著者
西井 淳
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.8-12, 2004-02-01
被引用文献数
1 2

ウマなど多くの多足歩行動物が移動速度に応じて歩容を変化させることは古くから多くの研究者の注意をひき,観察に基づく詳細な分類が行われて来た.一方で歩容が変化する理由についても多くの議論がなされながら,十分な説明はなされてこなかった.歩容の遷移の他にも,移動速度の変化に伴った脚の運動周期の変化等,多くの多足歩行パターンの特徴が様々な動物に共通に観察されている.このことは多足歩行パターンの選択において動物によらない共通の戦略が存在することを意味する.本稿では,多くの動物に共通に観察される多足歩行パターンの特徴を紹介し,それらが消費エネルギーの最小化という基準によって説明しうることを解説する.
著者
岡部 繁男 田中 慎二 岩崎 広英 根東 覚 西井 清雅
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

PALM(あるいはSTORM)法は一分子蛍光の検出を利用した高解像度光学顕微鏡法である。一個のシナプス後肥厚部(PSD)は直径500nm 以下の微細なディスク状構造であり、PALM 法によりその内部構造を捉えることが可能である。本研究では、蛍光蛋白質で標識されたPSDおよびスパインについて、PALM 法を用いてその内部の分子分布を検出した。更にシナプスの発達の過程とシナプス可塑性が起こった後のPSD内の分子分布の変化を同定することに成功した。
著者
清水 邦夫 柏木 宣久 栗原 考次 西井 龍映 福地 一 金藤 浩司 大西 俊郎 甫喜本 司 甫喜本 司
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

大気中の窒素酸化物や水中の酸素等の時間的・空間的濃度分布を知ることは環境を理解する上で重要と考えられます。また、鳥の飛翔行動や森林の更新の理解は生態系を把握する上で大切です。本課題では、データに基づいて環境・生態を理解するにはどのように数理的モデルを構成すればよいのかについて研究を行い、環境・生態に関係する実データの統計的解析も合わせて行いました。
著者
西井 匠
出版者
中京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は自転車のサスペンションが中高齢者の走行安定性におよぼす影響を明らかにすることであった。実験ではサスペンションの有無を設定できるシティサイクルを用い、歩道走行を想定した段差(3cm, 5cm)を乗り越えさせた。その結果、サスペンションなし条件では最大で約12Gの衝撃があったが、サスペンション設定によって6〜63%の衝撃緩和効果があった。その衝撃吸収効果により、ハンドル操作に関係する筋を過度に緊張させない効果もあった。
著者
近藤 勝直 西井 和夫 衣笠 達夫 長峰 太郎
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

1.各種公益サービス事業の価格・組織制度の理論的整理:事業形態およびサービスの質,公共財と私的財の性格,そして事業展開エリア(国,文化)等の違いにより価格制度が異なる.また事業の目的関数(利益最大か収支均等か)によっても違いがある.本研究ではこれら各種の道路料金理論について総括的にレビューした.日本の高速道路の場合は基本的には公設公営であり,償還制度の元で価格(料金)が設定されるが,国際的にはバライエティがある.ただ,償還に用地費や建設費や資本費を含めると,償還後に矛盾が露呈する.これらを償還からはずしたとき料金水準はいくらになるか,またいくらにすればよいのかについて慎重な検討が必要である.本研究では,建設主体,資金提供者,運営主体,さらに建設後あるいは供用開始後一定期間後の移管,等々の形態についても考察した.2.新しい理念下での価格づけ:料金改定がままならない現在,かといって価格が低いと潜在需要が顕在化し「高速道路」はなくなる.では高速サービスを維持してゆくための水準を求めるために混雑料金や環境税の概念も導入する必要がある.そして,その理念が公共的であれば公的助成が正当化される.しかし高速サービスはあくまでも私的財であるので受益者負担原則が適用される.ここではTDMの観点からいくつかのプライシングについて理論的検討と計算による効果について検証した.(計算例については機会を見て公表の予定である.)
著者
西井 良典
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.ジクロロシクロプロパンの2つのC-Cl結合の連続的高立体選択的変換反応の開発a)ジクロロシクロプロパンの高立体選択的ラジカル的アシル化反応b)1-クロロシクロプロパンカルボン酸エステルのReformatsky型C-C結合形成反応ジブロモシクロプロパンのC-Br結合のC-C結合への変換は数多く報告されているが,C-Brよりも強固なジクロロシクロプロパンの2つのC-CI結合のC-C結合への変換は報告されていない。昨年度,a)ジクロロシクロプロパンの高立体選択的ラジカル的アシル化反応を見出した(Org.Lett.2007,9,563.)。1段階目のC-Cl結合のアシル化反応である。さらなる展開として,この反応の生成物を用いて,2段階目のC-Cl結合の変換反応としてSml_2を用いる高立体選択的なReformatsky型C-C結合形成反応を見出した(投稿準備中)。これらの反応により,初めてジクロロシクロプロパンの2つのC-Cl結合のC-C結合への変換することができるようになった。2.光学活性ジクロロシクロプロパンカルボン酸の不斉アミンを用いる光学分割法および光学活性アルコールとのエステルとしジアステオマ-をカラムで単離し,光学活性ジクロロシクロプロパンカルボン酸に変換する分割法を見出した(Org.Biomol.Chem.2008,6,540-547.)。3.ジクロロシクロプロピルケトンの環拡大反応を用いる非対称多置換チオフエン類の合成と応用:昨年度,見出したシクロプロパン環開裂および脱HClを伴う非対称多置換チオフェン環形成反応を応用し,β-アミロイド捕捉類縁体とされる非対称多置換2,5-ジアリールチオフエン類の合成を達成した。特に3,4位に置換基を有する10種類の2,5-ジアリールチオフェン誘導体を合成した(投稿準備中)。
著者
安藤 仁介 岩沢 雄司 金 東勲 西井 正弘 薬師寺 公夫 坂元 茂樹 村上 正直 小畑 郁 中井 伊都子 徳川 信治 北村 泰三 初川 満
出版者
(財)世界人権問題研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」の自由権規約委員会は、締約国の提出する政府報告を審査し、勧告を含む総括所見を採択して、そのフォローアップを求める慣行を確立した。本研究は、各締約国が、これらの勧告を受け入れているかいないか、また、各国に固有の文化的・社会的・宗教的構造が、それにどのように影響を与えるかを比較検討し、自由権規約の保障する人権を実現するためには、どのような課題が存在するかを分析した。
著者
荒川 文男 山田 哲也 岡田 崇 石川 誠 近藤 雄樹 小沢 基一 兒玉 征之 西井 修 服部 俊洋 亀井 達也 西本 順一 吉岡 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.125-133, 2005-02-01

近年, 携帯電話, ディジタルカメラ(DSC/DVC), カーナビ等のディジタル家電向けの組込みプロセッサ市場が急成長している.組込みプロセッサはコストと消費電力の厳しい制約の中で高い性能を達成しなければならない.また, 様々な機器の様々な要求にこたえる柔軟性をもたせることも重要である.本論文では, こうした背景のもとで開発したSuperHアーキテクチャの最新プロセッサコアSH-Xを紹介する.SH-Xは低電力版では360MIPS, 80mW, 4500MIPS/Wという高い電力性能比を達成し, 標準版では400MHz, 720MIPS, 2.8GFLOPS, 36Mポリゴン/秒を達成している.更に, 待機時リーク電流は, スタンバイ前の状態に3msで高速復帰できるリジュームスタンバイモードで100mA, リセットから再起動するUスタンバイモードで10mAと低く抑えている.
著者
江口 研二 足立 秀治 池田 徳彦 柿沼 龍太郎 金子 昌弘 楠 洋子 佐川 元保 鈴木 隆一郎 早田 宏 祖父江 友孝 曽根 脩輔 高橋 里美 塚田 裕子 中川 徹 中林 武仁 中山 富雄 西井 研治 西山 祥行 原田 真雄 丸山 雄一郎 三澤 順
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.985-992, 2003-12-30
被引用文献数
1 1

・低線量CT肺癌検診を実施することにより,非受診者群に比較して,受診者群の肺癌による死亡を有意に減少させるという成績は現在まで証明されていない.・低線量CT肺癌検診は,高危険群および非高危険群に対して,胸部写真による検診よりも末梢小型肺癌(腺癌)をより多く発見し,発見肺癌の6〜8割は病期I期肺癌である.・低線量CT肺癌検診では,受診者の被曝リスクを低減させるために,撮影条件,画像描出条件など読影環境を整備することが必要である.・低線量CT肺癌検診は,他のがん検診と同様に,検診の運営に際して,精度管理とその維持が必要である.・低線量CT肺癌検診の受診者には,検診一般の説明だけでなく,現状でCT検診の有用性に関するエビデンスの内容および想定される有害事象を含めて,説明と同意(インフォームドコンセント)を行うべきである.・医療経済学的な面も併せて,低線量CT肺癌検診の至適なあり方を確立するためには,解析可能な精度の高い実績を集積する必要がある.・本稿の低線量CT肺癌検診のあり方については現行の自治体検診時のCT検診,職域検診のみならず,人間ドックでのCT検診も念頭に置いたものである.