著者
高橋 英之 伴 碧 近江 奈帆子 上田 隆太 香川 早苗 石原 尚 中村 泰 吉川 雄一郎 石黒 浩
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-181, no.13, pp.1-7, 2019-01-14

心に働きかけることで,人間の暮らしを豊かにするヒューマンエージェントインタラクションの研究が多数行われている.一方で既存の研究は,ユーザーとエージェントとが特定の状況で短時間だけ相互作用することを想定する場面設定が殆どであり,従来のエージェントを長時間使用した際には,かえってユーザーがその存在に飽きてしまったり,“あざとさ”を感じてしまったりするリスクがある.本稿では,五感刺激を組み合わせて空間に提示するシステムとロボットを連動させることで,心に持続的に影響を与える続ける空気感エージェントのデザイン原理とそれに期待される価値についての議論を行う.
著者
加納 寛子
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-167, no.3, pp.1-7, 2016-03-01

本稿では,即レス症候群の傾向にはどのような違いがあるのか明らかにすることを目的とした.その結果,性差や年齢に関して即レス症候群の傾向にいくつか特徴が指摘された.そして,即レス症候群は,必要に迫られて即レス症候群になる場合と,無意識型の即レス症候群に大別されることが指摘された.さらに,即レス症候群や既読無視,ネットいじめやコミュニケーションのずれを防ぐためにも,きちんと教育をしてスマートフォンやSNSを使うことの重要性が指摘された.
著者
山下 大輔 間 博人 松井 健人 三木 光範
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-165, no.4, pp.1-8, 2015-11-22

近年,コンピュータの直感的な操作としてジェスタ認識に注目が集まっている.専用のジェスチャ認識デバイスのみでなく,モバイル端末を用いたジェスチャ認識の研究も行われている.しかし,追加デバイスが必要であったり,カメラを用いることで消費電力やプライバシーの問題が発生するなどの課題点がある.本研究では,モバイル端末内臓の照度センサを用いてハンドジェスチャ認識する手法を提案する.端末表面の明暗変化を取得してハンドジェスチャ認識を行う.モバイル端末内臓の照度センサを用いることで,追加のデバイスを必要とせず,消費電力やプライバシーも考慮したハンドジェスチャ認識を実現した.提案手法における認識精度の検証を行い,正確なハンドジェスチャ認識が可能であることを確かめた.また,提案手法を用いたモバイルアプリケーションの実装を行い,ユーザビリティ評価実験を行った.作業効率や視線の動きなどの指標からタッチ操作と比較したハンドジェスチャ操作の有効性を検証した.想定した状況下において,ハンドジェスチャ操作は有効である.
著者
大槻 麻衣 木下 裕介 小早川 真衣子 ホー バック 渡辺 健太郎
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2023-HCI-203, no.38, pp.1-5, 2023-05-24

ビジョン創出・参加者間の価値観理解のために,ビジョンを体現する状況を演劇形式で表現するアクティングアウトや,シンプルな積み木をヒトやモノに見立て,参加者がそれらを動かしながらストーリーを作る,といった表現活動がある.本研究では,働き手自らが新たな生活スタイル・働き方をデザインするにあたり,この活動に人間拡張技術を取り入れる試みを行った.具体的には,体験者同士が (1) AR 技術を活用した人形劇で自身の考えたストーリーを実現・記録し,(2) そのストーリーを,VR によって様々な視点から体験可能とした.AR 技術によって人形を拡張し,情報を付与することで参加者のイメージ構築に寄与し,また,VR の大きな特徴の 1 つである「没入感」を活用することで,参加者がストーリーを自分事として捉え,参加者間のストーリー共有がより深まり,議論を促進する効果が期待できる.また,これまで,VR 体験を構築するためにはある程度の専門知識やツールの習熟が必要であったが,本プロジェクトでは AR 人形劇という形にすることにより,一般の方でも簡単に体験を構築した点に新規性がある.本稿では,システムのプロトタイプの開発と,それを用いた予備実験について述べる.
著者
佐々木 千尋 大島 千佳 梶原 薪 中山 功一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-187, no.29, pp.1-8, 2020-03-09

集団での議論による意思決定を円滑かつ適切に行うための有効な手段としてファシリテータの活用がある.本研究ではファシリテータ機能の一部分の再現を目的として “Discussion Board System” を開発し,議論参加者の意思をリアルタイムで把握し円滑にサポートすることを試みた.議論全体の進捗と参加者の個別意識による行動を比較し,最終合意への影響を観察した結果,これまで暗黙の了解のうちに隠れていた沈黙する否定者の意思をくみ取れる可能性が見られた.意思決定に多様な価値観と背景を取り入れる必要が高まる中で,人ではなくシステムがサポートすることの意義を検証した.
著者
吉田 匠吾 謝 浩然 宮田 一乘
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-186, no.13, pp.1-6, 2020-01-08

近年,拡張現実や複合現実などの技術が発達しているものの,仮想モデルと現実世界の自然な合成は依然として挑戦的な課題である.この課題に対し,本研究ではプロジェクタによる歪像画のリアルタイム投影技術を提案する.提案技術により,AR システムで多用されるディスプレイを介することなく,リアルタイムに立体感を知覚させる映像を表示することができる.提案手法は,VR システムを用いたルームスケーリング,投影映像のブレ補正によるスムーズな映像の提示,トラッカーによるメッシュ生成を用いた仮想空間と実空間のオブジェクトの位置合わせの 3 段階の処理で構成する.また,プロジェクタやトラッカーをウェアラブルデバイス化することで,様々な方向や角度からの投影や移動が可能である.提案システムにより,スマートフォンや AR グラスのようなディスプレイを介さず,仮想オブジェクトの実在感をユーザに与えることを可能にする.仮想オブジェクトの実在感が向上することにより,癒しや介護の分野に活用することや,新しいエンターテインメントの提供などが期待できる.
著者
保里 和樹 細部 博史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.26, pp.1-7, 2017-02-27

パズルには多くの種類があり,昔から多くの人に楽しまれている.特に近年はスマートフォンやタブレット上でパズルを楽しむ人が増えている.しかし,既存のパズルは多様なルールがあるにもかかわらず,限られた形状をしていることが多い.パズルの形状を大きく変化させる研究として,杉山らは,既存のパズルは抽象化を経て他のメディアに変換できるとする,抽象化とメディア変換と呼ばれる体系的アプローチを提案した.本研究では,抽象化とメディア変換を杉山らの研究とは異なる種類のパズルに適用することで,より幅広い形状を可能とした新しいパズルを提案する.具体的には,多様なパズルが二次元の格子状であることに着目し,各マスをノード,となりあうマスの関係をエッジとみることで,格子状のパズルをネットワーク,すなわち,グラフとして一般化して表現する.格子状のパズルとして,本研究では特に加算パズルを扱う.さらに,グラフ可視化技術と複数の列の表現方法を用いて,提案するパズルの可視化を行う.グラフ可視化技術として,Kamada-Kawai 法を改良したものを用い,列の表現方法として,列ごとの色分けと,折曲点の生成の 2 つの方法を用いる.
著者
小谷 尚輝 内田 貴久 亀尾 菜保子 境 くりま 船山 智 港 隆史 菊地 あかね 石黒 浩
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.14, pp.1-6, 2022-08-15

近年遠隔授業や遠隔講演会の社会的ニーズが高まり,登壇者及び聴講者の時間的,物理的制約を軽減することが期待される.アバターを用いることにより,本人が行う講演と同等またはそれ以上の質の遠隔講演が可能になると考えられる.特にアンドロイドアバターを用いれば,聴講者に対して人間が登壇するのと変わらない存在感を感じさせられると期待できる.本研究ではアンドロイドアバターが高校において数百人規模の講演会を行い,聴講者のアンドロイドアバターに対する印象を評価した.聴講者のアンドロイドに対する評価尺度として,擬人化,温かさ,能力,不快感を用い,さらに教育的観点から,ロボット講演に対するエンゲージメントと理解度の主観的評価を行った.これらから,現時点における遠隔操作アンドロイドアバターの効果とその発展性について議論する.
著者
高橋 英之 島谷 二郎 小山 虎 吉川 雄一郎 石黒 浩
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-176, no.21, pp.1-4, 2018-01-15

自分があらかじめ記述した考えをロボットが代わりに述べ,それを論破するという自己客観視システムを構築した.このシステムを用いた予備実験から,一定数の被験者がロボットを通じた自分自身との対話を通じて考え方や価値観を変化させることが示された.本研究ではこのようなシステムが持つ意義について考察したい.
著者
津田 奏 清水 洸希 市野 順子
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-197, no.48, pp.1-7, 2022-03-07

VR 空間においてアバターを介した際のユーザーの認知や行動に関する知見が得られつつあるが,ソーシャル VR プラットフォームにおいてユーザーの行動を検討した研究は限られる.本研究は,最も基本的な人間的コミュニケーションであるスキンシップに焦点を合わせ,ソーシャル VR ユーザーがどのようなスキンシップをとっているのかを探る.ソーシャル VR プラットフォームの一つである VRChat をフィールドとし,調査者(著者ら)が被調査者(一般ユーザー)に接近し話しかけた際の被調査者の行動を観察し,計 30 時間 168 人分の一般ユーザーのデータを収集した.収集したデータを用いて,3 つの変数――調査者のアバターの外見的性別(2 水準:男性,女性),調査者の実性別(2 水準:男性,女性),被調査者の対話時の音声有無(2 水準:音声あり,音声なし)――を要因として分析した.その結果,(1) 調査者の実性別が女性の場合の方が男性の場合よりも,スキンシップの頻度が有意に高く,スキンシップの仕方もハグや頭を撫でるといった親密なものが多かった.その一方で,(2) 調査者のアバターの外見的性別はスキンシップの頻度に影響を与えなかった.また,(3) 被調査者の対話時の音声がない場合の方がある場合よりも,スキンシップの頻度が有意に高かった.これらから,アバターの外見よりも中身の性別の方がユーザーの行動に強く影響を及ぼしていることがわかった.
著者
上野 貴弘 大橋 正良
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.25, pp.1-6, 2022-08-15

いじめは被害者の心身的苦痛に基づく主観的な事象であるため,特定の動作から検出することは難しい.そこで,本研究では,被害者の心拍情報を用いて,主観的ストレスに対応したいじめの検出手法を検討する.実験では動画視聴による疑似的な体験から,いじめとリラックスのケースに基づく被験者の心拍情報を取得し,主観ストレスのアンケートを実施した.現在投稿中の論文では,いじめとリラックスを二値分類する機械学習モデルの精度と主観ストレスの相関を分析しているが,本稿では,分析結果を踏まえ,高ストレスと低ストレスにそれぞれ区別したデータを用いて解析した結果を報告する.
著者
伊藤 理紗 中村 聡史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.39, pp.1-7, 2022-08-15

コミックは多種多様であるため,読者にとって好みの描写もあれば,苦手な描写もある.作品のメインではない一部分に苦手な描写が出現する場合,そこだけを飛ばすことができればその先も読み続けることができるが,その表現を読んで読書を止めてしまう可能性もある.そこで我々は,読者が苦手な描写を気にすることなくコミックを鑑賞するための手法を提案する.また,本研究ではその手法を実現するため,コミックを読みながら手軽に読者が任意の苦手な表現についてフラグを付与することができるシステムを開発し,データ収集実験を行った.実験の結果,実験協力者によってフラグの内容に個人差はあるもののある程度フラグが重複することが明らかになった.さらに,知見をもとにしたプロトタイプシステムを実装し,簡易的な利用実験を行うことで利用可能性を検討した.利用実験の結果,読書への没入感をなるべく損なわない予告方法にするといったシステムの改善点が明らかになった.
著者
川上 洋平 駒澤 真人 菅谷 みどり
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-182, no.16, pp.1-8, 2019-03-11

軽度なうつ状態や精神疾患等者は増大している一方支援が少ないことが課題となっている.支援を行うためには精神科医による治療にある 2 つの工程であるアセスメントとカウンセリングを支援することが重要である.アセスメントでは,通常心理学に基づいた検査により受診者の心理を読み解き感情を把握するが,本研究では,本人が判定できない感情を脳波と脈拍値から感情分類により感情推定する手法および指標を提案する.また,カウンセリングは様々な方法が存在するが,本研究では色彩療法を利用し,支援システムによって分類された感情に合わせた色彩を提示することにより,感情の安定化を図るシステムを提案する.照明の変更が可能なスタジオにて複数人の実験協力者により実験を実施した結果,提案指標による感情分類および,色彩を用いた安定化が有効であることが示唆された.
著者
國武 悠人 星野 怜
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-196, no.36, pp.1-6, 2022-01-04

VR 技術の進展やメタバースへの注目の集まりにより,法人業務での VR 空間の活用手法が模索されている.しかし,VR 空間での法人業務は会議などにとどまっており,事務的な活動は一度 VR 空間から出て行う必要があるなど現状は多くの課題点を抱えている.そのような中で,VR 空間で法律上の手続を行うことに関する検討を行い,民事訴訟法 228 条 4 項の適用可能性の検討を行うことで遠隔での電子サイン行為,すなわち VR 署名を行い,法人の所轄官庁から有効性を確認するなどの実践を行った.社員総会についても,特定非営利活動推進法及び内閣府ガイドラインに基づき VR 空間での開催を行った.また,VR 署名の応用について,複数の観点から検討を行った.当実践により,議事録署名に留まらない「VR署名」の利用の拡大が見込まれる.
著者
櫛崎 翔太 田内 康 水上 嘉樹
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-177, no.31, pp.1-4, 2018-03-09

歩容識別は歩行動作に基づき人物識別を行う技術である.本研究では,推定姿勢に基づいたモデルベース歩容識別手法を提案する.提案手法は,姿勢推定のためのニューラルネットワーク,推定姿勢の整形処理部,歩容識別のためのニューラルネットワークの 3 つから構成されている.姿勢推定のためのニューラルネットワークは動画像から人物の姿勢を推定するためのものであり,Cao らによる OpenPose を採用している.姿勢整形処理部では,推定姿勢に含まれる脚関節の左右ラベリングの修正,推定できなかった関節座標の補間,身長に基づいた関節座標の正規化が行われる.歩容識別のためのニューラルネットワークでは,整形姿勢を入力として人物識別を行う.基礎的な実験を行い,姿勢整形処理の有効性,および,歩容識別ニューラルネットワークの構成方法について検討する.
著者
松成 圭悟 岩井 将行
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-196, no.25, pp.1-5, 2022-01-04

近年,コロナ渦の影響でアウトドアレジャーが注目を集めている.2021 年の東京オリンピックではサーフィンにて日本の五十嵐カノア選手が銀メダルを取り,盛り上がりを見せた.海ではサーファが増えてきて,混雑が目立ってきている.サーファー同士の衝突事故の原因は波を見るのに夢中になり他の人の存在を認知できなくなることや,日の出や日没間近の暗い時間帯に他の人が見えなくなってしまい衝突してしまうことが挙げられる.そこで本研究ではサーフボードに M5Stack Core2 と NeoPixel LED 防水テープを付け加えることでサーフボードのパフォーミング性を拡張しつつ,事故防止のために自分の存在を周りに認知してもらうことで海での衝突事故を未然に防ぐことを目的とした機能を付与する.つまり,サーフボードの角速度,加速度を 6 軸 IMU で検知し,姿勢角度を算出して,ユーザの状態に応じた光を提示することで周囲に対して危険度に応じた色の可視化を行う.
著者
河村 知輝 土田 修平 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-195, no.42, pp.1-8, 2021-11-23

他人から注目を浴びると普段以上の成果を出そうとする心理効果をホーソン効果と呼ぶ.ホーソン効果は人の行動に良い影響を与える効果として主に挙げられている.例えば,医療の現場において他人から見られているといった状況から手指の消毒回数が増え,衛生施行状況が改善されたり,集中的に患者を治療すると症状が改善されたりする.しかし,これと似た効果がウェアラブルセンサを用いた動作計測実験においては大きな問題を引き起こしている可能性がある.具体的には,センサの装着自体が,実験者の「装着部位を動かして欲しい」といった期待を表し,それが被験者の動きに影響している可能性がある.もし,センサ装着位置の身体部位は大げさに動かしてしまう,などの影響が現れていれば,ウェアラブルセンサを用いてこれまで行われてきたあらゆる評価実験の信頼性に疑問が生じることになる.そこで本研究では,同じ動作をセンサ装着部位を変えながら行わせる実験をすることで,センサを装着すること自体が被験者のジェスチャ軌跡に与える影響を評価する.筆者らが行った先行研究では,センサ装着部位の違いによって動作が変化することを目視にて確認した。本稿では,被験者すべての映像を定量的に解析する.
著者
井出 将弘 市野 順子 横山 ひとみ 淺野 裕俊 宮地 英生 岡部 大介
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-194, no.1, pp.1-8, 2021-08-16

コンピュータを介したコミュニケーションは対面と比較して社会的手がかりが少ないため,より率直な議論を促進することがわかっている.しかしながら,VR 空間におけるアバターを介したコミュニケーションがグループディスカッションにどのような影響を与えるかは十分に調査されていない.本研究では,4 人組 24 グループ 96 名の参加者を対象とした実験を行い,3 つの実験条件(ビデオチャット,参加者の写真から生成したアバターを用いた VR,性別や年齢等の外見上の社会的手がかりがないアバターを用いた VR)を用いてグループディスカッションを行った.その結果,参加者の総発話長を元にした参加のバランスの分析結果において,性別や年齢等の外見上の社会的手がかりがないアバターは社会的手がかりがあるアバターと比較して参加者の議論のバランスの均衡を促進することが分かった.
著者
内海 舞子 栗原 一貴
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-163, no.11, pp.1-6, 2015-05-07

日々の生活で自分の外見的印象を良くしたい場面は多くある.そこで,印象を変える手段として色と眼鏡に注目する.色彩学では色ごとに象徴するイメージがあり,色によって自分の印象を変化させることができる.また,着用者本人にも日常生活で有利となる心理的効果が期待できる.一方で眼鏡は,錯視が発生し目を大きく見せる効果がある.また近年では,単なる視力矯正用の道具だけではなく,ファッションの一部として使用されることが増え,男女関係なく身につけられ安価で手に入る装飾品となった.本研究では色の変化と眼鏡の効果を組み合わせた,色によって印象を変化させる眼鏡型 HMD(Head Mounted Display) である HMC(Head Mounted Cosmetics) メガネを提案する.ユーザ評価の結果,システムに肯定的な意見が多く,また改善,機能の追加が必要であるとわかった.そして,眼鏡型 HMD としての新たな可能性を示すことができた.
著者
浅山 広大 西田 健志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-169, no.4, pp.1-5, 2016-08-22

対人コミュニケーションの場面では相手に伝えるべきことがあっても恥ずかしさやためらいから伝えられないことがある.この問題を解決するために,伝えたいメッセージをスマートフォンの広告を装って相手に伝えるシステム 「Ad-vice」 を開発した.Ad-vice は相手に伝えたい文言を含んだ広告風の画像を任意のウェブページに合わせて表示するシステムである.相手に見せたいウェブページがあると言いながらスマホの画面を見せることによって,相手が自発的にその文言に気が付くことを期待するという超消極的なコミュニケーション方法を実現することを目指している.本論文では Ad-vice の設計の詳細及び評価実験の計画について議論する.