著者
大坪 由佳 松井 弘善 多賀 有里 日比野 孝紀 金田 隆志 磯貝 彰 蔡 晃植
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.187, 2010

過敏感細胞死は、植物が非病原性菌株を認識したときに誘導される免疫反応の一つであり、核DNAの断片化や膜の透過性喪失などを伴うプログラム細胞死である。我々はこれまでに、イネの過敏感細胞死はOsNAC4によって誘導されることを明らかにした。そこで、OsNAC4による過敏感細胞死誘導の機構を明らかにすることを目的とし、過敏感細胞死誘導時のOsNAC4の局在について調べた。その結果、過敏感細胞死誘導時にOsNAC4はリン酸化されることで核に移行することが示された。また、このOsNAC4の核移行には、分子内のNACドメインのN末端とC末端の領域で制御されることが示された。次に、<I>OsNAC4</I>のRNAi形質転換体を用いたマイクロアレイ解析によって、OsNAC4が139個の遺伝子の発現を制御することが明らかになったので、OsNAC4による転写制御機構について調べた。まず、酵母two-hybrid法を用いてOsNAC4と相互作用するタンパク質の探索を試みたところ、同じサブファミリーに属するOsNAC3と相互作用することが確認された。そこで、OsNAC3が過敏感細胞死誘導に関与するかを一過的発現によって調べたところ、OsNAC3も過敏感細胞死を誘導することが明らかになった。以上の結果から、OsNAC4がOsNAC3と二量体を形成し、過敏感細胞死誘導に関与する遺伝子の発現を制御している可能性が示された。
著者
横小路 泰義 ホリス ラルフ 金出 武雄
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文集 (ISSN:13424386)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.17-26, 1997
参考文献数
28
被引用文献数
14

To build a VR training system for visuo-motor skills (i.e., hand-eye coordinated skills), a visual interface should be correctly registered to a haptic interface so that the visual sensation and the haptic sensation are consistent spatially and temporally. In this paper, we propose a method to realize correct visual/haptic registration. The proposed method provides correct visual/haptic registration using a vision-based object tracking technique and a video keying technique. The combination of the encountered type haptic interface approach with the motion command type impedance display algorithm makes it possible to realize two extreme cases: free motion and rigid constraint. The first prototype has been built and the proposed concept was demonstrated.
著者
北村 哲宏 大月 道夫 久保 典代 倉敷 有紀子 玉田 大介 田淵 優希子 小澤 純二 安田 哲行 沖田 考平 今川 彰久 金藤 秀明 船橋 徹 下村 伊一郎
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.982-986, 2012 (Released:2013-01-21)
参考文献数
8

Glucagon-like peptide-1(GLP-1)受容体作動薬であるリラグルチドの副作用として食欲不振,嘔気が報告されている.今回我々は,リラグルチドが関与した麻痺性イレウスの症例を2例経験した.ともに腹部手術歴はなく,リラグルチド導入時に前兆なく嘔吐にて突然発症した.症例2はインフルエンザを併発していた.2例ともにリラグルチド中止にてイレウスの改善を認めた.背景として,便秘の既往,15年以上の罹病期間,糖尿病末梢神経障害および自律神経障害を有している点が共通していた.これまでリラグルチドによるイレウスの報告はなく,今後GLP-1受容体作動薬を使用する際には副作用としてイレウスを念頭に置く必要があり報告する.
著者
廣藤 真司 岡本 雅雄 瀧川 直秀 川島 啓誠 金 明博
出版者
中部日本整形外科災害外科学会
雑誌
中部日本整形外科災害外科学会学術集会 抄録集
巻号頁・発行日
vol.105, pp.385, 2005

【目的】頭頚移行部での外傷は致死的となるものが多く、生存例であっても重症頭部外傷の合併により見過されやすい.今回、生存し得た後頭環椎関節と環軸関節の亜脱臼を呈する外傷性頭頚移行部不安定症の1例を経験したので報告する.【症例】64歳、男性.自転車走行中、オートバイと衝突し3m下に転落し受傷した.搬送時、意識レベルはJCS10、vital signは安定していたが、呼吸はいびき様であった.四肢麻痺は認めなかった.合併損傷としてびまん性軸索損傷、両側多発性肋骨々折ならびに両側血胸を認めた.単純X線では、環椎軸椎間は後弓間距離が開大しADIのV-gapを呈していたが水平・垂直脱臼は認めなかった.CTでは後頭環椎関節前方亜脱臼と環軸関節亜脱臼、後咽頭腔と後方軟部組織の腫脹を認めた.MRIでは後咽頭腔と後方軟部組織に広範なT1低、T2高の輝度変化を認めたが、脊髄・脳幹部には明らかな輝度変化はなかった.受傷後2日目にハローベスト装着、21日目に後頭骨軸椎間固定術を施行.術後4カ月の現在、廃用性筋力低下に対し歩行訓練中である.【考察】本症例は搬送直後に頭頸部のCT撮影により早期診断が行え、適切な処置が可能であった.全経過を通して麻痺症状の発現を認めなかった.後頭環椎関節と環軸関節の亜脱臼の合併例は報告がなく、極めて稀な外傷と考えられる.本症例の受傷機転は、後頭環椎関節の前方亜脱臼と後方が開大する環軸関節亜脱臼の形態からは屈曲伸展損傷と推察された.
著者
阿川 辰子 大沼 弥栄子 金井 芙美子 尾形 亜紀子 古藤 慶子 阪詰 百合子 園田 洋子 近藤 マサ子 富永 昭子 広瀬 弥栄子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.33-40, 1966-09-01

まえがき 新生児の生下時体重は,どの母親にとっても大きな関心事の一つとなっているが,これが児の運命を左右するばかりでなく,保育の面からも重要な意味を持っており,さらに,社会的な問題にまで発展しているからである.新生児の生下時体重がどのような因子により左右されるものであるかということは,私たち助産婦の道を志す者にとって大変興味深い問題であるので,実習期間を通して妊産婦の婚前と妊娠中の生活態度を中心に調査することにした.
著者
金子 修一
出版者
国学院大学中国学会
雑誌
国学院中国学会報 (ISSN:09188819)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.1-16, 2019-12
著者
公文 富士夫 金丸 絹代 田原 敬治 角田 尚子 山本 雅道 林 秀剛
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.10, pp.599-609, 2005-10-15
被引用文献数
3 12

木崎湖において2003年12月に採取した35cm長の柱状堆積物について検討し, 1969年以降の3回の大洪水の層準を認定した.その年代をもとにして平均堆積速度を求め, 有機炭素含有率の経年的な変化を求めた.一方, 1981年以降に木崎湖で行われてきた毎月の湖沼観測記録をまとめ, 21年間のクロロフィルα量の経年的な変化を明らかにして, 湖水中の生物生産量の指標とした.また, アメダス気象観測資料を用いて, 気温や降水量などの気象要素の資料を得た.これら3者間の相関を検討して, 有機炭素含有率は, 年間クロロフィルα量および冬の平均気温と有意な相関をもつことを見出した.冬の暖かさ(厳しい冬の短さ)が冬季の生物生産性を高め, それが年間の生物生産量に影響を与えて, 堆積物として沈積する有機物量を増加させたと考えられる.湖沼堆積物中の有機炭素含有率は, 過去の気温(冬の平均気温)の指標として有効である.
著者
薄井 耕一 今福 繁久 小野 金一 吉川 貞雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.1, pp.34-41, 1983-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2

感圧複写紙用発色剤として広く用いられているクリスタルバィオレットラクトン(CVL)の溶液中における酸または水による発色および減色ないし消色の挙動をUV,VIS,IR吸収スペクトルおよび1HNMR,13C-NMRの測定により検討した。併わせて類似の構造をもつクリスタルパイオレット(CV),マラカイトグリーン(MG),マラカイトグリーンラクトン(MGL)についても比較検討した。その結果,CVLの発色はラクトンの開環に基づくこと,ラクトンの開いたカルボキシル形ともとのラクトン形との問には酸濃度(強度)によって支配される一種の平衡関係が成立し,ある酸強度のところで,カルボキシル形対ラクトン形の比率が最大値を示し,ここで発色濃度は最大になる。さらに酸濃度が大きくなるとラクトン環が開いたまま減色することが認められた。一方,水によるCVL発色体(カルボキシル形)の減色ないし消色は環が閉じラクトン形にもどるためであることが明らかになった。
著者
木暮 槇太 中島 誠 高橋 幸吉 稲神 馨 須藤 芳三 待田 行雄 林 禎二郎 平尾 常男 五十嵐 三郎 仲野 良男 竹林 克明 吉田 徳太郎 宮内 潔 江口 正治 林 幸之 佐々木 周郁 渡辺 忠雄 近藤 義和 渋谷 勲 須貝 悦治 田中 茂光 小山 長雄 田中 一行 竹田 寛 竹鼻 孝夫 室賀 明義 蒲生 俊興 高橋 保雄 西村 浩 長谷川 金作 森 幸之 永友 雄 梅谷 与七郎 中村 晃三 松本 介 宮沢 正明 加藤 康雄 土橋 俊人 高木 直温 柳沼 泰衛 小野 四郎 村山 隆之 近森 俊哉 辻 辰四郎 小川 敬之 小松 四郎 大岡 忠三 妹尾 計一 森本 宏 梶浦 みち子 萩原 清治 瓶子 まち子 中条 紀三 高木 春郎 飯島 荘資 横内 和多良 清水 滋 堀内 彬明 堀内 ちよし 原田 忠次 木村 敬助 青木 秀夫 後藤 四男 小林 恵之助 皆川 基 皆川 豊作 岡村 源一 小河原 貞二 村山 穰助
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.244-255, 1956-06-28 (Released:2010-11-29)

蚕卵発育中に於けるPhasphataseの組織化学的所見2雄核の接合に関する細胞学的観察カイコガのモザイク複眼の構造とできかた家蚕蛹の頭部が産卵に及ぼす影響家蚕の血組織に関する生理学的研究 (II) 蛹の発育に伴う囲心細胞及び周気管細胞中の遊離アミノ酸の消長家蚕その他数種絹糸虫における誘引物質の共通性と類縁関係に関する研究蚕種の冷蔵障害と水銀塩による沈澱物前胸腺移植後の結紮と絹糸腺の成長家蚕のフラビン化合物に関する研究 (V) 蛹の器官特に中腸におけるフラビン化合物について (予報)家蚕の計量的形質と脳-食道下神経節連合体の機能追加7.白殫病菌の蚕卵への接種試験繭・繊維の部熱風乾燥に関する研究 (II)繭解じよの向上についての研究 (IV) 病蚕成立繭特に硬化病, 軟化病, 膿繭蚕繭の性状繭及び生糸の繊度変異に関する研究 (9) 定粒生糸と定繊度生糸の性能比較について生糸の摩擦係数に関する研究 (7) 精練度と摩擦係数について糸条斑と繰糸管理について生糸の練減率測定に関する2, 3の知見絹の膨潤現象から見た中心層発現の-所見チオ尿素樹脂の還元性について繭層セリシン溶液の粘度吐糸営繭に伴なう繭形の変化 (続)営繭条件と分離細繊維との関係フイブロインの糸条形成について (VIII) フイブロインの溶液中における分散状態について絹糸構造の研究 (I)酵素製糸の研究 (II)酵素精練の研究 (II)追加8. 落緒に関する研究 (II) 落緒形態の出現率とその分布
著者
宮城 孝 森脇 環帆 仁平 典宏 山本 俊哉 藤賀 雅人 神谷 秀美 金 呉燮 松元 一明 崎坂 香屋子
出版者
法政大学現代福祉学部現代福祉研究編集委員会
雑誌
現代福祉研究 (ISSN:13463349)
巻号頁・発行日
no.16, pp.135-176, 2016-03

陸前高田地域再生支援研究プロジェクトは、東日本大震災において岩手県で最も甚大な被害にあった陸前高田市において、被災住民自身が地域の再生、生活再建に向けてその課題を話し合い、主体的な取り組みを行うことを支援してきている。そして、仮設住宅および被災地域におけるコミュニティの形成のあり方を共に模索しながら、今後の復興における地域再生のモデルづくりに寄与することを目的として、今日まで活動を続けている。本プロジェクトは、上記に関する活動の一環として、2015年8月に、2011年から引き続き5回目となる市内・外合わせて48の仮設住宅団地の自治会長等へのインタビュー調査を行っている。本稿は、仮設住宅自治会長等に対するインタビュー調査結果等についての概要を記したものである。内容としては、居住5年目を迎えた仮設住宅団地における①転出・転入、空き住戸等の居住状況、②高齢者や子どもなど配慮が必要な人の状況、③住環境、生活環境の問題と対応、④自治会活動とコミュニティ形成の状況、⑤外部支援団体の関与の状況、⑥住宅再建・復興まちづくりに関する情報や意見等についてであり、それらの全体的な概要と各9地域の特徴について整理している。調査時点において震災発生から約4年半が経とうとしており、仮設住宅での暮らしが長期化する中、2014年末から一部災害公営住宅への入居が始まり、また、高台への移転が開始されてきており、住宅再建が目に見えてきた地域と、大規模な土地のかさ上げによる区画整理事業の完成時期が明確でなく、なかなか将来の展望が目に見えない世帯が少なからずあり、昨年度に比べて世帯・地域間格差の広がりが見られ、今後の支援のあり方が問われる。本稿で記した概要に加えて、各仮設住宅団地のデータの詳細を報告書としてまとめ、仮設住宅団地自治会長、行政、市議会、支援団体等広く関係者に送付し、今後の復興施策へのフィードバックを図っている。