著者
荻布 優子 川崎 聡大 奥村 智人 松﨑 泰
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
pp.22A023, (Released:2023-11-23)

本研究は小学1~6年生155名を対象に漢字書字課題を行い、正しく整っている/判読可能の2基準で採点し、学力及び視覚情報処理能力との関係を検討した。結果、双方の採点基準で学力との相関を認めたが、整った文字は判読可能文字に比して相関係数が有意に高くはならなかった。また文字の正確性や綺麗に書くこと自体が学習となる下学年では整った文字と視知覚視覚認知の相関が強く、相関は学年が上がると弱くなることから、整った文字を習得する過程では視知覚・認知機能の負荷が高く、上学年で整った文字を書くためには文字の詳細なイメージを思い浮かべる必要性から視覚性ワーキングメモリへの負荷の高さが示唆された。よって学力を従属変数とした場合に正しく整った文字が書けることの蓋然性は確認されず、文字形態を整える指導に注力することは発達障害をはじめとする認知機能に個人内差のある児童の学習到達度には好影響とはならない可能性が考えられた。
著者
荻布 優子 川崎 聡大
出版者
一般社団法人 日本小児精神神経学会
雑誌
小児の精神と神経 (ISSN:05599040)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.231-237, 2023-10-01 (Released:2023-10-06)
参考文献数
12

近年,不登校の背景にある学習のつまずきの存在が指摘され学習障害と集団不適応が併存する事例報告も散見されるが,情緒の安定化を第一に据え学習面への直接的な介入は避けられる傾向にある.われわれは就学直後に登校しぶりを呈していた児童に読み書きの困難さを見いだし,学習場面への心理的負荷に対する配慮を十分に講じたうえで認知特性に合わせたひらがな読み正確性指導を行った.結果,約7か月間週1回の指導によりひらがな音読はほぼ完成し,未指導のカタカナや漢字に対して興味を示し,生活の中でひらがなを読んだり遊びに取り入れたりする姿が観察されるようになった.読み書き困難が背景の一つであると推測される不適応状況の解決の糸口として,体系的な文字学習での度重なる失敗の経験が比較的少ない学童期初期においては,発達段階や認知特性に配慮したうえでの苦手さそのものに対する段階的なアプローチの有効性が示唆されたと考えられた.
著者
宮﨑 圭佑 山田 純栄 川崎 聡大
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3+4, pp.87-92, 2023 (Released:2023-07-06)
参考文献数
20

【要旨】 文字や図形の認知に課題を抱える児童の視覚認知過程の弱さが報告されている。このような視覚認知過程の問題に対して、触覚を利用した学習支援が試みられており、学術的な根拠に基づいた効果の検証が求められている。本研究では、視覚性記憶検査であるRey-Osterrieth複雑図形検査 (Rey-Osterrieth Complex Figure Test:以下ROCFT)に着目し、独自に加工した立体図版を作成して触覚学習実験を行った。触覚学習がROCFTの成績向上にどのような影響を与えるかを調べることで、視覚記憶への寄与について検討した。対象者はVision-Haptic群(V-H群)とVision群(V群)の2群に分けられた計52名の健常成人である。1回目再生課題を実施した直後に、V-H群は立体図版を「見ながら触れる」再学習を、V群は通常図版による「見る」再学習を行った。この再学習から24時間後に2回目の再生課題を実施した。ROCFTの得点を従属変数、学習方法の違いによる群と学習の事前事後を独立変数とし、二元配置分散分析を行った。さらにROCF総得点に加えて、図形を3つの下位ユニット(外部、部分、内部)に分けて、ユニットごとの得点も同じ手法で分析した。結果、2群間の交互作用が有意となりV-H群はV群よりROCFT再生成績の向上が大きいことが分かった。V-H群においては、視覚と触覚の2つの手がかりを利用することで、よりROCFの外部形状を中心とした精緻かつ具体的なイメージの形成と表出が可能になったと推測する。触覚-視覚情報の認知的統合が視覚性記憶を促進させる可能性を確かめられた。
著者
福島 邦博 川崎 聡大
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.1-6, 2008-01-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
16
被引用文献数
8 1

聴覚情報処理障害 (Auditory Processing Disorder: APD) とは, 末梢聴力には明白な難聴を呈さないが, 中枢性聴覚情報処理の困難さによって難聴に似た症状を呈する状態である.しかし, APDの疾患概念は比較的新しく, 臨床場面での具体的な診断および介入方法には若干の混乱も見受けられる.本稿では, 自験例のAPD症例について報告し, この疾患の診断を中心に概念と介入方法についても概説する.提示した症例は, 初診時11歳8ヵ月の女児で, 騒音下で会話が聴き取れないことを主訴とし本院来院となった.画像所見では, 両側側頭葉後部内側の局所脳血流量の低下を認め, DLTでは単音節, 単語とも正答率の有意な低下と顕著なREA傾向を認めた.CSTではS/N 0 dBで受聴困難であった.APDの診断のために, 他疾患の除外診断と画像診断, 聴覚的検査を併用することが必須であるが, 日本語の特性に根差した診断および介入方法を確立するためには, 今後の研究の進展が望まれる.
著者
森本 和滋 川崎 聡子 吉田 易範
出版者
日本薬史学会
雑誌
薬史学雑誌 (ISSN:02852314)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.64-77, 2015 (Released:2020-12-03)

For 20 years, the Ministry of Health, Labour and Welfare (MHLW, formerly Ministry of Health and Welfare (MHW)) has been trying to increase transparency of the review process for approving reports in order to promote the rational use of newly approved drugs and medical devices. The first Summary Basis of Approval (SBA) was published by MHW in 1994. In 1999, evaluation reports were prepared by MHW and the Pharmaceuticals and Medical Devices Evaluation Center to make them available to the public. In 2005, a notice from the Chief Executive of the Pharmaceuticals and Medical Devices Agency (PMDA) made procedures for public release of information on reviewing applications for new drugs. In 2006, 90 review reports of newly approved drugs and eight medical devices were revealed on PMDA websites. The dissemination of information by the United States Food and Drug Administration (FDA) and that of the European Medicines Agency (EMA) were studied and compared with that of the MHLW and PMDA. While common technical documents (CTD) for new drugs and summary technical documents (STED) for new medical devices have been released by PMDA, such documents are not released by the FDA and EMA. The European Public Assessment Report (EAPR) summary for the public is an interesting questionnaire approach that uses the What, How and Why format. Finally, future proposals for the next decade are also outlined. PMID: 26427100 [Indexed for MEDLINE]
著者
菊地 博 川崎 聡 中山 均 齋藤 徳子 島田 久基 宮崎 滋 酒井 信治 鈴木 正司
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.461-466, 2010-05-28 (Released:2010-06-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルは,インフルエンザAおよびB感染症の治療,予防に有効な薬剤である.慢性維持透析患者に対する,治療,予防に関する報告は少なく,その推奨量は決定されていない.2007年2月19日~20日,火木土昼に透析を受けている患者9人のインフルエンザA発症を確認した.発症患者の病床は集積しており,施設内感染が強く疑われた.透析患者は感染のリスク,重症化のリスクが高いと考えられ,感染の拡大を防ぐため,オセルタミビルの治療投与のほか,予防投与も行った.385名の透析患者に,十分なインフォームドコンセントを行い,同意が得られた患者にオセルタミビル75 mg透析後1回経口投与を行った.アンケート等の協力が得られた339名を調査対象患者とした.9人が治療内服,299名が予防内服を行い,31名が内服しなかった.治療内服後,全員が速やかに解熱し,重症化例を生じなかった.予防内服者には,インフルエンザ感染を生じなかったが,非予防内服者に2名の感染を認めた.この2名も同様の内服により,速やかに解熱,軽快した.内服者において,報告されている臨床治験時にくらべ,消化器症状の発症率が低かったが,不眠を訴える割合が多かった.また,内服者は非内服者にくらべ,臨床検査値異常は多くなかった.血液透析患者におけるオセルタミビル75 mg透析後1回投与は,健常者の通常量投与にくらべ,血中濃度が高値となると報告されている.過量投与による副作用の報告はなく,また,今回の透析患者339名の検討でも,安全性には概ね問題がないと考えられた.予防投与は有効で,当施設におけるインフルエンザAアウトブレイクを収束させた.
著者
手丸 理恵 山下 直宏 松井 祥子 大田 亨 川崎 聡 小林 正
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.485-490, 1994-05-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

柴朴湯による薬剤性肺臓炎の1症例を報告した. 症例は60歳の女性で, 平成4年10月12日外来にて柴朴湯を投与され一包内服したところ, 約2時間後に悪寒, 呼吸困難が出現したため, 翌10月13日外来を受診, 著明な低酸素血症と胸部X線写真上両肺野にすりガラス様陰影を認めたため, 急性間質性肺炎を疑い, ステロイドパルス療法を施行し軽快した. その後, 成分が柴朴湯と近似した煎じ薬を3日間服用したところ, 再び発熱・呼吸困難が出現し, 胸部X線写真上も両肺野にすりガラス様陰影を認めた. 再びステロイドパルス療法を施行し軽快した. 薬剤によるリンパ球刺激試験および皮膚貼布試験では, 柴朴湯に対して陽性を示し, 経過とあわせ, 柴朴湯による薬剤性肺臓炎と診断した.
著者
林 光昭 都丸 裕司 川崎 聡 志村 隆 内海 政春
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.41, no.10, pp.625-632, 2013 (Released:2015-07-23)
参考文献数
6
被引用文献数
6

In order to analyze a stability of the balancing mechanism for the axial thrust force in turbo-pumps, the simplified model expressing the essentials of dynamic behavior is shown. By the examination on that model, the dynamic characteristics in several working conditions are considered, it is shown that what kind of conditions determine the response and stability of the balancing mechanism.
著者
押田 正子 川崎 聡大
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.27-32, 2013-01

近年,特別支援教育に対する学校現場での関心が高まっているが,学習障害児に対する効果的な指導や支援は,ほとんど行われていない現状がある。本研究では,通常の学級に在籍する読み書きに困難さがみられた小学校3年生A児に対して,大学教育相談にて認知神経心理学的評価に基づき個別支援を行った。支援の経過および変化から通常小学校における学習障害児の支援の在り方について検討を加えたので報告する。対象児の個別支援では,まず書き困難に対する支援の第一段階として,本人の認知機能障害の把握と,カタカナ書字正確性をターゲットとした機能的再編成法による指導を行った。A児は,全般的知能発達遅滞は認めず,年齢相応の語彙力や漢字の読みの正確性を維持していたにもかかわらず,書き到達度は小学校1年生程度と2学年の乖離を認めた。また「繰り返し書いて覚える」書き指導を受け続け,失敗経験蓄積の結果,本学教育相談来所時には学習場面からの逃避行動も散見される現状であった。本学教育相談において,1)書き困難の背景として視覚性記憶の再認の弱さ(視覚情報処理障害)が存在する。2)語彙力,漢字音読力(正確性)と音声言語の長期記憶力は保たれていることが明らかとなった。その結果,良好に保たれた学習経路である音声言語の長期記憶力をバイパス経路とした機能的再編成法によって,短期間で困難であったカタカナ書字の正確性を向上させることが可能となった。
著者
川崎 聡大 福島 邦博
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.29-34, 2009-11

The aim of this study is to reveal how a set of training in Japanese syntax can affect on communication ability of a case of PDD. An eight-year old girl (Second grade year in Japanese School), who was diagnosed to have autism and mild mental retardation, was involved in this study. Baseline developmental status was FIQ63 (VIQ75, PIQ57) with WISC-III and receptive vocabulary was equivalent to 6 years and 1 month old with PVT.Receptive and productive syntax ability was equivalent to first half of 3 years old children (Stage 4-2 by S-S language developmental tests) and dissociation between syntax ability and other aspects of language development was observed. A training program was planned to make her use Japanese syntactic particles (Stage 5-2 by S-S) during Aug. 2006 to Nov 2006. T-QAR was evaluated before and after training to evaluate her communication ability. Three months after the commencement of this training program, she could pass Stage 5-2 and total score of T-QAR improved from 177 (Before training: equivalent to 4 year-old score)to 220 (Aftert raining: equivalent to 5 year-old score). Selected approach in limited language domains may be able to improve the child's total communication ability.
著者
杉瀬 康仁 川崎 聡大
出版者
富山大学人間発達科学部発達教育学科発達福祉コース
雑誌
とやま発達福祉学年報 (ISSN:21850801)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.21-24, 2014-05

本県の通級指導教室は、平成5年に情緒障害教室が3教室設置されたところからスタートし、翌年以降は言語障害教室が順次設置されていったが、その多くは既存の言語障害特殊学級が通級制へ移行した教室であった。ところが、平成18年の制度改正により学習障害教室の設置が可能となったことから、その後教室数・児童数ともに急増することになった。本県の通級指導教室の特色として、一人の教師が複数の教室を兼務(巡回指導)するというシステムがある。すべての教室がこれに当てはまる訳ではないが、このことが平成24年度末で、小学校数199校の富山県に、104の通級指導教室が設置され、841名の子どもたちが個に応じた指導を受けるという結果につながっていると考えられる。一方、富山市の担当者へのアンケートからは、教室を担当するに当たり、その専門性をもつのに十分な公的研修を保証されていないことや、指導を行うべき教室(場所という意味で)が確保されていなかったり、教材教具を準備するための予算措置がなされていなかったり等、研修や運営に関する不備を指摘する意見が多く集まった。このような状況を考えると、ただ教室数のみを増やすのではなく、指導を受ける子どもたちの教育環境を人的、物的に整えていくことが必要であると考えられる。
著者
川崎 聡大
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.253-262, 2010-06-30 (Released:2011-07-02)
参考文献数
23
被引用文献数
1

近年の機能画像や認知神経心理学の進歩により Brodmann44,45 野が構文の処理に密接に関与していることは明らかである。今回,「構文処理」の障害について特異的言語障害と FOXP2 遺伝子変異の関連から,「構文処理」における側頭葉の関与については機能画像および損傷脳での知見とGarrett (1981) のプロセスモデルとの対応関係の二つの視点から検討を行った。その結果,「構文処理」の障害における形態素以前と,意味論以降で障害機序が異なる可能性を示唆した。後者では,構文処理のプロセスにおいて, 統語構造の生成や語彙の選択,文法的形態素の付与には Brodmann44,45 野が関与し,述語項構造については側頭葉が関与し「動詞の意味」を手がかりとして格の付与を行うことが示唆された。このことは,前方病変での文法障害症例への新たな訓練の視点を付与するものであると考えられた。
著者
荻布 優子 川崎 聡大
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.41-46, 2016 (Released:2017-05-01)
参考文献数
11

学力と基礎的学習スキル(読み書き困難リスク)の関係について,学年,学力低下の有無といった観点から検討を加えるとともに,学力向上に向けたICT有効活用のための基礎的データを得ることを目的とした.対象は小学校2年~6年生297名である.結果,低学年では国語で読み流暢性,算数で書き正確性が学力に対する独立変数として有効であり,学力維持群・低下群の間に顕著な差は認められなかった.高学年では低学年に比して書き正確性の影響がやや強く,特に学力維持群に比して学力低下群で特に音読流暢性が学力に及ぼす影響が強いことが明らかとなった.学力低下群ではいわゆる基礎的学習スキルの課題が学力向上の妨げとなっていること,学力維持群では学年上昇に伴って読み書きスキルが学習の手段=「書いて覚える」へ移行していくことから,ICT活用によって学力向上を図るには学力や基礎的学習スキルの状況に応じたコンサルテーションが重要である.
著者
川崎 聡大 荻布 優子
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University
巻号頁・発行日
vol.9, pp.59-63, 2018-09-30

本稿では、まず自閉症スペクトラム障害の定義、症候について概説するとともに、DSM-5定義の改定とともに診断基準に明記された感覚過敏について、特に最も頻度の高い聴覚過敏をとりあげてレビューを行うとともに、その機序を生理学・病理学的観点から検討を加えた。その結果、聴覚過敏が一次聴覚皮質から聴覚連合野由来の要因と辺縁系由来の要因に起因し、症候の程度や予後は知的障害の程度の影響を受けることを示唆した。聴覚過敏の機所は一様ではなく、複数の要因に起因し、環境要因をはじめ、多くの要因がその後の経過に交絡している可能性を示した。よって、過敏に対する効果的な対処方法を検討する際には背景要因を見極め、機序に応じた対処が必要となる。
著者
木村 俊哉 川崎 聡 島垣 満 内海 政春 後藤 公成
出版者
The Japan Society of Mechanical Engineers
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.78, no.787, pp.576-587, 2012

CFD simulations were performed for the leakage flow in the gap between the casing and the shroud of a centrifugal impeller. The effects of swirl brakes equipped in the casing on the leakage flow were numerically investigated. The leakage flow swirling due to impeller rotation was trapped inside swirl brakes and interacted with the walls of the swirl brake, generating a very complex flow and a vortex structure inside. By the interaction with swirl brakes, the leakage flow rapidly lost its angular momentum mainly in the outer region of the swirl brake. The loss of swirl resulted in a decrease of the pressure difference in the radial direction due to the centrifugal force effect. The radial distribution of pressure in the gap between the casing and the shroud was largely modified, and thus the axial thrust force on the impeller was changed as well. The thrust balance of the impeller can be adjusted by an appropriate design of swirl brakes and the instability of rotating shaft can be reduced by decreasing the swirl of the leakage flow.
著者
菊地 博 川崎 聡 中山 均 齋藤 徳子 島田 久基 宮崎 滋 酒井 信治 鈴木 正司
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.461-466, 2010-05-28
被引用文献数
1

ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルは,インフルエンザAおよびB感染症の治療,予防に有効な薬剤である.慢性維持透析患者に対する,治療,予防に関する報告は少なく,その推奨量は決定されていない.2007年2月19日~20日,火木土昼に透析を受けている患者9人のインフルエンザA発症を確認した.発症患者の病床は集積しており,施設内感染が強く疑われた.透析患者は感染のリスク,重症化のリスクが高いと考えられ,感染の拡大を防ぐため,オセルタミビルの治療投与のほか,予防投与も行った.385名の透析患者に,十分なインフォームドコンセントを行い,同意が得られた患者にオセルタミビル75 mg透析後1回経口投与を行った.アンケート等の協力が得られた339名を調査対象患者とした.9人が治療内服,299名が予防内服を行い,31名が内服しなかった.治療内服後,全員が速やかに解熱し,重症化例を生じなかった.予防内服者には,インフルエンザ感染を生じなかったが,非予防内服者に2名の感染を認めた.この2名も同様の内服により,速やかに解熱,軽快した.内服者において,報告されている臨床治験時にくらべ,消化器症状の発症率が低かったが,不眠を訴える割合が多かった.また,内服者は非内服者にくらべ,臨床検査値異常は多くなかった.血液透析患者におけるオセルタミビル75 mg透析後1回投与は,健常者の通常量投与にくらべ,血中濃度が高値となると報告されている.過量投与による副作用の報告はなく,また,今回の透析患者339名の検討でも,安全性には概ね問題がないと考えられた.予防投与は有効で,当施設におけるインフルエンザAアウトブレイクを収束させた.