著者
渡辺 美穂 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.3, pp.535-540, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6
被引用文献数
2

仕事に向かう人,お気に入りのCDショップに向かう人,恋人と手をつないで歩く人. 遅刻しそうな時,初めての場所を訪れた時,疲れている時.歩く速さはそれぞれ異なるはずだ.街には様々な人が織り成す様々な速度が溢れている.そしてそれらの速度が集まることでその場所の速度―空間速度―が生まれる.従来の都市においては空間速度の違いを考慮した空間設計はあまり為されてこなかった.また,近年の複雑・高速化し続ける交通体系において,基本交通手段である歩行の挙動解明の重要さが見直されている.そこで本研究では,GPS搭載の携帯電話を用いたプローブパーソン技術により歩行者の行動文脈の流れに沿ってデータを蓄積する,従来の歩行者研究とは異なる手法を用いて, 個人間・個人内の歩行速度を分析し,空間速度を明らかにすることにより,空間速度を考慮した空間デザインの一手法を提案する.
著者
小川 瑞貴 羽藤 英二 石井 健太
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1351-1358, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
11

本論文では,歩行者行動に着目し,Origin-Destination交通分布と経路選択パラメータを同時に推定する手法の構築を試みる.目的関数に対しては,情報幾何学の観点から,収束解の一意性を保証する推定アルゴリズムを提案する.提案した手法に基づき,実測データを用いた推定を行った.また,旅行者の期待効用などの定量的な観点から,都市機能のネットワークデザイン問題を代理モデルによって高速化することを試みる.ネットワークデザイン問題は,解集合が離散的であり,割り当てが再帰的ロジットモデルによって計算されるため,膨大な計算コストがかかる.そこでネットワークと目的関数値の教師データを用いて、フィードフォワード・ニューラルネットワークを学習することで、高速化した枠組みを提案する。
著者
小関 玲奈 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.595-602, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
25
被引用文献数
3

東日本大震災後には広域に及ぶ人口移動が発生した.人口減少下にある地方都市を襲う巨大災害の後に,人口移動がどのようなメカニズムで生じるのかを明らかにし,多様な支援と人口移動を前提として復興需要を予測する枠組みを検討する必要がある.そこで本研究は,災害後の人口移動予測に向け,不確実性下における,被災者の動的な意思決定を記述するため,DRLモデルを適用した動的居住地選択モデルを提案する.東日本大震災から10年間の居住履歴に関する実データによって提案モデルの実証分析を行い,復興事業等の政策的要因や都市構造といった環境要因の影響評価への応用可能性を確認した.復興事業等の政策的な効果を説明する変数の取り込みや居住地選択肢のサンプリングにおける時系列的な異質性を考慮したモデルに発展させることが,今後の展望である.
著者
小林 里瑳 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1245-1252, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では,近代地方都市における界隈形成のメカニズム解明に向けて,土地所有形態選択問題として統計的モデルを用いた全く新たな都市形成史分析手法の提案を試みた.モデル構築において,所有筆=土地とその所有形態の同時選択確率を記述可能なCNL型の離散選択モデルを提案し,所有形態の選択に関して地主の態度の異質性を仮定した潜在クラスモデルを導入した.パラメータ推定には,隠れ変数を含む選択確率の対数尤度関数最大化問題の求解に適していることから、機械学習の代表的な手法の一つであるEMアルゴリズムを用いた.道後温泉本館周辺を対象に,旧土地台帳と付属図という近代史料をモデル推定可能な形式に変換する方法提案を行い,集積や継承,撤退といった近代地方都市の土地所有の変容の実態解析が可能なデータベース構築に成功した.さらに,非集計分析と提案したモデルを用いてパラメータ推定を行うことで,近代地方都市の地主の土地所有形態の選択に異質性があり,時間の経過とともに地租や立地条件といった要因が土地所有形態の選択に及ぼす影響が大きく変容していることを統計的に示すことができた.
著者
大山 雄己 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.643-648, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1

近年、都市縮退や健康、環境保護の流れの中で歩行者を中心とした街路空間の再配分の動きが見られるように、歩行者にとって快適な街路空間を整備する必要性が高まっている。本研究ではこのような背景のもと、渋谷を対象として、街路空間が歩行者の経路選択行動に及ぼす影響を分析した。プローブパーソンデータを用いることでミクロな歩行者行動を分析し、街路レベルでの歩行者の行動様式を把握した。また、街路景観や微視的な構成要素を考慮した経路選択モデルの構築によって街路の空間特性と歩行者の経路選択行動との関係性の把握を試みた。その際、従来の研究では考慮されていなかった説明変数同士の多重共線性を考慮し、街路空間指標を集約化し、類型化した街路景観パタンをダミー変数として用いてモデルの推定を行った。その結果、相関のある構成要素同士を除いたモデルと同程度の精度が得られた。また、推定結果からは街路景観や微視的な要素、そして類似景観の連続性が歩行者の経路選択行動に影響を与えていることを確認した。特に歩行者が類似した景観の街路を選択する傾向からは、街路をネットワーク全体から見て戦略的に整備する重要性と、整備への知見を得た。
著者
小野 悠 尾﨑 信 片岡 由香 羽鳥 剛史 羽藤 英二
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.84, no.755, pp.167-177, 2019 (Released:2019-01-30)
参考文献数
10

The Urban Design Centers (UDCs) in Japan are practical urban design platforms for public–private–academic collaboration with three characteristics: space planning by collaboration, initiatives of experts, and a hub facility open to all people. This paper explores possibilities and challenges for UDCs in built-up areas in major provincial cities, through the UDC Matsuyama (UDCM) case-study. UDCM was established in 2014 to revitalize Matsuyama City center. Interviews of people involved in UDCM, literature surveys, and participant observations were performed. Investigations showed the following achievements and problems of UDCM. (1) Space planning by collaboration ·The double-tiered systems - a governing organization as a collaboration hub and an executing organization - enables experts to engage and collaborate in various field activities. Money management by the university counteracts the funders' influence. ·To create an appealing urban space, UDCM participates in urban renewal projects in a variety of ways. Shortly after its establishment, UDCM participated in the conventional project planning process, using connections with local government. Once UDCM's performance became known, private enterprises and local organizations directly contacted UDCM for consultation and project support. (2) Initiatives of experts ·It was necessary for UDCM to formulate a vision for the city to share with many stakeholders and to position its role. However, during start-up, UDCM relinquished this formulating vision for two reasons: it was difficult for a new vision to be consistent with existing plans if positioned within the planning framework of local government; and, if positioned as UDCM's own, it risked being unsupported because UDCM initially had no performance record. Following better understanding of UDCM's role and effect, discussions restarted in the third year toward producing a vision for the city. ·UDCM achieves a balance between specialized and local knowledge, and between practical and research power, using experts in many fields including academics with specialized knowledge and skills, retired local government employees with broad human resources and local knowledge, and private experts with rich field experience. ·Human resource development is critical in provincial cities experiencing a continuing drain of young people to large cities. UDCM enhances the community's power through a variety of programs. (3) Hub facility open to all ·Establishing rules for use and operation of the facility through lively and engaging discussions with residents, within the pilot program framsework, enabled organized operation of the facility in the city center where many stakeholders are present. ·The hub facility is used in different ways according to citizens' needs: a place to rest for people with little interest in urban design; and, for people with an active interest, to provide relevant information for beginners and to hold events and participate in human resource development. The UDCM case-study demonstrated three important points in adopting UDCs in built-up areas in major provincial cities, which have complex relationship among numerous stakeholders. ·Produce a visible result by flexibly participating in public and private urban renewal projects in a variety of ways under the organizational structure by public–private–academic collaboration. ·Formulate a vision for the city to share with many stakeholders, and move into action to realize it, in cooperation with citizens and experts in many fields inside and outside the city. ·Establish rules for use and operation of the hub facility through discussions with neighbors.
著者
渡辺 美穂 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.535-540, 2007-10-25
参考文献数
6
被引用文献数
5 2

仕事に向かう人,お気に入りのCDショップに向かう人,恋人と手をつないで歩く人. 遅刻しそうな時,初めての場所を訪れた時,疲れている時.歩く速さはそれぞれ異なるはずだ.街には様々な人が織り成す様々な速度が溢れている.そしてそれらの速度が集まることでその場所の速度―空間速度―が生まれる.従来の都市においては空間速度の違いを考慮した空間設計はあまり為されてこなかった.また,近年の複雑・高速化し続ける交通体系において,基本交通手段である歩行の挙動解明の重要さが見直されている.そこで本研究では,GPS搭載の携帯電話を用いたプローブパーソン技術により歩行者の行動文脈の流れに沿ってデータを蓄積する,従来の歩行者研究とは異なる手法を用いて, 個人間・個人内の歩行速度を分析し,空間速度を明らかにすることにより,空間速度を考慮した空間デザインの一手法を提案する.
著者
浦田 淳司 羽藤 英二
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.1-10, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
33

東日本大震災における避難時の課題として,多くの避難行動要支援者に被害が生じたこと,同時に支援送迎者側も被災してしまったことがある.避難開始への他者の影響や職住地の分離を考えれば,こうした支援送迎行動の全てを止めることは有効とはいえず,また現実的ではない.そこで,本研究では,送迎避難交通の動的制御モデルとその求解方法を提案する.支援による避難促進の正の影響と渋滞増大による避難遅れの負の影響の双方を評価した上で,被災リスクが最小となる動的制御を検討する.また,最適動的制御導出にかかる計算コストの抑制のため,将来予測を利用しない逐次・演繹的な決定方法を提案する.最後に,数値計算により送迎避難とその制御の導入によるリスク低減の効果を例示する.
著者
小林 里瑳 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.251-258, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
28

本研究は,土地所有履歴を時間と空間両スケールで集約化し分析することによる,地域における新陳代謝メカニズムと空間変容の相互作用への理解を目的としている.研究を通じて以下の点を明らかにした.1)土地の所有形態分布はランクサイズルールに従い,寡占地主は分散して所有していた土地を取引を通じて集約する一方で,多くの地主が短期的所有を行なっている.2)寡占地主の土地再配分が地域の公共事業と関連し,地域の特徴的な空間を形成している.3)地割の変化しない街区がある一方で地割の大きく変化した街区が以降の土地利用に影響を与えている.
著者
吉野 大介 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.802-809, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
11

公共交通サービスの提供がビジネスとして成立しない地区においては,公的主体により公共交通の整備を行う必要がある場面が見受けられる.その財源として税が投入される場合,社会的合意を得る必要があり,その際には公的負担の上限を鑑み,最も効率的に活動機会の均等化(公平性)が図られる施策を選定する必要がある.このような課題に対するひとつのアプローチとして公共交通需要の顕在化率をもとに施策展開の優先順位を検討する方法があり,包絡分析法を用いた評価手法が先行研究により開発されている.しかしながら,既往の評価手法は静的モデルであり,施策導入前後のwith-without評価に適用することが難しかった.そのため,本研究において包絡分析法とMalmquist指数の組み合わせにより評価モデルの動学化を図った.開発モデルについてはケーススタディの中でその適用可能性を検証し,将来趨勢シナリオではベンチマークとなる地区における需要の顕在化が図られる一方,ベンチマーク地区とそれ以外の地区の格差が広がることから,ベンチマークへの近接を促す施策の導入が必要であることが確認された.
著者
大山 雄己 羽藤 英二
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.1-10, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
21

既存の経路選択モデルは,ドライバーが直接的な経験を通じてネットワークに対する空間的知識を獲得していることを前提とし,大域的な経路の評価・選択をモデル化する.しかし災害時のネットワークにおいては,ドライバーは経験や情報を持たず,先読みを伴う近視眼的な判断が重要となる.こうした意思決 定の動学性を記述するため,空間割引率の概念を導入した一般化 RL(Recursive Logit) モデルを提案し た.数値計算では,空間割引率が経路選択行動の評価に与える影響だけでなく,本モデルが特殊ケースとして既存モデルの結果を含むことを示した.さらに,東日本大震災時の首都圏のデータを用いたパラメータ推定を行い,日常時のデータと比較した.結果として,災害時には近視眼的な意思決定が重視され,また経路選択メカニズムが動的に変化したことを明らかにした.
著者
羽藤 英二
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.13-27, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
81
被引用文献数
1 1

本稿では, ネットワーク上の行動原理とモデルを整理した上で, 今後の研究の方向性を展望してみたい. 交通行動モデル発展の経緯を整理した上で, 行動モデルとネットワークモデルの理論的整合性に留意して, 均衡配分理論の定式化と, 最適性条件, ローディングアルゴリズムをレビューする. 従来のモデルを下敷きに, 新たなモデルの枠組み構築に向けた課題と展望について触れる.
著者
西出 和彦 大月 敏雄 大方 潤一郎 小泉 秀樹 羽藤 英二 岡本 和彦 廣瀬 雄一 佐藤 由美
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

『超高齢社会に対応した地域建築機能再配置型都市再編システムの社会実験を通した構築』では、さまざまな居住環境を有し日本における多様な都市環境の縮図ともいえる千葉県柏市を主たる研究対象として、各種別の建物が果たす社会的性能を緻密な実態調査を通して抽出し、地域建築機能再配置型都市再編システムを具体化し、社会実験を通して超高齢社会対応型の新たな都市再編システムの構築を目指した。本研究の結果、公共空間には、近隣居住者同志が自然と地域を支えるコミュニティや居場所づくりの重要性が明らかになった。今後の高齢社会の問題を解決するためには、社会学・医学・リハビリ学など分野横断的な取り組みが必要となる。
著者
羽藤 英二 朝倉 康夫 山本 俊行 森川 高行 河野 浩之 倉内 慎也 張 峻屹 高見 淳史 井料 隆雅 佐々木 邦明 井上 亮
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

プローブ技術を援用したデータフュージョン理論による総合的行動調査の高度化に向けて、1)行動文脈の自動識別アルゴリズムの開発、2)プローブデータを基本とした交通調査・管制システムの開発、3)これらを組み込んだモビリティサービスの実装研究を行ってきた。時系列に同一個人の行動データの蓄積が可能なプローブ技術を用いた総合的行動調査の可能性を示すと同時に、様々な交通施策評価や交通管制の効率化に向けたプローブ技術とデータフュージョン理論の可能性を明らかにすることができた。特にセンサー情報を利用した行動判別アルゴリズムでSVMにAdaboostアルゴリズムを組み合わせることで、大幅な精度向上が可能になり、加速度センサーを有するスマートフォンによって95%以上の確率で交通行動の自動収集判別を可能にすることに成功した.こうした技術とPT調査を組み合わせた総合的な調査プラットフォームを構成することで,従前のワンショット型の交通調査からAlltheyear型の交通調査への移行と,総合的調査技術を用いた交通計画の可能性を示した.
著者
朝倉 康夫 羽藤 英二 井料 隆雅 多々納 裕一 長江 剛志 赤松 隆 吉井 稔雄 山本 俊行 中山 晶一朗
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

情報通信技術の高度化に伴い,GPS,携帯電話,PHS などの移動体通信システムの利用者数は飛躍的に増加しつつある.移動体通信による位置特定機能を用いると,機器を携帯する個々のヒトの位置特定が可能であり,過去数年の間に移動体通信機器を利用した交通行動調査手法が数多く提案されてきている.移動体通信を利用したヒトの交通行動の観測と分析手法については,1998 年に研究代表者らがITS 世界会議で発表した論文を皮切りに国内外で研究が進められている.国内ではプローブ車両による道路交通流の観測に代表されるように,実務面でも移動体観測への関心が高まっている.しかしながらこれに関連する既往研究のほとんどは平常時の交通行動を対象としたものであり,災害時を想定した観測システムの開発や分析手法に関する研究は見られない.一方,災害時の交通ネットワークのリスク評価に関しては,多様なアプローチから研究されてきているが,災害時の交通行動に関する実証データを得ることが困難であるために,実際の交通ネットワークを対象としたリスク評価研究の蓄積は必ずしも十分ではない.移動体通信機器を応用して災害時の交通行動を,災害を模した状況において実証的に把握することは,災害時の交通ネットワークのリスク評価の信頼性をより高め,また,より精緻な場面への応用ができるようになることが期待されよう.