著者
高橋 純 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Suppl., pp.117-120, 2008-12-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
10
被引用文献数
4

27名の小学校教員を対象に,教員が普通教室で効果的と考えるICT活用場面を収集した.その結果1395件が得られた.最も多い活用の組み合わせは,プロジェクタと実物投影機を用いて,教科書や書籍を映すことであった.続いて,29名の小学校教員を対象に,最も活用されていたプロジェクタと実物投影機の活用に限定し,効果的と考える活用場面を収集した.その結果3395件が得られた.教員が効果的と考える最も多かった活用は,教科書・書籍を実物投影機で映し,写真や実物,考え方を示すことであった。以上のことから,現時点での小学校において,教員が効果的と考える教室でのICT活用は,プロジェクタと実物投影機を用いて,教科書等を映すことといえる.
著者
田口 真奈 松下 佳代 半澤 礼之
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.269-277, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
8

2009年度から開始された京都大学文学研究科プレFDプロジェクトのために,ENGESTROM(1994)の「教授の計画と分析のためのフォーム」を改変し,個別作業で利用可能な,教授のデザインとリフレクションのためのワークシートを開発した.授業実施後の研修会で運用した結果,当初想定した本ワークシートの特徴((1)〜(3))のうち,(1)学生の学習の観点から教授をリフレクションし,個々の教授機能をとらえなおすこと,(2)「一斉講義形式」の授業を相対化し,他に多様な選択肢が存在することを理解すること,にとって有効であるとの結論を得た.しかしながら,(1)の今後の教授デザインを検討すること,(2)の多様な選択肢から根拠をもって選択すること,(3)授業を学習サイクルを実現する一連の教授プロセスとしてとらえることには至らず,より体系的なプログラムの開発とコーディネーター教員を巻き込む組織化が課題として残った.
著者
伊藤 崇達
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.061-064, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

本実践研究では,講義型の授業スタイルがとられることの多い教職科目においてアクティブ・ラーニング型の授業実践を試みた.授業は,ピア・チュータリングと講義内レポートを統合的に取り入れ,「理解深化」型の授業となるようデザインした.そして,コースの途中段階において,内的および外的な活動性を高めるための授業デザインの改善を試み,学習者の心理面,とりわけ思考面,動機づけ面,感情面にどのような変化をもたらしたかについて明らかにした.調査内容を分析した結果,概ねポジティブな変化が報告され,今後の実践の可能性について示唆を得た.
著者
金谷 優莉香 仲谷 佳恵 室田 真男
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.213-216, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

語彙力向上のためには,文脈に応じて適切に表現出来る語彙の習得が必要である.本研究の目的は,文脈比較による類語の使い分け学習支援である.各単語が使われる文脈を類語間で比較することで,文脈に応じた適切な使い分けを習得させることを目的とした学習支援システムを開発した.本学習の特徴は,表による比較で類語が使われる文脈の特徴を体系的に学習し文脈の特徴から使い分けを習得させることにある.評価実験の結果,文脈比較を促さない学習と比較して本システムは,文脈に応じた類語の使い分け知識の習得に効果がみられ,より高い学習目標に到達したという達成感を学習者に与えたことが明らかになった.
著者
飯塚 佳乃
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.081-084, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
6

児童の学習意欲を高めるためには,児童が自身の学習成果を自覚できることが有効である.そこで本研究では,小学校算数科の授業において,授業の終末に授業のめあてに即して振り返りをする場を設け,授業の振り返りを児童自身の言葉で記録するよう働きかけを行い,単元の終末に単元全体の振り返りをする場を設け,単元の授業感想を記録するよう働きかけを行った.次に,その効果を検証するために,単元の授業感想や最終テストの成績を用いて,授業のめあてに即した振り返りが児童の学習意欲や学習内容の理解に及ぼす影響を検討した.その結果,児童の元来からの学習能力の影響を統制しても,授業のめあてに即した振り返りができた児童ほど,高い学習意欲を示す可能性が示唆された.
著者
片瀬 拓弥
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42020, (Released:2018-09-03)
参考文献数
9

本研究は,女子短大生にボードゲーム学習を集中講座として行い,学習前及び学習時の肯定的感情・否定的感情・安静状態の各感情が,ゲームスコアとゲーム外評価にどのような影響を及ぼすのか検討した.その結果,学習時の肯定・否定の両感情は,学習前と比較して有意に上昇し,安静状態は有意に下降した.さらに,パス解析を用いて検討した結果,主に学習時の肯定的感情が高く,安静状態が低い学習者ほどゲームスコアにプラスの影響を及ぼす可能性と,主に学習前の肯定的感情が高い学習者ほど事後リフレクション時のテキスト総文字数(ゲーム外評価)にプラスの影響を及ぼす可能性が示唆された.
著者
天野 慧 都竹 茂樹 鈴木 克明 平岡 斉士
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.42120, (Released:2019-01-17)
参考文献数
22

社会人が新たなスキルを身につけることへの要請が高まる中,社会人向け学習機会では「受講証」の授与で終わる場合が多く,スキル習得が確認されないままになっている.一方で,スキル習得を確認して「修了証」を授与するには事後課題を導入する必要が生じ,講座終了後も修了を目指した学習意欲を維持する手立てが必要となる.本研究では,事後課題を伴う大学公開講座において,講座修了への意欲を維持・向上させるために,学習者個別の成果物に対するフィードバックを追加する改善を行い,効果を検証した.結果,修了率と講座の印象評価が向上した.さらに,アンケートの自由記述を調査したところ,情報付加型のフィードバックを盛り込むことや複数回のフィードバックを行うことが,講座修了への意欲を喚起させたことが示唆された.これらの結果を踏まえ,講座修了への意欲を向上させる工夫として,個別フィードバックを取り入れるデザイン原則を提案した
著者
江﨑 誠治 鈴木 茂孝
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.005-008, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
9

TBL におけるピア評価は,メンバーがチームに対してどの程度の貢献をもたらしたかを学修者が互いに評価しあうもので,他者を評価することで学修者の責任性を明確にし,フィードバックを通じて学修者自身の省察を促すことが期待できる.今回,このピア評価の集計作業を自動化するe-Peer 評価システムを改良し,談合・情報漏洩などの対策を施したセキュアなピア評価環境を整備し,授業内で運用した.同一メンバーのチームでピア評価を複数回実施すると貢献度評価の散らばりが収斂する傾向が見られたが,今回のシステムの改良によりこうした現象が解消され,チームへの貢献がありのままに反映される「適正な評価」の実現に迫ることができた.
著者
橋本 陽介 石田 祐 三好 俊文 藤澤 由和
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.161-164, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
9

本研究では,新たな入試制度と,新たなカリキュラムに基づく基盤教育を開始した大学で,すべての学生が履修し,ICT ツールを援用したアクティブラーニング形式の講義において,AO 入試で入学した学生と他の入試で入学した学生で,学びへの取り組みに違いが存在するかを検討した.その結果,一般選抜(前期)で入学した学生よりも,特別選抜(AO 入試)で入学した学生の方が,学びへの取り組みが意欲的であることが認められた.こうした点から,AO 入試において意図した学生の確保が一定程度なされていると考えられた.その一方で今後は,AO 入試で入学した学生の理論的な学びの程度や卒後まで視野に入れた評価が必要であると考えられた.
著者
岩﨑 千晶 川面 きよ 村上 正行
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.157-160, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
7

本研究では大学がラーニングコモンズ(LC)をどう評価しているのか整理し,評価方法に関する動向を明らかにする.具体的にはCiNii を活用し「ラーニングコモンズ」で検索収集し,LC の評価を扱った文献66件に対し,評価目的,評価手法,評価項目に着目して分析し,結果を整理した.分析の結果,LC の評価は6つの目的に分けられ,LC の利用動向を明らかにする調査が最も多く約半数を占めた.一方で学習成果を明らかにする調査は限られており,その評価項目には汎用的な能力が用いられていた.評価手法は質問紙調査に次いで,観察調査・ヒアリング調査の採用がされていた.また量的な調査が全体の約70%を占めていることが明らかになった.
著者
富永 香羊子 中村 康則 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42041, (Released:2018-11-02)
参考文献数
9

本研究では,教員に対して学校図書館を授業で活用するための研修プログラムを開発し,研修の効果を検証した.その結果,研修プログラムにおける学校図書館を活用した課題解決型の授業について,次の3点が明らかとなった.(1)児童生徒の主体的な学びを育み,学び方の習得に繋がる.(2)児童生徒の21世紀型能力の獲得に繋がる.(3)意図的・継続的に実施することが望ましい.これらの結果から,研修を通して学校図書館を授業で活用したことによって,教員の学校図書館活用への意識の変容を促し,一定の効果をもたらすことが示唆された.
著者
松村 敦 岡本 穂高 宇陀 則彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Suppl., pp.93-96, 2010-12-20 (Released:2016-08-07)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究では,子どもの視点を考慮した絵本推薦システム構築のための基礎的準備として,子どもの好みと絵本の主題との関係性を捉える方法を検討した.実際に,34組の親子による絵本の読み聞かせ場面をビデオで撮影し,子どもの反応を記録した.次に,ビデオを分析し,反応の強弱によって子どもに好まれる絵本のページを特定した.最後に,各ページの主題を抽出し,子どもの好みと主題との関係性を分析した.その結果,21.4%のページには反応がなく子どもの好みとは無関係であることを示した.また,ページ毎に子どもの好みと主題とを結びつけて分析することで,より詳細な関係性を捉えられる可能性を示した.
著者
山内 香奈
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.361-373, 2013
参考文献数
32

鉄道のダイヤ乱れに遭遇した利用者の不安を低減する方策として,ハードウェアの改善や拡充のみならず,鉄道従業員の運転再開見込み情報の案内を促進することが有効である(山内2009).しかし,見込み情報は変更が重なったり,途中で途絶えたりするため,早い段階から案内することに強い懸念や不安を抱く鉄道従業員が多い.そのような懸念や不安を実証的な知見(エビデンス)に基づく説明により低減する教育訓練教材を作成し,運転再開見込み情報の案内の改善を試みた.本研究で作成したDVD教材を,実際の鉄道従業員の訓練で視聴してもらい,質問紙調査を行った.その結果,教材への興味・関心,説明のわかりやすさの点において高く評価され,視聴しなかった場合に比べ推奨する方法での案内が促進されることが示唆された.また教材で用いるエビデンスの効果的な選択方法と伝え方に関する知見を得た.
著者
佐野 美奈
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.005-008, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
5

幼児の音楽的表現における身体的な動きの要素は大きい.本研究では,3D モーションキャプチャーを用いて,筆者考案のMEB プログラムの実践過程における幼児の音楽的表現の動作解析を行い,動きの要素の変化に関する特徴を見い出そうとした.1年間,3歳児4歳児5歳児にMEBプログラムを実践し,その活動段階順に1回ずつ計4回分の音楽的表現における身体的な動きを,MVN システムにより測定した.その取得データについて定量的分析を行った結果,特に骨盤および右手の移動距離および両手間隔の変化に,実践の活動段階・年齢による音楽的表現における動きの要素の特徴的な変化を読み取ることができることがわかった.
著者
淺田 義和 八木(佐伯) 街子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42062, (Released:2018-10-09)
参考文献数
9

Moodle は学習履歴として様々なデータを記録・保持している.しかし,学習分析や教学IR といった観点から記録したログを利用しようとする場合,その抽出にあたっての機能はやや不十分であるといえる.今回,Moodle のプラグインの1つであるConfigurable Reports を用い,目的に応じてデータベースより直接情報を抽出することを試みた.この結果,フォーラム上での投稿傾向やMoodle そのものの活用状況などを抽出することができた.データ抽出時の負荷などを考慮すると抽出用のSQL には改善の余地が残されているが,これらは学習者支援あるいはFacultyDevelopment の検討を行うための基盤データとして利用可能と考えられる.
著者
鶴田 利郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.411-422, 2012-03-30 (Released:2016-08-08)
参考文献数
28

本研究では,ネット安全教育で扱うべき教育内容として示されている「ネット危機」(田中2009a)の1つであるネット依存に関する指導において,自己の生活のあり方を自律的に改善する力を育てることを目的とするR-PDCAサイクルの活動に注目した.そこで,田中(2009b)が示したR-PDCAサイクルの特色,具体的活動例をもとに,ネット依存に関するネット安全教育の単元内容を構成し,2009年7月から9月の間の計8時間の枠組みで,私立K高等学校の情報Bの授業内で授業実践を試行した.生徒を対象に行った質問紙調査の結果,授業実践で行ったR-PDCAサイクルの活動を通して,多くの生徒が携帯電話やパソコンの利用におけるルールの大切さについて肯定的な認識を持ったこと,携帯電話やパソコンを利用する際に,多くの生徒が自分自身で様々なことを意識しながら利用するようになったと認識していることなどが確認できた.以上より,ネット依存に関する指導におけるR-PDCAサイクルの学習活動の有効性が示唆された.
著者
西片 裕
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.069-072, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

本研究では,学生によるルーブリックの作成と自己評価を行う授業を実践し,学生の自律的動機づけ(RYAN and DECI 2000)に与える影響について検討した.授業実践はリハビリテーション専門学校の臨床技能を学ぶ科目で行った.学生には,技能評価に使用するルーブリックの評価観点と評価基準を考えてもらい,技能の練習をした後,ビデオ録画した自分の技能に対して自己評価をしてもらった.質問紙調査の結果,自律性があまり高くない学生の「外的調整」が授業後に低下しており,学生によるルーブリックの作成や自己評価が学習動機づけの自律化の促進に有用であることが示された.
著者
山田 剛史 杉澤 武俊 村井 潤一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.31, no.Suppl., pp.53-56, 2008-02-10 (Released:2016-08-04)
参考文献数
8
被引用文献数
1

本研究では,心理統計のテスト項目データベースの開発を試みた.本システムはWebブラウザからアクセスでき,複数のキーによる項目検索が可能である.また,データベースに項目特性値の情報を持たせる場合の問題点として,これらの指標は集団依存性が非常に強い可能性が挙げられる.これを検討するため,複数の大学で共通のテストを実施し比較した.その結果,基礎的な問題については集団によらず類似した値を取るが,発展的な問題については受験者集団によりかなり異なる値となった.このことから,データベースに載せる情報として項目特性値のような量的な情報だけでなく,質的な情報についても検討すべきであることが示唆された.
著者
村井 潤一郎 山田 剛史 杉澤 武俊
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Suppl., pp.9-12, 2009-12-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
3

心理学関連学科において,心理統計教育は重要な意味を持っている.そこで,心理統計教育の現状把握のため,質問紙を用いた全国調査を行った.調査票を全国の担当教員に送付し,授業の担当教員,その授業を受ける学生,双方からデータを収集し分析した.基本統計量に基づき考察した結果,学生が力がつくと思っている授業,教員が実際に行っている授業それぞれの特徴が明らかになった.これらの結果の,心理学以外の統計教育への適用可能性も示唆された.
著者
多喜 翠 伊澤 幸代 堂坂 更夜香 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42072, (Released:2018-09-03)
参考文献数
4

大学エクステンションセンターで公開講座を受講している社会人を対象に,受講動機と受講後の変化についての質問紙による調査を行った.その結果,大学エクステンション公開講座を複数回受講している人は,初回の人に比べ「仲間をつくる」ことや「自分に活かす」こと,また,「大学が開いている」といったことが受講動機として高く,受講後の変化に関しては,特に人間関係と生き方が変わったと感じていた.このことは,講座を通じてできた仲間との交流や,講座で獲得した知識が実際に活用されているという実感と,大学が開いていることへの信頼感が,その後 の継続的な受講動機につながることを示唆している.以上のことから,大学エクステンション公開講座を設計するにあたり,仕事のみならず自分に役立つような知識やスキルを提供すると同時に,ともに学ぶ仲間をつくれるような活動を支援していく形態にすることが必要だろう.