著者
西井 稜子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.253, 2006

高山帯の稜線付近には等高線と平行するように伸びる小崖(凹地)がしばしば認められ,重力性の変形地形として認識されている.近年では大規模地すべり・大規模崩壊といったマスムーブメントとの関係が指摘されている.山地斜面における複雑な斜面変動の実態を明らかにするためには,個々の小崖地形の成因に対して詳細な検討が必要である.そこで本研究では複数の小崖が存在し,その成因が清水ほか(1980)により検討されている飛騨山脈三ッ岳周辺において,その分布と形態的特性を詳細に調査し,その成因を考察する. 2.調査地域調査地域は,飛騨山脈の中央部に位置する烏帽子岳から野口五郎岳にかけての,南北に伸びる主稜線周辺の斜面である.主稜線の標高は,約2,500 mから2,920 mである.主稜線の東斜面は,南北に走る高瀬川断層により基盤岩が脆弱化し崩壊が多く土石流が発生しやすい。最終氷期後半には野口五郎岳南西側斜面,南東側斜面,および三ッ岳北東側斜面に氷河が存在していたと考えられている(五百沢 1979).この地域の地質は,野口五郎岳と三ッ岳のほぼ中間部を境に北は奥黒部花崗岩,南は有明花崗岩からなる.この付近の更新世中期以降の隆起速度は約2.9_から_4.0 mm/年と推定されている(原山ほか 1991)。3.調査方法空中写真判読より小崖地形,崩壊地,氷河地形,周氷河性平滑斜面を認定し,地形学図を作成した.特に,小崖地形の位置は,現地調査により確認した.小崖が谷によって分断,あるいは凹地が埋積されている場合でも,両端の小崖の山向き斜面の走向傾斜がほぼ同じと考えられるものは連続する1つの小崖地形とした.また,1 m以下の崖において連続性に乏しく更に崖長が5 m以下の極端に短いものについては小崖地形とみなしていない.現地では地形の特徴を把握するため,小崖地形の横断形と縦断形の測量を行った.地質構造に関して,稜線付近の基盤の節理の走向傾斜を計測し,電研式岩盤分類法に基づいて,連続的に稜線付近の基盤の岩盤性状の分類を行った.また,数ヵ所の凹地においてピット掘削を行い,凹地内堆積物の分析を行った.4.小崖地形の配列パターンによるタイプ分け調査地域の小崖地形は,ほぼ南北に伸びる主稜線と大略平行に標高約2,350_から_2,920 mにかけて分布する.小崖地形の分布の配列パターンから大きく3つのグループに分けられる.稜線を挟む両側の斜面が急傾斜で稜線直下まで表層崩壊により谷頭侵食が進んでいる場所では,小崖地形が稜線付近に集中して分布する(タイプA),対称性を持つ稜線では,小崖地形は稜線を挟んで斜面中腹に対になって分布する(タイプB),斜面勾配が非対称の稜線では,小崖地形は緩傾斜の斜面に偏って分布する(タイプC),以上のタイプとは異なる,カールを切る小崖地形も存在する(タイプD).5.各タイプの形成メカニズムタイプAの範囲は,調査範囲の中で,最も岩盤の風化が進んでいる場所である.そのため,風化に伴う表層崩壊が稜線付近まで及び,稜線近くに40°以上の急勾配斜面が存在している.このような山稜上部の形態のため,稜線付近には引っ張り応力がはたらいていることが推測される.ここでの卓越する節理の方向は,凹地の方向とほぼ一致している.そのため,稜線に平行な節理に沿って,開口性の凹地が形成されたと考えられる.このタイプAの凹地の1箇所で,ピット調査を行い,堆積物中に含まれる有機物の年代測定を行った.その結果,1140±20 yrBP(パレオ・ラボ(株), PLD-5149)という値が得られた.この値は,タイプAの凹地のいくつかが,現在進行している崩壊作用に関連して形成されているものであることを示唆する.タイプBでは,山体の横断形と,小崖地形の位置が対称性をもつことから,山体上部の陥没によって小崖地形が形成されたことが推測される. タイプCでは,山体の横断形は非対称である.ここでは,急斜面側の侵食の進行により,稜線付近の不安定化が進んだと考えられる.節理の走向が凹地の伸びの方向と一致し,傾斜が高角度であるため,小崖に対して山側の斜面が相対的に落ちる正断層によって形成されたと考えられる.タイプDの小崖地形は,最終氷期後半に形成されたと考えられるカール内に分布する.この小崖地形は,他のものに比べ崖長,崖高が大きいが,周囲の起伏は小さい.最終氷期後半以降の氷河の後退に伴う応力解放により形成された可能性が考えられる.6.まとめ約8 kmにわたる稜線に沿って,小崖地形の分布と形態的特徴を調べ,形成メカニズムを推定した結果,地質の風化程度と,山稜の形状,氷河地形の有無により,山体変形のタイプが異なることが考えられる.
著者
三原 陽子 森川 大 野村 泰志 西井 良典
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.102-105, 2017 (Released:2017-10-31)
参考文献数
4

The (−)-podophyllic aldehydes (Figure 1) exhibit notable antineoplastic cytotoxicity by apoptosis-inducing activities. In this study, we analyzed the selectivity mechanisms of some important reactions in the asymmetric total synthesis of (+)-podophyllic aldehydes which are enantiomers of the (−)-podophyllic aldehydes, by the molecular orbital method. As a result, it was shown that the selectivity of the Grignard reaction in compound 1 (Figure 2) is caused by steric hindrance. Furthermore, it was also indicated that the selectivity of the reduction in compound 2–1 is caused by the localization of LUMO at the reactive site, and the reduction in compounds 2–2 and 2–3 Scheme 2) does not proceed due to the steric hindrance by the trimethoxyphenyl group.
著者
佐川 元保 西井 研治 原田 眞雄 前田 寿美子 丸山 雄一郎 三浦 弘之 三友 英紀 村田 喜代史 中山 富雄 芦澤 和人 遠藤 千顕 小林 健 佐藤 雅美 澁谷 潔 祖父江 友孝 竹中 大祐
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.73-76, 2018

<p>肺がん検診は1987年に導入されたが,当初,多くの自治体や検診機関は「二重読影や喀痰細胞診の方法がわからない」状況であり,肺がん検診セミナーはそれらの需要に応えるものであった.それから30年以上経過し,「肺がん検診の方法を全国に広める」という本セミナーの当初の役割はほぼ達成され,同形態での実施の必要性は乏しくなった.精度管理の全国的な均てん化は不十分だが,セミナーという形態では改善できない.一方,肺癌診療医の読影技術向上への意識は高いが,学術集会においてそれに資するプログラムは少ない.また,学会員の多くが検診発見肺癌例の診療をしているにもかかわらず実際の検診に携わっていない現実を考えれば,「肺がん検診」の仕組みや現状に関する教育的な講座の必要性は大きい.そこで,2017年で「肺がん検診セミナー」を終了し,学会員対象で学術集会に組み込む以下の①②③と,地域での検診従事者を対象とした④へ移行することにした.①若手~中堅医師に対する「肺がん検診」のシステムや現状などについてのレクチャー.②気軽に参加できる読影セミナー.③必要時に,学術集会長に委員会企画枠を依頼.④検診技術・精度管理に関する地域での検診従事者講習会などの講師に委員を推薦.</p>
著者
大森 正子 和田 雅子 内村 和広 西井 研治 白井 義修 青木 正和
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.329-339, 2002-04-15
参考文献数
39
被引用文献数
4

25歳以上の成人の60.3%, 人数にして5, 400万人が毎年定期の集団検診 (結核検診) を受診していると推計された。しかしながら定期集団検診による結核患者発見率は著しく低下し, 1998年には学校健診で受診者1, 000人対0.03, 職場健診で0.06, 住民健診で0.16までになった。ただし新登録中定期健診発見割合は過去10年ほぼ一定で, 1998年は12.8%であった。年齢別では20~30歳代で定期健診発見割合が大きく25.7%であり, 多くは職場健診からの発見であった。なお検診発見患者で排菌が確認されたのは35.1%であったが, この割合は高齢者でより大きかった。<BR>結核予防会で実施した40歳以上の住民健診成績から1名の結核患者の発見に要するコストは, 全体で440万円, 男で230万円, 女で840万円, 40歳代で730万円, 80歳以上では180万円と試算された。また罹患率人口10万対30の地域では400万円, 罹患率20では670万円と推計された。結核患者を2ヵ月入院, 4ヵ月外来で治療した場合, 治療費は約90万円と見積もられているので, 60歳未満の一般住民や罹患率50未満の地域では, 経費・効果の点で現行の結核検診は必ずしも効果的とは言いがたくなっている。しかしながら定期の結核検診のあり方については発見率やコストの他に発見患者の特性, 公共保健サービス, 国民の意思等も含めて検討する必要があるだろう。
著者
西井 竜彦 村松 高 四万村 三恵 古市 基彦 大森 一光 塩野 元美
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.972-975, 2010-09-15 (Released:2011-02-22)
参考文献数
8

大血管手術以外の周術期に発症した非常に稀な脊髄梗塞の1例を経験したので報告する.症例は70歳男性,左肺癌に対して硬膜外併用全身麻酔下に,左上葉切除およびリンパ節郭清を施行した.術後3時間後より,右下肢,右手関節以下の麻痺が認められた.硬膜外カテーテルの影響が考えられたため,直ちに硬膜外注入を中止した.翌日になりさらに麻痺が進行し,頭部・脊椎MRIが施行されたが,診断がつかなかった.術後第3病日に施行された頚胸髄MRIでC1からTh2までの広範囲の脊髄梗塞が認められた.ステロイド,高浸透圧性利尿剤の投与で麻痺の改善傾向を認めたため,27病日リハビリ病院転院となった.
著者
奥谷 大介 高橋 健司 西井 豪
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.742-746, 2016-09-15 (Released:2016-09-15)
参考文献数
16

尿膜管癌は膀胱癌の中でもその頻度は低く,尿膜管癌の孤立性肺転移は極めて稀である.55歳,男性.51歳時,尿膜管癌p-Stage Iに対して膀胱部分切除術を施行した.尿膜管癌術後2年目の胸部CTにて左肺S1+2に約7 mmの空洞を伴う結節を認めた.以降,結節は空洞の消失と出現を繰り返しながらサイズは増大し,術後4年目には空洞を伴う13 mmの結節であった.診断治療目的に胸腔鏡下左肺部分切除術を施行し,病理学的検討より同病変は尿膜管癌の肺転移と診断された.本症例のような空洞性結節影を呈した尿膜管癌肺転移の症例は報告されていない.空洞を伴う肺腫瘍では悪性の可能性も考慮することが重要である.
著者
小川 和男 西井 正廣 稲垣 甚一郎 野原 富士夫 斎藤 徹 板谷 泰助 藤井 澄三
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.1315-1317, 1992-05-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
2 7

The synthesis of 8-methylguanine 7-oxide (3) was accomplished via a "phenacylamine route", which started from condensation of α-(4-methoxybenzylamino)propiophenone (6), prepared by coupling of α-bromopropiophenone (4) and 4-methoxybenzylamine (5), with 2-amino-6-chloro-5-nitro-4(3H)-pyrimidinone (7) and proceeded through cyclization of the resulting phenacylaminopyrimidinone (8) and removal of the 4-methoxybenzyl group. The N-oxide 3 and its 9-arylmethyl derivatives 9 and 11 showed only very weak antileukemic activity and no antimicrobial activity.
著者
小川 和男 西井 正廣 稲垣 甚一郎 野原 富士夫 斎藤 徹 板谷 泰助 藤井 澄三
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.343-350, 1992-02-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
47
被引用文献数
8 10

A full account is given of the first chemical synthesis of the antitumor antibiotic guanine 7-oxide (5) and its 9-substituted derivatives (24a-k and 26). Coupling of appropriate primary amines (17a-e, g-k) with phanecyl bromide (16) produced, after treatment with HCl, the corresponding N-substituted phenacylamine hydrochlorides (18a-e, g-k). A similar phenacylation of 4-amino-1-butanol (21) failed to give the desired compound 18f, so that 21 was heated with 2-bromomethyl-2-phenyl-1, 3-dioxolane (20) at 150-155°C for 3h to furnish, after treatment with HCl, the amino ketal hydrochloride 22 in 40% yield. Deketalization of 22 with hot 2N aqueous HCl afforded 18f in 96% yield. Condensations of the free bases, generated in situ from the hydrochlorides 18a-l and 1N aqueous NaOH, with the chloropyrimidinone 6 were effected in aqueous EtOH at the boiling point for 20 min or at 25-30°C for 3-24h, giving the 6-phenacylamino-4-pyrimidinones 19a-l in 54-90% yields. On treatment with 2N aqueous NaOH at room temperature for 10-60 min, the nitropyrimidinones 19a-k cyclized to provide the 9-substituted guanine 7-oxides 24a-k in 61-98% yields. A similar alkali-treatment of 19l failed to yield guanine 7-oxide (5). However, removal of the 9-(arylmethyl) group from 24i-k was effected with conc, H2SO4 at room temperature for 1-3h in the presence of toluene, producing the target N-oxide 5 in 56-89% yields. In the in vitro bioassay of antileukemic activity against murine L5178Y cells, none of the 9-substituted guanine 7-oxides (24a-k and 26) was more effective than the parent, natural N-oxide 5. Within this series, however, the benzyl analogues 24g-k with or without alkoxy functions were more cytotoxic, with IC50's of 13.0-48.0μg/ml, than the alkyl analogues 24a-f.
著者
小川 和男 西井 正廣 野原 富士夫 斎藤 徹 板谷 泰助 藤井 澄三
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.612-616, 1992-03-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
46
被引用文献数
2 8

A detailed account is given of the first chemical synthesis of hypoxanthine 7-N-oxide (5), which started from coupling of 6-chloro-5-nitro-4(3H)-pyrimidinone (7) with N-(4-methoxybenzyl)phenacylamine, generated in situ from the hydrochloride (8), and proceeded through cyclization of the resulting phenacylaminopyrimidinone (9) and removal of the 4-methoxybenzyl group. The results of catalytic hydrogenolysis, methylation followed by catalytic hydrogenolysis, and rearrangement under acidic conditions of 5 supported the correctness of the assigned structure. An ultraviolet spectroscopic approach suggested that the neutral species of 5 exists in H2O mainly as the N(7)-OH tautomer (21). In the in vitro bioassay of antileukemic activity against murine L5178Y cells, 5 was weakly cytotoxic, with IC50 of 100μg/ml. It did not show any antimicrobial activity even at 1000μg/ml. None of the 9-(4-methoxybenxyl) (11) and O-methyl (12, 13, and 14) derivatives was found to be antiieukemic or antimicrobial.
著者
西井 賢悟 小松 泰信 横溝 功
出版者
岡山大學農學部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.67-74, 2003-02
被引用文献数
1

1995年に岡山県南西部の総社市農協、真備町農協、山手村農協、清音村農協、そして吉備昭和農協の五農協の広域合併によって設立された吉備路農業協同組合(以下JAきびじと略す)管内のモモ共販を事例とし、次のような検討を行う。第一には、農協の広域合併にともない成立した産地の組織機構と各組織構成主体の概況・役割について明らかにする。第二には、当事例において合併後に行われた共販一元化の話し合いが決裂していることから、この状態を産地という組織がコンフリクト状態に陥ったと捉え、マーチ=サイモンの組織論、特に組織コンフリクト論を適用してその発生のメカニズムを明らかにする。そして第三には、共販一元化の話し合い決裂後に各出荷組合がとった行動をコンフリクトに対する適応行動と捉え、その行動の意味と産地における農協共販の展開方向について考察する。
著者
加藤正宏 西井瑞季 田中美穂 平瀬詩織 牛若菜月 東畑知真 田端優貴
出版者
サイエンスキャッスル
雑誌
サイエンスキャッスル2014
巻号頁・発行日
2014-12-19

バナナの成熟に伴いその皮は斑点状に黒色化する。ドーパミンの重合による黒色化である。この現象に興味を持ち研究を始めた。特に、①なぜ、斑点状に黒色化するのか(生物学的意味)、②斑点状に黒色化する仕組みはどうなっているのか、③なぜ、ドーパミンが存在するのか(生物学的意味)、これらの点に疑問を持ち、その解明を目的とした。今回は、②について知見を得るべく、「バナナの皮の変化の温度依存性(‐8℃~200℃)」を調べた。その結果、20℃および30℃で保存した場合のみ、明確な斑点状の黒色化が観察された。また、細胞レベルでの黒色化を確認するために、表皮の顕微鏡観察も行った。これら以外に、得られた知見を紹介する。
著者
西井 弥生子
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.89, pp.64-78, 2013-11-15 (Released:2017-06-01)

菊池寛「東京行進曲」(『キング』一九二八・六〜一九二九・一〇)は、連載中に日活によって映画化(溝口健二監督)され、初の映画主題歌(西條八十作詞、中山晋平作曲)が制作された。先行論においては、文芸映画としての興業価値が考察され、脚色者が小説に忠実なあまりに映画・小説共に失敗作となったと結論づけられている。しかし、小説は未完であり、映画の後半部分は小説に準拠し得なかった。本稿では当時流行した小唄映画という形式に着目し、三者(映画・小説・主題歌)の関係性を改めて検証する。小説がむしろ主題歌(映画小唄)に牽引される形で生成されていった様相を、戯曲と照合することも含めて明らかにし、「無声映画」の音や語りとの有機的な結びつきから生まれたテクストとして、菊池寛の代表作「東京行進曲」成立の多層性について論究する。
著者
田窪 朋仁 西井 一敏 井上 健司 新井 健生
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 = Journal of Robotics Society of Japan (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.457-465, 2007-04-15
参考文献数
27
被引用文献数
1 3

Marionette system provides an intuitive teleoperation system for the difficulty controlling whole-body motion of a multi-joint robot and the complicated observation of its condition. This system employs a small robot which has similar form to a control target as an operating/displaying device, so that the device provides an operational feeling like manipulating a doll, so it is named Marionette Device. Since the characteristics of the Marionette device and the target robot are synchronized bilaterally in the system, the operation of Marionette device is reflected intuitively in the target, and the robot motion is also displayed simultaneously by the Marionette device. In this paper, we develop a humanoid type device as Marionette device in order to operate a humanoid robot HRP-2 and implement a whole-body teleoperation method. The remote walking and manipulation experiments in an unknown environment are introduced. In this experiment, the operator should guess the remote environment using a head camera view and control legs and arms by the Marionette device. We propose a new operation method for controlling foot position and leg joints with the Marionette device. It makes possible to walk by pointing a foot stamp step by step in a stable place. To show the effectiveness of the proposed system, we compare another teleoperating system which employs a joystick and a 3DCG display for control and understanding the state of remote robot. The experimental result shows effectiveness of the Marionette system and it has potential of teleoperating humanoid robots with other devices for complementing each other.
著者
丸田 栄一 但馬 重俊 廣谷 芳彦 前田 義美 西井 諭司 東 敏夫 山路 昭 紀氏 汎恵 平岡 栄一 三牧 孝至 田川 哲三 藪内 百治
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.398-402, 1985-10-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
15

Phenytoin (PHT) fine granule, which has the same bioavailability as the tablet, has recently been marketed. We projected a change of PHT dosage form from usual powder to fine granule. In view of the fact that 97% of PHT products prescribed and marketed are available in fine granules, 50% PHT preparations were produced in hospital pharmacy. 5 kinds of preparations using various lactoses as diluents were prepared and tested for their quality. Among them, the preparation from Aleviatin fine granule passing through a 42-mesh sieve and EFC lactose showed the best results in the mixing property and various sense tests. The change to this dosage form and its bioavailability tests were carried out by a cooperation of doctors and pharmacists. Serum PHT levels of all patients, assayed by EMIT method, showed a 20% to 30% increase after the administration of the new preparation (50% PHT fine granule with EFC lactose).
著者
西井 修 荒川 文男 石橋 孝一郎 中野 定樹 志村 隆則 鈴木 敬 橘 貢 戸塚 米太郎 津野田 賢伸 内山 邦男 山田 哲也 服部 俊洋 前島 英雄 中川 典夫 成田 進 関 光穂 島崎 靖久 里村 隆一 高須賀 知哉 長谷川 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.98, no.23, pp.17-24, 1998-04-24
被引用文献数
6

2命令を同時に実行し、チップサイズが58mm^2のマイクロプロセッサを開発した。0.25ミクロン, 5層配線CMOSプロセスを用い、200MHz動作時の消費電力は1.2Wである。本報告は、チップ概要、低電力のための機構、および高性能化のために行った設計内容について述べる。浮動小数点演算の高性能化のため、1クロックにつき7個の単精度浮動小数点演算を処理可能なグラフィックFPU、およびサポート命令を設けた。このグラフィックFPUは2ステージ構成の4元内積(積和)演算器を有する。該内積演算器のディレイ(シミュレーション値)は3.69nsである。
著者
西井 貴美子
出版者
日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.13, pp.2918-2921, 2010-12-15
参考文献数
9
被引用文献数
1