著者
高村 政孝 五十嵐 善英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.376, pp.61-68, 2001-10-12
被引用文献数
1

本論文ではsingle-writer/multi-reader共有変数モデル上で相互排他問題を解く2つのアルゴリズム提案する.これらのアルゴリズムはBakery algorithmの改良である.まず, ある特殊な条件が成り立っている元で, 有限サイズの共有変数で相互排他が実現されるようBakery algorithmを変更する.次に, この特殊な条件を取り除くために, どのユーザーにも属さない追加のプロセスを用いたアルゴリズムを提案する.この追加のプロセスを用いた相互排他アルゴリズムはlock-out-freeを満足する.さらに, このアルゴリズムの共有変数のサイズを減らすよう改良したアルゴリズムも提案する.これらのアルゴリズムの時間計算量は, ユーザーの数をn, atomic stepの時間の上限をl, ユーザーが資源を利用する時間の上限をcとすると, いずれも(n-1)c+Ο(nl)である.共有変数のサイズは, 最初のアルゴリズムが(n+1)(1+⌈log(n+2)⌉bits, 二つ目のアルゴリズムがn(1+⌈log(n+1)⌉)+1bitsである.
著者
山根 宏 青木 忠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.150, pp.1-6, 2008-07-17

通信のブロードバンド化やユビキタス化に伴い、アクセス・構内ネットワークが高機能化されてきているが、省電力化に伴って機器の低電圧化が進められ、過電圧や過電流に対する耐力が低下してきている。本報告では、屋外に設置された通信システムの電源線から侵入する雷サージに対する誤動作を低減するブレーカの開発、及び家庭内で通信として最近普及してきている高速電力線通信システムから発生する漏洩電磁界低減用ブロッキングフィルタの小型化に向けて検討した結果、40dB以上の挿入損失、従来の約1/3の容積が得られた結果について述べる。
著者
梅山 宏基 浦島 智 安宅 彰隆 畑田 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.327, pp.13-18, 2007-11-10
被引用文献数
2

学生のノートPCを用いた授業支援システムを開発している.授業における教師と学生間の双方向のコミュニケーションを支援するために,教師と学生のノートPC間をネットワーク上にあるサーバを介して情報交換を行うシステムを提案する.本システムでは,Ajax (Asynchronous JavaScript+XML)を用いてバックグラウンドでの通信を実現しているため,アプリケーションのインストールを必要とせず,簡単に使用が可能である.このような仕組みを利用して,在席確認やリアルタイムアンケート,不明単語共有,ページの強制表示などを行えるWeb型の授業支援システムを試作した.本稿では,システムの構成とその評価について述べる.実験により,ノートPCとネットワークによる,対面授業における新しいコミュニケーションチャネルの有用性が確かめられた.
著者
木脇 太一 牧野 貴樹 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.279, pp.103-106, 2012-10-31

Restricted Boltzmann Machine(RBM)の過学習問題を緩和するために隠れ変数のエントロピーを正規化項として用いる学習手法を提案する.従来のRBMには不要な複雑性を取り除くための機構が欠如していたため,データの複雑性に関係なく必要以上に複雑な表現を学習してしまう,いわゆる過学習が問題となっていた.本手法ではデータに合わせて最適なRBMの複雑性が動的に調節される,いわゆるモデル選択をRBM上に実現する.本稿ではこの正則化項に基づく学習アルゴリズムを統計力学の手法を用いて導出する.
著者
與儀 那広 城間 政司 長田 智和 谷口 祐治 玉城 史朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.372, pp.59-62, 2011-01-13

近年,AjaxやHTML5の台頭により,JavaScriptを用いたWebブラウザのリッチクライアント化が進んでいる.これにより,プラットフォームに依存しないアプリケーションの開発が可能になってきた.しかし,現在のJavaScriptの機能では,Webブラウザ間でP2P通信を行うアプリケーションを開発することはできない.そこで,本研究ではJavaScriptに新たな機能を追加し,WebSocketを用いることでWebブラウザ間P2P通信を実現する.また,その有用性を示す例として,Webブラウザ上で動作し,さまざまな気象情報を伝送するP2Pアプリケーションの開発を行う.
著者
桐生 昭吾 蘆原 郁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.236, pp.9-13, 2004-07-23
被引用文献数
3

コピー防止としてレコード会社大手が導入している通称CCCD(Copy Controlled Compact Disk)に関し、導入の経緯、問題点について述べる。数種の実際のCCCDについて、エラーの有無を調査した。また、パソコンにおける再生などの調査を行った。また、今後の著作権保護のあり方についても言及した。
著者
内海 章 野間 春生 多田 昌裕 萩田 紀博 宇野 雅博 小林 聖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CNR, クラウドネットワークロボット (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.338, pp.23-26, 2012-11-30

交通環境における無線機器の利用状況と通信品質の関係について解析した結果を報告する.近年,自動車内にはインターネットに繋がるゲートウェイとなる情報ハブが用意され,車内の運転者や同乗者は各自の端末を介して情報ハブにアクセスする環境が当たり前になりつつある.しかし,道路を走行する多くの車が無線ハブを搭載するようになると,渋滞などで搭載車両が過密に分布した場合に無線リソースが逼迫し,正常なサービスの提供が困難になることが考えられる.特に災害や事故による渋滞では,緊急性の高い通信が阻害される恐れがある.本報告ではISM 帯において現在広く利用されているWi-FiとBluetooth 通信を対象に,公道を想定したシミュレーションによって,通行状態と無線の輻輳状態の関係を分析する.また,通信のQuality of Service (QoE) 充足度を指標にした無線システムの制御による通信品質改善の可能性についても併せて検討する.
著者
宮尾 淳一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.723, pp.51-56, 2000-03-22
被引用文献数
1

筆者らは, 現在, 手話単語特徴に基づく教授法を用いた手話学習システムの開発を行っている.この教授法で用いる手話単語特徴の時間軸上の解析において, 単語認識に最低限必要なキーとなる動作(意味的特徴点)は, 通常数ヶ所程度であることが分かった.そして, この意味的特徴点に対応する静止画像のみから動画像を再構成すると, 滑らかではないが十分認識できることも分かった.本稿では, この意味的特徴点による手話動画像フレームの最小化に関する実験について述べると共に, 実用化の観点より形式的に意味的特徴点に近いものをヒユーリスティックに選択する方法を提案し, その実験結果についても述べる.さらに, この形式的手法をテレビ手話ニュースに適用した場合の結果についても報告する.
著者
冨田 優子 中尾 彰宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.273, pp.17-22, 2009-11-05

インターネットにおけるエンドシステム間の経路を調べるためには,通常tracerouteを用いることが多いが,このtracerouteの返す情報は不完全な場合がある.これは,ルータに送られたtracerouteのUDPパケットの応答であるICMPパケットが生成されないことに起因する.一方,インターネットの経路情報は,通常経路とは異なる代替経路(disjoint path)を探索するための基本情報として重要である.オーバーレイルーティングでは,代替経路を利用し,リンク障害を回避することで経路の堅牢性を向上するなどの応用がある.そこで本稿では,通常経路をルータレベルで完全な推測することは一般に困難であること,代替経路の検索には,ASレベルの情報で十分な場合が多いことなどの理由から,不完全なtraceroute情報からASレベルでの完全な経路を推測する手法を提案する.本手法は,ASペア間のピアの関係を調べることにより,tracerouteでICMPパケットが返らないルータ(アスタリスクとして表示される)が属するASを推測する.また,サブネットの異なる191のPlaneLabのノードから得られたtracerouteの結果とASのピアリング関係を用いて,不完全なtracerouteのサンプルの71.4%に対して,通常経路をASレベルで推測可能であることを示す.
著者
疋田 真 大庭 直樹 今村 三郎 クディエル カクラウス 有本 好徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.167, pp.1-6, 1999-07-09
被引用文献数
3

Gbps級の宇宙光通信用に, 衛星から送信されたレーザ光を受光する部品として, 積層型ポリマ導波路を作製した。導波路は, マルチモード2個, シングルモード1個, マルチモード2個と, 3層構造で5個の導波路を有する構造であり, コアにはPMMAを, クラッドにはUV硬化エポキシ樹脂を用いた。受光面と反対側端面は, 5個の導波路全てが光ファイバとピッグテール接続されている。この素子の挿入損失を測定したところ, 1.55μmで1dB程度と低損失であった。
著者
三島 和宏 櫻田 武嗣 萩原 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.495, pp.239-244, 2015-02-26

本稿では,小型かつ低価格な情報デバイスを利用したデジタルサイネージシステムを活用したWebカメラモニタリングシステムの提案とプロトタイプ実装について詳説する.我々は,学内の複数箇所にIP通信可能なWebカメラを設置し,防犯監視等に利用している.その利用例として,入学試験時の複数ゲートの集中監視システムがある.これまでは,利用する当日までに対象となるWebカメラから送られる動画像を表示するための専用のPCを用意し,その画面をディスプレイに表示させる方法を取っていたが,機器を用意するためのコストが高いことが課題となっていた.そこで,すでに提案しているRaspberry Piを用いた低コストなデジタルサイネージシステムを表示デバイスとして用いることで,機器コスト,準備を行う人的コストなどを総合して低減するモニタリングシステムを試作することとした.本稿では,この取り組みの概要,低コストなデジタルサイネージシステムを用いたプロトタイプ実装の詳細,複数のWebカメラ画像を表示するためのサポートサーバの詳細などの取り組みと今後の課題についてまとめる.
著者
小山 裕司 中鉢 欣秀 土屋 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.363, pp.11-16, 2011-12-10

産業技術大学院大学は,高度専門職を養成するための専門職大学院である.学生及び修了生は専門分野を持ち,社会で活躍している社会人である.彼らは,専門分野での専門職の相互コネクション(人脈)を構築することを希望している.著者らは,これらの活動を支援するため,既存のFacebook, Twitter, LinkedIn等のソーシャルメディアを活用し,相互交流を取ることができる環境の整備を行い,またこれらと連携し,職歴,専門分野,活動等のポートフォリオを横断的に取り扱うことができるシステムを開発した.
著者
大谷 卓史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.442, pp.121-126, 2014-02-20

本発表は、子どもにどのようにSNS(Social Networking Services)を使わせるべきか考察する。子どものSNS利用は、SNS利用にともなうネットいじめや評判のリスク、SNSへの依存の可能性から慎重に許可すべきである。ただし、子どもが行為選択能力を育て、ネット上の人間関係構築能力を育てられるよう、子どものネット利用の問答無用の禁止や監視は避けなければならない。
著者
松浦 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.299, pp.25-30, 2014-11-06

ワイヤレスセンサーネットワーク(WSN)が多くの分野で利用されている.WSNの特徴は,多くのセンサーが電池稼働であることである.そのため,各ツリークラスタを構成するセンサーの電力消費を最小限に抑える省電力ルーティングが求められる.また,複数ツリークラスタ間の負荷バランスをとることも重要になる.本稿では,クラスタヘッドとクラスタヘッドから情報を収集するベースステーション(BS)単位に階層的にWSN管理システムを配置し,BSと複数のクラスタヘッドを連携させた効率のよいルーティングとWSN管理手法を提案する.
著者
松浦 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.303, pp.47-52, 2013-11-14

RPL(IPv6 routing protocol fbr low-power and lossy networks)はDODAG(destination-oriented directed acyclic graph)と呼ばれる複数センサーから構成されるツリーで,DODAGのルートノード(DODAG root)までデータを転送し,そのデータをベースステーションに送付することによってセンサー情報を収集する形態をとる.各センサーは電池稼働であることが想定されるので,各センサーの電力消費を抑えることは最も重要な課題である.ひとつのWSN(wireless sensor network)上で一つまたは複数のDODAGをどのように構成するかは,RPLのOF(objective function)に依存するが,いままでに提案されているOFでは必ずしもDODAG上のセンサーの電力消費の最適化がおこなわれているとは言えない.本稿では各DODAG上のセンサーの電力消費を大幅に削減することを可能とするルーティングフレームワークを提案するとともに,一つのWSN上での複数DODAG構成法についても議論する.
著者
大野 健彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.291, pp.17-24, 1999-09-13
被引用文献数
13

本研究では,視線を利用してウインドウを操作する環境Ewmを提案する.これまでマルチウインドウシステムにおいてウインドウの操作にはマウスなどのポインティングデバイスが一般的に利用されてきた.そのため操作のたびにポインティングデバイスを操作する必要があり,また操作をおこなうための特別な知識を必要とした.我々の提案するシステムはユーザの視線を観察することでウインドウの操作を自動的におこない,またユーザがウインドウを操作する場合はコマンドを視線によって実行することが可能であるという特徴を持つことで,手を用いることなくわずかな知識で操作可能なウインドウ操作環境を実現している.
著者
岡本 秀輔 鎌田 賢 米倉 達広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.129, pp.43-47, 2007-07-02

Webアプリケーションとして複数プレイヤー参加型RPGを簡易に作成するためのプログラミングツールについて述べる.このツールの設計目標は単純な指定でさまざまなRPGを作成できることである.プログラミングの初心者や小学生などもこのツールの対象ユーザに含めている.ツールはGUIエディタとコードジェネレータからなる.GUIエディタはRPGのキャラクタの動作を規定する状態遷移図を作成するためのものである.コードジェネレータは,ゲームを構成するためのC,PHP,JavaScript,HTMLなどのコードを状態遷移図から生成する.生成されたRPGは,Firefox,Safari,IEといったよく使われるWebブラウザで操作できる.RPGのプレイヤーがWebブラウザ上でクリックやキー入力を行うと,その結果がWebサーバに送られデータベースに記録される.その結果,プレイヤーの入力が,他のプレイヤーのアバタやプレイヤーと関連を持たないゲームキャラクタに影響を与えることができ,さらにそれが他のプレイヤーの画面に反映される.状態遷移図は特定のプログラミング言語には依存せずに動作を規定するための道具である.そして,その構造は単純なために簡単に学習できるとともに,ゲームキャラクタの振舞指定に適している.本報告では,ツールを用いて容易にWeb用のRPGを作成できる可能性について述べる.
著者
村上 真之 池田 博康
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.205, pp.43-48, 2011-09-05

高出力のモータで駆動する生活支援ロボットが企業で開発されるようになり,実用化に向けた安全面における取り組みが求められている.人の生活空間を移動するロボットの誤動作の危険性を考えると,安全とEMCの観点から,ある程度厳しい電磁環境下においてもロボットが安全状態を維持することの検証が必要である.機能安全に基づく移動ロボットのイミュニティ評価を計画し,緊急停止や対人衝突防止などロボットの安全機能を作動させる試験治具を作製した.電磁妨害を与えながら,緊急停止ボタンを押し,あるいは,ダミーを接近させてロボットが安全状態にあるかを確認するという手法を放射イミュニティ試験の基本法に従い実践した.
著者
関本 英彦 戸田 智基 猿渡 洋 鹿野 清宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.221, pp.37-42, 2006-08-23
被引用文献数
4

携帯電話が普及するにつれて,「いつでも」「どこでも」コミュニケーションができるようになった.携帯電話を使うことがとても便利である反面,外部雑音の影響により,正しい内容を受聴できない問題がある.例えば,人ごみの中といった騒音による影響のため,小声でプライベートな会話ができない.本稿では,外部雑音に頑健な非可聴つぶやき(Non-Audible Murmur: NAM)マイクを用いた小声(Small Body Transmitted Ordinary Speech: SBTOS)によるコミュニケーションを考える.NAMマイクで収録された音声(肉伝導音声)は外部雑音に頑健である反面,こもった音声になり,聞き取りが困難である.そのため,混合正規分布モデル(Gaussian Mixture Model: GMM)を用いた声質変換技術により音質改善を行う.その際に,SBTOSから通常音声へと変換(SBTOS-to-SP),また小声へと変換(SBTOS-to-SSP)を検討する.入出力間における有声無声の一致率を調べたところ,SBTOS-to-SSPはSBTOS-to-SPよりも一致していることがわかった.客観,及び主観評価実験の結果,SBTOS-to-SSPはSBTOS-to-SPより優れていることがわかった.