著者
渡辺 昭一郎
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.536-542, 1980-08-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
58
被引用文献数
1
著者
渡辺 昭治
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
1976-04-26

薬剤の開発から各種実験等における実験動物科学のめざましい進展は近年特に著しいものがある。そこで著者は実験動物を用いFT-207〔N_1-(2-Tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil〕の実験的腫瘍に対する制癌効果に関する研究をする機会を得た。FT-207はラトビア共和国科学アカデミー会員のHillerらにより制癌剤として合成された化合物である。FT-207は各種の実験的腫瘍に有効であるとされ、また臨床例においても特に腺癌(主に胃癌および大腸癌)に効果を示し、FT-207は動物実験および臨床例での毒性、副作用(吐気、嘔吐、めまい、下痢等)はDuschinskyらにより、antipirimidine剤として合成された5-Fu(5-Fluorouracil)に比べきわめて少ないとされている。FT-207は白色の無晶形粉末でdimethyl formamideによく溶け、Chloroformおよびmethanolにやや溶けやすい、融点は164~169℃で分子量は200.17である。5-FuはDuschinskyによりantipirimidine剤として合成され、白色または微黄色の結晶で、ほとんど無臭、水、エタノールにわずかに溶ける。Heidelbergerらによって著しい制癌効果を有することが報告された。作用はformate-C^14のDNAのチミジン酸へのとりこみを阻害することからDNAの生合成を阻害するといわれている。臨床的にはとくに大腸癌に有効であり、副作用として悪心、嘔吐、下痢、脱毛、血便、白血球減少などが頻発するといわれている。分子量は130,08である。FT-207の作用は生体内において徐々に抗癌作用のある活性物質に変換されDNAの合成阻害を示す。血中および組織内濃度が長時間持続すると共に毒性面においても低毒性であり、優れた抗腫瘍効果を発揮する。FT-207が本邦に始めて導入されたのは1970年1月であり、この時より日ソ共同での研究が開始され、著者は実験動物により毒性実験を実施し、これを基にして各種実験的腫瘍を用いて効力実験を行ない、あわせて生体内分布、排泄、代謝実験を実施した。 1. 毒性実験 マウス及びラットを使用した急性、亜急性及び慢性毒性実験の結果、FT-207は5-Fuに比べて毒性が低く、薬用量の約3倍投与による催奇型実験においても安全性が立証された。 2. 効力実験 FT-207の実験的腫瘍に対する制癌効果については、4n-Ehrlich carcinoma、Sarcoma180、Sarcoma37をマウスに、吉田肉腫、AH-130及びローダミン肉腫をラットにそれぞれ移植し、移植24時間後からFT-207をマウス及びラットにそれぞれ腹腔内投与及び経口投与した。そして腹水腫瘍抑制実験、固型腫瘍抑制実験及び延命効果実験を実施した。その結果、腹水腫瘍抑制実験では腹腔内投与においてSarcoma37に対し効果がみられた。固型腫瘍抑制実験では、腹腔投与において4n-Ehrlich carcinoma、Sarcoma180、Sarcoma37、AH-130、ローダミン肉腫の実験的腫瘍に対し効果がみられた。また経口投与においては吉田肉腫、AH-130において効果がみられた。延命効果実験では腹腔内投与において、Sarcoma37に効果がみられ、経口投与ではSarcoma180、Sarcoma37にそれぞれ効果がみられた。この様にFT-207は固型腫瘍に効果を示し、かつ副作用も極めて低い制癌剤であることが分った。著者はさらにFT-207坐剤投与における転移肝腫瘍の形態的変化を観察した。 最近転移癌の化学療法等による治療法が注目されるようになった。しかし転移肝腫瘍の治療法となると現在のところ確実に完治せしめ得る方法はない。治療法としては転移巣と共に肝を切除する方法、放射線治療等が行なわれているがあまり効果的でないようである。そこで残されたのは化学療法による治療法である。著者は、白色家兎の転移性肝腫瘍に対する化学療法を行ったところ、意義ある結果を得た。すなわち、著者は徳島大学医学部(井上教授)より家兎のB.P腫瘍をゆずりうけ、B.P腫瘍細胞数と肝腫瘍生に関する基礎的実験より、B.P腫瘍細胞数1.0×10^3個を盲腸上腸間膜静脈より注入する事により、転移肝腫瘍を発生させる事に成功した。そこでFT-207投与群5羽、FT-207無投与群5羽にそれぞれB.P腫瘍細胞を家兎の盲腸上腸間膜静脈より1.0×10^3個を注入し、肝へ転移せしめ、転移後28日目に肝を摘出し、転移肝腫瘍を形態的(肉眼的、病理組織学的)に比較した。肉眼的にはFT-207坐剤投与した家兎はFT-207坐剤無投与家兎に比べてB.P腫瘍数が少なく、B.P腫瘍の大きさもFT-207坐剤投与した方が著じるしく小さく、縮小効果を示した。 組織学的にはFT-207坐剤投与した家兎はFT-207坐剤無投与家兎に比べてB.P腫瘍組織と肝の正常組織との間にみられる細胞の反応層が広く、B.P腫瘍組織の増殖を抑制していることがわかる。FT-207を経直腸的に投与する坐剤が開発され、その血中濃度の推移から経口投与におとらぬ効果が期待され、経口投与不能症例に有用であると考えられる。又、中野等の行なったFT-207の使用経験でも扁平上皮癌に著効例がみられたと報告しておる。岡崎等は有効率の低かった腺癌の肝転移例の治療成績がFT-207の導入により向上したと述べている。 これらの事より本剤は投与方法が簡便で他の制癌剤に比べ長期にわたり投与でき、今後利用価値の高まる薬剤と考えられる。 3. Bioassay法によるFT-207の体内分布、排泄及び代謝実験 実験動物を用いFT-207の生体内動態をBioassay法で検討した結果、本剤は血中及び組織中で長く存在し、尿中への排泄も5-Fuに比べ著しく遅れる。更に長時間留まった本剤は徐々に抗菌性及び抗癌性の強い活性物質に転換されていく。特に経口投与において、この性質は助長される。FT-207及びその活性物質の長時間持続性は、5-Fu投与の際にはみられない特性であって、5-Fuよりも制癌作用の持続時間が長くなることを期待させるもので、臨床面での治療法を考える場合、その投与方法などに大きな示唆を与える。活性物質として5-Fu、FuR、FuRMP等に代謝され、これらの活性物質が制癌作用を示すものと考えられる。活性化は肝において最も強く、特に腫瘍組織内に活性物質が極めて高値にしかも長時間認められることは注目に値する所見である。
著者
渡辺 昭治
出版者
麻布獣医科大学
巻号頁・発行日
1976

薬剤の開発から各種実験等における実験動物科学のめざましい進展は近年特に著しいものがある。そこで著者は実験動物を用いFT-207〔N_1-(2-Tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil〕の実験的腫瘍に対する制癌効果に関する研究をする機会を得た。FT-207はラトビア共和国科学アカデミー会員のHillerらにより制癌剤として合成された化合物である。FT-207は各種の実験的腫瘍に有効であるとされ、また臨床例においても特に腺癌(主に胃癌および大腸癌)に効果を示し、FT-207は動物実験および臨床例での毒性、副作用(吐気、嘔吐、めまい、下痢等)はDuschinskyらにより、antipirimidine剤として合成された5-Fu(5-Fluorouracil)に比べきわめて少ないとされている。FT-207は白色の無晶形粉末でdimethyl formamideによく溶け、Chloroformおよびmethanolにやや溶けやすい、融点は164~169℃で分子量は200.17である。5-FuはDuschinskyによりantipirimidine剤として合成され、白色または微黄色の結晶で、ほとんど無臭、水、エタノールにわずかに溶ける。Heidelbergerらによって著しい制癌効果を有することが報告された。作用はformate-C^14のDNAのチミジン酸へのとりこみを阻害することからDNAの生合成を阻害するといわれている。臨床的にはとくに大腸癌に有効であり、副作用として悪心、嘔吐、下痢、脱毛、血便、白血球減少などが頻発するといわれている。分子量は130,08である。FT-207の作用は生体内において徐々に抗癌作用のある活性物質に変換されDNAの合成阻害を示す。血中および組織内濃度が長時間持続すると共に毒性面においても低毒性であり、優れた抗腫瘍効果を発揮する。FT-207が本邦に始めて導入されたのは1970年1月であり、この時より日ソ共同での研究が開始され、著者は実験動物により毒性実験を実施し、これを基にして各種実験的腫瘍を用いて効力実験を行ない、あわせて生体内分布、排泄、代謝実験を実施した。 1. 毒性実験 マウス及びラットを使用した急性、亜急性及び慢性毒性実験の結果、FT-207は5-Fuに比べて毒性が低く、薬用量の約3倍投与による催奇型実験においても安全性が立証された。 2. 効力実験 FT-207の実験的腫瘍に対する制癌効果については、4n-Ehrlich carcinoma、Sarcoma180、Sarcoma37をマウスに、吉田肉腫、AH-130及びローダミン肉腫をラットにそれぞれ移植し、移植24時間後からFT-207をマウス及びラットにそれぞれ腹腔内投与及び経口投与した。そして腹水腫瘍抑制実験、固型腫瘍抑制実験及び延命効果実験を実施した。その結果、腹水腫瘍抑制実験では腹腔内投与においてSarcoma37に対し効果がみられた。固型腫瘍抑制実験では、腹腔投与において4n-Ehrlich carcinoma、Sarcoma180、Sarcoma37、AH-130、ローダミン肉腫の実験的腫瘍に対し効果がみられた。また経口投与においては吉田肉腫、AH-130において効果がみられた。延命効果実験では腹腔内投与において、Sarcoma37に効果がみられ、経口投与ではSarcoma180、Sarcoma37にそれぞれ効果がみられた。この様にFT-207は固型腫瘍に効果を示し、かつ副作用も極めて低い制癌剤であることが分った。著者はさらにFT-207坐剤投与における転移肝腫瘍の形態的変化を観察した。 最近転移癌の化学療法等による治療法が注目されるようになった。しかし転移肝腫瘍の治療法となると現在のところ確実に完治せしめ得る方法はない。治療法としては転移巣と共に肝を切除する方法、放射線治療等が行なわれているがあまり効果的でないようである。そこで残されたのは化学療法による治療法である。著者は、白色家兎の転移性肝腫瘍に対する化学療法を行ったところ、意義ある結果を得た。すなわち、著者は徳島大学医学部(井上教授)より家兎のB.P腫瘍をゆずりうけ、B.P腫瘍細胞数と肝腫瘍生に関する基礎的実験より、B.P腫瘍細胞数1.0×10^3個を盲腸上腸間膜静脈より注入する事により、転移肝腫瘍を発生させる事に成功した。そこでFT-207投与群5羽、FT-207無投与群5羽にそれぞれB.P腫瘍細胞を家兎の盲腸上腸間膜静脈より1.0×10^3個を注入し、肝へ転移せしめ、転移後28日目に肝を摘出し、転移肝腫瘍を形態的(肉眼的、病理組織学的)に比較した。肉眼的にはFT-207坐剤投与した家兎はFT-207坐剤無投与家兎に比べてB.P腫瘍数が少なく、B.P腫瘍の大きさもFT-207坐剤投与した方が著じるしく小さく、縮小効果を示した。 組織学的にはFT-207坐剤投与した家兎はFT-207坐剤無投与家兎に比べてB.P腫瘍組織と肝の正常組織との間にみられる細胞の反応層が広く、B.P腫瘍組織の増殖を抑制していることがわかる。FT-207を経直腸的に投与する坐剤が開発され、その血中濃度の推移から経口投与におとらぬ効果が期待され、経口投与不能症例に有用であると考えられる。又、中野等の行なったFT-207の使用経験でも扁平上皮癌に著効例がみられたと報告しておる。岡崎等は有効率の低かった腺癌の肝転移例の治療成績がFT-207の導入により向上したと述べている。 これらの事より本剤は投与方法が簡便で他の制癌剤に比べ長期にわたり投与でき、今後利用価値の高まる薬剤と考えられる。 3. Bioassay法によるFT-207の体内分布、排泄及び代謝実験 実験動物を用いFT-207の生体内動態をBioassay法で検討した結果、本剤は血中及び組織中で長く存在し、尿中への排泄も5-Fuに比べ著しく遅れる。更に長時間留まった本剤は徐々に抗菌性及び抗癌性の強い活性物質に転換されていく。特に経口投与において、この性質は助長される。FT-207及びその活性物質の長時間持続性は、5-Fu投与の際にはみられない特性であって、5-Fuよりも制癌作用の持続時間が長くなることを期待させるもので、臨床面での治療法を考える場合、その投与方法などに大きな示唆を与える。活性物質として5-Fu、FuR、FuRMP等に代謝され、これらの活性物質が制癌作用を示すものと考えられる。活性化は肝において最も強く、特に腫瘍組織内に活性物質が極めて高値にしかも長時間認められることは注目に値する所見である。
著者
安田 行寛 東郷 常夫 采見 憲男 渡辺 昭治 播磨 耕介 鈴江 崇志
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.1171-1178, 1973-08-25 (Released:2011-03-08)
参考文献数
9
被引用文献数
1

N1-(2-Tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil (FT-207), a new antimetabolic anticancer agent synthesized in USSR, was studied on antimicrobial activity in vitro and distribution, excretion and metabolism in vivo.The results obtained were as follows.1) Antimicrobial activityFT-207 showed fairly active against Micrococcus flavus ATCC 10240, Sarcina lutea PCI 1001, Staphylococcus epidermidis and Staphylococcus aureus 209 P, but in general the activity was inferior to that of 5-FU.2) DistributionBy the intravenous administration of FT-207, 400mg/kg, in normal and AH-130 bearing rats, the concentration of FT-207 in serum and tissues maintained measurably until 16-24 hours.On the other hand, the active substances (5-FU, etc.) from FT-207 detected at 1-4 hours and peaked at 4-16 hours in tissues.3) Urinary excretionFT-207 and its active substances were excreted in urine for a long time, and the recoveries of FT-207 for 48 hours in rats, mice and rabbits were 12-18%.4) MetabolismIn normal and AH-130 bearing rats, the main active substance from FT-207 administrated intravenously was 5-FU.
著者
安田 行寛 東郷 常夫 采見 憲男 渡辺 昭治 播磨 耕介 鈴江 崇志
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.1171-1178, 1973

N<SUB>1</SUB>-(2-Tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil (FT-207), a new antimetabolic anticancer agent synthesized in USSR, was studied on antimicrobial activity <I>in vitro</I> and distribution, excretion and metabolism <I>in vivo</I>.<BR>The results obtained were as follows.<BR>1) Antimicrobial activity<BR>FT-207 showed fairly active against <I>Micrococcus flavus</I> ATCC 10240, <I>Sarcina lutea</I> PCI 1001, <I>Staphylococcus epidermidis</I> and <I>Staphylococcus aureus</I> 209 P, but in general the activity was inferior to that of 5-FU.<BR>2) Distribution<BR>By the intravenous administration of FT-207, 400mg/kg, in normal and AH-130 bearing rats, the concentration of FT-207 in serum and tissues maintained measurably until 16-24 hours.<BR>On the other hand, the active substances (5-FU, <I>etc</I>.) from FT-207 detected at 1-4 hours and peaked at 4-16 hours in tissues.<BR>3) Urinary excretion<BR>FT-207 and its active substances were excreted in urine for a long time, and the recoveries of FT-207 for 48 hours in rats, mice and rabbits were 12-18%.<BR>4) Metabolism<BR>In normal and AH-130 bearing rats, the main active substance from FT-207 administrated intravenously was 5-FU.
著者
馬場 秀夫 是永 大輔 大野 真司 斎藤 純 渡辺 昭博 岡村 健 杉町 圭蔵 辻谷 俊一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.1010-1013, 1989-04-01

Stage III胃癌治癒切除例49例中15例に,術前OK-432腫瘍内投与を行った.5年生存率はOK-432非投与群の36.5%に比べ,投与群では73.3%と有意に良好であった(p<0.05).術後再発率は投与群27%,非投与群56%であり,投与群に明らかな腹膜再発が認められなかったのに対し,非投与群では58%(11/19)が腹膜再発で死亡した.次に腹膜再発動物モデルを作成しOK-432による腹膜再発予防効果を検討した結果,OK-432腫瘍内投与の場合には腫瘍縮小効果が認められたのみであったが,腹腔内投与と腫瘍内投与を併用した場合には著しい抗腫瘍効果と生存率の延長が得られた.以上よりOK-432腫瘍内投与はStage III胃癌の予後を改善し,さらに今後腹腔内投与の併用により,腹膜再発予防効果が高まる可能性が示唆された.
著者
渡辺 昭次 藤田 力 須賀 恭一 阿部 晴彦 鶴田 治樹
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.863-865, 1978-12-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
3

Unsaturated nitriles were synthesized in good yields from 6-methyl-5-hepten-2-one and active methylene compounds containing nitrile group. From methylheptenone and malononitrile, 2-cyano-3, 7-dimethyl-2, 7-octadienenitrile was obtained in 91% yield. The unsaturated nitriles were alkylated at the 3-position by various Grignard reagents. Furthermore, reduction and hydrolysis of these unsaturated nitriles were examined.
著者
須賀 恭一 渡辺 昭次 藤田 力 稲葉 昭彦
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.26, no.8, pp.479-480, 1977-08-20 (Released:2009-10-20)
参考文献数
10

Various 1, 4-diketones were prepared from carboxylic acids via two steps : Grignard reaction with vinylmagnesium chloride and oxidation with Jones reagent catalysed by mercuric propionate. For example, 2, 5-undecanedione was prepared from heptanoic acid via 1-undecen-5-one.
著者
堀田 和彦 渡辺 昭二 久保松 照夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1982, no.3, pp.352-355, 1982
被引用文献数
1

モノテルペン系不飽和アルデヒドであるジトラール((E)-および(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール混合物)およびシトロネラール,3,7-ジメチル-6オクテナールの水素化反応を塩化バエルナールトで修飾したRaneyコバルト触媒により,種々の溶媒中,30~65℃,常圧下で行なった。反応の主生成物は,シトラールでは,(E)-および(Z)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジェシン-1-オールであり,0.2~olの水素を吸収したときにおけるこれらアルコールの収率は,0.92以上であり,1-プロ0パ.3ノm ール中でもっとも高かった。シトロネラールは相当する不飽和アルコールである3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オールに選択的に水素化された。これら不飽和アルデヒドの水素化反応速度はヘプタン中にくらべて,アルコール中で顕著に増加し,その順序はつぎのようであった。メタノール>エタノール>1-プロパノール
著者
渡辺 昭一
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.303-321, 2015-11-25

1957年ころ,インドは,開発援助の支柱であったスクーリング・バランスの激減により,五ヵ年計画が頓挫する危機的状況に陥った。世界銀行は,新たな援助システムとしてインド援助コンソーシアムを結成した。本論文は,1960年代のインド援助コンソーシアムとの関連で,イギリスの対インド政策の展開過程を検討することを目的とした。コンソーシアムのもとで1960年代のイギリスの対インド援助は,輸出信用保証局によって行われた。同局は,1957年以降イギリス輸出業者に対する保険を担保する権限とともに貸付権限をも付与された。イギリスは,この制度によって多額の援助を実施し,しかも1960年代半ば頃よりプロジェクト援助からノン・プロジェクト援助へと変化させた。1960年代後半にインドが債務返済に窮した際に,イギリスは,世界銀行を通じて自らの援助方法を他のドナー諸国に適応を促した。イギリスは,キッピング・ローンや維持目的の援助(一般目的)を拡大することによって対インド輸出権益の保持拡大を狙っていたのである。
著者
渡辺 昭夫 星野 俊也
出版者
財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.114, pp.57-71,L9, 1997-03-30 (Released:2010-09-01)
参考文献数
20

What about regional solutions to regional security questions? After the United Nations has experienced both successes and setbacks in dealing with a series of post-Cold War regional crises, the inter-relationship (or the appropriate balance) between global (i. e. the UN) and regional mechanisms to manage and to help resolve these conficts has become a recurring subject for discussion. And it is especially so in the Asia Pacific region. The rather anomalous security environment of which is exemplified in the duality of “hub-and-spokes”-type bilaterals alliances (à la the US-Japan alliance) and multilateral security frameworks (like the ASEAN regional forum, or ARF).In fact, the tension between global and regional mechanisms, and the applicability thereof, was evidenced from the very beginning of the drafting of the UN Charter. They are both “collective” measures which can involve military options. But they are distinct in that the former can be called, in its ideal form, a system of “collective security” based on the principle of universality and inclusiveness while tha latter, being naturally limited in its membership, can be characterized as that of “collective self-defense.” Conceptually these two logics are supposed to be mutually exclusive, but in reality the function of regional security mechanisms can be found somewhere in the middle ground between collective security and collective self-defense. For example, the post-Cold War NATO has changed the nature of its functions and so has the bilateral alliance between the US and Japan, both of which are assuming the stabilizing role as “public goods” beyond collective self-defense.In the Asia Pacific region, the anomaly of the security environment has not permitted us to envision a region-wide collective security mechanism encompassing all the relevant countries that is firm enough to capture especially commitment from the four regional major powers—the US, China, Russia and Japan. On the other hand, a series of efforts toward what might be called “cooperative security” undertaken regionally which are not predicated on military enforcement do contribute positively to enhance confidence-building. In this period of transition, security in the region will entail a complex of security mechanisms composed of “hub-and-spokes”-type alliances with growing “public goods” role and informal multilateral “cooperative security” dialogue rather than building a hard security regime in the Asia Pacific. Coupled with these developments, however, it would be most productive to pursue concerted diplomacy among the three major powers (the US, China and Japan). It is certainly a long way to draw political contours that fits the Concert of Pacific Asia, but that seems the most plausible option available to these three countries in the twenty-first century.
著者
渡辺 昭一 木畑 洋一 秋田 茂 横井 勝彦 菅 英輝 吉田 修 木畑 洋一 秋田 茂 横井 勝彦 菅 英輝 吉田 修 都丸 潤子 波多野 澄雄 河西 晃祐 山口 育人
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

冷戦体制の確立期におけるアジア国際秩序の再編問題について、国際援助計画コロンボ・フランの実施過程との関連から検討した。第一に、コロンボ・プランは、イギリスにとってコモンウェルス体制として影響力を残存させるために、インドおよびオーストラリア、ニュージーランドにとってアジア安全保障体制の強化のために、策定されたこと、第二に、その計画のド要な財源となったスターリング・バランスの枯渇により、イギリスの支援が資本援助から技術援助へとシフトしたこと、それによって被援助のアジアは、積極的な資本援助を求めて支援の多様化を図っていったこと、第こに、イギリスのコモンウェルスの存続、アメリカのヘゲモニー支配が強化される中で、その多様化が自立したアジア地域連合という新体制の成、忙につながったことを明らかにした。
著者
太田 慎一郎 渡辺 昭典 徳永 博
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.77-81, 1957-02-28 (Released:2010-11-29)
参考文献数
8

1) m2は3齢起蚕において黒色鮮明な特有の斑紋を発現し, 分離系統においては同一蛾区の正常蚕の第3就眠に前後して熟眠となる。しかし超過脱皮をきたし三眠蚕となると斑紋は黒色減退し, 淡褐色味が加つてくる。2) m2は異常三眠蚕を生じ易い傾向があるが, この三眠蚕となつたものを用いると系統維持が容易である。3) m2で超過脱皮を行つたものの中にプロセテリー或いはメタセテリーを生ずることがしばしばある。また族中不脱皮斃蚕の多出すること等から考えると, m2は遺伝的ホルモン異常蚕とも考えられる。4) m2純系においては毛蚕の軽重によつて, その後の発育に影響があり, 毛蚕体重の軽いもの程異常三眠蚕を生じ易い傾向がある。5) m2の経過日数は11日前後のものが多く, 1-3齢間の生長率を支122号に対比するとm2は明らかに生長率が大きい。これは絹糸腺の肥大生長に伴う結果と考えられる。熟蚕の絹糸腺の形態は正常蚕の最終齢のそれと酷似している。6) 繭は体躯に応じて貧弱である。蛹は23℃ 保護下では14-16日で発蛾するが, 中には20日以上を要した個体もある。7) 蛾も非常に小さいが生殖力は完全でよく受精する。雌は造卵の絶対量が少なぐ, m2-IIでは30粒の受精卵を産下したものが最高で, m2-IIIでは50-200粒ぐらい産卵する。8) 二眠蚕 (m2) は四眠蚕に対し劣性として遺伝する。