著者
弘中 孝志 大島 光子 本水 昌二
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.503-507, 1987-08-05
被引用文献数
5 13 6

吸光光度検出器を用いたイオンクロマトグラフィーによる,河川水中の総炭酸(炭酸,炭酸水素イオン及び炭酸イオンの合量)の定量法が検討された.吸収を示す溶離イオンとしては,トリメリット酸イオン(1,2,4-ベンゼントリカルボン酸イオン)を用い,陰イオン交換カラム(TSK gel IC-Anion-PW,4.6mm i.d.×50mm)を用いた.試料中のカルシウム,マグネシウムイオンは,溶離イオンのカルボン酸イオンと反応し,総炭酸の定量に影響を与える. この妨害は,Na型に変えたイオン交換型試料前処理カートリッジカラム(Toyopak IC-SPM)に試料を通すことにより完全に除くことができた.試料中の陰イオンにより,追い出されてきたトリメリテートイオンの吸収は炭酸水素イオンのピークに影響を与え,負の誤差を生じる.この誤差は,試料中に共存する陰イオンのピークの面積の和を用いることにより補正可能であることが分かった.阿川水中の総炭酸の定量を行ったところ, FIAにより得られた値と良く一致した.
著者
渡辺 邦洋 背戸 文子 堤 あかね
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.37-42, 1992-01-05
被引用文献数
8 3 3

置換基を変えた3種の1-アミノ-8-ナフトール-3,6-ジスルホン酸(H酸)モノアゾ色素を合成し, これらの試薬のマンガン-過酸化水素による退色反応を利用した極微量マンガンの接触分析法を検討した.いずれの色素を用いた方法でもマンガンの定量が可能であり, 活性化剤としてはo-フェナントロリン及びタイロンが有効であった.3種の色素の中で最も感度が優れていたのは1-アミノ-8-ヒドロキシ-7-(p-ヒドロキシフェニルアゾ)-3,6-ナフタレンジスルホン酸であり, この色素を用いて0.04〜1.0ppbのマンガンの定量が可能であった.本法を水道水中のマンガン定量に適用した結果, 特別な前処理なしで直接定量することができた.
著者
渡辺 光義
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.263-266, 2001-04-05
被引用文献数
1 1

化学蒸着法により合成された炭化ケイ素(CVD-SiC)は純度, 密度, 強度及び耐酸化性が共に高い. このち密で硬いCVD-SiCをアルカリ融解するために微粉砕すると粉砕器からの汚染を避けられず, 粗粉砕すると汚染は避けられるが, より高温でのアルカリ融解を要し, 融解反応が不均一かつ瞬発的に激しく進むため, 試料の飛散損失を招きやすい. 粗粉砕(0.35〜1.5mm)した試料0.25gを炭酸ナトリウムとホウ酸の6:1混合融剤3gで融解する際, 酸化鉄(III)0.1gを添加すると反応は穏やかに進み, 試料の飛散は全くなく融解時間も短縮できた. 融解生成物を塩酸に溶解後, 凝集重量法により主成分の全ケイ素を定量した結果, 相対標準偏差<0.04%と, 酸化鉄を添加しないときに比べて約10倍の高精度で定量できた. なお, 5試料の並行分析に約2日間を要した.
著者
笹木 圭子
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.69-69, 2011

[Additions]「分析化学」第60巻第12号にて,印刷会社のミスにより下記の誤りがございましたので,お詫びするとともに訂正いたします(PDF参照).
著者
石坂 昌司 山内 邦裕 喜多村 昇
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.361-367, 2013-04-05 (Released:2013-06-17)
参考文献数
37
被引用文献数
1 6

エアロゾル微小水滴は,気候や大気化学などの分野において極めて重要な役割を果たしている.レーザー捕捉法は,マイクロメートルサイズの単一微小水滴を非接触で気相中に浮遊させることができるため,エアロゾル微粒子系に関する強力な研究手段であると言える.本稿では,レーザー捕捉・顕微ラマン分光法による,エアロゾル微小水滴の化学組成ならびに水滴サイズの直接測定に関して報告する.さらに,レーザー捕捉法を気相中における過冷却微小水滴の凝固の直接観測に応用した研究例に関しても紹介する.レーザー捕捉法を駆使し,光学顕微鏡下に雲中で起こる降雨・降雪の初期過程のモデル反応系を構築することが可能である.
著者
森田 裕子 水村 亮介 橘 義貴 金澤 秀子
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.541-545, 2013-06-05 (Released:2013-06-27)
参考文献数
14
被引用文献数
2

Cation exchange resins (calcium polystyrene sulfonate, Ca-resin and sodium polystyrene sulfonate, Na-resin) have been used as agents to improve hyperkerlemia. For removing 137Cs from the human body, the adsorption ability of the resin for 137Cs was examined and evaluated. Resin (0.03 g) and 137Cs (ca.1 kBq) were introduced into 3 mL of water, the Japanese Pharmacopoeia 1st fluid for a dissolution test (pH 1.2) and 2nd fluid (pH 6.8), respectively, and shaken. After 1-3 hours, the 137Cs adsorption (%) of Na-resin was 99% in water, 60% in a pH 1.2 fluid and, 66% in a pH 6.8 fluid. By adding potassium, the 137Cs adsorption (%) of Ca-resin was reduced. However, the 137Cs adsorption (%) of Na-resin was almost unchanged. These results show that both resins have adsorption ability for 137Cs in the stomach and the intestines. Therefore, the proposed method will be an effective means in the case of a radiological emergency due to 137Cs.
著者
亀谷 勝昭 松村 年郎 内藤 光博
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.337-341, 1992-07-05
被引用文献数
4 5

雨水, 河川水, 水道水中のヨウ化物イオン及びヨウ素酸イオンの分離定量法を検討した.ヨウ化物イオンの定量は, これを陰イオン交換樹脂に吸着させ, 過マンガン酸カリウムを含むアルカリ溶液でヨウ素酸イオンとして分離溶出し定量した.ヨウ素酸イオンの定量は, 亜硫酸でヨウ化物イオンに還元し, もともと存在するヨウ化物イオンと併せて定量し, この値からヨウ化物イオンの値を差し引いて求めた.ヨウ化物イオンの比色定量は, 高感度であるロイコクリスタルバイオレット法を応用した.雨水, 河川水, 水道水には, ヨウ化物イオン及びヨウ素酸イオンを含むが, 特に水道水のヨウ素は, ほとんどすべてがヨウ素酸イオンとして存在することを明らかにした.
著者
小川 信明 菊地 良栄 後藤 博 梶川 正弘 尾関 徹
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.503-511, 1998-08-05
被引用文献数
11 9

日本は海に囲まれており, 降水中には海塩起源と考えられるイオンが多量に含まれる. そこで, 降水中でも海水中のイオン組成比が保持されると仮定し, N^+又はCl^-イオン濃度を基準に, 降水中の汚染物質を海塩起源(ss)と非海塩起源(nss)に区分することが一般的になされてきた. しかし, 汚染物質を含んだ雨雲や乾性浮遊物が移動する途中にガス状酸性物質とイオン交換する可能性などがあり, 必ずしもss/nssという区分は正しくないという意見もあった. そこで, 1993年4月から1995年8月までの期間, 秋田市と湯沢市で1日ごとの降水を採取し, そのイオン組成を化学分析し, それらのデータに, 著者らが開発した制限斜交回転因子分析法を適用し, 降水中の汚染起源を抽出し解析した. その結果, 海水中の塩組成に非常に近い海塩由来の汚染起源が抽出された. しかし, Na^+及びCl^-イオンを含む海塩成分の一部が降水を酸性にする硫酸酸性の汚染起源の中にも含まれていることが分かった. この因子は, 冬季と冬季以外, 又海に近い秋田と内陸の湯沢で組成の違いを示した. このことは, 海塩由来の汚染物質が採水地点に到達するまでに, 組成の変質を受けていることを強く示している.
著者
池田 昌彦 西部 次郎 中原 武利
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.368-374, 1981-06-05
被引用文献数
3 18

テトラヒドロホウ酸ナトリウムを使用してヒ素などの水素化物を連続的に発生させて原子吸光分光分析装置で定量するに際し,水素化物の発生効率及び吸収感度に影響を及ぼす諸条件について検討した.水素化物の自然分解率については,2分間にヒ素1%,鉛30%,テルル57%であった.同時に生成する水分はヒ素と鉛にはほとんど影響しなかったが,テルルには著しく影響を及ぼした.水素化物の発生反応は鉛とテルルについては試料とテトラヒドロホウ酸ナトリウムが混合した瞬間に発生が完了するが,ヒ素については混合後2秒間程度発生が継続していた.水素化物連続発生装置で水素化物形成元素を原子吸光測定する際にキャリヤーガスとして使用するアルゴンは,発生した水素化物を希釈するだけでなく,水素化物の自然分解及び原子化セルの内壁の温度に影響を及ぼした.
著者
黒田 大介
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.T21-T24, 1987-03-05
被引用文献数
9 5

環境分析技術協議会会員33機関による作業環境中の有機溶剤測定法の共同実験を行った.2〜3成分の溶剤蒸気を合む合成試料8種類を調製し,これを活性炭管法で採取したものを分析試料とした.4回の実験でメタノール,酢酸エチル,メチルエチルケトン,ベンゼン,トルエン,パラキシレンの6成分の活性炭管での回収率を調べた結果,メタノール,メチルエチルケトンでは平均20%と56%でかなり悪いが,他の成分はいずれもほぼ完全に回収できた.又,活性炭管に採取した試料は1週間後でも変化せず保存性はすべての成分について良好であった.GC分析における誤差要因として検量線の変動を検討し,特に試料注入量の変動と偏りが大きいことを確かめた.更にマイクロシリンジを用いた標準液調製法の精度を検討して良好な結果を得た.
著者
松本 健 小浦 利弘
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.807-811, 2001-12-05
被引用文献数
1

難溶性の硫酸バリウムの分解方法として, 融解剤に硫酸水素アンモニウムを用いる, 迅速簡便な方法を確立した.硬質ガラス製試験管に硫酸塩試料の約10mgと硫酸水素アンモニウムの約2gを入れて混合した後, ガスバーナーの小さなフレームで試験管の底部を550〜600℃に加熱する.分解が進むに従って融解物は無色透明になり, 約5分間の加熱で十分である.冷却後, 固化した融解物を0.05M EDTA-アンモニア水溶液(アンモニア濃度; 3.5M)に加熱溶解し, 溶液中のバリウムを誘導結合プラズマ発光分析法あるいはフレーム光度法で定量する.本法を難溶性のバリウム鉱石の分解に応用し, 試料中のバリウムを定量したところ, 試料を炭酸塩融解して得た値とよく一致した.
著者
中島 史登 酒井 馨
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.94-98, 1961
被引用文献数
7

バソフェナントロリンを用いて鉄を定量する際生ずる赤色の錯化合物について,その組成ならびに安定度について検討した.10%エタノール溶液中で発色させ連続変化法および Molland の方法にしたがって組成をしらべた結果,鉄対試薬の結合比は1:3であり,したがって錯化合物は tris-(4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)-iron(II)であることが認められた.バソフェナントロリンは溶液中では一酸塩基として行動しバソフェナントロリウム・イオンを生成する.その酸解離定数を紫外部における吸収を利用して求め 10<SUP>-4.80</SUP> を得た.また錯化合物の安定度定数を求めたところ,10<SUP>21.8</SUP> であり非常に安定であることが知られた.
著者
鈴木 雄亮 金子 毅
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1029-1034, 2009 (Released:2010-01-25)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

清涼飲料水中に混入されたパラコート(PQ)及びジクワット(DQ)の迅速・簡便な定性試験法を検討した.抽出にはピペットチップ型固相抽出デバイスであるOMIX® pipette tipを用いた.コーラ及びコーヒー飲料にPQ及びDQを添加した試料について,C18,C4及びSCXタイプのOMIX® pipette tipにより抽出を行った.C18及びC4タイプのものを用いて抽出されたPQ及びDQは,呈色試験及び液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により同定された.抽出に要した時間は,1検体あたり3分程度であった.SCXタイプのものを用いた場合は,PQ及びDQの回収に飽和食塩水を用いるため,LC/MSには不向きであるが,呈色反応による検出は可能であり,また,抽出操作もC18及びC4の場合と比較してより簡便であることから呈色試験によるスクリーニングには,非常に有用であると考えられた.
著者
保高 徹生 辻 英樹 今藤 好彦 鈴木 安和
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.499-506, 2013-06-05 (Released:2013-06-27)
参考文献数
15
被引用文献数
8 10

プルシアンブルー粒子担持不織布を充填したカートリッジに溶存態放射性セシウム(Cs)含有水を通水し,カートリッジに吸着させ,濃縮することにより,環境水中の溶存態放射性Cs濃度を迅速にモニタリングする技術を開発した.溶存態137Csの濃度を0.005~5 Bq L−1の範囲に調整した水を用いた試験の結果,通水速度が2.5 L min−1の場合,第1・第2カートリッジの137Csの回収率は20 L通水で90% 以上,100 L通水で83% 以上となった.また,通水速度を0.4 L min−1とした場合には,第1カートリッジの回収率が88% 以上に達した.本方法により,20 L濃縮を約10分,100 L濃縮を約50分で行うことが可能となる.また,ゲルマニウム半導体検出器の定量下限は20 L濃縮の4000秒測定で0.03 Bq L−1,100 L濃縮の43200秒測定で0.001~0.002 Bq L−1となり,従来法の前処理方法(20 Lで6時間以上)と比較して濃縮作業の迅速化が可能となる.
著者
越野 幸広 生川 章
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.89-92, 1991-02-05
被引用文献数
4 1

黒鉛炉AASを使用した硫黄中のng g^<-1>レベルのAl, Fe, Ni, Cr, Mn及びCuの直接定量法を検討した, 硫黄試料は数mgを固体のままL'vovのプラットフォームを取り付けた黒鉛炉内に導入する.硝酸を添加した後, 低温で徐々に加熱し, 硫黄をすべて揮散させた後, 分析元素のシグナルを得ることで硫黄によるマトリックス干渉が除去できた.そのため, 検量線は分析金属元素を単に混合した標準溶液を用いて作成できた.本法の再現性は相対標準偏差として10%以内であり, 分析値は硝酸-臭素分解/ICP-AES法の結果とよく一致した.
著者
中村 清 宇津井 雄三 前田 忠男
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.540-546, 1967

The authors had given, in their previous paper, the optimum conditions for the decomposition of <I>N</I>-methyl compounds into methyl iodide in hydroiodic acid in the microdetermination of <I>N</I>-methyl group with volumetric finish.<BR>In this paper, more sophisticated methods with gravimetric finishes using solid absorbents were investigated in place of the volumetric finish.<BR>Measurement of the weight increase of the heated silver granules caused by the absorbed iodine, which had been given after the combustion of methyl iodide, was prefered to give satisfactory results in a routine analysis, while that of the molecular sieve 13-X resulted by the absorbed methyl iodide required a further investigation concerning significantly high(+) error with certain compounds.
著者
西沢 直行 高野 靖 神立 誠
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.294-298, 1976-05-10 (Released:2009-06-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

イオン交換クロマトグラフィーによる筋肉中のカルノシン,アンセリン,バレニンの分離,分析精度の向上,分析の迅速化を試み,よい結果を得た.分析は,56×0.25cmのカラムに強酸性陽イオン交換樹脂Aminex A-5を50cmの高さに充てんし,エタノールを2.5%含んだクエン酸緩衝液(pH4.15,ナトリウム濃度0.38M)で,カラム温度57℃,緩衝液の流量5.4ml/hで行った.本方法により,アミノ酸,エタノールアミン,クレアチニンの存在下で,カルノシン,アンセリン,バレニンが迅速に精度よく定量できる.分析所要時間はカルノシンまでで5時間40分で,分析精度は(100±1.2)%であった.本方法による筋肉の1回の分析必要量は0.02gである.マッコウクジラ,スジイルカ,ヒキガエル,ホタテガイの筋肉にバレニンの存在が認められた.
著者
篠原 敏雄 松原 寛和 善国 信隆 小熊 幸一
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.52, no.9, pp.851-853, 2003 (Released:2004-01-30)
参考文献数
10
被引用文献数
4 5

The determination of boron in steel was carried out by ICP-AES combined with anion-exchange separation. About 0.2 g of a steel sample was weighed in a quartz beaker and dissolved with a mixture of 2 cm3 of nitric acid, 1.5 cm3 of phosphoric acid and 4 cm3 of water by heating on a hot plate. Most of the nitric acid was evaporated off and the sample solution was transferred into a separatory funnel with 10 cm3 of 0.1 mol dm−3 nitric acid and water. About 3 g of iron(III) hydroxide oxide was dissolved in a mixture of 10 cm3 of hydrofluoric acid, 1 cm3 of 30% hydrogen peroxide and 50 cm3 of water by heating on a hot plate and added to the above sample solution. The sample solution was diluted to about 100 cm3 with water, allowed to stand for 1 h and then loaded onto an anion-exchange resin Bio-Rad AG1 column preconditioned by a fluoride solution. The iron in the sample solution passed through the column, while the boron was adsorbed as BF4− on the column and recovered with 6.5 mol dm−3 nitric acid. The effluent, containing boron, was treated with phosphoric, perchloric and nitric acids and diluted to 25 cm3 with water to be subjected to ICP-AES at 249.77 nm. The proposed method was successfully applied to the determination of boron in a steel-certified reference material, JSS 174-5, provided by the Japan Iron and Steel Federation. The detection limit was found to be 1.3 μg g−1 boron in steel.
著者
三井 利幸 肥田 宗政 藤村 義和
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.427-431, 1990-08-05
被引用文献数
5 4

熱分解ガスクロマトグラフィー(PyGC)による天然あるいは合成繊維の同定を, PyGCから得られたパイログラムのピーク高さ及びピーク面積を自然数値化後, クラスター分析, 各カテゴリーの重みを同じにした偏差値からのクラスター分析, 主成分分析, 因子分析などの多変量解析法により行った.その結果, 未知試料が極めて簡単に同定できることが明らかとなった.更に, 未知試料のパイログラムが既知試料と一致しない場合でも, 多変量解析法で計算した結果未知試料の構成成分の推定が可能であった.