著者
鈴木 文子 池上 知子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.183-190, 2015-03-20 (Released:2015-06-07)
参考文献数
15
被引用文献数
3

From the perspective of social identity theory, some social psychologists have suggested that heterosexual men espouse negative attitudes toward gay men as a defensive mechanism against threats to their gender self-esteem. The purpose of the present study is to examine whether this gender self-esteem defense theory of sexual prejudice applies among heterosexual men and women in Japan. Our results in principle supported the gender self-esteem defense theory for heterosexual men. For heterosexual women, however, the results tended to be contradictory to the theory. The more positive heterosexual women’s gender self-esteem was, the less negative was their attitude toward lesbians. But this link tended to disappear when they were informed that no biological differences exist between heterosexuals and homosexuals. Our findings suggest that heterosexual men and women maintain their gender self-esteem in different manners: Heterosexual men maintain positive gender self-esteem by embracing negative attitudes toward gay men, but heterosexual women do not. Heterosexual women’s gender self-esteem may be related to expressing tolerance for sexual minorities.
著者
鈴木 文子
出版者
佛教大学
雑誌
文学部論集 (ISSN:09189416)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.1-20, 2009-03-01

明治時代に始まる「趣味家」といわれるコレクターは、日露戦役の記念絵葉書ブームを経て、大正以降、一般大衆へ広がっていく。また、彼らの趣味蒐集の触手は、時代の趨勢のなか自然に植民地へも伸びていく。本稿では、これまであまり注目されることがなかった趣味家たち、特にその代表的存在である郷土玩具の蒐集家と植民地の関係を考察することにある。趣味家たちは、複数の趣味家集団に属し、自作の版画を交えた多くの同人誌を作成し、また、絵葉書等でさまざまな情報を交換していた。彼らの通信文化を分析しながら、ジャーナリズムとは異なる形で一般の人々に流布していた植民地の風景を考察する。
著者
鈴木 文子 池上 知子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.91.18052, (Released:2020-09-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1

Previous studies have indicated that heterosexuals who had faced their close friends’ coming out tend to have a more positive attitude toward homosexuals in general but have decreased interactions with their close homosexual friends. We investigated why such a difference between heterosexual attitudes toward homosexuals in general and toward their close homosexual friends emerges after their friends came out. We conducted two imaginary vignette studies with Japanese undergraduates. Results from Study 1 (N = 186) revealed that both male and female heterosexuals with high gender self-esteem positively changed their attitudes toward homosexuals in general after their friends came out. Results from Study 2 (N = 147) revealed that social contagion concerns served as a significant predictor for avoidance responses to their friends who came out. However, such links between social contagion concerns and avoidance behaviors observed in heterosexuals were moderated by gender self-esteem. Heterosexual males’ gender self-esteem promoted the relations, but heterosexual females’ gender self-esteem mitigated the relations. The role of gender self-esteem in the context of coming out is discussed beyond the traditional and narrow-sense sex-role perspectives.

4 0 0 0 OA 解剖学名彙

著者
鈴木文太郎 著
出版者
丸善
巻号頁・発行日
1917
著者
鈴木 文治
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-En Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.11, pp.55-80, 2016

本論は、ルカ神学におけるインクルージョン研究として、「異邦人」の理解を取り上げたものである。ルカは『ルカによる福音書』及び『使徒言行録』の著者として知られるが、当時の社会で差別や排除の対象となっている「異邦人」を、ルカ神学ではどのように取り上げ、位置づけているのかを探り、キリスト教におけるインクルージョンの思想や実践を考察するものである。なお、本論は昨年の大学紀要第10号「キリスト教におけるインクルージョン研究-ルカ神学における障害理解-」の続編に当たるものである。さて、「異邦人」とはユダヤ人以外の民族のことを示す言葉である。この「異邦人」をルカはどのように福音の中に位置づけていたのかが、研究テーマである。ユダヤ人は、自分たちが神によって選ばれ、導かれた民として、強固な「選民意識」を持っていた。その選民意識の故に、他民族に対しては排他的・差別的な態度を取っている。ユダヤ人の歴史は、この「選民意識」による他民族への侵略であるが、その背景には何があるのか。また、選びの神ヤハウェは、真実の神を信じない「異邦人」への裁きと同時に、「不信仰なユダヤ人」に対しても裁きを行う。その頂点にあるのは、神による国の滅びである。ユダヤ民族を選び、導いた神が、最後はユダヤ人の不信仰を理由に約束の地を他民族に与え、民族は捕囚の憂き目を見る。このような歴史の過酷さの中でも、神信仰を失わず、選ばれた民の誇りを失わなかったのはなぜか。本論では、旧約聖書における「裁きの神」の強い一面によって、「異邦人」への排他性・攻撃性が正当化され、カナン侵略が描かれている。ユダヤ人のカナン定着の歴史は、他民族の抹殺、殺戮の歴史である。そこには異邦人に対する憐れみ、配慮は見られない。「異邦人」は「異教徒」であるが故に、滅ぼされる運命にあると考えられている。一方、新約聖書におけるイエス・キリストの言動は、「異邦人」に対する排他的・差別的扱いではなく、むしろ異邦人が神の国を継ぐ者との表現に示されるように、好意的に扱われる場面が多く見られる。ルカは、「異邦人」が救いの対象になるのかという議論の渦中にいて、ユダヤ人だけが救いの対象であることの原則を超えて、むしろ頑ななユダヤ人ではなく、異邦人の救いに強い関心を示している。使徒言行録における初代キリスト教会の進むべき道が、大きく方向転換されるようになった経緯が、ルカ神学の随所に見られる。ルカ自身がギリシャ人であり、すなわち異邦人であったという事実が、異邦人の救いへの強い関心を生み出し、キリスト教が世界宗教へと発展する足場を作ったと考えられる。現代社会の大きな潮流に、「インクルーシブ社会」への展望がある。福祉や教育、社会のあり方が、特定のマイノリティの人々を排除・差別するのではなく、包み込む共生のあり方が求められる時代になってきている。キリスト教における「インクルージョン」思想の背景を探り、今日的な宗教的意義について探りたい。それは、とりわけ世界全体が、マイノリティへの排除や差別の方向性に突き進んでいるからである。今日の重いテーマとなっている「異邦人、すなわち他国民との共生」について、ルカ神学が私たちに何を指し示しているのか。ルカの神学における「インクルージョン」思想を明らかにすることが、本論の趣旨である。それは、福音書や使徒言行録に示されている「排除されている人たち」を本質的には教会の宣教の対象としてこなかった現代のキリスト教会のあり方への批判、そして社会全体への批判についての示唆になると考えられる。
著者
川端 美穂子 倉林 学 中島 弘 堀川 朋恵 鈴木 紅 本川 克彦 平尾 見三 鈴木 文男 畔上 幸司 比江嶋 一昌
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Supplement4, pp.47-52, 1999-12-05 (Released:2013-05-24)
参考文献数
13

症例1:50歳,男性.42歳時,心房粗動(AFL)となるも放置. 動悸増悪のため入院. F l e c a i n i d e 100mg,verapamil 360mgを開始したが,排便時にwide QRS頻拍(232/分)となり失神.Common AFLに対して下大静脈・三尖弁輪間でカテーテル・アブレーションを施行し,成功.症例2:39歳,男性.36歳時発作性AFL,心房細動(Afib)を指摘されるも放置. A f i b , 心不全のため入院. 心不全は改善したが,Afibはcommon AFLに移行.Pilsicainide 150mg,verapamil 120mgの投与中,歩行時wide QRS頻拍(230/分)となり失神.カテーテル・アブレーション治療によりAFL発作および失神発作は消失した. 本2 症例では, いずれも投薬をI a 群からI c 群に変更後,それまで認められなかった失神が起こるようになり,その際,2例とも労作中1:1房室伝導性AFLからwide QRS頻拍に移行していた.このような血行動態の悪化を伴うproarrhythmiaは,AFLに対するIc群投与では,十分留意すべき点と考えられた.その予防には,心拍数上昇に拮抗する房室伝導抑制薬剤,特にβblockerの十分な投与が重要と考えられた.
著者
中川 貴史 中村 健太郎 笠岡 祐二 村田 将光 西村 健二 瀬崎 和典 野田 誠 鈴木 文男
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.SUPPL.3, pp.S3_28-S3_33, 2011 (Released:2012-12-05)
参考文献数
4

持続する上室性頻拍においてP波とQRS波の出現タイミングは一定であり, 通常その関係が変化することはない. 頻拍中, 陰性P波の出現時相が, さまざまに変化したため, P波がQRS波に重なり, QRS波高が減少した房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)の稀な1例を経験したので報告する.症例は71歳, 女性. 月に1~2回の頻拍発作を認め入院. 心臓電気生理学的検査よりAVNRTと診断された. 入院前に記録された頻拍時の心電図では, 頻拍周期540~440ms, QRS波の直後に深い陰性P波を認めた. 頻拍周期の短縮に伴い逆行性P波は早い時相に移動し, QRS波形を変形させた. 軽度の前方移動ではS波を, より高度の前方移動ではQ波を, 中等度の前方移動ではS波とQ波を同時に形成し, QRS波形をさまざまに変形させた. QRS波高も同時に減少したが(陥没現象), 陰性P波の“重なり”効果によると推察された.
著者
野田 誠 鈴木 文男 藤波 竜也 山本 康人 吉川 俊治 田代 宏徳 薄井 宙男 市川 健一郎 瀬崎 和典 磯部 光章
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement4, pp.12-19, 2008-11-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
8

三尖弁輪自由壁のatrio-fascicular型Mahaim(M)線維は,左脚ブロック型wide QRS頻拍の原因となりうるが,発生学的には“遺残副房室結節”がその本体と考えられる.M線維伝導を,房室結節・His束伝導(A-H-V伝導)のごとくA-M-V伝導として考えた場合,M伝導ブロックはAM blockとMV blockに分類しうる.持続性MV blockのためにMahaim頻拍の出現を認めないと推察された“innocent bystander Mahaim”の1例を報告する.【症例】68歳,女性.電気生理検査よりslow-fast型AVNRTが診断された.いかなる電気刺激にても心室早期興奮波形は出現しなかったが,三尖弁輪においた20極カテーテルよりM電位と推察されるスパイク電位を記録しえた.AM伝導は減衰伝導を示し,ATPによりAM blockが誘発された(房室結節類似組織の診断).心房期外刺激法において,AH blockが出現しH波・V波がともに消失したがAM伝導は保たれ,MV blockが明らかとなった.検査中,左脚ブロック型QRS波形が全く出現しないことより持続性のMV blockと考えられた.【結語】電気生理学的・発生学的観点より『MVblockを合併するMahaim線維(遺残副房室結節)』が考えられた.持続性MV blockのためにMahaim型QRS波形・Mahaim頻拍が出現しないものと推察された.
著者
中村 健太郎 中川 貴史 笠岡 祐二 村田 将光 西村 健二 瀬崎 和典 野田 誠 速水 紀幸 村川 裕二 鈴木 文男
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SUPPL.3, pp.S3_117-S3_122, 2012 (Released:2013-09-25)
参考文献数
9

われわれは,冠静脈洞(CS)pacingによる反時計回転(ccw)型心房粗動(AFL)の誘発時に,右房峡部領域において一方向性伝導ブロックの出現がみられることを報告してきた.他方,頻度の稀なclockwise(cw)型AFLの誘発機転は十分には検討されていない.今回cw-AFLが誘発された症例においてその誘発様式を検討した.症例:心房粗細動を有する80歳,男性.CS近位部~三尖弁輪周囲に20極電極カテーテル(先端A1,極間5mm)を留置し,低位外側右房(A19-20電極)より頻回pacingを行って峡部の伝導様式を検討した.周期250msにおけるpacingの際,pacing部位近接部を起源とする反復性心房興奮(RAR1+RAR2+RAR3波)が誘発された.3発のRAR波はおのおのCS開口部領域にて分裂電位を形成し,Wenckebach型伝導遅延を示しながら峡部をccw方向に伝導した.3発目のRAR3波の伝導の際,CS開口部領域における伝導遅延が十分となり,cw方向に反転するmicro-reentry性 echo-wave が同領域に出現した(U-turn現象).出現したecho-waveは,そのままcw方向に三尖弁輪周囲を旋回し,cw-AFLへと移行した.
著者
長内 宏之 村瀬 洋介 中島 義仁 浅野 博 味岡 正純 酒井 和好 鈴木 文男
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.SUPPL.3, pp.S3_92-S3_97, 2013 (Released:2015-01-09)
参考文献数
4

背景 : WPW症候群の副伝導路 (AP) に対するアブレーション時に, いったん消失したAP伝導が再開するという現象が時として見られるが, 多くの場合APの不完全焼灼に起因する「単純再発」と考えられる. 一般に, アブレーションによるΔ波の消失はAPの離断を意味するものと考えられるが, ほかの可能性として, 例えば, 焼灼によってAPの不応期が延長しその値が患者の洞周期長よりも長くなった場合, 洞インパルスはAPを伝導することが不可能となり (機能的ブロック) , Δ波は消失し得るであろう. しかしながらこれまで, そのような状況は想定されてこなかったと思われる.  症例 : A型WPW症候群の患者 (31歳, 男性) に対しアブレーションを施行した. CS電極記録にて順伝導・逆伝導ともに最早期部位は僧帽弁輪側壁部であった. 経中隔弁上アプローチにより, 洞調律下で心室最早興奮部位にて通電を行い, 14秒後にAPの伝導ブロックをきたした. 60秒間の通電の後も伝導ブロックが維持され器質的ブロックと考えられたが, 右室のカテーテル刺激によると思われる心室性期外収縮を契機にΔ波が再出現した. 出現したΔ波が持続したため, 初回の通電部位に近接する前壁側部位にて追加通電を行ったところAP伝導は消失した. その後, Δ波の再発は見られなかった.  総括 : 高周波通電によりΔ波が消失したWPW症候群の 1例において, 心室性期外収縮を契機にΔ波が再出現した. Δ波再出現の機序として「房室結節を順伝導した洞インパルスが逆行性にAP内へ進入し, その逆行性不顕伝導の効果によりAPの順伝導が機能的にブロックされていた (linking現象の持続による機能的ブロック) . この状況下にて, 心室性期外収縮による“peeling-back効果”によりAPの不応期が左方へ移動し (不応期の短縮と同等) , AP順伝導が可能となってΔ波が出現した」という説明が可能であると考えられた.
著者
鈴木 文孝
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 人文科学・社会科学
巻号頁・発行日
vol.28, pp.146-134, 1979-03-01
著者
鈴木 文雄 小林 英夫
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.927-932,a1, 1992-10-01 (Released:2011-08-11)

県営かんがい排水事業夜間瀬地区で建設した剣沢ダムは, 上信越高原国立公園や水源酒養保安林に指定されている貴重な自然環境の中に位置する均一型アースフィルダムである。こうした環境下における工事 (とくにダム周辺整備) の内容を報告するとともに, 表土・岩石などの天然材料を有効に使用することで, 自然環境を可能なかぎり保全する手法を提案する。