著者
前田 清一 中尾 俊
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.149-154, 1963-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
1

酸類の酸味としての閾値(Stimulus Threshold Value)と最低閾値(Minimum Threshold Value)、及び酸類間の酸味の強さについて、味覚試験を用いて測定をおこなった結果 : -(1) Panelの識別能力は非常に優秀なものであり、なかでも、女性Panelは男性のそれよりも全般によい様である。(2) 平均最低閾値は、塩酸、アスコルビン酸、グルコン酸では1×10-4M(各0.0004、0.0019、0.0020%)、ベタイン塩酸塩では2×10-4M (0.0027%) であり、クエン酸、酒石酸、乳酸等その他有機酸では5×10-5M(各0.0010、0.0008、0.0005……%)かそれ以下である。(3) 酸味として感じる閾値は、正確には極限法によっておこなわねばならないが、本実験資料から大略次の値であろうと推定される。クエン酸、酒石酸、フマール酸、グルタミン酸塩酸塩については1×10-4M(各0.0019、0.0015、0.0013%)、アスコルビン酸の4×10-4M(0.0076%)を除いて他の本実験試料酸類は、同一モル数すなわち、2×10-3M(塩酸の0.0008、乳酸の0.00018、酢酸の0.0012、コハク酸の0.0024、グルタミン酸の0.0030等の各%)である。(4) 閾値におけるpHは必ずしも同一ではなかった。
著者
中橋 美智子 大迫 由紀子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.241-247, 1979-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7

This report is the comparative study about the distribution of skin temperatures of different physique. Two physiques, namely plump and slender, were compared, selecting five healthy grown-up female students of each type.The surrounding temperatures were set at 30°, 20°, and 10°C. For each surrounding condition, experiments were carried out with thick and thin clothings. Skin temperatures on vaious parts of the body were measured by the thermistor thermometer. The following conclusions were obtained by the experiment.1. In case of the surrounding temperature of 20°C and 30°C, the skin temperature of the slender type was generally higher than that of the plump type. The difference was especially marked at the back, the waist and the upper arms, under the surrounding temperature of 20°C.2. Under the low surrounding temperature (10°C), the skin temperature of the two types were different on various parts of the body, being greater on limbs in the case of slender type, but greater on trunk in the case of plump type.
著者
四十九院 成子 福場 博保
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.108-114, 1977-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

プリンスメロン汁液添加ゼリーが凝固しないことからプロテアーゼ活性のあることを見いだし, 粗酵素液を調製してその酵素化学的諸性質および精製法について検討した.至適 pH 10.9, 至適温度60℃, 至適基質濃度0.8%, 熱安定領域は60℃10分間加熱まではほぼ安定で90℃で完全に失活した, 銀, 鉄, 水銀イオンなどの重金属イオンは酵素活性を減少させた.緩衝液にマグネシウム, カルシウムイオンを添加すると透析時の酵素の安定化と比活性の上昇に役立っていた.またEDTAで影響を受けずPMSFによる阻害効果が大であることから, 本酵素がセリンプロテアーゼであることが示唆された.透析, CM-セルロースおよびセファデックス G-100 グロマトグラフィーによって粗酵素液の11.4倍に精製した。分子量はゲルろ過法により約47,500と推定された.
著者
松永 暁子 貝沼 圭二
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.653-659, 1981-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
25
被引用文献数
5

1) β-アミラーゼ-プルラナーゼ法により澱粉糊, および米飯の糊化度を測定した.2) 本法では糊化澱粉と生澱粉, 老化澱粉の分解率の差が大きいため, 従来法に比較し, 初期の老化から測定することが可能であった.3) 5%コーンスターチの場合, 低温保存による老化の進行は5%米澱粉に比べ速やかで特に冷凍保存の老化は顕著であった.4) 米飯の老化は保存条件によって異なり, 冷蔵 (5℃) >室温 (20℃) >冷凍 (-18℃) >電子ジャー (70℃) の順で進行した.とくに冷凍米飯の糊化度は長く安定で, 適切な凍結, 解凍方法を用いれば米飯保存として最適と考えられる.
著者
庄司 一郎 倉沢 文夫 浜野 真理子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.415-419, 1986

電気自動圧力鍋を用いて精白米を炊飯した際の炊飯特性について検討し, 次の結果を得た.<BR>1) 圧力鍋炊飯は, 常圧釜炊飯に比して温度上昇が早く, 内部温度が高く, 炊飯時問が短い.<BR>2) 圧力鍋による飯は, 粘りが強く, 黄色味をおび, 老化速度がおそい傾向を示した.<BR>3) 圧力鍋炊飯が常圧釜炊飯より粘りが強いのは, 高温加熱により, 飯粒の組織が崩壊し, そのため飯粒の周囲部に付着するデンプン量が多く, これが粘りの原因と考えられる.<BR>4) 圧力鍋炊飯は, 粘りが強くなることが特徴であり, 粘りの少ない米での食味改善が期待できる.
著者
渋川 祥子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.92-99, 1976

圧力鍋による白米の炊飯について検討し次の点が明かになった.<BR>1) 予備浸水した米に126%の水を加え, 内鍋を使用し外鍋に180ccの水を加え, ノズルから蒸気が出はじめるまで強火, それ以後弱火で5分程度加熱し, むらし時間15分程度で炊飯できる.<BR>2) 圧力鍋炊飯は, ガス自動炊飯器による場合と比較しガス消費量, 所要時間とも, 特に利点はなかったが, 電気釜炊飯に比較し所要時間は短い.<BR>3) 圧力鍋による飯は, 粘りが強く黄味をおびている.圧力鍋は高温加熱のため, でんぷんのα化が十分に進み老化も起りにくい. また, 飯粒周囲部の組織が崩壊し付着するでんぷん量も多いため, これらが粘りの原因と考えられる.<BR>4) 内鍋を使用しない場合は, より粘りの強い, 飯粒中の水分のより不均一な飯になり炊飯方法として適当でない.<BR>5) 圧力鍋による炊飯の特長は, 硬質米よりも軟質米でより現れる. 粘りの強い米の圧力鍋炊飯は, ねばりが強すぎて好まれないため, 圧力鍋炊飯はねばりの少ない古米や硬質米の炊飯に適する.
著者
堀口 知子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.207-212, 1966-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

1.豆腐は加熱するとゼリー強度が増し、重量が減る。その傾向は温度が高く、時間が長い程著しい。また加熱条件によっては(例えば90℃、30分以上)すだちを生じる。2. 豆腐は食塩、重炭酸ソーダ、グルタミン酸ソーダ、でんぷん糊溶液中で加熱(90℃ 15分)することによっていずれも水だけの場合同様ゼリー強度を増し、重量が減るが、濃度が高くなると水だけの場合に比べてゼリー強度は低くなり、重量は大きくなる傾向がある。すなわちこれらの溶液の使用により加熱によるゼリー強度の増加を抑えることができる。すだちは食塩、重炭酸ソーダの高濃度で認められるので、すだちがおこらずゼリー強度の増加を防ぐ実用的使用量は食塩0.5~1%溶液、1%でんぷん糊溶液で加熱するのが適当であろう。重炭酸ソーダ0.05%溶液、グルタミン酸ソーダ0.05%溶液はゼリー強度の増加をわずかにおさえる傾向を示している。醋酸溶液で加熱したものも加熱によってゼリー強度を増すが、濃度の高い場合には水だけの場合より更にゼリー強度を増す傾向がある。3.豆腐から重炭酸ソーダおよび苛性ソーダ、醋酸溶液によって熱抽出される窒素の量はpH4.0~5.0で最低となりそれよりpHが高くても、また低くても増加する。食塩溶液で抽出される窒素は濃度の増加と共に多くなる。これらの溶解度の増減が豆腐の加熱によるゼリー強度の増減に関係あるものと考えられる。
著者
桑田 百代 伊藤 セツ 大竹 美登利
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.446-449, 1977-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
12

以上, 疲労自覚症状調査を生活時間とのかかわりで検討してきたが, 生活時間の上からみても, 共働き家庭では妻の労働負担によって家庭が維持されており, それは集約的に疲労の自覚症状となって反映されている.特に乳幼児をかかえた共働き妻は平均年齢がいちばん若いにもかかわらずとびぬけて疲労訴え率が高いが, これはその妻の生活時間構造にみあうものである.平日の訴え率は高い順に共働き妻, 夫, 非共働き夫, 妻で, この傾向は1967, 1971, 1975年の3回にわたる調査で同じである.全労働時間においても, 稲葉らの第1回の調査時点から, 共働き妻がいちばん多いことは変わらず, 19年を経過しても, 共働き妻は収入労働に家事労働の時間的負担が加わって, 疲れきった毎日を送っていることがわかる.各群の訴え率は, 平日, 休日とも3回の調査を通じてA>C>B型であるが, 共働き妻のA群の訴え率は回を重ねるごとに朝夕の差が大きくなっている.また, 自律神経失調症状を表わすといわれるC群は, 平日, 休日とも朝夕の訴え率が増加している.
著者
山崎 清子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.395-402, 1961

(1) 電気自動ホットプレート、鉄板、フライパンを2個重ねたものは、熱容量が大きく温度変化は比較的緩漫である。<BR>(2) ホットケーキは加熱器具の焼き面が高温のときに焼くよりも、130~140℃ぐらいのときに生地を流し、180℃をもって焼き上がりとするほうが間違なくよく焼ける。<BR>(3) 膨化率は130℃から180℃までの範囲の焼き温度では、温度の高低によってほとんど変化がない。<BR>(4) ホットケーキに適度の焦げ色がつく温度は160~180℃である。<BR>(5) 材料配合については、各材料が基準量以下のものは概して製品の成績がよくない。<BR>(6) ホットケーキの膨化効果に顕著に影響するものはB.P.のほか卵の量の多少で、量の多いほうが膨化が大である。砂糖は15gが最も膨化し、30gになると減少する。一般に行われるように、あとでシロップをかけて甘みを補うほうが合理的である。<BR>脂肪は添加すると膨化を減殺するが、味と口ざわりをよくする上には大きな効果がある。その使用量の増加によって膨化率が特に減少することはない。成績の上から10gぐらいが適量である。<BR>(7) ホットケーキの生地の流動状態は、小麦粉に水を120~130%加えたくらいがよく、砂糖、脂肪、卵は換水値により、牛乳はその水分を考えて割り出すと基準量では牛乳100~110ccくらいが適量である。<BR>(8) 生地は混合直後に焼くのが最もよい。混合後20minで膨化率は直後のものの87%に下がるが、生地の広がり方にはほとんど変りがないから、実用上はこの時間の範囲ならば一時に混ぜ合わせておいてもよい。
著者
額田 清
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.93-97, 1965-04-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7
著者
杉山 みち子 中島 昌子 森内 幸子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.323-330, 1986-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
17

中年期男性 (40~60歳) の身体的な機能低下から老化を意識する年齢ならびにその様相について調査・観察を行った.1) 男性においては, 身体的な機能低下 (老眼鏡の使用, 眼精疲労, 睡眠障害など), ならびに精神・心理的な変化 (物忘れしやすくなった, 懐古的になった) を意識するものは, 45歳から50歳にかけて比較的多く観察された.2) 身体的な機能低下の後に, 精神・心理的な変化のみられることが, 概括的に観察された.3) 眼精疲労を意識する年齢は, 他の身体的な機能低下ならびに精神・心理的な変化を意識する年齢と高い相関関係を示した.4) 嗜好の変化を意識しているものは約10%であった.5) 眼精疲労を意識する年齢には, 居住地域, 職業, 性格などの影響する可能性が観察された.
著者
加藤 寿美子 松生 勝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.3-12, 1983-01-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
17

馬鈴薯澱粉の糊化過程における構造と物性の変化について検討した.糊化のさいの澱粉濃度依存性については, 1~6%懸濁液では低濃度ほど最高粘度値は小で, 最高粘度到達温度は高く, 光散乱像, 偏光十字の消失は速やかであった.加熱過程における濃度別粘度特性と偏光顕微鏡ならびに光散乱像による粒子の崩壊挙動は矛盾しなかった.加熱が急速に進行する場合は, ミセルのランダムな配向やその崩壊は緩慢な加熱より遅れて生じた.単一馬鈴薯澱粉粒の光散乱 {象は粒子の形状や内部構造を反映し, 小角度側のローブは楕円体の長軸方向に垂直に伸び, さらに高角度側に高次の強度極大を示した.これは形成核を中心に発達した同心円状の層状組織の半径方向への周期性によるものと推定される.
著者
妻鹿 絢子 藤木 澄子 荒川 信彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.618-621, 1979-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

市販牛肉を実際の調理のさいのマリネ条件にもとづき, 角切り肉でマリネ処理した場合にも, 前報のホモジネートを用いた実験でみられたと同様のプロテオリシスが進行し, 筋原繊維蛋白質の部分分解および低分子化が起こることが認められた.また, マリネ処理において針入度の増加と切断応力の減少から肉の軟化が認められ, 肉重量の増加から保水性の増大が認められた.さらに, マリネ処理による低pHにおいて, 肉中のプロテアーゼにより筋原繊維蛋白質が分解し, 比較的高分子の蛋白質は保水性の増大にともなって肉漿中に保持されアミノ酸等の低分子物質は浸漬外液中に溶出した.
著者
渋川 祥子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.591-595, 1979-08-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5
被引用文献数
4

圧力鍋で煮豆を作るときの加熱条件, および煮豆の特性を常圧下で作った煮豆と比較した結果, 次のことがらが明らかとなった.1) 予備浸漬により十分に吸水した大豆は, 圧力鍋加熱では, 蒸気噴出後の加熱継続時間0~1分, むらし時間5分でやわらかくなる.常圧下加熱にくらべ, 所要時間は1/3~1/4, ガス消費量は, 約1/4であった.2) 圧力鍋によるゆで豆は, 常法にくらべ, 甘味が強くねっとりした口触りであり, 煮豆として好まれる.3) 甘味が強いのは, 加熱時間が短いため, 煮汁中へ溶出する糖量が少なく, 豆中め糖量が多いためであり, ねっとりしているのは, 同じ理由で, 豆中の水溶性ペクチン量が多いためと考えられる.4) ゆで豆を加熱しながら調味すること, 圧力鍋ゆで豆は硬さに変化がないが, 常法のゆで豆は硬くなる.しかし, 調味料の浸透量には差がない.
著者
伊東 きぬゑ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.171-176, 1959-10-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9

魚肉蛋白の基本調理形態による消化率の変化を検討するために、生魚、30%塩魚干魚(素干)、酢魚(30%酢)、煮魚(白煮)、蒸魚(素蒸)、炒焼魚(素ソテー)、揚魚(空揚)とした鮒肉を用い総合消化による人工消化試験を行った。その結果(加熱調理は総合消化のみ、加熱調理以外のものは総合消化に自己消化の加わったものについてである)。生魚、煮魚、蒸魚、干魚は最も良好であった。酢魚、炒焼魚、揚魚はこれに次ぎ、焼魚は稍消化不良であった。塩魚は全消化時間通じて著しく消化不良であった。自己消化は微々たるものであった。そのうち塩魚は最も低率であった。以上から基本調理法としては、消化の点から刺身、煮物、蒸物、干魚粉物が最もよく、酢物、炒焼物、揚物がこれに次ぎ焼物は劣り、塩物は著しく不良な調理加工法と言い得る。但しこれらの応用形態については今後の研究問題であり又調理のために生ずる可溶性窒素、アミノ態窒素、ペプトン態窒素についても検討せねばならぬと思う。
著者
那須 佳子 中沢 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.396-400, 1981-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

苺ジャムの色について検討し, 次の結果を得た.1) 官能検査より, 電子レンジ加熱ジャムは電熱器加熱ジャムに比べ外観がよく色鮮やかで柔らかである.2) 電子レンジ加熱ジャムは電熱器加熱ジャムより可視部の吸光度が高く, レモン汁添加は吸光度を高める効果をはたす.3) 電子レンジ加熱の場合は, 加熱時間を増すにつれて可視部の吸光度が増大し, 見かけ上色鮮やかになるのに対し, 電熱器加熱の場合は, 加熱時間を増すといったん色鮮やかになり, 加熱時間が30分を越すと可視部の吸光度は減少し退色が肉眼でも明らかになる.4) 電子レンジ加熱ジャムにおいても実際はアントシアン色素が加熱によって崩壊しており, 見かけの色鮮やかさの原因は水分蒸発によりアントシアン濃度が高くなるからである.5) 室温で保存する場合, レモン汁添加は退色を遅延させるが, その効果は保存後5ヵ月で消失する.6) 室温保存では約3ヵ月でアントシアン色素の可視吸収はほとんど消失するが, 一方, 冷蔵庫保存ではほとんど退色せず, 冷蔵庫保存1年のものと室温保存1ヵ月のものとではほぼ同じような退色状態である.
著者
土屋 房江 倉田 美恵 辻 祥子 奥山 清美 塩田 芳之
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.145-149, 1981-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
4

1) 岡山県ではこんにゃく業者の8割弱, 広島県では7割強が地域食品認証制度に加入しているが, その製品すべてに認証マークをつけているわけではない. 製造年月日は購入したこんにゃくの35.4%しか表示されておらず, 製造業者名その他まったく表示のないものが65点中2 点あり改善の必要があると思われる.2) 価格は100g当たり17.7~54.7円, 平均27.4円で同じ製品が商店により65円および100円で売られていた例があった.3) 板こんにゃくでは長方形および正方形があり, 玉こんにゃくは形, 大きさがさまざまで, 1袋中のこんにゃく重量は 201~250gのものが最も多かったが表示重量より少ないものが7割強もあった. 注入液は 4~350mlで大部分ヒートシールされていたが, 上部を結んだもの, 輪ゴム止めのものもあった.4) 水分97~98%, 灰分0.2~0.3%, カルシウム60~70mg%, pH10.8~11.2の範囲のこんにゃくが最も多かった.5) 物性は製造業者により, また, 部位によっても異なるものがあり, 原料や製法の違い, こんにゃく糊の調製の仕方, 凝固剤の加え方等の違いによるものと思われる.6) 10%食塩水中で3時間加熱することにより, 水分は平均9.0%減少, pH は平均約1.6低下, カルシウム含量は平均約1/2に減少した. 硬さ, 破断力は増したが部位によるばらつきが大となった. また試食の結果, 物性値の中間のものが好まれた.
著者
野口 道子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.166-171, 1970-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6
被引用文献数
1

A mixture of egg yolks and hot water was beaten with a “Mixmaster of Sunbeam”. Other substances were added into the mixture in some experiments. Effects of the consistency of egg yolk, the temperature of water and added substances on the formation and stability of the egg yolk foam were studied. The effect of the egg yolk foam on the sponge cake was also studied. The following results were obtained.1. When much water is added to egg yolks, more foam is made, but the stability of foam decreases.2. When the temperature of water added to egg yolks is high, the formation of foam is accelerated, and its stability increases.3. One per cent of tartaric acid in the mixture of egg yolks and water retards the formation of foam, but none of oil, sugar and salt of 1% does not affect it.4. When the more sugar is added, the less foam is formed, but the stability increases.5. When whipped egg whites are mixed in batter together with beaten yolks, soft texture of sponge cake is obtained.