著者
狩野 芳伸 神門 典子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.179-184, 2013-05-25
参考文献数
7

「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでは、最初の課題として大学入試センター試験の自動解答を目指している。本稿では、そのうち歴史系科目を対象とした解答器作成の試みを報告する。我が国の大学入試は、基本的に高校教科書の範囲内から出題されることになっている。しかし、人工知能が機械的に解くという観点でみると、範囲内というのは曖昧さがあるうえ、潜在的に人間の常識や知能を前提にしている。我々はあくまで教科書内の知識のみを用いるアプローチで、どこまで自動解答が可能かを試みた。歴史系科目とセンター試験の特性を鑑みて、解答にあたってはあえて論理的な構造や解析を排除し、教科書内の表現が肯定的であることを前提に単語を基本とする知識でどこまで解答可能かを探った。
著者
江草 由佳 高久 雅生 齋藤 ひとみ 寺井 仁 三輪 眞木子 神門 典子
雑誌
研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.2009-FI-95, no.20, pp.1-7, 2009-07-21

本研究では,サーチエンジンを用いた Web の情報探索行動を対象に,サーバサイドのクリックスルーログからだけでは捉えることのできない,サーチエンジンから検索結果を取得した後の探索行動を含めた全体の情報探索行動の特徴を明らかにすることを目的とし,課題の志向性や利用者の経験が与える影響について実験的な検討を行った.実験には大学学部生 11 名および大学院生 5 名が参加した.実験参加者には,世界史のレポートを作成するための情報を収集する 「Report 課題」 と,国内旅行の計画を立てるための情報を収集する 「Trip 課題」 の 2 つが与えられ,それぞれ 15 分間ずつ取り組んだ.どれくらいサーチエンジンの検索結果から離れたかを示す指標:LinkDepth を提案し,Link Depth を用いて実験参加者の Web 閲覧の特徴を示した.
著者
神門 典子 吉岡 真治 山本 岳洋 酒井 哲也 相澤 彰子 大島 裕明
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成28年度の研究実績の概要は下記の通りである。(1)ユーザの状況の捕捉と分析:探索的検索の例として、網羅的な情報探索タスク、探索中のユーザの時間認識、および、モバイル検索と音楽検索における複雑さの異なる検索タスクにおいて、ユーザ実験を行い、ログと、視線・インタビュー・アンケートなどのインタラクションデータを収集し、タスクと状況に応じた傾向を分析した。(2)ユーザの状況に応じて、ユーザを支援する技術: a) 網羅的情報探索のタスクにおいて探索を支援するクエリ推薦インターフェース、b) マルチファセット検索インタフェース、c)検索結果の多様化と多段階要約提示、d)ファセット検索の精緻化に必要な要素技術として 1) Wikipedia、DBPediaなどからのNamed Entityの属性抽出と組織化、2)文書中の非自然言語要素(数式など)へのアクセスについて、研究を進めた。上記a)は、あるクエリに対する未知の適合情報を含む度合いを、観点多様性と既知適合情報のディスカウントを考慮して定式化している。ユーザ実験の結果、既存方式よりも有効なことが示唆された。b)は、広く多様なタスクに適用可能な基盤技術の一つである。c)は、モバイル検索など、画面の小さいデバイスを用いて、探索的な検索において、特に有用である。(3)検索の基礎技術として、検索の多様化について研究を進めた。また、検索実験の規模(とくに、検索課題(topic)数)による実験結果の信頼性・妥当性を検証する方式を提案し、数学・統計学の理論に基づいて考究するとともに、多くの実例に適用して検証をすすめた。
著者
守谷 一朗 今田 貴和 宇津呂 武仁 河田 容英 神門 典子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

本論文では,検索対象に対して,検索エンジン・サジェストを通して収集され るウェブページの内容を集約・俯瞰するタスクにおいて,収集されるウェブペー ジ集合に対してトピックモデルを適用することにより話題の集約を行った結果 と,従来型の検索結果上位のスニペットとの比較を行い,トピックモデルを用 いた話題集約・俯瞰方式の有効性を評価する.
著者
大塚 淳史 関 洋平 神門 典子 佐藤 哲司
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.1-11, 2011-10-03

コミュニティ QA サイトでは,ユーザの疑問や知りたいことが自然言語で記述された質問記事として投稿されている.本論文では,Web 検索で必須な言語化された検索クエリの想起を,質問記事を提示することで支援する,クエリ拡張型 Web 検索システムを提案する.提案システムでは,検索者から入力されたキーワードと関連する質問記事を複数のカテゴリから抽出し,拡張するキーワードとともに提示するクエリ拡張を実現する.検索者は,提示された質問記事を閲覧することで,自身の情報要求を拡張の根拠として言語化された検索クエリとして確認することができる.潜在的意味インデキシングを用いてシステムを実装し,実運用されたコミュニティ QA サイトの質問記事を用いて評価を行い,提案システムによって多様なクエリ拡張と,根拠となる質問記事を提示できることを確認した.In community QA websites,huge number of questions written in natural language are posted by users. We propose a new query expansion system to support Web search users by using community QA resources. In our system, users can get diversified query candidates from questions in multiple Yahoo! chiebukuro (Yahoo! Answers) categories relevant to the search query, and will find queries relevant to their information needs by browsing question articles. We also report experimental results to extract diversified question articles with latent semantic indexing.
著者
岩山 真 藤井 敦 高野 明彦 神門 典子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.74, pp.49-56, 2001-07-24
参考文献数
1
被引用文献数
12 6

NTCIR-3において特許コーパスを用いた検索タスクを提案する。提案するタスクでは、「公開特許公報」「JAPIO妙録」「PAJ(Patent Abstracts of Japan)」などの特許コーパスを用い、「基本検索タスク」「自由タスク」の二種類のタスクを実施する。基本検索タスクは、ある製品に関する一般的な記述からそれを支える特許を検索するタスクであり、具体的には新聞記事から関連特許を検索する。自由タスクは、特許コーパスを対象に、参加者が自由に課題を設定し評価する実験的なタスクである。In NTCIR-3 workshop, we propose a new task of "Patent Retrieval Challenge" using patent corpora. The main task is "cross DB search" whose purpose is to find a set of patent documents relevant to a news paper article described on some products. We will also try an experimental task, in which participants themselves can propose, execute and evaluate their own tasks. This free-styled task intends to explore future directions of patent information processing.
著者
梶山 朋子 中丸 幸治 大野 義夫 神門 典子 佐藤真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.918-928, 2007-02-15
被引用文献数
3

本稿では,マルチメディアデータのような多次元属性情報を対象とし,初心者ユーザでも利用可能なリング状検索インタフェースConcentric Ring View F+を提案する.一般的な検索システムでは,ユーザの操作によりシステムが検索結果を出力するというクエリ中心であるため,ユーザが属性や属性の意味を直感的に把握し,最適値へ調整することは難しい.そこで我々は,ユーザが検索結果を評価することは可能であるということに着目し,検索結果中心という考えで設計した.ユーザは,検索結果から現在の状況を把握して属性や属性値を操作したり,自分の情報要求に適合している候補を選択したりすることにより検索を進める.本手法はリング状構造で,ユーザのリング操作により,リング内部の検索結果が瞬時に表示される仕組みである.有効性の検証では,本手法を用いて画像検索システムを構築し,ユーザビリティテストを行った.This paper proposes a new search interface, named Concentric Ring View F+, applying to multi-faceted information for novice users. Because general retrieval systems are queryoriented they just display retrieved results by users' operation, it is difficult for users to grasp the meaning of attributes or their values intuitively and adjust optimum values. We designed a new search interface based on a result-oriented concept because we recognized that users could evaluate retrieved results. Users can continue to search by seeing retrieved results and grasp the present conditions, operating the attributes and their value, and selecting the relevant information. This proposed interface is ring-structured and retrieved results are displayed by ring operations in real time. We constructed an image retrieval system and performed usability tests to verify its effectiveness.
著者
長塚 隆 神門 典子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.785-792, 2006

最近の10年間で,アジア・太平洋州におけるデジタルライブラリーの諸活動には明らかに進展がある。世界の主要なデジタルライブラリー国際会議のひとつである第8回アジアデジタルライブラリー国際会議(ICADL2005)が2005年12月にタイのバンコクで開催された。アジア・太平洋州におけるデジタルライブラリー研究は文化遺産,多文化や多言語間に関するデジタルライブラリー研究において,世界でもユニークな位置を占めている。本会議での発表や出版物から,アジア・太平洋州におけるデジタルライブラリー研究・開発の最新動向について,技術的および社会的な視点から検討を行った。
著者
高久 雅生 寺井 仁 江草 由佳 齋藤 ひとみ 三輪 眞木子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.181-188, 2008-05-23 (Released:2008-09-08)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

著者らは,大学生11 名を対象として,Web 情報探索行動の理解のためのユーザ実験を行った.情報探索タスクとしてInformational 指向およびTransactional 指向の探索課題を2 つ与え,それぞれ15 分間の課題遂行を行う探索実験を設定した.本稿ではとりわけ,課題遂行中の眼球運動計測装置による視線データの分析手法および予備的な分析結果について述べる.分析手法として,検索結果一覧ページに着目したものと,全探索プロセスに対してのおおまかな注視領域を設定したものとの2 つの方式を採用し,それぞれでの分析結果を報告する.
著者
吉岡 真治 劉 亦奇 神門 典子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.141-148, 2012-09-28

近年,地理情報を扱う情報システムの増加にともない,地理情報に関するデータベースへのニーズが高まっている. GeoNames は, Open Data としては,最大規模の地理情報データベースである.本データベースを Linked Open Data として Wikipedia の情報を媒介として関連づけることにより, Web Ontology の開発などに役立てられている.ただし, GeoNames と Wikipedia の間のリンクについては,自動的なリンク発見の試みがいくつか行われているものの,十分な数のリンクが付与されている状態ではない.本論文では, Wikipedia のカテゴリ情報を使うことで,精度良く Wikipedia のページに対応する GeoNames のエントリを発見する方法を提案する.また,本手法は,既存のリンク中の不適切なリンクを発見する際にも利用可能であることを示す.本手法の成果については,すでに, GeoNames の管理者に報告しており,その成果の一部は, GeoNames 中のリンク情報として公開・修正が行われている.Recently, due to the higher demand for geographic information system, it is necessary to have a good geographical database for such systems. GeoNames is one of the largest geographical database as Open Data. This database is also used for constructing web ontology by adding links to the Wikipedia page as a part of Linked Open Data. Even though, here are several attempts to find links automatically, the number of links between GeoNames and Wikipedia is not sufficient. In this paper, we propose an automatic link discovery method to use Wikipedia categories to identify the correspondence between Wikipedia page and GeoNames entry. We also propose to use this method for inappropriate link detection. Link data obtained in this paper is already sent to the manager of GeoNames and a part of the result is used for updating the site.
著者
石川 大介 酒井 哲也 関 洋平 栗山 和子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.1109070033, (Released:2011-09-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

コミュニティ型質問応答サイト(CQA)は,ユーザが自身の状況に応じた情報を得ることができる新たな手段である.しかし投稿された回答の質は様々であるため,その中から良質な回答を選択する方法が求められている.そこで本研究は,まず Yahoo!知恵袋データにおける良質回答を人手で分析し,その結果に基づいて良質回答自動予測システムを構築した.具体的には,「恋愛相談」「パソコン」「一般教養」「政治」の4つのカテゴリからそれぞれ無作為に50問の質問を抽出し,判定者2名によって手作業で良質回答を決定した.次に,その結果を分析し,良質回答の特徴として「詳しさ」「根拠」「丁寧さ」に基づく機械学習システムを構築した.機械学習システムの評価結果は,「パソコン」と「一般教養」カテゴリでは判定者らを上回った.「恋愛相談」と「政治」カテゴリでは,機械学習システムの評価結果は判定者らとほぼ同じであった.以上の結果から,CQAアーカイブから自動的に良質回答を発見するシステムの可能性が示唆される.
著者
神門 典子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、探索・学習などの「探索的検索(Exploratoly Search)」の過程を支援する多次元ファセット検索のプロトタイプシステムMew(Multi-faceted Exploratoly search system for Web resources)を、メタデータや特定の分類体系を想定しない大規模なコンテンツ集合の検索に適用することである。今年度は、a)探索における利用者の認知過程を調べるとともに、b)あらかじめメタデータが付与されていないコンテンツへのファセット検索を適用するための手法の精緻化、c)画面インタフェースの改善、d)検索エンジンの改良について研究をすすめた。Mewの特徴は、トピック、時間、空間、データの種類などの多次元ディレクトリとコンテンツの内容とベストマッチ検索を組み合わせ、(1)ナビゲートnavigate, (2)ビューview, (3)サーチsearchをシームレスに、繰り返しできることである。ディレクトリをたどる「ナビゲート」は、検索語を思いつかない場合や不慣れな分野の探索を支援する。「ビュー」は検索結果を運ディレクトリのクラスに分類して表示し、検索結果を多側面から分類し、関心の明確化、比較、分析などを支援する。「サーチ」は任意の検索語や文、ディレクトリのクラスラベルをキーとできる。Mewでは、また、検索結果に適応して、下位分類や探索プランに相当する「視点」を、自動表示する。これは、利用者に1)検索ニーズの具体化、分析視点や追加検索語の提案、想定外の関係への「気づき」を促し、2)探索の指針など探索を導くメタ認知を与える。たとえば、食べ物なら、料理法、季節、産地や入手法、栄養など ; 旅行を計画するなら、行き先、気候、見所、費用、飛行機・列車、ホテル予約など ; ビジネス戦略を考えるなら、シード、市場ニーズ、コスト、他社競合、利益予測など、というように各トピックに応じたサブカテゴリが「視点」として提示され、検索結果を整理したり、探索すべき方向を示唆する。認知実験では、利用者がこのような視点を想起できるかどうかがExpertiseと深くかかわっていることが示唆された。
著者
難波 英嗣 神門 典子 奥村 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.2640-2649, 2001-11-15
被引用文献数
13

本稿では,論文間の参照・被参照関係,および参照の理由を考慮し,関連論文を 組織化する手法について述べる.これまで,引用分析研究の分野で,論文間の 参照・被参照関係に着目した関連論文を組織化する手法がいくつか提案されて きた.これらの手法はすべての参照を等価に扱っているが,実際には様々な参 照の理由が存在するため,既存の手法では必ずしも論文間の類似度を適切に評 価できない.そこで,本研究では2論文間で同一論文をともに参照しており,かつ それらの参照の理由が一致している結合のみを数えるという方法で,2論文間の 類似度を測る.この手法により,ノイズとなる結合を削減でき,また,従来の 引用分析手法と比べ,精度の向上が期待できる.提案手法の有効性を調べるた めに,実験を行った.実験では,提案手法,引用分析の代表的な手法である書 誌結合,語の共出現を用いたより一般的な組織化の手法(ベクトル空間型モデル) を,精度,フォールアウト,計算コストという3つの側面から比較した.その 結果,提案手法が精度,フォールアウトによる評価で最も優れ,また,計算コ ストの面でも十分に速い速度で論文を組織化できることが分かった.In this paper, we propose a method for classification of research papers using citation links and citation types that indicate the reasons for citations. Several methods has been proposed for classification of papers using citation links in citation analysis. However, most of them treats all citations equally. We therefore refine citation analysis by taking account of citation types. Our method measures similarity between papers by counting the couplings of the same citation types. We compared our method with bibliographic coupling that is a kind of citation analysis and some word-based approaches (vector space model) using precision, fallout, and computational cost. The results of our experiments showed that our method is more effective than other methods.