と公選における非投票とは関係がない。非投票は、自由意志による積極的投票拒否である。またスウェーデンは、在宅投票を不在者投票の一環として制度化し、投票環境の改善によって投票率の向上を恒常的に国策として進めている。(4)以上の結果から、現行公選法規定は、投票権の制限よって心身能力低下をもつ選挙人の選挙権剥奪を行っているといえる。また、すでに心身能力低下をもった高齢者が選挙人人口中に一定の比率を占めており、高齢化によってその人口は激増していくことが予想される。これは、わが国において行政政策への非関与、社会保障施策当事者性の奪取という現象を生じせしめ、人権保障の実体外人口を実質的に増加させるものである。(5)現行公選法が改正され、心身能力低下=投票バリアが解消する場合においては、公権行使への関与階層が未経験域に変化する。また改正が無い場合には、修正資本主義の自己矛盾つまり社会保障機能不全による社会制度倒壊へシフトする。いずれのケースでも、わが国は近い将来において、今と異なる社会形成を経験する可能性が高く、このことは日本自らが、社会と人間のとりわけ本質的な在り方を、本格的に問うべき時の訪れを意味している。
著者
水村 和枝 小崎 康子 片野坂 公明 本多 たかし
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

筋機械痛覚過敏の末梢性機構を明らかにするため、持続が数日の伸張性収縮(LC)負荷による筋性疼痛のラットモデル(遅発性筋痛、DOMS)を作成し、1.筋圧迫・収縮に伴って遊離・放出される感作性物質の量的変化、それによる筋C線維受容器の感作,2.筋C線維受容器のイオンチャネル、受容体の発現変化,3.筋浮腫に伴う受容器終末の物理的(機械的)環境の変化、の3点について調べ,以下の点を明らかにした。1.取り出し筋標本の灌流液中のATP量は筋圧迫によって増大し、運動後2日目にもその量に変化は無かった。しかし、ATPは100μMまで筋細径線維受容器の機械感受性をむしろ抑制した。B2受容体拮抗薬、COX阻害薬、抗NGF抗体投与の遅発性筋痛に対する影響を調べたところ、遅発性筋痛の始発にはB2受容体を介しブラジキニンが、またCOX2が関わり、維持にはNGFが関わっていることが明らかになった。これに対応して、COX2のmRNA及び蛋白質はLC直後から12時間後まで増大し、NGFのmRNAは12時間後から2日後まで増大していた。NGFの筋注によって筋細径線維受容器の機械感受性は投与30分後から増大し、運動後の筋機械痛覚過敏における役割を支持する結果となった。2.suppression subtractive hybridizationによりLC2日後の後根神経節で増大するRNAを調べたところ、65種が見出された。そのうち痛みと関係があるannexinA2とcalbindin1の発現をRT-PCRで調べたところ、LC2日目の後根神経節で有意に増大していた。3.運動後の筋は対側と比べ約5%重く、浮腫状態であることがわかった。筋におけるアクアポリン1,4の免疫組織化学を行ったところ、その発現には一定の傾向が見られなかった。