著者
小西 伴尚 石井 智也 福永 真之 森田 健太郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.131, 2020

<p> 昨年度より、三重高校(中高一貫高校部)1年生140名全員で、目標とした『自分から行動をとる生徒を増やす』『地域への関心を高め、その魅力や課題を発見し、行動がとれる』に向けて、近隣の大台町旧宮川村にて、高校 1年生全員が学ぶことができるプログラムを計画・実施してきた。1年目は、できる限り生徒自身が何事も行うように仕向け、教員は大枠(実行委員会を組織すること、取組の途中に遠足を利用すること、対象地域を旧宮川村にすること、最低一年間地域のことを考え・課題をみつけ・自分(達)ができることを考え・行動にでること)のみを設定することとした。これにより、実行委員会の生徒は感化され、目的に合った生徒が育ってきたが、他の生徒の変容は少なかった。その後、引き続き旧宮川村や自分の地元、学校のある松阪市の課題を見つけ、行動に出る機会を作り、動き出す生徒を増やしている。</p><p> また、同様の企画を本年度の1年生にも引き継いで実施した。そこでは、一年目に組んだ教員が学年団におらず、さらに準備期間が短くなった中で、実施にこぎつけ、生徒が動く内容は少なくなったが、良い経験となった。発表では、引き継ぎの難しさも踏まえて報告する。</p>
著者
しもなぺんでぃ まりあ るでぃあ 増田 美砂 ぷらせちお りりく ぶでぃ だまやんち えりん
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

Community Forestry (CF) is a successful participatory approach to protect the forest in Nepal. However recently, uneven distribution of forest products among the members has been discovered. Therefore, this study aimed to re-examine the equality and equity of forest products consumption and community development.&nbsp;
著者
内野 彰裕
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.129, 2018

<p>本園は1975年に八王子市に設立され、園庭の豊かな自然環境に力を入れてきたが、2014年、園庭の身近な自然と園外の深い自然とを日常的に往来できる環境を求め移転をした。2.2haの敷地には園児、保護者、教職員と、棚田、畑、小川、森の広場等を整備・再生し、里地里山における「自然との繋がりを大切にした保育」を展開している。隣接する47㏊の森は多様な生態系が維持され、園児は保育者と日常的に森に入る。こうした豊かな自然の中で、自然教育、環境教育、労作教育、食農教育を中心としたESD「里山教育」を通して、生きる力の基礎を培う保育を大切にしている。また園内外の森は「教育資源」と捉え、次の3段階のねらいで活用している。(1)遊び場としての森「森のようちえん」(2)ビオトープとしての森「動植物との触れ合い」(3)ESDとしての森「子どもの森づくり」。年少の頃から日常的に森で遊び、森に親しみ、動植物と触れあい、人間と生き物との関係を理解し、森林を大切にする気持ちが芽生え、考え、行動できるようになっていく。このように遊びを通して周囲の環境に関わり、考え、子どもなりの答えを導いていくプロセスは「主体的・対話的で深い学び」に繋がる。</p>
著者
劉 馨遥 石橋 整司 齋藤 暖生 藤原 章雄
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>江戸時代に制作された視覚的な情報である浮世絵に江戸の緑地環境がどのようにあつかわれているか分析した。今回用いた資料は歌川広重の晩年の作品である「名所江戸百景」である。江戸を中心とする地域の風景を描いた119点の絵の構図について「遠景」、「中景」、「近景」に分け、それぞれに描かれている樹木について特徴をまとめた。119点のうちまったく樹木が描かれていないものは9点のみであり110点には樹木が描かれていた。構図としては遠景、中景、近景のすべてに樹木が描かれたものが44点と最も多く遠景と中景に描かれたものが26点、遠景と近景に描かれたものが14点、遠景のみに描かれたものが12点で基本的には遠景に樹木を配する構図が中心であった。描かれた樹木の種類が推定できた作品を見るとマツが遠景、中景、近景のいずれでも最も多くみられ、特に遠景では87点にマツが描かれていた。次いで、サクラ、スギ、モミジ、ヤナギと推定される樹木が多かったが、サクラやヤナギが中景、近景に描かれることが多い一方で、スギやモミジは遠景から近景まで満遍なく見られるなど樹種による特徴が見られた。</p>
著者
青木 康真 勝山 正則
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.130, 2019

<p>山地流域において基岩層に浸透する降水の割合が比較的高いことが近年研究によって明らかになっている一方で、これらの流出過程はまだ明らかになっていない。本研究では降雨の強度や継続時間に対する応答を明らかにするために滋賀県大津市の桐生試験地において赤外線サーモグラフィを設置し、基岩浸出水の定点観測を行った。2018年9月29,30日において、総雨量40mmの降雨開始30分後に浸出水と周囲の温度差が大きくなる現象が観測された。またその面積は降雨規模が大きい時間帯では広がりをみせることがあり、降雨に対して浸出水が比較的早い応答をしていることが示された。また同ポイントの付近の斜面土層内において、地中の温度変化として飽和側方流の発生が観測された。この飽和側方流の出現は同じく総雨量40mmの降雨イベントに対して降雨開始から20時間ほど時間遅れがあり、20時間ほど観測された後消えた。赤外線サーモグラフィは浸出水の面的な縮小拡大を明らかにする方法として有用である。また、時間・空間分解能の高いデータを得ることで基岩浸出水だけでなく飽和側方流など土壌層中の水の動きを検出できる可能性がある。</p>
著者
陳 碧霞 草島 勇斗
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>フクギを主な樹種とする屋敷林は沖縄の独特な集落景観を形成し、約300年前の琉球王府時代に成立したと考えられているが、現在では減少の一途をたどっている。本報告は、フクギ屋敷林の老木に蓄積されている二酸化炭素の量を試算した。本研究の目的は、炭素貯蔵量から、フクギ屋敷林の生態学的機能とそれらの経済的価値を明らかにし、これからの有効的保全策を提案したい。</p><p>2009年から2018年まで、研究チームは沖縄県内の10個の集落における23,518本のフクギの胸高直径(DBH)と樹高を測定した。10個の集落でのフクギ屋敷林に貯蔵された炭素の総量は6089t-CO2であった。 この量は、日本の40年生のスギ(Cryptomeria japonica)人工林の森林の炭素固定昨日に換算すると、約20.9ヘクタールのスギ林の炭素蓄積量に相当する。 さらに、40年生のスギ林の植栽と管理のコストの観点から、フクギ屋敷林の推定経済価値は2497万円に相当する。 この研究により、整然としたフクギ並木は密度が高いため、それらの炭素の蓄積、および気候変動の緩和へ貢献の可能性が高い。</p>
著者
石田 真結子 岩川 奈生 足助 聡一郎 黒田 慶子 梶村 恒 升屋 勇人 亀山 統一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>近年、養菌性キクイムシ(Ambrosia beetle)とその共生菌あるいは随伴菌による樹木病害が世界各国で問題になっている。沖縄県では、デイゴの衰退枯死木から<i>Fusarium solani</i>種複合体に属する病原菌とともに、ナンヨウキクイムシ(<i>Euwallacea fornicatus</i>)を含む3種を検出したが(Takashina et al. 2020)、同県では<i>E. fornicatus</i>によるマンゴーへの加害が2000年以降に報告されている。2019年に石垣島のマンゴー圃場の枯れ枝で<i>Euwallacea</i>属のキクイムシ類と<i>Fusarium</i>属菌を検出したことから、本研究では、検出菌の分子系統解析および孔道付近の組織の解剖観察を通して、樹木とキクイムシ類および菌類との関係について検討を行った。孔道を含む木部組織および孔道内の<i>Euwallacea</i>属数種から菌分離を行い、それらのITSおよびEF-1α領域の塩基配列の解析から、デイゴの病原菌と近縁の菌類を確認した。さらにRPB1、RPB2領域の解析も加えて分類学的検討を進めている。</p>
著者
亀山 統一
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>ホルトノキ萎黄病の病原<i>Candidatus</i> Phytoplasma Malaysianum は、九州・四国の全域でホルトノキ<i>Elaeocarpus zollingeri</i> var. <i>zollingeri</i> 植栽木・自生木のいずれにも高率で感染している。一方、沖縄島では、感染率が本土よりもかなり低い傾向にあり、島北部では感染木は見つからず、島中南部にも感染木が全くない植栽地や林分がある。沖縄島中南部には、本土の感染木同様に、その個体のいずれの葉からもファイトプラズマが容易に検出できる感染木がある一方、個体内の病原密度が明らかに低い感染木が相当数あることが明らかにされた。また、感染木周辺の非感染木について3-5年後に再検査すると、新たにファイトプラズマが検出された個体はわずかであった。一方、石垣島では感染木の分布や個体の感染密度について、沖縄島中南部と同様の傾向が見出されたが、一方で、沖縄島北部と同様に自然度が高い森林がある地域においても、感染木が見出されなかった調査地はなかった。以上の知見をふまえて、沖縄島、石垣島などの琉球諸島と本土における本病病原のファイトプラズマ感染について、地域や個体による相違、また宿主範囲などに着目して比較検討した。</p>
著者
松本 一穂 高野 涼 伊藤 幸男 山本 信次 原科 幸爾
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>熊本県阿蘇地域の山地部は主に草原や人工林として利用されているが、景観や防災、水源かん養等の面からみた最適な土地利用のあり方について模索する動きが地域社会で進められている。草原は放牧・野焼きの有無や優占種の違い(ススキ,ネザサ)によって違いが見られ、人工林も管理(間伐)の程度や樹種(スギ,ヒノキ)によって林相に大きな違いが見られる。しかし、これらの植生の諸特性がその土地の多面的機能をどのように特徴づけているのかについては定量的な知見が限られている。そこで、本研究では熊本県阿蘇市・南阿蘇村内の複数の草原と人工林において土壌の透水性および保水性を調査し、植生の違いが阿蘇地域における山地斜面の水源かん養機能や防災機能に及ぼす影響について検討した。</p>
著者
深山 貴文 ⾼梨 聡 北村 兼三 松本 ⼀穂 Yamanoi Katsumi 溝⼝ 康⼦ 安田 幸⽣ 森下 智陽 Noguchi Hironori 岡野 通明 ⼩南 裕志 吉藤 奈津⼦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>森林の地球温暖化防止機能には炭素固定機能の他、森林が放出する揮発性有機化合物がエアロゾルを生成し地球を冷却する機能がある。森林起源の揮発性有機化合物の主要成分は、イソプレン(C5H8)とモノテルペン(C10H16)であり、主にイソプレンは広葉樹林、モノテルペンは針葉樹林から気温の上昇に伴って揮発性が高まる夏に集中的に放出されることが知られている。一方、世界各地の様々な植生の森林において夏に限らず低温の時期に、これらの濃度上昇が観測された事例が報告されている。本研究では日本国内の6か所の森林において概ね月1回の頻度で3年間にわたって観測されたデータを用いて、国内においても低温期に同様の濃度上昇現象が発生しているのかを確認すると共に、この現象が発生した際の気象要因についての検討を行った。その結果、20℃未満の低温期に20回の高濃度現象が発生していたことが確認された。また、その多くがイソプレンは春、モノテルペンは秋の降雨後に発生していたことから、この現象の発生に降雨が影響している可能性が示唆された。</p>
著者
Tadashi Ookami Kazuho Matsumoto Shingo Taniguchi Atsushi Takashima
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>現在、温室効果ガスである二酸化炭素(CO<sub>2</sub>)の吸収源として森林の役割が期待されており、森林によるCO<sub>2</sub>吸収量の定量的評価が求められている。生態系が吸収した正味のCO<sub>2</sub>量である純生態系生産量(NEP)は、生態系が吸収したCO<sub>2</sub>の総量である総一次生産量(GPP)と生態系が排出したCO<sub>2</sub>の総量である生態系呼吸量(<i>R</i><sub>E</sub>)の収支として求められる。世界各地で森林生態系のNEP、GPP、<i>R</i><sub>E</sub>が調べられ、時空間的変動やその制御要因について解明されつつあるが、亜熱帯林における知見は未だ限られている。そのため、本研究では沖縄の亜熱帯常緑広葉樹林におけるNEP、GPP、<i>R</i><sub>E</sub>を求め、これらの年々変動や季節変動、環境応答について解明する。調査方法は2013~2020年に沖縄島北部の亜熱帯常緑広葉樹林(琉球大学与那フィールド)において、渦相関法を用いて森林―大気間のCO<sub>2</sub>フラックスを観測し、これに貯留CO<sub>2</sub>フラックスを加味することで純生態系交換量(NEE)を求め、NEE = ―NEPとしてNEPを求めた。また、<i>R</i><sub>E</sub>はGPP = 0となる夜間において気温と<i>R</i><sub>E</sub>( = ―NEP)との関係を調べ、日中の<i>R</i><sub>E</sub>はその関係に基づいて気温から推定した。そして、GPPはNEPから<i>R</i><sub>E</sub>を差し引くことで求めた。</p>
著者
深谷 肇一 楠本 聞太郎 塩野 貴之 藤沼 潤一 久保田 康裕
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.132, 2021

<p>種の個体数量は重要な生態学的変数である。しかし、大きな空間スケールにおいては、種の個体数量のパターンについて未だ十分な理解が得られていない。本講演では、種類の異なる生態調査データを統合する階層モデルを用いて、木本植物の種個体数量を広域かつ分類群網羅的に推定した研究を紹介する。まず、多数の生物種の地理分布と、局所的な調査における群集レベルでの種検出の過程を説明する階層モデルを構築することで、個々の種の広域での個体数量の分布を統計的に推測することを可能とした。構築したモデルを日本国内の多数の植生調査データと植物の地理分布データに当てはめることで、1200種以上の木本種のそれぞれについて、自然林における個体数量を10km平方の解像度で推定した。推定された広域の種個体数量分布を用いて行われた、地域生物多様性のマクロ進化過程の検証と、国内レッドリストの定量的検証の例を紹介する。</p>
著者
奥村 栄朗 藤井 栄 森 一生 八代田 千鶴 金城 芳典
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

森林総研と徳島県では、再造林地でのシカ被害軽減のため、皆伐跡地における集中捕獲技術の開発を試みていて、皆伐跡地のシカによる利用実態を把握するため、糞粒法と自動撮影カメラによるモニタリングを行った。 2014年春、徳島県つるぎ町の皆伐跡地2ヶ所(2013〜14年伐採、約4ha)を捕獲試験地および対照試験地に設定した。糞粒法調査は、各試験地周囲の林内、および捕獲試験地の周辺地域(1.5〜3km範囲の4地点)で行い、シカの利用頻度指標としてプログラムFUNRYU(岩本ら 2000)による生息密度推定値を用いた。自動撮影カメラは、7月末から試験地の林縁に各15台を設置した。 糞粒法の結果は、試験地周囲が31頭/km<sup>2</sup>、周辺地点は15頭/km<sup>2</sup>で、皆伐跡地の利用頻度が高かった。自動撮影カメラでは、夏〜秋には出現頻度が高く、日没前の出現もあり、給餌による日中の誘引が可能と考えられたが、12月初めに記録的大雪があり、以後、出現頻度が大幅に低下するとともに、日中の出現がほとんど無くなった。その状況で2〜3月に給餌誘引による捕獲(狙撃および囲いワナ)を試みたが不成功に終わった。 講演では、冬季の出現低下の要因を考察し、今年度の状況についても報告する。
著者
イクサン ムハマッド 中越 信和
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

Precise forest maps are needed for forest planning. This study compared an accuracy of visual and automated forest boundary delineations using a Root Mean Square Error (RMSE) assessment in the Patenggang Conservation Area. On-screen digitization was utilized as the visual delineation method and Maximum Likelihood was used as the automated delineation method. The results showed that visual was more accurate than automated delineation. The RMSE of visual delineation on World View-2 image were 6.0 m and 9.3 m, while on Landsat ETM+7 image were 21.3 m and 21.5 m. The RMSE of automated delineation on World view-2 image were 16.05 m and 20.75 m, while on Landsat ETM+7 image were 32.45 m and 37.30 m. The study clarified that visual delineation using World View-2 image is the most accurate method for forest delineation.
著者
太田 岳史 小谷 亜由美 伊藤 章吾 花村 美保 飯島 慈裕 マキシモフ トロフューム コノノフ アレキサンダー
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

筆者らは,1998年よりロシア・ヤクーツクの北方,約20kmに位置するスパスカヤパッド・カラマツ実験林において,渦相関法を用いた全生態系からの蒸発散量,光合成量の観測を行ってきた.植生条件は上層植生は2007年6月に展葉していた樹木が枯れ始め,下層植生は2006年~2007年よりコケモモから湿地性の草本や低木が繁茂するようになった.気象条件は,降水量は,1998年~2000年は平年並み,2001年~2004年は渇水年,2005年~2009年は豊水年,2010年~2011年は平年並みとなった.その間に,大気側の成分(放射量,気温,飽差など)はあまり大きな経年変動をしなかったのに較べて,地表下の成分(地温,土壌水分量)は明確な経年変動を示した.そして,蒸発散量,光合成量は,この地表面下の成分により変化したと考えられた.すなわち,土壌水分量と蒸発散量は関係は2007年から低下しており,土壌水分量と光合成量は1年遅れて2008年より低下した.つまり,2005年から土壌水分量は上がりはじめ,2年の時間遅れで蒸発散量を低下し,光合成量はもう1年の時間遅れが必要であった.詳しくは,講演時に発表する.
著者
小山 泰弘 竹垣 英信 岩崎 唱
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

利用されなくなった牧場の森林化を行うため、企業の社会貢献活動の一環として企業等からの支援により、牧場に隣接するブナ林の林縁部に発生した稚樹を活用したブナの移植を行った。移植を行った牧場跡地は、未利用の牧草とその根系が5cm 程度の厚さで堆積していたため、三機工業や和信化学工業等の企業からの支援金を活用して重機を使って牧草をはぎ取った。その後、6~10月までの5回にわたり林縁部のブナ稚樹を堀取り、はぎ取った場所へ移植させた。本年度は、八十二銀行をはじめとする協賛企業および一般公募のボランティアに関係者延べ約300名が植樹に参加し、10,000本のブナ を0.7haの範囲に移植させた。なお6月に植栽したブナは10月現在で95%以上が活着し、植替え作業そのものは良好だった。本方法では、NPOが仲立ちをすることでボランティアの公募や企業の協賛に加えて、NPOに対する支援を行っている東京ガスや地球環境基金なども活用できるため、公的資金や地元負担が少なくなり、コストをかけずに地域の種苗を用いた自然再生を行うための手法の一つとして効果的だと思われる。