著者
高橋 恒一
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

長期的な機械知性の行き着く先が、その能力レベルの発展の上限により上限シナリオ、生態系シナリオ、多極シナリオ、シングルトンシナリオの順に分岐してゆく可能性を議論する。また、能力レベルの上限を制約する重要な要因として、高度な自律性を持つ認知アーキテクチャーの実現や自己構造改良能力などのアーキテクチャーレベルの問題のほかに、マルチエージェント状況における相対的優位性確立の難しさ、また計算の熱力学的効率や光速の上限などの物理的制約などがあることを議論する。
著者
高橋 恒介
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第22回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.108, 2006 (Released:2007-05-30)

地球温暖化による異常気象の増加が心配され、ニュースで話題になる。世界各都市の過去30年間の気象データと最近の気象データとの分析的比較のため、気象データを表計算ソフト上で一定ルールに従った音程データに変換し、作曲ソフトで楽譜に変換し、電子楽器で演奏させた。主要都市別の気象データ音楽は2進コード音で区切るように編曲され、どこの都市の気象データ音楽が演奏されているか句切の2進コード音で判別できる。CDへの演奏録音は過去の都市別気候を思い起こさせる証拠を残す作品として制作された。気象データに忠実であればあるほど聞き分けにくいファジイな音楽に響く。概略的に世界各都市の気候の違いを理解しやすくするため、音楽を雨量と気温の関係に基づいて5つのカテゴリに分類することを試みた。気象データ音楽CDを聞いて主要都市の気候の違いを感じ取っていただければ幸いであるが、聞きやすくするための編曲が今後の課題である。
著者
西田 孝三 海津 一成 高橋 恒一
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.40, no.156, pp.8-13, 2020 (Released:2021-02-04)
参考文献数
13

オミクス研究データの増加により,それらとパスウェイの統合と可視化をソフトウェアで自動化することが必要になっている.パスウェイ可視化はカスタマイズ性の高さとウェブアプリケーション化が求められるが,多くの生命科学研究者にとってその開発で用いられるJavaScriptは敷居が高い.また多くのパスウェイ可視化ウェブアプリケーションは公開後の第三者による改変や新たな応用を見据えた設計にはなっていない.我々はWebコンポーネントのように再利用可能でカプセル化されたパスウェイ可視化ライブラリをPythonのダッシュボードフレームワークDash用に開発した.本稿ではパスウェイ可視化がいかなるものかに加え,従来のウェブアプリケーションとDashを用いたものがどう異なるかを我々が開発したソフトウェアDash-Pathwayの機能,応用を交え紹介する.
著者
高橋 恒夫 村上 雄 岡田 千里 藤井 則久
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.71, no.15, pp.1818-1824, 1985-11-01 (Released:2010-01-18)
参考文献数
15
被引用文献数
4

14世紀,17世紀に作られた日本刀四振を切断し調査する機会に恵まれた.その結果を総括しながら注目された事項を述べると以下のとおりである.1)組成的には炭素以外の元素が極たて少ない高純度炭素鋼である.このことは既に知られていることではあるが,高純度であることが,刃金,芯金,皮金,あるいは棟金それぞれの鍛接性を良くしているのであろう.また,これが耐食性を高たているという報告もある.高純度化はあるいは靱性向上への寄与もあるのかもしれない.現代工業的に生産される鋼とオーダーの違う純度とみなせるもので,現代の工業材料を高純度化することで何か画期的特性が期待できるのではなかろうか.2)非金属介在物の量が極めて多いことに驚かされた.この量は現代の工業用鋼の1~2桁多い量といえよう.このような多量の介在物が存在するにもかかわらず日本刀独特の強靱性を有するということは,すべての介在物を皆無にする必要はなく,ポイントを抑えた生産技術を採用することの重要性を教えられる気がする.3)SHERBYはダマスカス刀,日本刀を範として超高炭素鋼(例えば1.6%C鋼)と極低炭素鋼の複合材を現代工業材料として用いることを提案している,まさに同感である。今回調査した刀のうち,政光,忠廣は明らかに低炭素成分の芯金を高炭素の刃金,皮金で覆つたマクロ的複合材である.一方,忠重の作法はダマスカス刀に似た.高炭素,低炭素材を折り返し折り返し鍛造したものと推定される.高炭素,低炭素組成のそれぞれの特徴を生かした複合材として刀としての特性は似かよつたものであろうが,製法は全くちがつたものと思われる.このような推論も現代の材料技術へ反映させうるひとつのヒントとならないかと考える.
著者
高橋 恒介
出版者
静岡産業大学
雑誌
静岡産業大学情報学部研究紀要
巻号頁・発行日
vol.10, pp.187-219, 2008

地球温暖化で気象災害が増加しているとの報道が多い。その際に温暖化が温室効果ガスによるという解説が受け売り的である。5、6年前の温暖化の説明が繰り返されるだけである。5年前の環境測定データと今年で、どこが変化したかの解説が欠けている。気象データによる温暖化の実態の確認がもっと多くの人によって行われる必要を感じる。そこで、パソコンの使い方を教えるだけでなく、利用効果を伝える立場で、一般人でも気候変化の実態を確認できるようにパソコン(PC)による気象データの分析手法を提示する。最近は気象データが次々とネットで公開される。大量であるから、平均値を使ってグラフ分析が行なわれる。世界の平均気温上昇が100年間で0.7℃以上も上昇しているというような表現を耳にするが、静岡ではどの程度の温暖化が起こっているか具体的に示された記事は少ない。地域ごとでの気象データ分析結果があれば、公開してほしいし、分析が行なわれるなら、平均気温と共に、最高気温や最低気温が、何年前から上昇したか?季節で言えば冬か夏か、月で言えば何月の気温上昇が大きいか、朝方と昼間のどちらの上昇が大きいか、示してほしいと思う。そして、最後に、地域間の気温上昇状況の違いも知りたい。そこで、静岡の気象データを例に、グラフによる分析結果を示してみる。他都市気温変化との比較もできるようにグラフ分析を行って、日本での温暖化の状況を考察した。分析結果の概略を述べるなら、日平均気温、日最高気温や日最低気温の年平均値が1980年から2000年までにかなり急速に上昇したといえる。今後も気温上昇が続けばどのような異常気象が出現するか予想がつかない。地球環境が破滅しそうだと予言する著書が多い。本当だとすれば、気象激変のドラマが始まる。ドラマの始まる前に通常の気象特性を理解し、その後の温暖化と気象異常の因果関係を把握することが重要であると思われる。異常の発見を早めるには21世紀始めまでの通常の気象を多くの人が理解している必要がある。その一手法として、ネットから集めた気象データをファイル記憶装置の中に蓄えるだけでなく、音楽情報に変換して記録することを考えた。揺らぎの大きい気象データの中から本質的な変化をキャッチするにはコンピュータ解析だけに頼るより人間の直感が役立つように思うからである。実際に静岡など主要都市の気象データを音情報に変換して記録した。本学部のウェブページで気象データ音楽として聞けるように公開する予定である。
著者
高橋 恒一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018)
巻号頁・発行日
pp.1F3OS5b03, 2018 (Released:2018-07-30)

長期的な機械知性の行き着く先が、その能力レベルの発展の上限により上限シナリオ、生態系シナリオ、多極シナリオ、シングルトンシナリオの順に分岐してゆく可能性を議論する。また、能力レベルの上限を制約する重要な要因として、高度な自律性を持つ認知アーキテクチャーの実現や自己構造改良能力などのアーキテクチャーレベルの問題のほかに、マルチエージェント状況における相対的優位性確立の難しさ、また計算の熱力学的効率や光速の上限などの物理的制約などがあることを議論する。
著者
高橋 恒男 張 達栄 張 徳中 胡 運彪 三沢 裕之 斎藤 秀樹 安日 新 HU Yun Biaou 江 紹基
出版者
山形大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

潰瘍性大腸炎の漢方療法を行うにあたり、われわれは小柴胡湯と五苓散の合剤である柴苓湯に着目し臨床応用を開始した。潰瘍性大腸炎の治療に漢方を取り入れた目的は、ステロイドおよびサラゾピリンの副作用の減弱とステロイドの減量にあった。本研究の目的は潰瘍性大腸炎に対する漢方製剤特に柴苓湯の臨床的有用性を検討するとともに、その作用機序を解明するために柴苓湯の免疫能におよぼす影響を検討することにあった。さらに、日本と中国における潰瘍性大腸炎の疫学的差異を検討するとともに、中国における潰瘍性大腸炎に対する漢方療法を学び、本症に有効な漢方療法(漢方処方)を取り入れることにあった。1、潰瘍性大腸炎に対する柴苓湯の臨床効果について活動期の潰瘍性大腸炎患者16名を柴苓湯単独投与群と柴苓湯、ステロイドあるいはサラゾピリンの併用群の2群に分け検討した。その結果、柴苓湯単独投与で寛解導入できた例が認められた。しかし、総じて柴苓床単独投与の臨床効果は柴苓湯、ステロイド、サラゾピリン併用群に劣った。ステロイドとの併用群では、柴苓湯投与によりステロイドの量を減らすことができ、また寛解導入までの期間を短縮することができた。さらにステロイドの減量が可能だったため、ステロイドの副作用発現率も少なかった。柴苓湯はそれ自身も抗炎症作用を有するがステロイドに比較しその作用は弱く、本症に対する柴苓湯投与の意義はステロイド、サラゾピリン作用の補完にある。以上の検討により、潰瘍性大腸炎の治療における柴苓湯の臨床的有用性が確認された。2、潰瘍性大腸炎に対する柴苓湯の免疫学的作用について潰瘍性大腸炎の発症、再燃と好中球、リンパ球による大腸ん粘膜障害の関連が示唆されている。そこで、in vitroでこの粘膜障害を抑制する柴苓湯の効果を検討した。(1)活動期の潰瘍性大腸炎患者の末梢好中球の化学発光(以下CL)におよぼす柴苓湯の効果について検討した。その結果、好中球のCLは活動期に増強しているが、これを柴苓湯で処理するとCLは抑制された。(in vitro)これは柴苓湯が抗炎症作用を有していることを示すものである。活動期の潰瘍性大腸炎患者の末梢好中球のCLは肢苓湯の服用により抑制された。(in vivo)(2)潰瘍性大腸炎患者の大腸粘膜由来の培養T細胞株を樹立しその免疫学的機能を解析した。その結果、培養上清はγIFN,TNF,GMーCSFの各種サイトカインを含み、かつT細胞自体も細胞障害性を呈した。この培養T細胞は、正常大腸粘膜由来のT細胞に比べTNF産生量が多いが、柴苓湯はTNFの産生を抑制した。現在、さらにこの培養T細胞に対する柴苓湯の作用を検討中である以上の検討により柴苓湯は抗炎症作用のみならず免疫調節作用を有することが明らかになった。3、日本と中国における潰瘍性大腸炎の疫学的差異を検討するために平成3年1月に訪中し、西洋医学を主とする上海第二医科大学と、東洋医学を専門とする北京西御院を訪れ資料を交換した。4、中国における潰瘍性大腸炎の漢方療法漢方処方については日本と異なり生薬を使用し、また日本の漢方エキスが手に入らないため単純な比較はできない。原則として潰瘍性大腸炎の薬物療法は、日本と同様サラゾピリンあるいはステロイドを第一選択とする。軽症あるいは中等症の患者のうち難治性のものが、西洋医学部門から漢方診療部にまわってくる。漢方医はステロイド、サラゾピリンを減量しつつ漢方製剤を投与する。漢方製剤の投与法は、日本は異なり内服投与のほかに注腸による投与もおこなう。腹痛に対する内服処方は、陳皮、炒白芍、防風、枳実。血便に対する処方は、白頭翁、秦皮、黄拍、黄連である。内服投与で不十分な場合は、漢方剤の注腸をおこなう。軽症から中等症に対しては、錫類散、黄連素、塩水。中等症から重症例に対しては、苦散、黄耆、白笈、黄柏、雲南白薬、錫類散を注腸する。5、現在柴苓湯以外の漢方剤も検討している。具体的には萼帰膠芬湯や十全大補湯が有力な候補である。
著者
村上 昭彦 高橋 恒雄 荒井 博 吉沢 正一
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.5, pp.433-438, 1976

Extraction of an organic acid in an organic solvent by the aqueous solution of caustic soda through the plane interface has been studied. MIBK and isobutanol were used as the organic solvents. The extraction rate, <I>N<SUB>A</SUB></I>, increased with the initial alkali concentration, <I>C<SUB>B0</SUB></I>, up to maximum <I>N<SUB>A</SUB></I>, where <I>C<SUB>B0</SUB></I> became nearly equal to the initial concentration of the acid, <I>G<SUB>A0</SUB></I>. Then <I>N<SUB>A</SUB></I> decreased with <I>C<SUB>B0</SUB></I> and became constant when <I>C<SUB>B0</SUB></I> was more than twice <I>G<SUB>A0</SUB></I>.<BR>These results may be explained as follows. The extraction rate is enhanced by the effect of the reaction in the range of <I>C<SUB>B0</SUB></I> below <I>C<SUB>A0</SUB></I>. When <I>C<SUB>B0</SUB></I> is higher than <I>C<SUB>B0</SUB></I> the reducing effect by the depression of the interfacial turbulence on the extraction rate overcomes the enhancement effect of the reaction. Then the reaction takes place at the interface and the extraction rate becomes constant.<BR>A simple diffusion-mixing zone model was proposed. The effect of interfacial turbulence on the extraction rate was discussed on the basis of the model. As a result, <I>N<SUB>A</SUB></I> calculated from the model was in good agreement with the experimental one.
著者
田島 研一 高橋 恒人 絵面 良男 木村 喬久
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.145-150, 1984
被引用文献数
1 16

In a previous paper, we examined the toxicity of the extracellular protease of <i>A. salmonicida</i>, Ar-4 (EFDL) on yamabe (<i>Oncorhynchus masou f. ishikawai</i>) and goldfish (<i>Carassius auratus</i>). From these results, we considered the protease secreted by this bacterium was a causative agent of furunculosis.<br> In this paper, we observed enzymatic properties of the purified protease. The results obtained were summarized as follows:<br> 1. The molecular weight of purified protease was estimated to be 71, 000 by sodium dodecyl sulfate polyacrylamide gel electrophoresis.<br> 2. The purified protease showed maximal activity at pH 9.4 and 50°C. It was stable over the pH range 5.0 to 10.0 and was completely inactivated by temperature at 56°C.<br> 3. The protease was presumably classified an alkaline serine protease and it showed chymotryptic properties since it was significantly inhibited by diisopropylfluorophosphate (DFP) and tosyl-phenylalanine-chloromethyl ketone (TPCK) and hydrolyzed <i>N</i>-benzoyl-L-tyrosine ethyl ester (BTEE).