- 著者
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本間 裕大
栗田 治
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.39.3, pp.769-774, 2004-10-25 (Released:2017-08-02)
- 参考文献数
- 10
本研究は,都市内の職住分布を演繹的に導出することによって,都市の形成に対してある種の説明原理を与える試みである.具体的には,(a)居住地―就業地間の通勤,(b)混雑による負の効果,(c)就業地同士の取引の3点を考慮した上で,都市領域内における居住地と就業地の立地選択問題を,非集計ロジット・モデルを用いてモデル化する.本研究では,まず基本モデルとして人々の就業地を都市の中心点に固定し,居住地分布の形成のみを考慮したモデル化を行う.このとき,人々の効用が都市の形状を決定し,また,都市の形状が人々の効用を決定するという再帰的構造を明示的に取り入れた.人々の効用関数を適切に設定することで, Clark型,および Sherratt-Tanner型の人口分布経験式が解析的に導出される.また基本モデルを拡張し,都市内の居住地分布・就業地分布を同時に決定するモデルをも提案する.前述の通り,本モデルでは混雑による負の効果を明示的に組み込んでいるため,大都市における居住地分布のドーナツ化現象を再現することも可能である.最後に,本モデルを東京圏の職住分布に実際に当てはめ,その再現性について検証を行った.