著者
今西 一男
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.829-834, 1999-10-25 (Released:2018-03-01)
参考文献数
26

THE PURPOSE OF THIS STUDY IS TO ANALYZE THE PLANNING PROCESS AND PROBLEM OF THE MULTI-LEVEL REPLOTTING IN LAND READJUSTMENT PROJECT FOR IMPROVEMENT OF THE DENSELY BUILT-UP AREA. ONLY FEW PRECEDENTS HAVE SO FAR BEEN MADE AT MULTI-LEVEL REPLOTTING. SO THIS STUDY IS INTENDED AS AN INVESTIGATION OF THE ACTUAL CONDITIONS OF THE MULTI-LEVEL REPLOTTING FROM CASE STUDY OF KACHIGAWA EKI-MAE AND KACHIGAWA EKI-MINAMIGUCHI, IN KASUGAI CITY, AICHI PREF. THE CONCLUSIONS OF THIS STUDY ARE AS FOLLOWS; (1) THE MULTI-LEVEL REPLOTTING HAS A EFFECT FOR THE MITIGATION OF DECREASE. (2) BUT THERE ARE SUBJECTS ABOUT IMPROVEMENT OF WHOLE THE DISTRICT.
著者
劉 冬晴 後藤 春彦 馬場 健誠
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.987-993, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1

1990年代後半から、急速な高層マンション建設により都心回帰が起こり、東京の都心部における新規住民流入が著しい。既存住民と新規住民の地域交流における問題は数多く指摘されており、近年は地縁の希薄化などにより町内会の重要性が再認識され始めている。このような背景を踏まえ、人口流入の多い高層マンション集積地において、町内会における新規住民と既存住民の関係性や交流に着目する必要性がある。本研究では、東京23区の主な高層マンション集積地に着目してその特徴を整理し、各町内会が運営する地域活動と既存住民と新規住民の交流の実態を把握する。また、既存住民と新規住民の活発な交流が多数行われている町内会を選定し、コミュニティ構築を促す取組みと体制を明らかにする。以上の2点から、高層マンション集積地における開発と町内会体制の関係性を整理することにより、今後の町内会運営への示唆とする。
著者
Choviwatana Palin 木内 俊克 岡 瑞起 橋本 康弘 小渕 祐介 隈 研吾
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.90-101, 2019-10-25 (Released:2019-10-28)
参考文献数
16

本研究では,近年のコミュニティサイクル事業で非接触式ICカードや携帯端末等を用いた認証決済システムが多く利用されていることに着眼し,GPSデータのみから自転車による回遊行動の実態を推定する指標策定を試みた.具体的には,1)迂回度,2)進行方向の変化度,3)滞在時間分布を表す移動速度の3指標を定義し,大局的な目的地経由のみでなく,GPSデータの特徴である面的で網羅的な特徴を生かした細かな回遊行動の連なりを可視化し,移動過程の部分ごとの移動の質についての評価を可能にする点で新規性のある指標を提示した.また,提案指標を用いた自転車利用者の傾向分析への応用例として,自転車利用者が感じる都市への関心度合いに関するアンケートを実施し,回遊特性指標を用いた自転車利用者のクラスタ分析結果とアンケート回答の照らし合わせ,回遊特性指標と都市への関心の関連性の分析の二例を示した.
著者
城所 哲夫 近藤 早映
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.791-797, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
13

本研究では、日本の地方都市の地域活性化の進め方と中心市街地の役割に関する考え方として、ライフスタイル産業仮説とクリエイティブ・タウン仮説から構成されるイノベーティブ・タウン仮説を提示した。イノベーティブ・タウン仮説の肝は、ライフスタイルを生かした地域の活性化と、そのベースとなるアイデアを喚起し、人と人をつなぐ場としての中心市街地の役割である。中心市街地活性化の好事例としてとり挙げられることの多い地方都市についてイノベーティブ・タウン仮説の適合性を検討したところ、中心市街地活性化事業の展開の仕方(行政主導型、協働型、民間主体型)の違いにより、そのアプローチの違いはみられるものの、全体として、イノベーティブ・タウン仮説に適合したかたちで中心市街地活性化事業が展開していることが確認できた。とくに「民間主体型」において、より直接的にライフスタイル産業の生成に結びつく活動が展開していることが指摘できる。一方、「行政主導型」「協働型」においては、ライフスタイルの彫琢、市民のネットワークの形成、魅力的なパブリックスペースの創出等の中長期的な目標が重視される傾向がある。
著者
吉川 勝秀
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.2, pp.62-71, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
12

流域の都市化が著しいアジア等の河川流域では,洪水による被害額も増大しており,治水対策が求められている.本論文では,治水の本質である土地利用の誘導・規制を含む総合的な治水対策について,低平地緩流河川流域である日本の中川・綾瀬川流域およびタイ国バンコク首都圏流域を取り上げ,都市計画的に考察した.この2つの流域での実践というトータルな評価(事後評価)により,今後急激な都市化を経験する他のアジア諸国における土地利用の誘導・規制を含む総合的な治水対策の有効性を示した.
著者
峯苫 俊之 十代田 朗 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.607-612, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
13

本研究は、軽井沢町の観光地・リゾートの成熟段階を対象としている。まず、研究の手法としては、「信濃毎日新聞」の記事を資料として、様々な論点別に論議を整理する。それを基に完成・安定段階の特徴を把握する。そして完成・安定段階後の将来像形成に関する知見を得ることを目的とする。分析結果として、1)完成・安定段階は、「観光スタイル」「別荘地・別荘所有者」「商店街」など論点・論調によって細かく時期区分することができる。2)別荘地・別荘所有者が論議を引き起こす要因となる。しかし一方で、戦前の別荘地を原点とした将来像を描くに至っている。
著者
飯田 克弘
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.421-426, 2000-10-25 (Released:2018-02-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

In this study, we first examine existing conditions of the 'Michi-no-Eki' rest areas by compiling conventional data and conducting a field survey. Secondly, we conduct an questionnaire targeting those who actually use the road and those who use the Michi-no-Eki in the area targeted for the case study. Then we study the responses of these people and their needs for taking rest based on the results. We also conduct Type II quantitative analysis of those who pass through the area, and ask whether these people take a break in the section, and whether they use the Michi-no-eki in the targeted area. Then, we examine the relationship between factors affecting resting at and using the Michi-no-Eki. Lastly, we examine the policy to maintain the station regarding fundamental facilities and service by compiling the data obtained from these studies.
著者
新井 洋史
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.337-342, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
11

ロシア東部は面積が広大で、かつ人口が希薄な地域である。ロシア連邦政府は、特定の地域や分野(運輸、エネルギーなど)を対象とした「戦略」や「連邦特定目的プログラム」といった政策文書を通じて、この地域の開発のための取組を進めている。本論文では、この地域の開発に関わる主な政策文書の性格や役割を検討し、これらの文書の体系を明らかにする。90年代半ば以降、「極東ザバイカル経済社会発展プログラム」がこの地域に関わる最も基幹的かつ包括的な文書であるとされてきたが、最新版の同プログラムでは主に地域レベルのプロジェクトを扱っている。他方、最近策定された他の政策文書においては、連邦的意義を持つインフラプロジェクトを提示することにより、地域の基本構造が描かれている。
著者
諸隈 紅花 窪田 亜矢
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1189-1196, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
46
被引用文献数
1

本論文はニューヨーク市ブルックリン区のウオーターフロント沿いの、歴史的な造船所のブルックリン・ネイビーヤード(BNY)を取りあげ、歴史的工場群を店舗・住宅等の別の用途に転換することで場所を再生するのではなく、歴史的環境において当初の製造という機能を活かして市営の工業団地として再生する、従来の歴史的港湾の再開発とは異なるタイプの保全型再開発が実現した背景、実態の把握、再生の方法、歴史的環境保全と製造業維持という二つの政策の相関関係を明らかにする。研究の手法は文献調査、2回の現地調査、及び関係者へのインタビューを用いる。BNYが製造業の場として再生された背景には当初からの周囲のコミュニティへの雇用の場としての位置づけ、グローバル経済下における都市構造の変化による中小製造業の工業空間への需要の高まりと「製造業の維持」を推進する民間の団体の存在があった。運営をまかされたNPOは市からの資金援助が少ないなかで補助金や公的資金等の様々な資金源を活用して、再開発を実現した。歴史的環境保全と製造業の維持政策には明確な接点はないが、BNYにおいては両者が一定のメリットを享受することで均衡を保っている。
著者
岡田 忠夫 有田 智一 大村 謙二郎
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.45.3, pp.319-324, 2010-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
8

本研究は、大手町・丸の内・有楽町地区における新丸ノ内ビルディングの開発事例を対象として、公民間の協議における議論の分析を通じて、新たな公共貢献のあり方について検討することを目的とする。本研究で明らかになったことは、以下の点である。第一に、正規の都市計画手続き前の公民間の協議において、建物形態・導入用途機能・容積ボーナスなどの事業計画が確定しており、この段階の協議の重要性が明らかになった。第二に、事業者側からの、敷地外公共施設整備への貢献や、環境まちづくり支援機能や新規創業支援機能の導入など、多様な公共に貢献する内容が提案されている。第三に、こうした事業者からの提案の多様化に対応するために、行政においても容積率ボーナス対象とする範囲の多様化やプロジェクト評価方法の柔軟化が図られている。
著者
梅宮 路子 佐野 育実 岡崎 篤行
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.3, pp.337-342, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
13

都市計画道路の見直しに関しては、住民間の合意形成が問題であり、特に意見調整期内における合意形成の方法が重要である。村上市では近年話し合いの場が設けられ、住民代表者による委員会において合意が進んだが、住民全体の合意には至っていない。調査により、県が「16m拡幅は困難」であると公言したことが促進要因となり、道路の幅の議論に終始したこと、住民全体での合意形成システムがないことが阻害要因であることが分かった。また、目標都市像の議論ができないことが課題である。
著者
嚴 先鏞 山村 拓巳 鈴木 勉
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1442-1447, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年,コンパクトシティ・プラス・ネットワーク型の都市構造における多様な都市サービス施設の集積が議論されているが,既存施設の分布の考慮が不十分であること,郊外での新規開発も進んでいることの問題が指摘されている.本研究では,国土交通省が誘導施設として挙げている機能を対象とし,商業施設の集積度に基づいた公共施設の空間的な関係についての近年の変化を明らかにすることを目的とする.第一に,施設数が少ない病院,図書館,行政サービス施設といった公共施設が,商業集積度の高い場所に立地する傾向がある.第二に,総合立地合致度がもともと大きい市町村では総合立地合致度が減少した市町村の割合が大きい一方で,総合立地合致度がもともと小さい市町村では,施設の数が少ないものの,増加した市町村が多く,公共施設の立地が商業集積地に立地する方向へ変化している傾向が見られる.第三に,施設種類別に立地合致度の変化を見ると,行政サービス施設,幼・保育所,図書館の場合は商業集積地に立地する傾向が強く,駅前の再開発などにより,図書館や市役所が商業集積度の非常に高い地点に移転したケースも見られるなど総合立地合致度の増加に寄与している.
著者
阿部 正太朗 藤井 聡
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.37-45, 2015-04-25 (Released:2015-04-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

自転車の放置駐輪は、社会的ジレンマ構造を内包し大きな社会問題となっている。京都市では放置駐輪に対して、駐輪場増設や撤去取締りなどに力を入れている。また、放置駐輪への警告看板を市内のいたるところに設置しているが、その内容は放置自転車の撤去に関する記載に留まり、看板自体も老朽化、陳腐化している。本研究では、心理学などの知見を援用しつつ、放置駐輪の抑制を目的としたポスターを設計した。そして、設計したポスターを、実際に放置駐輪多発地点に設置し、その効果の検証を試みた。その結果、自転車放置者が自転車の放置をためらう意識の活性化等が確認され、ポスター設置による放置駐輪抑制効果が示された。
著者
川井 千敬 阿部 大輔
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1253-1258, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

近年訪日外国人観光客の急激な増加を背景に宿泊ニーズが高まっている。それに伴い京都市では簡易宿所が急増している。本研究では京都市東山区を対象に簡易宿所の立地動向を明らかにし、その立地が地域に及ぼす影響を考察することを目的とする。立地の特徴は(1)これまで商業地域に立地してきた簡易宿所が近年住居地域に拡がりつつあること、(2)細街路に立地が展開されつつあること、(3)簡易宿所の増加が地価上昇の一因になっている可能性があること、などが挙げられる。また、簡易宿所の立地が及ぼす地域への影響については、(1)地域住民は路地空間への宿泊施設の立地に抵抗感を持っていること、(2)住民にとって必要な古くからある小商いなどが宿泊施設に転換されていること、および、住宅利用の減退の可能性があること、(3)簡易宿所の立地によって住民退去が惹起されていること、などがあげられる。
著者
有竹 久留美 真野 洋介 佐藤 滋
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.571-576, 2002-10-25 (Released:2017-11-07)
参考文献数
8

本研究は、東京都区部の不良住宅地区において、改良事業による住環境整備がどのよ うな目的で進められ、どのようなルールにより計画決定がなされたのか、また、どのような住まい方がなされてきたのかを明らかにすることを目的とする。本研究は以下のような方法により進めた。1)改良事業施行地区の従前環境の傾向を分類する。2)東京都で改良事業が行われた時期(1950_-_1985)における都市計画・住環境整備に関する法律・制度要綱や不良住宅地区の特性の変遷等から、どのような目的で事業を活用していたかを分析する。3)2章で浮かび上がった事業の目的に対して、実際に各地区の従前環境や不良住宅除却・改良住宅建設の経過、居住者の居住・合意の経過など、どのように事業が進められたのかを分析し、また、配置計画が決定された理由を考察する。4)改良住宅の建設後、長い年月を経て、どのような影響を住民に与えたか、また与えつつあるのかを明らかにする。
著者
山貫 崇之 澤木 昌典 鳴海 邦碩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1069-1074, 2000-10-25 (Released:2018-02-01)
参考文献数
6

Securing the public space on both quality and quantity is expected, but it is difficult to be prepared by the public sector because of the burden of maintenance management and the efficiency of size on the center of a city. The purpose of this study is making clear the role that is fulfilled to urban space. Therefore, we researched the constitution of the public space and the situation of stay and action of the people there. As a result, we found the actual condition of the public space opened by private enterprises and we clarified that the rule for using the public space and the balance between the management and the accessibility are needed.
著者
今村 洋一 川原 大輝
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1047-1052, 2014-10-25 (Released:2014-10-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では、佐世保市を対象に、まず戦災復興公園計画と旧軍用地との関係を考察し、さらに転換計画作成前の旧軍用地の転用状況を概観したうえで、転換計画における旧軍用地の位置づけを明らかにすることを目的とする。戦災復興公園計画では、当初計画においては旧軍用地に計画された公園は限られていたが、変更後は、計画面積や基幹的公園の面から、旧軍用地が戦災復興公園計画の重要な位置を占めていたことが明らかになった。旧軍港市転換計画では、旧軍用地の新たな転用を前提としていた点、同時に計画された港湾計画での位置づけに沿った転用計画が展開されていた点、旧軍用地のみならず旧軍建物を転用することとなっていた計画が多かった点、山間部の旧軍用地に大規模公園が計画されていたことから、戦災復興計画よりも転換計画において、戦災復興院の方針が反映されていた点が指摘できる。
著者
西村 愛 瀬田 史彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.393-398, 2017

地球環境問題への対応として環境に配慮したまちづくりを進めることが重要となっており、多くの国で本課題に向けた取り組みが進められている。その中では、地球規模の環境課題と地域の社会課題との解決を同時に図っていく手法が求められる。本研究では、フランスにおける環境配慮街区認証制度であるエコカルティエラベル制度を取り上げ、認証制度とその実例からフランスの取組手法を分析する。フランスの制度では、自治体と事業者を対象として街区プロジェクトを認証するものであり、その評価においてはプロセスとコンセプトを重視し、地域政策の観点から取り組みをしていることに特徴がある。
著者
加登 遼 神吉 紀世子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.10-19, 2019-04-25 (Released:2019-04-25)
参考文献数
45
被引用文献数
1 1

本研究の目的は、ウォーカビリティ指標に基づき、スプロール市街地の各街路に対する主観的評価を把握することで、スプロール市街地のスマートシュリンキングに向けた居住エリアのデザインアイデアを解明することである。そのために、プレイスメイキングという概念を導入することで、ウォーカビリティに対する主観的評価を把握する評価指標を開発して、ヒアリング調査を実施することで、スプロール市街地の各道路に対するウォーカビリティ評価を分析した。その結果、居住者が「アクセス性」を求めるのは区画道路であり、細街路に対しては「移動における安心感」を求めていることを解明した。また、ウォーカビリティを向上するデザインアイデアとして、各街路の評価に応じて徒歩と自転車との関係性を良好にする必要性を解明した。
著者
下山 萌子 後藤 春彦 馬場 健誠
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1074-1080, 2017

バラック飲み屋街の大部分は、近年において開発の危機や店主の引退により減少傾向にある。しかし同時に、地域資源として積極的にその価値を評価する立場も存在している。そのような中で新宿ゴールデン街は観光地化や若い世代からの出店の増加が近年進んでおり、新旧の店舗が併存し地域全体が転換期にあると言える。以上より、新宿ゴールデン街における店舗の更新実態を、地域社会を活かし共有されてきた店主間のアドバイスとともに記録し、地域の共有財として継承する必要性を再認識することは、今後地域の都市更新を考える上で重要である。本研究では、新宿ゴールデン街の更新過程において新旧の店舗の混在という点に着目し、その更新の様相を詳細に捉える。またそのために、更新過程において店主間で交わされたアドバイスの内容とその機会を把握する。より具体的には以下の3点を明らかにする。1)店舗数の増減から見た歴史的特徴(第2章),2)新旧店舗の混在とその更新の実態(第3章),3)店舗更新時における店主間のアドバイスとその継承の機会(第4章)以上より新宿ゴールデン街の更新とそれに伴う店主間のアドバイスを把握し、今後の課題について論じる。