著者
久布白 兼行 山本 泰弘 小宮山 慎一
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.111-116, 2012-08-31 (Released:2014-07-06)
参考文献数
26

近年,子宮頸癌の罹患者は若年化している傾向が見られ,それに伴って子宮頸部円錐切除術,広汎子宮頸部摘出術などの子宮温存手術を必要とする症例が増加している.円錐切除術の方法には,レーザー,メス,LEEP(electrosurgical excision procedure)法,超音波メスがある.これらの中で,レーザーは切開と同時に切除創面を止血目的に蒸散可能であるというメリットを有する.上皮内癌や微小浸潤扁平上皮癌ⅠA1 期の場合,子宮を摘出することなく円錐切除術を最終治療とすることが可能である.一方,腺癌に関しては,初期腺癌であっても扁平上皮癌と異なり,円錐切除術を最終治療として可能かは,症例ごとに慎重な取り扱いが必要である.
著者
白木 利幸
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.187-212, 2000-03

海洋信仰の一種である辺路信仰を起源とする四国遍路は、中世以降に弘法大師信仰が成立して、巡礼の一形態として今日に伝えられた。しかし、江戸時代以前はプロの修行者によってのみおこなわれるものであって、在家信者の姿はほとんど見ることができなかった。そのような四国遍路の一般開放に貢献したのが宥辨真念であり、その業績について本論において詳細に考察する。 真念は二十回以上の四国遍路をおこなったとされており、高野聖の性格を有した僧と思われる。しかし、その生涯については、自ら『四国徧禮功徳記』に「大阪寺嶋頭陀真念」と記している以外は、不明な点が多い。ただ、没年に関しては、墓石と供養石仏が近年になって発見され、元禄四年(一六九一)六月二十三日ということがあきらかになった。 四国遍路における真念の業績には、次の三点をあげることができる。第一に、遍路専用の簡易無料宿泊所である辺路屋を、最大の長丁場の中間点にあたる土佐国市野瀬に建立して、真念庵と名づけられたこと。第二に、遍路のための標石を四国の各地に造立したこと。第三に、高野山の学僧寂本の協力を得て、四国遍路の案内書として、『四國邊路道指南』一巻、『四國徧禮霊場記』七巻、『四國徧禮功徳記』二巻を出版。これらの案内書は四国内だけではなく、大坂や高野山にも販売所を指定して、関西からの遍路の誘致を図っている。なかでも道中記にあたる『四國邊路道指南』は、増補大成本として明治期まで再編しながら出版され続けた。 それまでの修行の場だった四国遍路が、江戸時代初期に行われた真念の活動によって庶民化されたのであり、現在の遍路が決定づけられたといっても過言ではない。
著者
白井 暢明
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-13, 2007-03

明治30年(1887)に現遠軽町に団体入植した「北海道同志教育会」(学田農場)は、キリスト教徒である押川方義,信太壽之によって企画され,未開地を開墾して得た収益を積み立てて,30年後にキリスト教主義の私立大学を設立することを目的としていた。しかし,この事業は失敗し,約14年後にこの会は解散した。 本稿は明治期に北海道に入植したキリスト教的移住団体に関する一連の開拓者精神史的研究の一環であり,その目的はこの団体の挫折の原因を,他の同種団体と比較しつつ,精神史的,宗教社会学的な観点から明らかにすることである。 結論として,この団体の挫折の最大の原因は,事業と信仰(教会)とが分離していたことにある。北海道の厳しい自然条件の中で開拓事業を進めるためには住民の内面的な支えや連帯感が必要であり,比較的成功した他の同種団体では教会がその役割を果たしていた。北海道同志教育会がこのような失敗に至った背景としては,現地での指導者であった信太壽之がキリスト者から事業家,政治家へと自らの生き方を変えていったことによって住民の信仰という内面的要素を軽視したことにある。

1 0 0 0 OA 北米印象記

著者
厨川白村 著
出版者
積善館
巻号頁・発行日
1920
著者
有本 梓 伊藤 絵梨子 白谷 佳恵 田髙 悦子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.21-32, 2020 (Released:2020-08-20)
参考文献数
43

目的:地区組織基盤の世代間交流プログラムを開発し,1年後の高齢者の健康ならびにソーシャルキャピタル(SC)への評価を行い,今後の地域づくりにおける示唆を得る.方法:2015年2月~2018年3月にA市2地区で高齢者ボランティア(参加群)を対象に,園芸活動を中心とする世代間交流プログラムを実施した.世代間交流の不足,フレイルの地域の問題解決のために,住民・地区組織・自治体・大学などがアクションリサーチを展開した.定量的評価として,基本属性,健康指標(握力等),SC(地域コミットメント等)についてベースラインと1年後に測定し,地域在住高齢者(非参加群)と比較した.定性的評価として,フォーカスグループディスカッション(FGD)を実施し質的に分析した.結果:参加群(n=36)は72.6±5.6歳,非参加群(n=36)は74.7±4.6歳,両群ともに男性23人(63.9%)であった.参加群は非参加群に比べ,握力の改善傾向がみられた.非参加群では地域コミットメントが有意に低下したのに対し,参加群では維持されていた(p<0.05).FGDでは,【子どもたちと関わり合える喜び】【経験の伝承による子どもの育成】【内省による人生の価値づけ】【地域の人とのつながりの拡大】等が抽出された.考察:地区組織基盤の世代間交流プログラムにより,高齢者の健康およびSCに効果がもたらされる可能性が示唆された.

1 0 0 0 新井白石集

著者
新井白石著 桑原武夫編
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
1970
著者
白土 宏之 伊藤 景子 今須 宏美 大平 陽一 川名 義明
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.185-194, 2020

<p>水稲の無コーティング種子代かき同時浅層土中播種栽培に適した播種後水管理を明らかにするために,耐倒伏性の強い水稲品種「萌えみのり」を用いて,播種後水管理が苗立ちや収量等に与える影響を検討した.秋田県にある東北農業研究センター大仙研究拠点圃場において,2013〜2017年に水管理処理として,湛水区,湛水後落水区 (7日湛水後5〜7日落水),短期落水区 (播種後7〜8日落水),長期落水区 (播種後12〜13日落水) の4水準を設け,苗立ちや収量等を調べた.苗立率は長期落水区が湛水区と湛水後落水区より多い傾向が見られた.生育や収量,品質は処理間で大きな違いはなかったが,倒伏程度は湛水区が短期落水区より大きかった.2014〜2016年に秋田県内の現地圃場2箇所で,水管理処理として,湛水後落水区 (8日湛水後3〜12日落水) と落水区 (8〜15日落水) の2水準と,対照として鉄コーティング直播区を設け (2014年を除く),苗立ちや収量等を調べた.同じ白化茎長で比較すると,所内試験と同様に落水区が湛水後落水区より苗立率が高い傾向が見られ,生育,倒伏程度,収量,品質は落水区と湛水後落水区に大きな違いは見られなかった.本栽培法は鉄コーティング直播より初期の葉齢が大きく,苗立率や収量等は同程度であった.以上より,本栽培法では播種後12日間程度落水するのがよいと考えられた.また本栽培法は鉄コーティング直播と同程度の実用性が認められた.</p>
著者
白水 晴雄 小川 留太郎 田中 信也 宮久 三千年
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.191-195, 1961

Brucite from Sasaguri occurs as foliated or fibrous aggregates, associating with calcite and yellowish serpentine. H=2.5; S.G=2.475; &omega;=1.562, &epsilon;=1.581. Chemical analysis gives: SiO<sub>2</sub> 0.33, Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 0.08, Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 1.69, MgO 64.81, MnO 1.10, H<sub>2</sub>O(-)0.39, H<sub>2</sub>O(+)31.38, total 99.78. X-ray powder data and D. T. A. curve are also given. The mineral seems to have been formed under hydrothermal condition.
著者
白石 文秀
出版者
生態工学会
雑誌
Eco-Engineering (ISSN:13470485)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.49-50, 2015-04-30 (Released:2015-05-26)
参考文献数
5
著者
白土 大成 橋本 幸成 濱田 則雄 永利 聡仁 吉田 大輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.257-261, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
20

〔目的〕急性期脳梗塞患者を対象とし,発症時の大腰筋面積が転帰に与える影響について検討した.〔対象と方法〕対象は脳梗塞発症後3日以内に入院した46例とし,退院時の転帰より自宅退院群(14例)と転院群(32例)に分類した.入院時の腹部computed tomography(CT)にて大腰筋からpsoas muscle mass index(PMI)を算出するとともに診療録より検討因子を後方視的に調査し,2群間にて比較検討した.また,多変量解析より転帰に影響する因子を抽出した.〔結果〕自宅退院の可否と関連を認めたのは,PMI,入院時National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS),入院前modified Rankin Scale(mRS),高次脳機能障害の有無であり,多変量解析ではPMI,入院時NIHSS,入院前mRSが選択された.〔結語〕脳梗塞発症時のPMIは,自宅退院の可否に関連しており,発症後早期からの転帰予測に有用な評価指標である可能性が示唆された.
著者
白楽,ロックビル
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, 2011-09-30

10年余りかけ、読売新聞の記事データベースから、明治・大正・昭和・平成時代(1874〜2009年)の136年間の「研究者の事件データベース」を作り、最近完成させた(白楽ロックビル『研究者の事件と倫理』、講談社サイエンティフィック、2011年9月出版予定)。136年間の「研究者の事件」(含・技術者)は、文系も含めた全分野で1,402件あった。直近23年間(1987〜2009年)の件数の多い順の「事件種」ランキングでは、セクハラが1位、研究費が2位、改ざんが3位だった。「研究者の事件」をおこす研究者は、「55+歳の大学医学部の男性教授」が多かった。「盗用」、「ねつ造・改ざん」を詳細に分析した。