著者
村尾 俊道 藤井 聡 中川 大 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.103-108, 2009-10-25
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究では、京都都市圏での通勤交通における課題を明らかにするとともに、京都府での実際のプロジェクトを紹介することを通じ、職場MMの実行過程に着目し成功要因や課題を整理する。その結果、実施に至る準備段階においての関係者間の合意、組織の意思形成が重要であることを明らかにするとともに職場MM成功のための知見を提供した。これは、今後、職場MMを他地域で展開される際に極めて有益な知見となる。
著者
谷口 綾子 浅見 知秀 藤井 聡 石田 東生
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.441-448, 2009 (Released:2009-11-20)
参考文献数
10

効率的な都市構造「コンパクトシティ」を実現するためには,土地利用規制とともに,人々の居住地を公共交通機関の近くに誘導する施策が不可欠である.本研究ではこうした認識の下,平成20年4月に転居予定の筑波大学の学生を対象に,居住地選択のための探索行動を行うであろう平成19年11月から平成20年3月の期間に,一般的な住宅情報とともにバス停位置の情報を提供するというコミュニケーションを実施し,これによりバス停近くの居住地選択を促すことが可能か否かを実証的に検証した.その結果,バス停位置を強調した情報を提供した群は,バス停を強調しない情報を提供した群よりも,バス停近くのアパートを選択する傾向が2倍程度高いという結果が示された.
著者
竹村 和久 坂上 貴之 藤井 聡 西條 辰義 高橋 英彦 南本 敬史
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、意思決定の微視的過程を、心理実験、社会調査、行動観察、計量心理学モデリングを用いて検討することを主目的とした。本研究は、眼球運動測定装置や社会調査法を用いて、選択の反復が選好形成に及ぼす効果を検討した。選択過程の眼球運動解析の結果は、ゲーズカスケード効果とは異なる過程を示した。本研究の結果は、自動的な選択の反復によって選好形成がなされることを示唆した。また、社会調査の結果は、時間経過とともに、選ばれた選択肢の優れた属性への重みづけは増加し、選ばれた選択肢の劣った属性への重みづけは減少した。この研究結果は、選択が選好を形成する因果関係を示唆しており、一般に意思決定研究で仮定されている知見とは逆の知見を示唆した。最後に、本研究では、社会的状況における意思決定過程のいくつかの性質を明らかにし、リスク下と不確実性下での意思決定の統一的な心理計量モデルを提唱し、さらに、得られた知見の社会科学への意義についての議論を行った。本研究の成果として、意思決定のマクロ分析についてのいくつかのワークショップを開催し、論文、書籍などを公刊した。
著者
佐々木 寛 藤井 聡
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題は、睡眠中の記憶の固定および消去を司る神経基盤の解明を目的とする。研究に用いた記憶課題は漢字二文字からなる単語の記銘課題と再認課題からなり、再認課題は記銘課題直後と24時間後に実施した。被験者は記銘課題と24時間後再認課題の間に7時間の睡眠をとった。記銘課題では、100個の単語を被験者は記憶した。再認課題では、記銘課題中に提示された単語のほかに新たな単語50個が提示され、被験者は単語が記銘課題中に提示されたものかどうかをボタンで回答した。記銘課題および再認課題時の脳活動を機能的MRIにより計測した。記銘課題遂行中の脳活動について、再認できた単語の記銘に関わる脳活動を、直後再認によるものと24時間後再認によるものとで解析し比較した。その結果、直後再認でも24時間後再認でも再認できた単語に有意な活動が認められた領域として、右海馬、背側の下前頭回が同定された。また、直後再認で再認できた単語に有意な活動が認められず、24時間後再認で再認できた単語に有意な活動が認められた領域として左上前頭回、左中前頭回、腹側の下前頭回、左中側頭回、左右中後頭回、左舌上回、右海馬傍回が同定された。これらの結果から、「弱い記憶」の記銘には海馬および背側の下前頭回を含む領域の活動が本質的であるのに対し、それを「強い記憶」として固定するためには、それらの領域ほかに左上前頭回、左中前頭回、腹側下前頭回ほかの領域の活動が重要であると考えられた。24時間後再認時に正しく再認できたときの脳活動部位として両側海馬が同定された。この領域の活動の強さの解析から、活動の強さと睡眠の構造とに関係があることが示唆された。この結果から、睡眠により記憶の固定が起こり、その状態を再認時の脳活動として検出できることを示唆すると共に、Squireによる記憶の固定に関わる海馬-皮質系記憶システムの説を支持するものと考えられた。
著者
相原 威 酒井 裕 藤井 聡 塚田 稔
出版者
玉川大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

脳内の外界モデル形成には, 外界からのボトムアップ(感覚)情報だけでなく, 注意や情動などによる広範囲調節系と呼ばれる内因性の情報も融合する必要がある。 海馬や皮質などの神経回路への調節系の信号は, 集中時などに内在性アセチルコリン(Ach)として放出され, 記憶に関与するとの報告がある。 そこで、本研究はボトムアップ入力の統合に対するAChによる修飾を細胞およびネットワークレベルの実験により検証を行った
著者
藤井 聡 竹村 和久
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.9-17, 2001 (Released:2009-04-07)
参考文献数
21
被引用文献数
11 23 4

Identical decision problems in form may yield different decisions, depending on the subjective decision framing as a function of how the situation is described. This is called the framing effect. The Contingent Focus Model (Takemura, 1994) can theoretically explain why the framing effect emerges. The model hypothesizes that a risk attitude depends on how to focus on the possible outcome (focusing hypothesis), and how to focus on them is, in turn, contingent on situations of decision making (contingent focus hypothesis). To test this hypothesis, we conducted 2 experiments which manipulated the relative size of letters of outcomes to the other letters (n=180, respectively). The results indicated that the subjects were more risk-taking when possible outcomes were emphasizing than those when probabilities were emphasizing. The psychometric analysis using the model indicated that the size of effect of emphasizing conditions on decision making is not different from that of positive/negative frame conditions.
著者
藤井 聡 谷口 綾子 羽鳥 剛史
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,従前までに実施してきた社会実験的MMを継続的に実施するとともに,現地ヒアリング調査等を通じて,これらのMMの長期的効果を含む,様々な効果を測定した.そして,そこで得られた知見を踏まえて,今後,本格的な大規模MMを,我が国の実際の行政で行っていくことを目指して,これまでよりもより大規模(数千〜1万世帯程度)な世帯を対象とした社会実験的MMを実際に推進し,本格的なMMの実務的展開に向けての課題やMM施策の効果を検証した.その結果,MM施策実施後,渋滞緩和効果や態度変容効果が確認されたいくつかの事例において,その効果が継続的に持続していることが示され,MMの長期的効果が認められた.また,複数の手法を同時に用いた本格的MMを実施し,公共交通の利用者数増加や道路交通の変化などの効果を定量的に検証したところ,対象地域においてMM実施による集計的な効果が確認された.そして,複数種類のMM施策の効果を比較分析することによって,それぞれの施策の相対的な効果や特質を把握することができ,MMの実務的展開に資する知見を得ることが出来た.また,大規模MMの効果を検証するため,50万世帯に配布されている地域新聞を活用し,読者に「かしこいクルマの使い方」を呼びかけると共に,TFPへの参加を呼びかける大規模なMMを実施した.その結果,メディアを通じたコミュニケーションのみでも,読者の態度・行動変容を見込めることが示された.さらに,本取り組みの費用対効果について検討したところ,一定の費用対効果が見込めることが示された.
著者
鈴木 春菜 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.190-200, 2008 (Released:2008-04-21)
参考文献数
23
被引用文献数
5 4 6

人々の当該地域に対する地域愛着(place attachment)は,まちづくりや景観保全,地域防災,地域のコミュニティ維持などにおいて重要な役割を担う心的要因であることがかねてより指摘されている.一方,日常生活様式が地域愛着に影響を及ぼしている可能性が指摘されているが,その検証が十分になされているとは言い難い.本研究では,都市計画・土木計画にも依存して変化し得る消費行動に着目し,消費行動によって地域風土との接触に差異が生じ,地域愛着の醸成に影響が及ぼされるとの仮説を措定した.心理調査を実施し,分析を行った結果,消費行動が買い物中のコミュニケーションや居住する地域への愛着の程度に影響を及ぼし,買い物中の地域との接触の程度が多い人ほど地域への愛着が高いことを示した.
著者
藤井 聡 吉川 肇子 竹村 和久
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.399-405, 2004
被引用文献数
1 2

本論文では、東電シュラウド問題が発覚する以前と以後の首都圏に住む成人男女の意識調査の結果を報告した前報 (藤井・吉川・竹村, 2003) に続き、1年後に再度調査した結果を含めて分析し、この3時点での人びとの意識の変化を検討する. 分析の結果, 事件直後において原子力発電のリスクに対する危険意識や恐怖感が上昇し, その一方で, 原子力発電の安全管理に対する信頼が低下していること, そして, 1年の経過に伴って僅かな信頼の回復が見られたものの, 依然として低下した信頼は低下したままの水準を保っていることが明らかにされた.