著者
橋本 雅至 中江 徳彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.123-128, 2001 (Released:2001-12-27)
参考文献数
9
被引用文献数
9 7

身体の土台である足部の機能を前、中、後足部の3つに分類し、運動学的に評価する。足部にはその特性として可動性と固定性が要求される。特に後足部は横足根関節を介して前足部に作用し、足部全体の可動性と固定性に関与する部分である。さらに後足部の機能に影響をもたらすものとして脛骨の形状(脛骨捻転、正面天蓋角など)がある。後足部の動きは距骨下関節を介して下腿の回旋に連鎖する。本稿では足部の特徴が下肢から身体全体に連鎖することを示し、足部の評価が身体運動の制御を理解する上で重要であることを述べる。
著者
若尾 勝 福光 英彦 田中 勇治 徳村 拓哉 星 虎男
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.377-381, 2014 (Released:2014-07-03)
参考文献数
20
被引用文献数
3

〔目的〕座位能力,摂食・嚥下機能および尿失禁の間の関連性を分析することである.〔対象〕入院中に理学療法を実施した患者128名とした.〔方法〕座位能力,摂食・嚥下機能,尿失禁の有無について理学療法評価および看護師記録等から記録し,これらのうち2つの間の関連性をすべての組み合せについて分析した.〔結果〕座位能力分類1および2と対応する座位能力分類3では摂食・嚥下レベルが低く,座位能力分類と10段階摂食・嚥下グレードも同様であった.また,座位能力が低いと尿失禁が多くみられ,尿失禁の有る群は摂食・嚥下レベルが低かった.一方,座位能力分類1では,摂食・嚥下機能が良好で,尿失禁が少ないことが判明した.〔結語〕摂食・嚥下機能および尿失禁の改善には,まず座位能力の改善が重要である.
著者
山本 大誠 奈良 勲 岡村 仁 藤村 昌彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.55-60, 2003 (Released:2003-05-01)
参考文献数
25
被引用文献数
4 1

現在,国内では統合失調症者を対象としたリハビリテーション医療における理学療法はほとんど確立されていない。理学療法は基本的に身体的健康を回復,維持するために欠かせないものであるが,身体的健康は精神保健に対しても多大な寄与をなし得るものである。本研究の目的は統合失調症者12名に対して毎週1回,12週間の理学療法介入を試み,その有効性について検討することである。この結果,Body Awareness Scale(BAS) の「身体能力に関する項目」とPositive and Negative Syndrome Scale(PANSS)の「陰性尺度」および「総合精神病理尺度」において理学療法介入群に有意な値の変化が認められた。以上の結果より,統合失調症者に対する理学療法は身体面と精神面の両面において有効である可能性が示された。したがって,精神科領域のリハビリテーション部門において理学療法を導入し,他職種と連携して取り組んでいくことが望ましい。
著者
川井 謙太朗 舟崎 裕記 林 大輝 加藤 晴康 沼澤 秀雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.13-17, 2016 (Released:2016-03-05)
参考文献数
23

〔目的〕投球障害肩における肩関節2nd内旋制限に対する3種類のセルフストレッチ方法の有効性を比較検討した.〔対象〕投球障害肩を有する男性の野球選手48例とした.〔方法〕APS法,CB法,IRS法における疼痛によるストレッチ不可率を比較した.次に,全てのストレッチが可能であった症例28名を3群に分け,ストレッチ前後において,後捻角の影響を除いた2nd補正内旋角度を計測し,各群間で比較した.〔結果〕ストレッチ不可率はAPS法が最も有意に低かった.2nd補正内旋角度はストレッチ前では3群間において有意差はなかったが,ストレッチ後では,APS法,CB法がIRS法に比べて有意に増大していた.〔結語〕APS法は投球障害肩に対する最も効果的なセルフストレッチ方法である可能性が示唆された.
著者
中村 浩一 兒玉 隆之 向野 義人
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.131-135, 2014 (Released:2014-03-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2

〔目的〕格闘技選手においてstate-trait anxiety inventory(STAI)とemotion intelligence scale(EQS)から精神的特性を検討した.〔対象〕格闘技選手(健常男性80名,平均年齢22.6 ± 4.7歳)とした.〔方法〕STAIとEQSを実施し,ボクシングとキックボクシング(打撃群),柔道とレスリング(組み技群)に分け,群間及び競技種目間で比較検討した.〔結果〕STAIでは,群及び競技種目間に差はみられなかったが,状態不安,特性不安が基準値に対し高値の傾向にあった.EQSでは,打撃群が組み技群に比べ「自己対応」が有意に高値,「対人対応」が有意に低値であった.〔結語〕格闘技選手の精神的特性として,不安を抱えやすい傾向にあり,競技特性が情動知能の対応領域に差をもたらす可能性が示唆された.
著者
金子 雅明 岡崎 倫江 上條 史子 上田 泰久 柿崎 藤泰 桜庭 景植
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.27-31, 2011 (Released:2011-03-31)
参考文献数
28
被引用文献数
2

〔目的〕足部・足関節アライメントに着目しACL損傷の危険肢位とされる膝関節軽度屈曲・外反および着地直前および直後の下肢筋群筋活動との関係を明確にし,予防や再建術後プログラムの指導に役立つ指標を示すことを目的とした。〔対象〕健常成人男性27名を対象とした。〔方法〕左片脚着地後の最大膝関節屈曲角と外反角,着地直前直後の筋活動,下肢アライメント評価として,脛骨捻転角,thigh foot angle,leg-heel angle,navicular drop testを計測した。〔結果〕navicular drop testの値が小さい場合,左片脚着地後の最大膝関節外反角が大きくなるとともに着地直前直後の半腱様筋の筋活動が大きくなった。〔結語〕navicular drop testの値が小さいことは,ACL損傷の危険肢位である膝関節外反を生じる可能性が高い選手を把握する指標になることが示唆された。
著者
木伏 和貴 鈴木 麻美 長島 七海 高嶋 弥生 岡部 泰樹 根本 裕太 畠山 太良 村上 信人 豊田 淳 屋嘉比 章紘 石坂 正大
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.541-544, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
13

〔目的〕ストレッチポール上における運動が側腹筋厚に及ぼす影響を明らかにする.〔対象と方法〕運動器疾患のない健常若年者44名を対象とし,超音波画像診断装置を用いて,腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋の側腹筋厚を計測した.計測は,背臥位およびストレッチポール上で行い,安静呼気,最大呼気,ドローイン,ブレイシングの4つの運動課題とした.〔結果〕側腹筋厚は,内腹斜筋・腹横筋において,ポール条件と体幹運動で交互作用がみられた.ストレッチポール上での運動では筋厚増加がみられ,ドローイングとブレイシングが最も筋厚を厚くする課題であった. 〔結語〕ストレッチポール上で体幹運動課題は側腹筋厚を増加させる効果があった.
著者
春田 みどり 水田 洋平 伊藤 隆安 太田 進 内山 靖
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.661-666, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
28
被引用文献数
1

〔目的〕内側型変形性膝関節症患者における身体アライメントの特徴を明らかにし,アライメントと身体機能との関連性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕内側型変形性膝関節症患者25名と対照群とする健常高齢者20名とした.身体アライメント,関節可動域,筋力,5 m歩行時間,片脚立位時間を群間で比較した.〔結果〕内側型変形性膝関節症患者の身体アライメントは頭部前方突出,腰椎屈曲,骨盤後傾,体幹前傾,膝関節内反位で,腰椎屈曲と体幹前傾には背筋力低下との関連性がみられた.〔結語〕内側型変形性膝関節症患者でみられる体幹アライメントの変化は,体幹アライメントと身体機能との相互の関連性を示している.
著者
三宅 順 西田 裕介
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.315-321, 2011 (Released:2011-06-07)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

筋収縮において,ATP再合成の促進が筋疲労と血流動態に反映する.骨格筋代謝の効率を向上させるためには,活動様式の理解と,強度,頻度の検討が必要である.しかし,先行研究において,血流動態を改善するための要素は種々考えられているが,収縮強度,頻度に関して統一見解は得られていない.そこで,本稿では,下腿三頭筋におけるリン酸化効率について,末梢血流動態と筋疲労の観点から文献検討を行った.これにより,cross-bridge回転速度とリン酸化能力の関係から,ATP再合成に効果的な筋収縮方法の解明の一助となると考えた.さらに,理学療法への応用として,運動処方で効果的な筋収縮方法とその有効性について考察した.
著者
宮本 顕二 笠原 敏史 野坂 利也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.665-669, 2008 (Released:2008-11-21)
参考文献数
11

〔目的〕胸部あるいは腰部コルセットの圧迫による呼吸機能への影響を調べた。〔対象〕健常成人男性6名(28.2±5.3 [SE]歳)。〔方法〕締め付け圧を調整出来る胸部コルセットと腰部コルセットを別々に装着し,締め付け圧0 mmHg, 20 mmHg,40 mmHg, 60 mmHgの条件で肺気量分画を測定した。〔結果〕胸部コルセット装着は,締め付け圧が増加すると肺活量,予備呼気量,全肺気量は減少した。1回換気量も減少したが有意差はなく,呼吸数の増加で分時換気量が維持されていた。全肺気量,肺活量,予備呼気量,努力性肺活量の減少は胸部コルセット締め付け圧=40 mmHgからみられた。なお,残気量は締め付け圧に関係なく影響しなかった。一方,腰部コルセット装着は締め付け圧に関係なく予備呼気量を除く他の肺気量分画に影響しなかった。〔結語〕胸部コルセットを使用する場合は,コルセットが呼吸運動を抑制する危険性を考慮すべきである。
著者
三秋 泰一 加藤 逸平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.409-412, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
15
被引用文献数
3 4

本研究の目的は,足アーチ高率と内外側方向における足圧中心位置の関係を検討することであった。20名の健常女性の足アーチ高率を測定し,足アーチ高率が11%以下の低い群(4名),11~15%の中等度群(8名),15%以上の高い群(8名)の3群に分け,それぞれの内外側方向における足圧中心位置を比較した。足アーチ高率は低い群で10.7±0.2%,中等度群で11.8±0.5%,高い群で16.7±1.2%であり,足アーチ高率は,低い群および中等度に比較して高い群が有意に高かった。内外側方向における足圧中心位置は,低い群および中等度群が高い群と比較して有意に内側へ偏移していた。これらの結果は,扁平足の評価において内外側方向における足圧中心位置が一指標となりえることが示唆され,足底板を作製する際,この足アーチ高率は,足底板の高さを決める指標に使用できると思われた。
著者
松永 秀俊 山野 薫 上田 周平 村田 伸 吉澤 隆志 武田 功
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.675-678, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
16

〔目的〕運動後,伸張強度が筋に与える影響について書かれたものは散見する程度であり,運動療法施行上,核心が無いままで行われているのが現実である。そこで,我々は筋伸張強度と筋の回復効果との関連について検討した。〔方法〕運動負荷後,異なった強度での伸張運動を行い,時間の経過と共に筋硬度および体表温度の変化を計測し,それを基に効果判定を行った。〔結果〕筋伸張強度の違いによる筋の回復効果には一部有意な差を認めた。〔結語〕運動負荷後の筋の回復には強い伸張で行う必要はなく,軽い伸張でも十分効果的である可能性が示唆された。
著者
江口 淳子 小原 謙一 渡邉 進 石田 弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.481-485, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

[目的]運動時間の違いによるジムボールを用いた脊柱可動性運動の効果を検討することである。[対象と方法]健常男性48名を運動時間60秒群,30秒群,15秒群,コントロール群の4群に無作為に分けた。60,30,15秒群はボール上で腹這位をとらせる脊柱可動性運動を行い,コントロール群は静止立位を15秒間保持させた。介入前後に脊柱可動性を計測した。各群での介入前後の比較と変化率の群間比較を行った。[結果]60,30,15秒群では体幹傾斜角と仙骨傾斜角の脊柱可動性運動後の値が運動前と比較して有意に大きかった。変化率の群間比較では60秒群の体幹傾斜角がコントロール群に比べ有意に大きい値を示した。[結語]ボールを用いた脊柱可動性運動は60秒間行うことで脊柱可動性が有意に変化することが示唆された。
著者
野口 綾利 菅原 和広 正木 友佳子 櫛田 歩未
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.219-223, 2014 (Released:2014-05-22)
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

〔目的〕スタティックストレッチング(static stretching;SS)とダイナミックストレッチング(dynamic stretching;DS)後のa運動ニューロンの興奮性と筋血流動態の経時的変化を調査した.〔対象〕健常成人20名.〔方法〕ストレッチング前(pre),直後(post 1),5分後(post 2),10分後(post 3)に足関節背屈角度,H波およびM波振幅,ヒラメ筋血流量を計測した.〔結果〕SS,DSともに背屈角度が増大した.H波振幅はSSで減少傾向を示したが,DSではpost 1からpost 2,3にかけて有意に増大した.ヒラメ筋血流量はともに有意な差はなかった.〔結語〕SSとDSのH波振幅の経時的変化の違いは抑制メカニズムの違いによることが示唆される.
著者
今井 樹 今井 裕美 潮見 泰藏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.435-439, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
4
被引用文献数
3 1

〔目的〕わが国の理学療法に関する研究論文について,その引用動向を調査し,理学療法研究に対する影響を量的かつ質的に明らかにすることである.〔方法〕学術誌「理学療法学」,「理学療法科学」の2誌に掲載された原著論文の引用文献を対象とし,被引用文献数および引用回数などの項目をもとに分析した.〔結果〕和文誌では対象の2誌を中心とした理学療法関連学術誌からの引用が多く,英文誌ではリハビリテーション関連学術誌とその他の専門誌からの引用が多かった.また,引用された各学術誌の質において,対象とした2誌の質は高かった.〔結論〕この2誌の被引用回数は多く,学術誌としての質も高いことから,理学療法研究に与える影響の大きいことが明らかとなった.
著者
森田 由佳 江原 史雄 森田 義満 堀川 悦夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.401-404, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
11

〔目的〕動物介在療法の効果を心理尺度,生理学的手法を用いて示し,その効果の検証を行うことである.〔対象と方法〕対象は,佐賀大学学生30名(男性15名,女性15名),年齢:20.6 ± 0.7歳(平均 ± 標準偏差)とした.方法は,対象者に介在動物であるトカラヤギ2頭と触れ合ってもらい,その前後で気分プロフィール尺度であるPOMSと,唾液アミラーゼ活性を測定した.〔結果〕POMS,唾液アミラーゼ活性ともに,介入前と比較して介入後が有意に低下した.〔結語〕動物介在療法による効果を心理尺度,生理学的手法を用いて示すことができた.今後,障がいなどを持つ高齢者のリハビリテーションに応用し,その際の治療効果判定の一助となると考えられる.
著者
山野 薫 小寺 正人 小堀 博史 西川 仁史 松永 秀俊 秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.467-473, 2011 (Released:2011-09-22)
参考文献数
17
被引用文献数
2

〔目的〕2010年4月に理学療法士免許を取得した理学療法士(新人理学療法士)を対象にリスクマネジメントに関する不安について,その現状把握と問題点の整理をおこなった.〔対象〕新人理学療法士47名(平均年齢23.9±3.8歳)とした.〔方法〕自記式アンケート調査により,回収した回答を分析した.〔結果〕新人理学療法士の診療を行ううえでの不安の第1位は「自分の評価や治療に自信がないこと」(31人)であった.職場の規則やシステムなどにおける不安の第1位は,「緊急時に組織の一員としての動きに自信がないこと」(19人)であった.〔結語〕新人理学療法士のリスクマネジメントに関する不安は,個人の能力に帰属する卒前教育の要素と入職直後に取り組む施設内教育システムの要素があることがわかった.
著者
吉澤 隆志 太田 信夫 藤沢 しげ子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.249-253, 2008 (Released:2008-06-11)
参考文献数
12
被引用文献数
8 6

本研究の目的は,学習意欲が定期試験成績に及ぼす効果を調べるものである。対象は,当学院理学療法学科2年生,昼間コース学生41名および夜間コース学生40名とする。ここで,学習意欲要因としては,外発的動機づけ・内発的動機づけ・健康度(特に精神的健康度)・対人関係・学院への適応度の5つを挙げた。次に,これらの学習意欲が定期試験成績に及ぼす効果について調べた。結果としては,夜間コース学生において学院への適応度と定期試験成績との間に正の関係が見られた。よって,今後の学生指導としては,担任を中心として学生がクラスや学院に馴染めるような配慮を積極的に行っていく必要があると考える。加えて,授業方法の工夫も考慮していきたいと考える。
著者
齋藤 正美 大塚 吉則 若林 秀隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.301-306, 2017 (Released:2017-05-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1

〔目的〕総合診療医を目指す専攻医の,リハビリテーション(以下,リハ),診療およびリハの教育研修に対する意識からそのあり方を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象者は,家庭医・総合医後期研修プログラムを実施している総合診療専攻医7名と循環器内科専攻医1名の計8名とした.面接によるフォーカスグループインタビューを行い,分析方法にSteps for Coding and Theorizationを用いた質的研究とした.〔結果〕「総合診療医の備えるリハ能力」,「リハ職との関係性の希薄」,「講義受講後の成果」,「総合診療専攻医のリハ教育研修のあり方」の4つの概念が抽出された.〔結語〕かかりつけ医やその役割を期待される専攻医へのリハ教育研修の体制が必要である.
著者
松山 太士 山田 和政
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.379-383, 2015
被引用文献数
1

〔目的〕大腿骨近位部骨折者のADL評価と再転倒リスク評価としてのtimed up and go(TUG)テストの有用性を検証した.〔対象〕当院回復期リハビリテーション病棟から自宅退院する大腿骨近位部骨折者40名とした.〔方法〕退院前に TUGテストとfunctional independence measure(FIM)を行い,両者の関連性を分析するとともに退院後3ヵ月間の再転倒の有無を調査した.〔結果〕TUG遂行時間とFIM得点に有意な相関が認められた.再転倒者は7名で,その中にはFIM高得点者も存在したが,TUG遂行時間20秒以下の条件を加えると再転倒者は0名であった.〔結論〕大腿骨近位部骨折者の退院時のADLおよび再転倒リスクを評価する上で,TUGテストは有用といえる. <br>